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非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ Part36 [転載禁止]©2ch.net

1 :創る名無しに見る名無し:2015/03/05(木) 01:14:17.94 ID:Wob/LOal
1999年刊行された小説「バトル・ロワイアル」

現在、様々な板で行われている通称「パロロワ」はリレー小説の形をとっておりますが
この企画では非リレーの形で進めていきます。

基本ルール
・書き手はトリップ必須です。
・作品投下前に登場キャラクター、登場人数、主催者、舞台などを発表するかは書き手におまかせです。
・作品投下前と投下後にはその意思表示をお願いします。
・非リレーなので全ての内容を決めるのは書き手。ロワに準ずるSSであればどのような形式、展開であろうと問いません。
・非リレーの良さを出すための、ルール改変は可能です。
・誰が、どんなロワでも書いてよし!を合言葉にしましょう。
・ロワ名を「〜ロワイアル」とつけるようになっています。
  〜氏のロワは面白いでは、少し話題が振りにくいのでAロワ、Bロワなんでもいいのでロワ名をつけてもらえると助かります。
・完結は3日後だろうが5年後だろうが私は一向に構わんッッッ!!

前スレ
非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ part35
http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1393846727/

非リレー型バトルロワイアルwiki
ttp://www26.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1.html

301 :危険な領域 ◆ymCx/I3enU :2015/11/22(日) 18:18:27.13 ID:gmGLMpng
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《キャラ紹介》
【スィヴレバル】
年齢:35
性別:♂
種族:ワータイガー
特徴:二足歩行の筋肉質な虎。獣足の獣人。巨根で全裸
職業:人食い虎
備考:異世界にて人食い虎として恐れられていた。同性愛者でもありハッテン場の存在を知ってそこへ向かうも、
人食い虎である事が知られていた為悉く怖がられ逃げられてしまい、わざわざ別世界の「日本」のハッテン場までやってきた変種。
本ロワ参加者である黛康裕と沼倉勇喜はハッテン場仲間であり、彼が人食い虎である事実を知っても受け入れてくれた数少ない友人でもある。
人食い虎として生きてきただけに戦闘能力は高め

【伏島茂晴】
読み:ふせじま しげはる
年齢:20代前半
性別:男
種族:人間
特徴:黒髪。澱んだ目付き。黒っぽいジャケットとジーパン姿で見た感じは普通の青年
職業:殺し屋
備考:殺し屋稼業をしている青年。依頼はそつなくこなす。
強者との戦いを好む好戦的な一面も有る。主にナイフなど小さな近接武器を使った戦い方が主。
不遜かつだるそうな話し方をする


《支給品紹介》
【マイナスドライバー】
支給者:伏島茂晴
分類:その他
説明:マイナス溝のネジを回すのに使われる工具。緊急用としてプラス溝にも使える。

【手鉤】
支給者:スィヴレバル
分類:その他
説明:荷物を手繰り寄せるのに使われる道具。金属製の穂先が有り一応武器にもなる。
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302 : ◆ymCx/I3enU :2015/11/22(日) 18:20:40.92 ID:gmGLMpng
投下終了です
年末で繁忙で体力がきついってそれ一番言われてるから
土曜日まで出勤ってふざけんな!(声だけ迫真)

303 : ◆ymCx/I3enU :2015/11/24(火) 22:47:22.54 ID:i7O76hMb
16話目投下しやす
キーレンと霧島弥生です

304 :神聖な場所で何て事を… ◆ymCx/I3enU :2015/11/24(火) 22:48:10.79 ID:i7O76hMb
16話 神聖な場所で何て事を…

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」

協会へと辿り着いた白山羊少年のキーレン。
恐怖に駆られながら必死に走ってきたせいで汗まみれになり息切れを起こしていた。
呼吸を整えながら、後ろを振り向く。

「お、追ってきてないよね……うん、追ってきてない……」

先程自分を襲った少女が追ってきていない事を確認し一先ずキーレンは安心した。
目の前に視線を戻すと、教会の正面玄関がキーレンを出迎えている。
大きな木製の立派な両開きの扉であった。

「ここに隠れてよう」

扉のノブに手を掛けるキーレン。
鍵等は掛かっておらず、すんなりと扉は開き、キーレンは広い礼拝堂の中に足を踏み入れた。
気休め程度に支給された園芸用シャベルを右手に持ち、礼拝堂の奥へ警戒しつつ進んで行く。
自分の他にもこの教会には人が居るかもしれない。先程の少女のように殺し合いに乗っている者が潜んでいる可能性も有る。

「!」

キーレンはある物を見付け足を止めた。
牧師が説教を行う講壇、その裏から尻尾と思しきふさふさした物が少しだけはみ出ている。
つまり講壇の裏に、獣人種か獣種が隠れている。
どうも自分の尻尾が少しはみ出している事に気付いていないらしい。

(うーん)

声を掛けてみようか、とキーレンは迷う。
わざわざ隠れておまけに尻尾をはみ出させているような人物が殺し合いに乗っているとは彼には考え難かった。
勿論確証など何も無い為実際は乗っている可能性だって有るのだが。
迷った末キーレンは。

「あの」

結局声を掛けてみる事にした。はみ出た尻尾が声が掛かった瞬間ビクッと動く。

「尻尾、見えてますよ?」
「……え、まじ?」

返事は若い女性の声。

「まじです。あの、僕は殺し合う気は有りません。出てきて貰えませんか」
「乗ってないの? 本当?」
「本当です」
「……それなら私と同じね。待って、今出るから」

講壇の裏から出てきたのは、白髪を持った狐獣人の女性だった。

「うわ」

キーレンのほぼ全裸と言う出で立ちを見て驚く女性。
さっとキーレンは股間を隠すがはっきり言って余り意味は無い。

305 :神聖な場所で何て事を… ◆ymCx/I3enU :2015/11/24(火) 22:48:55.46 ID:i7O76hMb
「何故に裸」
「僕にも分からないんです……この殺し合いが始まった時からこんな格好で、仕事先ではいつもこんな感じなんですけど」
「仕事? ……まぁ、いいや。私は霧島弥生。貴方は?」
「僕は、キーレンって言います」
「取り敢えず奥行って話しない?」
「はい」

キーレンと霧島弥生と名乗った狐の女性は教会正面口に施錠し、礼拝堂奥の扉へと向かう。

◆◆◆

とあるカフェにてウェイトレスとして働く霧島弥生。
美貌と明るい性格で男性客からの人気は高かった。しかし彼女は計算高く、明るい性格は男の人気を得て取り入り貢いでもらう為の演技による所が大きい。
上手く口車に乗せ、ベッドを共にし、男から金品やブランド物を大量に貢がせていた。
そんな弥生のゲームスタートの場所は教会の礼拝堂。
自分には縁の無い場所だと思いつつ、弥生は自分のデイパックを開け支給品を確認した。
出てきた物は小型の拳銃、デリンジャーと呼ばれるタイプの物であった。
デリンジャーに分類される拳銃は幾つか有るが今回弥生に支給された物はレミントン・デリンジャーと言う物。
小型で装弾数も2発しか無く威力もそれ程無い。バックアップや護身用向けの拳銃である。

(ちっさ……まぁ私銃なんて扱った事無いしこれ位で丁度良いかしら)

小さいとは言え本物の銃である事に変わり無く、銃の経験がまるで無い自分にとってはこれでも丁度良いだろうと結論付け、
弥生はデリンジャーを上着のポケットに入れた。
その後教会内の探索でもしようかと思っていた時に玄関扉が突然開いた為慌てて講壇の裏に隠れる。
隠れた後で「逃げ場が無い」と後悔したが後の祭りで、近付いてくる足音に怯えながら思い付きもしない打開策を考えていた。
自分の尻尾が講壇からはみ出ていた事には足音の主に指摘されるまで気付いていなかった。
足音の主、キーレンは殺し合う気が無かったのが幸いだったと言える。

協会奥には寝室が有り弥生とキーレンはテーブルの椅子に腰掛けた。

「仕事先で全裸ってどういう仕事……?」
「娼夫なんです僕……少年娼夫です」
「あっ……そうなんだ」

見た目、中々に可愛らしい美少年である白山羊の少年キーレン。
成程確かにこの容姿であればそういった趣味の有る者から人気は高いであろう。
後ろから欲望に貫かれ喘いでいる姿を想像すると弥生は少し顔が赤くなった。
その後しばらくこの殺し合いでの知り合いの有無、支給品について、キーレンが先程とある少女に襲われた事など、
当たり障りの無い会話が続いた。しかしその内弥生の心中に不穏な考えが浮かぶ。

(この子食べちゃおうかなあ)

キーレンを「性的に」食べてしまいたいという欲求。
弥生自身は普段そこまで性に貪欲と言う訳でも無いのだが、殺し合いといういつ死ぬか分からない状況と言う事と、
キーレンの可愛らしく扇情的な容姿のせいで欲望が首をもたげつつあったとでも言うべきだろうか。

そして弥生は早々に実行に移す。

「キーレン君」
「はい?」
「ちょっと立って」
「……?」
「あ、股間隠さなくて良いよ」

いきなりの事に不思議に思いつつ、キーレンは弥生に言われた通り股間を隠さずに椅子から立ち上がる。
ただ不思議に思っていたのは最初だけですぐに弥生の真意に気付いてしまう。

306 :神聖な場所で何て事を… ◆ymCx/I3enU :2015/11/24(火) 22:49:22.56 ID:i7O76hMb
(この人僕を食べる気だ、性的に……でもまあ良いか……)

男性に弄ばれた経験は豊富なキーレンだが女性との「普通の」交わりは殆ど経験が無く、
弥生が今から自分にしようとしている事に対し拒否する気は無くむしろ期待している位である。
一方の弥生はキーレンの股間のそれを興味深そうに観察していた。
女性的なラインを持つ美しい身体に似合わぬ皮が中程まで剥けた生々しいそれはほんの少し起き上がっているように見えた。

「あらー、ちょっとおっきくなってるじゃないの」
「うっ、見られてますし……」
「私が何したいのか、多分察してると思うけど……」
「まあ何となく……」
「なら話は早い……布団に行こう、な?」

興奮抑えきれぬといった様子で、弥生は寝室のベッドを指差して言った。

それから数十分位、寝室の中からアッフンアッフンと少年と女性の喘ぎ声が響いた。

数十分後。
服を着直して椅子に座り休む弥生とベッドにうつぶせに横たわりぐったりしているキーレンの姿が。

「あー、えがったえがった。中々良いモノ持ってるわね……」

満足気な表情を浮かべつつどこかから見付けてきた煙草で一服し、
ぐったりとしているキーレンを弥生は見詰める。



【明朝/G-5教会寝室】
【キーレン】
状態:肉体的疲労(大)
装備:園芸用シャベル
持物:基本支給品一式
現状:死にたくない。気持ち良かったけど疲れた……。
備考:スカーレット・ガードナーを殺し合いに乗った危険人物と判断。霧島弥生にスカーレットについて話している。

307 :神聖な場所で何て事を… ◆ymCx/I3enU :2015/11/24(火) 22:50:27.67 ID:i7O76hMb
【霧島弥生】
状態:肉体的疲労(小)
装備:レミントン デリンジャー(2/2)
持物:基本支給品一式、.41リムファイア弾(10)
現状:殺し合いには今のところ乗る気は無い。キーレン君と行動する?
備考:スカーレット・ガードナーが危険人物である事をキーレンから聞いている。

----
《キャラ紹介》
【霧島弥生】
読み:きりしま やよい
年齢:20
性別:女
種族:狐獣人
特徴:白髪を持った黄色の狐獣人。スタイルは良い。私服姿
職業:カフェのウェイトレス
備考:明るい性格と美貌で男性客に人気が高いが、本性は計算高く強か。
明るい性格も演技によるところが大きく、美貌と一緒に活かし男と肉体関係を持ち貢がせる事が多い。
一応ある程度面倒見の良い部分も有り一概に悪人でも無い

《支給品紹介》
【レミントン デリンジャー】
支給者:霧島弥生
分類:銃火器
説明:1864年にレミントン社で設計された中折れ上下二連式のデリンジャー(ポケットサイズの単発もしくは2連発の拳銃)。
携帯性や秘匿性に優れ女性の護身用やガンマンのバックアップピストルとして使われたと言う。.41リムファイア弾使用。
----

308 : ◆ymCx/I3enU :2015/11/24(火) 22:51:13.82 ID:i7O76hMb
投下終了です。
ちょっとやらしいです今回

309 : ◆ymCx/I3enU :2015/12/03(木) 05:34:12.89 ID:heQsxNvr
投下します
登場人物は北原大和と沼倉勇喜

310 :否定のレクイエム ◆ymCx/I3enU :2015/12/03(木) 05:34:51.00 ID:heQsxNvr
17話 否定のレクイエム

周囲を林に囲まれた、草がぼうぼうとしている荒地に銃声が響く。

「待て! 待てって!」

陸軍の兵卒の制服に身を包んだ灰色の狼獣人青年、北原大和は自分を銃撃するシェパード種犬獣人青年を説得する。
大和も武器は持っていたが、古いサーベルであり銃相手には不利であった。
余程の実力者であれば銃相手に正面から挑んで勝利出来るらしいが大和は刀剣に関してそこまでの腕前は無い。

「当たらない……」

大和に対して手にした自動拳銃を発砲する犬青年は思ったように当たらない事に苛立ちの言葉を吐く。

「やめろって! こんなゲームに乗るなんて馬鹿げてる、落ち着けよ!」

訴える大和。彼はこの殺し合いゲームに反抗し、仲間を募りどうにかしてゲームからの脱出を試みようとしていた。
しかし犬青年は大和の言に耳を貸すつもりは無いようだ。

「うるせぇ! 最後の一人にならなきゃ生きて帰れないんだろ! だったら俺は死ぬのは嫌だ!」

ゲームに巻き込まれ精神的余裕を失っているのか声を荒げ、再び銃を乱射し始めた。
一発が大和の耳元を掠め彼の肝を冷やさせる。

(駄目だ、まともに会話出来る状態じゃない)

大和は説得を諦め全速力で逃走した。
無論犬青年が黙って見送る筈も無く背後から発砲を受けるも、幸いにも当たる事は無かった。

走り続けた大和は、息切れを感じゆっくりと立ち止まる。
息を整えながら辺りを見ると、風景は林に囲まれた荒地から市街地に変わっていた。
犬青年の姿は見えず、振り切る事に成功したと判断した大和は一先ず安堵する。

「振り切った……でもこれだと先が思いやられる」

自分の目的を考えると幸先の悪いスタートだと言わざるをえない。
だがまだへこたれるには早いと自分を奮い立たせ、自分と同じく殺し合いに乗っていない参加者を見付けるべく大和は歩き出す。

◆◆◆

「逃げられたか、まぁいいや……」

シェパード犬獣人の青年、沼倉勇喜は逃走した狼兵士の追撃を早々に諦める。別段狼兵士に拘る必要も無い。
ハッテン場通いが趣味のゲイと言う点を除き普通のフリーターである勇喜は、自分が生き延びる為に殺し合いに乗った。
この殺し合いにはハッテン場仲間である黛康裕とスィヴレバルも居たが、例え会ったとしても構わず襲うつもりで居た。
普段しゃぶり合い、突き合い、かけ合った仲間。しかし結局は自分の命には代え難い。
実際に二人と相対してもその決意が揺るがないかどうかは別として。

311 :否定のレクイエム ◆ymCx/I3enU :2015/12/03(木) 05:35:20.50 ID:heQsxNvr
【明朝/E-5市街地】
【北原大和】
状態:健康
装備:三十二年式軍刀
持物:基本支給品一式
現状:殺し合いはしない。仲間を集めて脱出を目指す。
備考:沼倉勇喜(名前未確認)を危険人物と判断。

【明朝/E-5荒地】
【沼倉勇喜】
状態:健康
装備:スタームルガーP85(7/15)
持物:基本支給品一式、スタームルガーP85の弾倉(3)
現状:殺し合いに乗り優勝を目指す。知り合いに会っても容赦しない。
備考:北原大和の容姿のみ記憶。

----
《キャラ紹介》
【北原大和】
読み:きたはら やまと
年齢:20
性別:男
種族:狼獣人
特徴:灰色の毛皮に赤い瞳。引き締まった長身の身体。緑色の戦闘服姿
職業:陸軍兵士
備考:暑苦しいと言う訳では無いが正義感の強い熱血漢。但し一歩引いて思考出来る程度の冷静さも有る。
兵士である為銃火器、刀剣類の扱いとある程度の格闘技に通じ、戦闘能力と身体能力は高い。
地味にエレキギターが演奏出来る、が最近は余りやっていない

【沼倉勇喜】
読み:ぬまくら ゆうき
年齢:19
性別:男
種族:犬獣人
特徴:ジャーマンシェパード種犬獣人。普通の身体だが逸物はそこそこ大きい
職業:フリーター(現在はカフェのバーテンダー)
備考:ハッテン場通いが趣味のゲイ。普段はフリーターとして色々なバイトをしている。
中学の時思い切って先輩の男子生徒に告白するも「俺猫好きなんだ」とフラれしばらく鬱状態になったほろ苦い思い出あり。
基本的に人当たりは良いが、緊急時となると感情的になる傾向である。
ロワ参加者の黛康裕、スィヴレバルはハッテン場仲間



《支給品紹介》
【三十二年式軍刀】
支給者:北原大和
分類:刃物
説明:明治32年に制定された旧日本陸軍の官給下士官刀。本ロワに登場するのは騎兵用の「甲」である。

【スタームルガーP85】
支給者:沼倉勇喜
分類:銃火器
説明:アメリカのスタームルガー社が1987年に発売した自動拳銃。
堅牢かつ安価で、本国では人気があり、幾つかの法執行機関に制式採用もされている。9mmパラべラム弾使用。
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312 : ◆ymCx/I3enU :2015/12/03(木) 05:36:20.04 ID:heQsxNvr
投下終了です。
マーダーが男に偏ってると知った今日この頃

313 : ◆ymCx/I3enU :2015/12/06(日) 23:12:30.22 ID:95xwDa6x
投下します。
登場は末盛眸美とザスキア・フェルカーです

314 :その行為は嘘をつかない ◆ymCx/I3enU :2015/12/06(日) 23:13:30.40 ID:95xwDa6x
18話 その行為は嘘をつかない

畑が広がり農家が点在するC-6エリア。農業用の小道をとぼとぼと歩く、裸Yシャツ姿の犬獣人の女性・末盛眸美。
無理矢理犯されるのが大好きな程にマゾヒストであり変態な彼女はこれからどうしようと思案していた。
死ぬ前に一度でも良いので行為がしたいとは思ってはいたのだが。

「その辺の家にでも落ち着こうか……」

適当な農家を見付け敷地内に入る。
平屋の母屋と農機具倉庫の有る恐らく一般的な農家。
母屋の玄関を開けた時だった。

「誰だ」
「ヒィー!」

玄関の戸を開けるなりライフルの銃口を向けられ硬直する眸美。耳を伏せて両手を挙げホールドアップの姿勢を取る。
彼女にライフルを向けているのは、鳥の翼と獣の手足、尻尾と耳を持った半獣の女性。
鋭い目で眸美を睨めつけていた。

「変態か?」
「ひ、否定はしないけどその物騒なモノ下ろしてよ……! 殺し合う気は無いから……!」
「ほう、証拠は有るのか?」
「証拠ォ!?」

殺し合いに乗っていないという事を証明出来る証拠など出しようが無いのだが、焦った眸美は彼女なりの答えを出す。

「これで勘弁して下さい!」

その場に座り込んだかと思うと脚を広げその部分をくぱぁと開き、奥まで見せ付けた。
「M字に開脚しくぱぁしてる」とでも書けば分かりやすいだろうか。
有翼の女性は思わぬ眸美の行動に引いてしまう。

「お前頭おかしいだろ……」
「自覚はしてる」
「まあいい、そんな事までするのだからお前は乗っていないんだろう、信じてやる」
「ホントォ?」

眸美の懸命()なアピールも有ってか有翼女性は信じた様子。
自分に向けられていたライフルが下ろされるのを見ると眸美は安堵し、立ち上がる。

「私はザスキア・フェルカー……お前は?」
「末盛眸美……」
「ヒトミか。取り敢えず上がれ。奥で話そう」
「ここ貴方の家じゃないでしょ」
「ん?」
「ヒィーゴメンナサイゴメンナサイ銃向けないで!」

眸美はザスキアと名乗った女性と共に家の奥へと向かう。

「何か服でも探したらどうだ?」
「いやいい」
「男に見付かったら乱暴されるかもしれないぞ」
「私そーいうの、大好き!」
「変態め……もういい」
「そんな事よりザスキアさんは……」
「呼び捨てで構わんよ」
「あー、ザスキアは乗ってないんだよね?」
「何にだ」
「いや、殺し合い」

315 :その行為は嘘をつかない ◆ymCx/I3enU :2015/12/06(日) 23:14:03.81 ID:95xwDa6x
こうは質問したものの眸美はザスキアは殺し合いには乗っていないだろうと踏んでいた。
乗っていない自分を割とあっさり受け入れてくれたと言うのがそう思う理由であったのだが。
しかし、ザスキアの返答は彼女の予想とは余りに反する物であった。

「乗っているが?」
「は?」
「聞こえなかったのか、乗っているぞ私は。このゲームにな」
「えっ、え?」

ザスキアは殺し合いに乗っていると言う。冗談の類では無いと言う事はすぐに察せた。
しかしそれならば何故自分をさっき殺さなかったのか? ガクガク震えながら眸美はザスキアに疑問を投げかける。

「え、いや、じゃあ何でさっき、私の事さっさと殺さなかったの? 乗ってるなら私、別に受け入れる必要、なくない……?」
「まぁ聞け。優勝を狙っているんだがな、一人より二人の方が何かと都合が良い。私の事を手伝ってくれる手駒が欲しいのだよ」
「まさか……」
「そうだ。お前には私の手駒として働いて貰う」
「えええええ!?」

殺し合いの片棒を担げと完全に命令してくるザスキアに抗議の色を含んだ叫びを上げる眸美。
眸美自身は殺し合いに加担する気など全く無かったのだから当然の反応であるのだが、ザスキアは当然、彼女の拒絶を許しはしない。
再びライフルの銃口を彼女に向け脅しを掛ける。

「嫌なら良いぞ? 他の候補を探すまで。お前にはここで死んで貰う事になるがな……」
「うあ、あ、あ」

ここで先程の衣類の件のように拒否すれば間違い無くライフルの銃弾が自分の脳天を貫くだろう。
眸美は殺し合いの片棒は担ぎたくなかったが死にたくも無い。
ここで断れば殺される、だが、命令を聞けば取り敢えずは生かして貰える。そうすればこの女から逃げるチャンスも来るだろう。
優先されるべきはやはり命。命に代えられる物は無い。

「……ワカリマシタ……」

涙目になりながら、眸美はザスキアに隷属する事を決意した。

「聞き分けの良いのは感心するな。お前は長生き出来るぞ」

笑みを浮かべながら言うザスキア。中々に可愛い部類の笑顔だったが今の眸美には悪魔の笑みにしか見えない。
とんでもない人物に出会ってしまったと心の中で眸美は思っていた。

◆◆◆

316 :その行為は嘘をつかない ◆ymCx/I3enU :2015/12/06(日) 23:14:38.93 ID:95xwDa6x
ザスキア・フェルカーはとある旅団ギルドに所属する冒険者である。
唯我独尊気質の強い彼女――ギルド内では一応仲間意識は持っていたようだが――が殺し合いゲームに放り込まれ、
自身の生存の為、即ち殺し合いに乗り優勝を目指すのはある意味当然の流れだったと言える。
彼女はそれなりに知恵も有り、単独より誰かと行動した方が、索敵や警戒、いざと言う時の盾等有利な事が多いと早めに察する。

そんな彼女の前に現れたのが、裸Yシャツに靴下と靴と言う変態犬獣人の女、末盛眸美。
殺し合いに乗っていないアピールを自身の性器をおっ広げると言う手段で行う、男に暴行される事が喜ばしいと言う等、
これだけでは奇行の多い痴女でしか無いが、それを除けば割合話の通じる良識的な人物とも言える。
脅せば素直に言う事を聞くので手駒としては丁度良いとザスキアは思う。
自分に支給された骨董品レベルの古い軍用ライフル、マルティニ・ヘンリー銃で圧力をかけつつ、眸美を隷属させる事に成功した。

(役立たずになればさっさと捨てるがな……こいつが反逆する事も有るかもしれんが……とにかく精々働いて貰うぞヒトミ)

自分と出会った事を後悔しているのだろう、俯き加減になっている眸美を横目で見ながらザスキアはほくそ笑んだ。

【明朝/C-6畑地帯野田家】
【末盛眸美】
状態:健康
装備:不明
持物:基本支給品一式、不明支給品
現状:殺し合いはしたくないが殺されたくないのでザスキアの手伝いをする。隙が有れば逃げたい。
備考:ザスキアを危険人物と判断。

【ザスキア・フェルカー】
状態:健康
装備:マルティニ・ヘンリー銃(1/1)
持物:基本支給品一式、.577/450マルティニ・ヘンリー弾(10)
現状:殺し合いに乗り優勝を目指す。ヒトミ(末盛眸美)には精々働いて貰う。反逆したり使えなくなったりすれば始末する。
備考:特に無し。

《キャラ紹介》
【末盛眸美】
読み:すえもり ひとみ
年齢:20代前半
性別:女
種族:犬獣人
特徴:茶色と白の毛皮。巨乳でスタイル抜群。裸Yシャツに靴下と靴のみの姿
職業:不明
備考:マゾヒストで淫乱な犬獣人女性。露出狂でもある。
本人曰く中学生の時に実父に強姦されたのが切欠で性癖に目覚めたとの事。
自分の痴態を「極マゾめすいぬ」なる直球過ぎるHNでネットに動画投稿したり、
わざと治安の悪い場所に行って進んで集団に犯されたりするなど奇行が著しい。
但し淫乱な事を除けば割と良識的。一応働いてはいるらしい。

【ザスキア・フェルカー】
年齢:18
性別:女
種族:鳥人と獅子獣人の混血児
特徴:黒っぽいメッシュの入った金髪、鳥の翼を持ち両手の肘から先、両足の膝から先が獣。巨乳
職業:冒険者
備考:RPGファンタジー風世界のとある旅団ギルド所属の冒険者。
剣術と格闘技に通じ戦闘能力と身体能力は高い。銃の腕前は普通。頭は悪くは無い。
唯我独尊の気が有り偉そうな口調で喋るが、仲間と認めた者に対してはそれなりに付き合いは良くなる。

《支給品紹介》
【マルティニ・ヘンリー銃】
支給者:ザスキア・フェルカー
分類:銃火器
説明:1871年頃にイギリス軍に採用された後装式の単発レバーアクションライフル。
日本でも明治時代に海軍の海兵隊において使用されている。威力は高い。.577/450マルティニ・ヘンリー弾使用。

317 : ◆ymCx/I3enU :2015/12/06(日) 23:15:25.14 ID:95xwDa6x
投下終了です。

318 : ◆ymCx/I3enU :2015/12/18(金) 22:14:22.59 ID:naPmwH1B
投下します
登場:長嶺和歌子、タロー、ウラジーミル・コスイギン

319 :異国の空から届けられたモノ ◆ymCx/I3enU :2015/12/18(金) 22:15:18.52 ID:naPmwH1B
19話 異国の空から届けられたモノ

長嶺和歌子は小学生でありながら、犬科の獣との姦淫や露出行為に耽る、少し困った子であった。
友人の籠彩愛も巻き込んで日々快楽を愉しんでいた彼女は、彩愛と共に殺し合いゲームに巻き込まれてしまう。

「ちょっと待ってよぉ!」

廃村、その中に有るとある廃屋の中。
壁際に和歌子は追い詰められていた。相手は、かなり薄汚いオス犬。妖犬か魔犬の類であろう。
首輪をしておりデイパックも所持していたので参加者の一人のようだが、目の焦点は合っていない上ダラダラ涎を垂らし息を荒げているその様からは、
まるで知性を感じさせずまともに会話が通じそうには見えない。
その上、和歌子を憂慮させている事象が有った。

「何で発情してんの……」

オス犬は和歌子に欲情していた。
いきり立つ股間のそれがチラチラと見えていた。

「ウーッ! ウーッ! ***とっオシッコのニオイィ、した! ハァハァヤりたいー!」
「あっ……」

オス犬の言葉に、和歌子は先程その辺りで用を足した事を思い出す。どうやらその時の臭いを嗅ぎ付けたらしい。

「いやえーと待って下さい、あの、ちょっと今、そういう気分じゃないんで」

慌ててオス犬に訴える和歌子。
もしオス犬が小奇麗でまともに会話出来そうであったのなら割とあっさり行為に及んでいただろうが、
今目の前に居るオス犬はとにかく汚く何とも言えぬ悪臭を放ち、無理矢理「する」気も満々のようで、それよりも何よりも。

(何あれ、何か病気持ってるって! あんなの無理! あんなの入れられたら病気移されちゃう!)

オス犬のそれは幾つものイボが出来、明らかに何かの性病を患っているのが見て取れた。
そんな物を受け入れる勇気など和歌子には無い。いつも犬を相手にする時は清潔にしてから臨んでいたのだから。

「ガマンれきなぃいー」
「うわああ!」

逃げ出す間も無くオス犬が和歌子に飛び掛かる。
もう駄目だと和歌子は諦観した。

「〈〜〜〜〜〜〜〜〜!!〉」

その時突如響く青年の怒声。

「ギャンッ!?」

和歌子の身体に覆い被さっていたオス犬が引き剥がされ、2メートル程離れた壁に叩き付けられた。
建物が老朽化していたせいか壁には大きなヒビが入り建物が揺れ埃が天井から舞い落ちる。
何が起きたのか分からず目を白黒させる和歌子の視界に映ったのは、獣足の有翼獅子獣人の青年。
服を着ない種族なのか、ほぼ全裸の格好だった。

320 :異国の空から届けられたモノ ◆ymCx/I3enU :2015/12/18(金) 22:15:42.32 ID:naPmwH1B
「いっだぁあ、ナンだよおまえっ!」
「ガアアアアアア!!」
「ヒッ……!」

牙を剥き出し獣の形相で威嚇する獅子青年。オス犬は耳を伏せ怯える。この時点で勝負はついたと言って良い。
負けを認めたオス犬は脱兎の如く逃げて行った。

「た、助かった……」
「〈〜〜〜?〉」
「え、あの、何語……?」

話しかけてくる獅子青年であったが和歌子には理解出来ない言語であった。
察したのか青年は一度咳払いをして、流暢な日本語で喋り始めた。

「ごめん、大丈夫? 怪我してない?」
「あ、日本語出来るんですね……はい、何とか」

一先ず危機が去った事で安心しながら、和歌子は自分を助けてくれたらしい獅子青年と対話する。

◆◆◆

裸族でもある有翼獅子獣人種の青年、ウラジーミル・イリイチ・コスイギン。
ロリコンである彼は良質なロリ系のアダルト雑誌や漫画、ゲームやAV等を求めて来日していた。
その矢先に今回の殺し合いゲームに拉致され参加させられた。

ロリコンである事以外は基本的に善人である彼はj殺し合いには乗らず、
スタート地点近くの廃村を探索しようとしていたのだが、その時少女の悲鳴を聞く。
駆け付けてみると、汚い巨躯のオス犬に犯されそうになっている彼好みの小学校高学年位の人間少女が居た。
助けなければ、そう思いウラジーミルは飛び込み、オス犬を撃退し彼女を救助した。

断っておくが少女を助けた行動自体は純粋な気持ちからであり邪な意図は一切無い。

(〈……可愛い〉)

ただ、助けた後、落ち着いた上で改めて少女の事を見ると、本当に自分好みの可愛らしい子だと言う事を認識してしまい、
ほんの少しだけ、ほんの少しだけ、欲望が湧き出てしまっていた。
自制しつつ、ウラジーミルは長嶺和歌子と名乗った少女と対話を始めた。

◆◆◆

薄汚いオスの妖犬、タローは逃走の末、廃村の隅にある防火倉庫跡に隠れる。
人間の可愛い少女を欲望のまま犯そうとした時、突如現れた有翼獅子獣人の青年に邪魔され壁に叩き付けられた。
その時の身体の痛みがまだ残っている。

「ウッ、ウーッ、いてぇ……あの、ライオンやろう、めっ……コハル、どこぉ? ウーッ……」

自分をいつも優しく受け入れてくれた、神社の巫女の少女、布川小春の名前を呼ぶタロー。
タローと言う名前も小春が名付けてくれた物だ。
汚く、臭く、性病も抱え、知能も低い自分の事を受け止め、毎日のように肉体を交えていた小春。
彼女も自分と同じくこの殺し合いに巻き込まれており何とか再会したいとタローは願う。

「コハルとヤりたいよぉ! ハァハァハァハァ!」

己の股間のイボだらけの逸物をまさぐり息を荒くするタロー。
小春と再会したいという気持ちには、純粋に彼女を慕っていると言うのも有るのだが、性欲の方が微かに勝ってしまっていた。

321 :異国の空から届けられたモノ ◆ymCx/I3enU :2015/12/18(金) 22:16:34.53 ID:naPmwH1B
【明朝/C-2廃村戸川家】
【長嶺和歌子】
状態:健康
装備:不明
持物:基本支給品一式、不明支給品
現状:死にたくない。あやちゃん(籠彩愛)と会いたい。助けてくれた人(ウラジーミル)と話をする。
備考:タロー(名前は未確認)を危険人物と判断。

【ウラジーミル・コスイギン】
状態:健康
装備:不明
持物:基本支給品一式、不明支給品
現状:殺し合いには乗らない。助けた少女(長嶺和歌子)と話をする。
備考:タロー(名前は未確認)を危険人物と判断。


【明朝/C-2廃村防火倉庫跡】
【タロー】
状態:身体に痛み
装備:不明
持物:基本支給品一式、不明支給品
現状:コハル(布川小春)と会いたい。交尾したい。
備考:長嶺和歌子、ウラジーミル・コスイギンの外見のみ記憶。


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《キャラ紹介》
【長嶺和歌子】
読み:ながみね わかこ
年齢:11
性別:女
種族:人間
特徴:黒髪セミロング。年相応ながら魅力的な身体
職業:小学生
備考:犬科獣とのいやらしい行為や露出が趣味。
それを除けば明るく優しい少女。あまり頭は良くないらしく家庭科以外は軒並み成績が悪い。
友人の籠彩愛を自分と同じ道に巻き込みしょっちゅう一緒に犬科獣との遊びを愉しんでいる。
彩愛の事は「あやちゃん」と呼んでいる。

【タロー】
年齢:不明(おっさんらしい)
性別:♂
種族:妖犬
特徴:茶色と白のボサボサで薄汚れた悪臭を放つ毛皮、痩せ気味。いつも涎を垂らし知性が感じられない瞳。性病に罹患し陰茎に多数のイボ有り
職業:無職
備考:とある神社に住み着く汚い野良犬のオス。
その神社の巫女である布川小春と親密になり毎日のように交わり餌を貰い暮らしていた。
知能は低く欲望に忠実。小春の事は性欲の発散相手にしか見ていない、ようにしか見えないが一応慕っている。

【ウラジーミル・コスイギン】
年齢:21
性別:男
種族:有翼獣足型獅子獣人種
特徴:茶色い毛皮。ライオンを二足歩行にして少し人間寄りの体型にした上で竜のような翼が背中に生えたような外見。裸族
職業:不明(相当の収入は有る様子)
備考:ロシア風国家より日本風国家への旅行途中に今回のロワに巻き込まれる。
重度のロリコンであり、日本にやってきたのも良質なロリ系エログッズを集める為。ロリコンである事を除けば善良。
裸族である為服は基本的に着ない。母国語の他に日本語や英語が出来る。
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322 : ◆ymCx/I3enU :2015/12/18(金) 22:17:23.56 ID:naPmwH1B
投下終了です。

323 : ◆ymCx/I3enU :2015/12/29(火) 23:28:14.11 ID:9ruV2jqp
投下します、もう年末じゃねえかよ……

324 : ◆ymCx/I3enU :2015/12/29(火) 23:29:03.20 ID:9ruV2jqp
20話 ホテルの中の憲兵さん

ホテルへと到着した竜人少年・本庄忠朝と、バニーガール・伊藤文子。
フロント係も誰も居ない静まり返ったロビーが二人を出迎えた。

「誰も居ない……? 静かだなぁ」
「結構広い建物っぽいし、他にも人居るんじゃないかな」
「見て回りますか? 流石に全部隅々まで回るのは無理でしょうけど」

ホテル内に他の参加者が居る可能性を考え、二人は探索する事にする。
二人の内、辛うじて武器となりそうな物であるモンキーレンチを支給された忠朝がそれを右手に持ち先頭になった。
一方の文子には薬品の瓶が支給されていた。
説明書を読む限り、強力な麻酔薬のようで、一瓶丸ごと飲むか投与すれば致死量という代物。
だが直接的な武器では無い為、今の所はやはり多少なりとも戦力足り得るのは忠朝の方と言えた。

◆◆◆

ホテル一階に有るレストランに一人の客が居た。
否、客などでは無く殺し合いの参加者の一人、女性憲兵隊長の松宮深澄。

「さてと、これからどうするか」

椅子に座り思考を巡らせる深澄。テーブルの上には彼女の支給品であるサバイバルナイフが置かれている。

(まずは首輪をどうにかしなければな)

最大の問題と言えるのは首にはめられた首輪。
爆弾内蔵の、参加者達を殺し合いに縛る枷。参加者一人一人のモニタも首輪を通して行っていると思われる。
首輪を無効化しなければ脱出は不可能だろう。

(まずは首輪の内部構造を調べる、その為の首輪のサンプルの入手……その為には……ん?)

色々と考えていた時、人の気配を感じ、深澄はナイフを持って物陰に隠れる。
レストラン入口の扉が開き、入ってきたのはブレザー姿の竜人少年と、バニーガール姿の女性。

「レストランか」
「誰か居る?」

二人はまだ深澄の存在には気付いていないが時間の問題だろう。
一人しか優勝出来ないこのゲームにおいて複数で行動しているのであれば殺し合いに乗っている可能性は低いと考えて良い。

「レストランね〜こんな状況でなければ食事していきたいけど」
「従業員も居ませんけど……この前行ったレストラン美味しかったですよね」
「ああ、あれねぇ」

呑気な会話が聞こえてくる。ますます殺し合いには乗っていなさそうだと深澄は思う。
二人と接触を試みた。

「おい」
「う!」
「わ!」
「騒ぐな。私はゲームには乗っていない」

驚きと恐怖の混じった表情を浮かべる竜人少年とバニーガールに深澄は戦意が無い事を伝えた。

325 : ◆ymCx/I3enU :2015/12/29(火) 23:29:28.36 ID:9ruV2jqp
「あ、貴方は?」
「私は松宮深澄。**基地憲兵部隊の隊長を務めている。名前は何と言う? 二人共」
「わ、私は伊藤文子」
「僕は本庄忠朝と言います」
「だいぶ呑気な会話が聞こえたがお前達は殺し合いには乗っていないのか?」

深澄の問いに二人は頷く。

「そうか。それは良かった。乗っているのならこの場で始末していた所だ」
「「えっ」」
「それはそうと、お前達二人だけか? 他に仲間は居ないか?」
「はい、僕と伊藤さんだけです。今からこのホテルの中を見て回ろうと思っていたんですけど……」
「このホテルの中は私が既に見回った。特に誰も居なかったぞ」
「本当ですか?」
「疑うか?」
「あ、いえ」

深澄はレストランにやってくる直前までホテル内部を見て回っていた。
結果的に誰も人の姿は見掛けず、文子と忠朝が彼女にとってこの殺し合いで初めて遭遇した参加者となる。
とは言え深澄も徹底的に探索した訳では無かったのだがそれでも文子と忠朝は納得したようだった。

「私は殺し合いからの脱出手段を探しているんだが、一緒に来るか?」

二人に自分と行動するかどうか尋ねる深澄。
正直言って文子も忠朝も余り役に立ちそうには見えなかったものの、ここで会ったのも何かの縁、と思い深澄は二人に訊いた。
二人は少し顔を見合わせ、その後深澄の提案を受け入れる。

「脱出出来る可能性が少しでも有るならそれに賭けたいと思います」
「貴方と一緒に行くわ! えーと松宮、さん?」
「分かった。生き残る為に力を合わせよう」

松宮、伊藤、本庄の三人による反主催グループが結成された。

「そう言えば松宮さんは、このゲームに知り合いは呼ばれていないの?」
「ん? ああ……」

文子の質問に深澄は少し間を置いてから答えた。

「部下が一人居る。山津有岐と言うんだが」
「そうなんですか……」

「早く見付けたいでしょう」と訊く忠朝に「いやそうでも無い」とあっさりと深澄は返した。
山津有岐と言う彼女の部下は、何かとドジをやらかし深澄や同じ隊の隊員を悩ませていた問題人物であり、
開催式の時に山津の姿を見付けた深澄は「よりによってこいつか」と嘆息を漏らした程である。
そんな人物を進んで探す気にはなれない。かと言って別に死ねば良いなどとも思わないが。

「まあ、会えたなら会えたでそれで良いがな」
「はぁ」

適当に締め括り深澄は山津について考えるのを一旦止めた。

326 : ◆ymCx/I3enU :2015/12/29(火) 23:30:48.65 ID:9ruV2jqp
◆◆◆

図らずも反主催の有力(そうに見える)人物に出会えた文子と忠朝。
生還への希望が少しながらも見えてきた事で二人の表情に明るさが少し増す。無論期待し過ぎも良くないとは分かっていたが。

「あっ」
「? どうしました? 伊藤さん」
「いや、何でも」
「?」

こっそり忠朝と行為に及びたいと思っていた文子は深澄と一緒に居たらそのチャンスが激減するとたった今悟ったが、後の祭りであった。


【明朝/E-2ホテル一階レストラン】
【本庄忠朝】
状態:健康
装備:モンキーレンチ
持物:基本支給品一式
現状:殺し合いはしない。伊藤さんと共に松宮さんに付いて行く。休みたいけど……。
備考:伊藤文子と共に松宮深澄と行動。

【伊藤文子】
状態:健康
装備:無し
持物:基本支給品一式、麻酔薬
現状:殺し合いはしない。忠朝君と一緒に松宮さんに付いて行く。休みたいけど……。
備考:本庄忠朝と共に松宮深澄と行動。

【松宮深澄】
状態:健康
装備:サバイバルナイフ
持物:基本支給品一式
現状:殺し合いからの脱出手段を探す。首輪のサンプルが欲しい。
備考:伊藤文子と本庄忠朝には山津有岐と言う部下がこの殺し合いに呼ばれている事しか話していない。

327 : ◆ymCx/I3enU :2015/12/29(火) 23:31:08.44 ID:9ruV2jqp
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《キャラ紹介》
【松宮深澄】
読み:まつみや みすみ
年齢:28
性別:女
種族:人間
特徴:紫がかった髪、目付きが鋭い美女。憲兵隊の制服姿
職業:憲兵
備考:とある軍基地において憲兵隊を率いる女性憲兵。
機械工学や電子工学に通じており、基地のコンピューターの管理も任されている。
戦闘能力も高く、銃や刀剣の扱いに長けている。
冷徹な性格で同僚や部下からは信頼されると同時に恐れられているが、実は可愛い物が好きだったりする。
本ロワの参加者の一人、山津有岐は部下の一人だが、色々問題を起こされ頭を悩ませている。

《支給品紹介》
【モンキーレンチ】
支給者:本庄忠朝
分類:その他
説明:ボルトを掴む部分を調節出来るレンチの一種。

【麻酔薬】
支給者:伊藤文子
分類:薬物
説明:瓶に入った麻酔薬。種類は「チオペンタール」。アメリカの薬殺死刑に用いられる三種類の薬の一つでもある。

【サバイバルナイフ】
支給者:松宮深澄
分類:刃物
説明:文字通りサバイバル目的に作られた大型のシースナイフ。
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328 : ◆ymCx/I3enU :2015/12/29(火) 23:32:50.68 ID:9ruV2jqp
投下終了です。寒い

329 : ◆ymCx/I3enU :2016/01/05(火) 00:22:05.77 ID:k0nxr2YO
明けましておめでとうございます
一話投下しやす

330 :置き忘れたアスファルト〜 ◆ymCx/I3enU :2016/01/05(火) 00:23:08.73 ID:k0nxr2YO
21話 置き忘れたアスファルト、染めていく陰鬱のニオイ

その展望台はとうの昔に閉鎖され、もう使われていないようだった。
駐車場はアスファルトがひび割れ雑草が伸び荒れ放題、建物も窓ガラスが割られ外壁の化粧板が剥がれ落ちていたりと廃墟の様相を呈している。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」

息を切らせながら、年に不釣り合いな巨乳を揺らし展望台の入口に辿り着く籠彩愛。

「はぁ、はぁ……ここは、展望台? ……廃墟みたい」

上を見上げると展望室が有るのが見える。やはりガラスが幾つも割られている。
目の前にはドアが破壊された展望台の正面玄関が彩愛を出迎えていた。
警戒しながら、彩愛は展望台の中へ足を踏み入れる。先程のナイフを持った男が追い掛けて来ているかもしれない。

――その男は全く彩愛に危害を加えるつもりは無く彼女の思い込みで危険人物と判断していただけなのだが彩愛はそれに気付く由は無い。

古びた螺旋階段を、彩愛は恐る恐る上り始めた。

◆◆◆

黒豹獣人の男、シャーガはとある闘技場で見世物の為に対戦を繰り広げる格闘家。剣こそ使わないが剣奴のようなものである。
雇い主の言われた通りに戦い、時には八百長にも加担し、生計を立てている。
「格闘家としての誇りは無いのか」などと非難される事も有るが彼は全く気にしていない。
必要が有れば、用心棒的な役割も果たす為、一概に見世物の為だけに戦っているとも言い切れない。

展望台最上部の展望室。備え付けられていた望遠鏡を、腰布姿の引き締まった肉体を持つ黒豹の男が覗き込む。
しかし、何も見えない。望遠鏡は有料だった為小銭を入れなければ作動しない。

(やっぱ駄目か。どうせ壊れてるだろうからお金有っても無駄だろうけどな)

望遠鏡から顔を離すシャーガ。
展望室は360度見渡せる円形で、望遠鏡無しでもある程度は殺し合いの会場となっている島を見渡す事が出来た。
時折銃声が聞こえ、その度に誰かが撃たれて死んだのかとシャーガは思う。
海の方に目をやると、遠方に客船らしき船が航行しているのが見えた。
客船の乗員乗客は自分達のすぐ傍に有る島で殺し合いが催されている等とは思いも寄らないであろう。

カツン、カツン……。

「ん」

階段を上ってくる足音を聞き、シャーガの耳が動いた。誰か来るようだ。
展望室には逃げる場所も隠れる場所も無い。それ以前にシャーガは別に逃げるつもりも隠れるつもりも無かったが。
死角になる位置で待ち構えていると、現れたのは金髪をツインテールに纏めた幼い人間の少女。
年は10歳かそこらであろうが年に不釣り合いなたわわに実った乳房が揺れ動いているのが分かった。

「可愛いな」
「ひっ!?」

シャーガの存在に気付き驚く少女。
かなりの美少女で身体付きも良い。シャーガはいやらしい考えを起こし嬉々とした様子で少女に近付く。

「な、何ですか?」
「取り敢えず悪戯させてくれよ」
「えっ!? い、嫌!」

当然少女は逃げようとするのだが気が動転していたのか階段では無くベランダの方に向かおうとした。
結果、床に落ちていた空き瓶を踏み盛大に転んでしまう。

331 :置き忘れたアスファルト〜 ◆ymCx/I3enU :2016/01/05(火) 00:23:40.73 ID:k0nxr2YO
「いったぁい……」
「捕まえた」
「あっ!」
「君、子供みたいだけど、おっぱいでかいなぁ、いやらしい身体」
「あっ、ひっ、やめて」

少女の乳房を服の上から揉みしだくシャーガ、その腰布の股間部分が大きく膨らんでいる。
必死に逃れようとする少女だったが「静かにしろ」と平手打ちを食らわされ、痛みと恐怖で大人しくなってしまった。
そしてあっと言う間に衣服を破かれて全裸にされ、シャーガは少女のその部分を押し広げ観察する。

「君、ヤってるんだ? 処女じゃないよな」
「……っ……と、友達と、一緒に、犬、と……」
「へぇ、そういう趣味か……なら俺の入れても大丈夫だよな?」
「あああああ」

腰布を外し、猛々しいそれを見せ付けるシャーガ。絶望した様子の少女。

「あ、あ、わかちゃん助けてぇ……わかちゃん」
「ん? 友達の名前? この殺し合いに呼ばれてるの? まあいいや、さっさと愉しませて貰うよ」
「あ、やああああーーー……」

少女に覆い被さるシャーガ。
展望室一杯に、男の荒い息遣いと少女の嗚咽と喘ぎが響く。

◆◆◆

逃げ去った少女を追い掛けて展望台にやって来た大崎年光。
走って行った方角からして、展望台に入った可能性が高かった。
遠目からでも寂れている雰囲気は分かったものの、近くまで来て見ると完全に廃墟化しているのが明確となる。
壊された出入口を潜って中に入る。

「あ……あ……いやあ……」
「!!」

建物上部、展望室から微かに聞こえた、少女らしき声。
助けを求めるような、喘いでいるような、どちらにしても尋常な様子では無さそうである。
そしてその声には年光は聞き覚えが有った。

(さっきの子……!?)

自分が追い掛けていた少女だと直感的に年光は思い、そう思った時には目の前の螺旋階段を駆け上っていた。
嫌な予感がした。もしや。

彼にとって、少女は全く縁も所縁も無い言ってしまえば「赤の他人」だったが、それでも彼は放っておけなかった。
突然殺し合いに巻き込まれ、恐怖で路頭に迷っているであろう名前も分からぬ少女の事を。
自分の不用意な行動のせいで誤解させ、怯えさせてしまったのなら尚更、と、一種の責任も感じていたのも有るだろう。

「……なっ」

そして展望室まで上った年光が見た物は。
全裸でぐったりしている、あの時の少女と、その顔に自分の種液を撒き散らしている黒豹獣人の男だった。
辺りには破かれ無残な有様の少女の衣類が散らばる。
ここで何が起きたかは明白。年光の心に沸々と怒りが込み上げる。

332 :置き忘れたアスファルト〜 ◆ymCx/I3enU :2016/01/05(火) 00:24:43.07 ID:k0nxr2YO
「あー気持ち良かったぁ」
「お前、何してんだ!!」
「あ?」

年光の怒声が響き、黒豹の男が年光の方に顔を向ける。

「見りゃ分かるだろ……アンタも混ざる?」
「この野郎、その子から離れろ!!」

黒豹の男に突進する年光。怒りの余り冷静さを欠いていた。
とにかく少女から男を離す事しか頭に無かった。

ガスッ

「――!!?」

左頬に凄まじい衝撃、そして視界が大きく揺らぎ、気付いた時には吹き飛ばされ数メートル後ろに倒れていた。
顔面や身体の痛み、そして脳震盪が年光を襲う。

「がっ……あ」
「邪魔するなよな、良い所だったのに。無粋な奴だ」
「や、ろう……!」
「寝てろ!」

起き上がる間も無く、年光は再び顔面に衝撃を受け、意識が途絶えてしまった。

◆◆◆

邪魔に入った人間の男に殴打一撃、足蹴り一撃を加えた所、気絶してしまった。

(結構手加減したつもりなんだけど、ま、鍛えてない一般人みたいだしこんなもんか……。
たく愉しんでいたのに……二回イけたし、良いか)

完全に伸びている男から、呆然としている全裸の少女に目を移し、満足気な表情を浮かべるシャーガ。
破いた少女の衣類で自分のモノの後始末を済ませ腰布を巻き直す。

「気持ち良かった〜ありがとうな、あやめちゃん」
「……?」
「何で名前知ってるかって? 服に名前、書いてあったからな。おっぱいも良い触り心地だった。それじゃ、俺は失礼するよ」
「うっ……うっ……」

嗚咽を漏らす少女を尻目にシャーガは自分の荷物を持って階段へと向かった。
気絶させた男の事は一瞥しただけでそれ以上はもう何もする気は無かった。

シャーガは殺し合いを進んで行うつもりは無かったものの、自分の好きなようにして行動する事にしていた。
いつ死ぬか分からぬのだから欲望のままにしてやろうと。
必要有らば戦うつもりでは居たし、優勝出来るのなら優勝したいと思っていたので自棄になっている訳では決して無かったのだが。

「次はどうするかなあ」

階段を下りながら次の指針を考えるシャーガ。
そして一階まで下りて、出入口から外に出た辺りで、上の方から少女の大声らしき物が聞こえ、数秒後に重い音が響いた。

「……」

何が起きたのか大凡察したものの、少し足を止めた程度で、そのままシャーガは展望台を後にした。

◆◆◆

333 :置き忘れたアスファルト〜 ◆ymCx/I3enU :2016/01/05(火) 00:25:25.61 ID:k0nxr2YO
「うう……汚されちゃったよぉ」

しくしくと泣く彩愛。裸体は黒豹獣人の体液によって酷く汚れ悪臭を放っていた。
その部分から容赦無く放出された黒豹の男の精が溢れ出る。

「もう嫌だ、もう……」

突然殺し合いに放り込まれた挙句見知らぬ獣人の男に強姦された。
衣服もズタボロにされ、身体は獣人男の体液塗れで身動きもままならぬ。
友達の和歌子もどこにいるのか今生きているのかも分からない。
急速に彩愛の心を絶望が支配してゆく。ゲーム開始から二時間も経たないと言うのに彼女の心はもう限界であった。

「……あの人……あの時の」

自分を助けてくれようとして、返り討ちに遭い気絶してしまった男性。
それは、殺し合いが始まった直後に遭遇し、襲われると誤解して逃げてしまった時の男性であった。
見ず知らずの自分の事を助けようとしてくれたこの男性の事を疑ってしまうとは。

「……ごめんなさい……ありがとうございました……」

気絶しているので聞こえないであろうが、謝罪と礼を言う彩愛。

「……身体も心も醜い……私……もういいや……あははは……」

乾いた笑いを浮かべて、彩愛はふらふらと展望室外周のベランダへと歩く。
ポタポタと、その部分から黒豹の男の精が垂れ落ちるが最早構う事も無い。
錆びたベランダの手摺から下を覗き込めば遥か下に荒れ果てた駐車場。

「わかちゃん……ごめんね、私はこのゲーム、もう無理だよ。生き残れないよ……。
また一緒に犬と遊びたかったね……わかちゃんは生き延びてぇええ!!」

一気に手摺から身を乗り出し、少女は己の身体を空中へと投げ出す。
最後に大きく叫んだのは友人へのエールかそれとも行き着く結末への恐怖を掻き消す為か。
真っ逆様に彩愛は数十メートル下へと落ちて行き、硬いアスファルトに叩き付けられ、脳漿を撒き散らして散華した。

◆◆◆

少女の大声で気絶から年光は覚醒する。
顔面と身体の痛みを我慢しつつ身体を起こし、状況を整理する。

(確か俺は……そうだ、あの子は)

黒豹の男に犯されていた少女の事を思い出すのとほぼ同時に、階下からどんっと言う重い音が響く。
何事かと辺りを見回す年光、そして少女の姿が消えている事に気付く。
まさか、と、嫌な予感がした年光はベランダに向かい、地上を見下ろした。
そして予感は的中してしまっていた。
遥か下の地上、アスファルトにピンク色の脳漿と血液を撒き散らした、あの少女が横たわっている。
ベランダから飛び降りたらしい、飛び降りた理由は十分過ぎる程察せた。

334 :置き忘れたアスファルト〜 ◆ymCx/I3enU :2016/01/05(火) 00:26:46.14 ID:k0nxr2YO
「そんな……マジかよ……」

少女が自殺してしまった事に年光はショックを受ける。
自分がもっと早く来ていれば、いや、最初出会った時に上手く誤解を解く事が出来ていればこのような結末にはならなかったかもしれないのに。

「くそっ……何てこった……」

ただただ、年光は自分の不甲斐なさ、無力さを呪った。


【籠彩愛  死亡】
【残り45人】


【明朝/B-4展望台付近】
【シャーガ】
状態:健康
装備:不明
持物:基本支給品一式、不明支給品
現状:欲望のままに好きにする。必要有らば戦う。
備考:大崎年光の外見のみ記憶。籠彩愛の名前及び「わかちゃん(長嶺和歌子)」の名前を把握。

【明朝/B-4展望台展望室ベランダ】
【大崎年光】
状態:顔面打撲、身体全体に痛み(行動に支障は無し)、悔恨
装備:コンバットナイフ
持物:基本支給品一式
現状:殺し合いには乗る気は無い。少女(籠彩愛)を助けられなかった……。
備考:シャーガの外見のみ記憶し彼を危険人物と認定。

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《キャラ紹介》
【シャーガ】
年齢:30
性別:男
種族:豹獣人
特徴:黒豹獣人。長身かつ引き締まった筋肉質の身体。ほぼ全裸だが腰布を巻いている。巨根
職業:格闘家
備考:とある闘技場に雇われ見世物の試合に出場している。
格闘家としての実力はかなりの物。とぼけたような印象だが自分の欲求の為なら良心の呵責を平気で捨てる。
金の為なら八百長にも加担するので正統派気取りの格闘家からは蔑まれているが当人は気にしていない。
一応、格闘家としての矜持なのか己の肉体以外の武器はまず使う事は無い。
その肉体と逸物故に結構男女共にモテる様子。両刀である。
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335 : ◆ymCx/I3enU :2016/01/05(火) 00:28:41.75 ID:k0nxr2YO
投下終了

シャーガはFEDAというレトロゲームに出てくるアービーというキャラのような見た目

336 : ◆YOtBuxuP4U :2016/01/10(日) 03:48:07.47 ID:1O0rDYPP
あけましておめでとうございます今年もよろしくお願いしますYOtです!
四字熟語投下します……紆余くん編は終わりです!

《簡易あらすじ》

バトロワ終了!凛々ちゃんは現世へ行ったが、紆余くんは主催戦を選んだ

最初の場所に戻る途中に銀髪メガネ無しの男に出会って首輪の真実が明かされる
主催はすべての文字の始まり「天飼千世」!

彼女は自分の死の未来が見える能力と
ルール能力を作り出す(こっちは人間に協力させないといけない)能力を持っていたので
死なないために人間を殺し合わせていっぱいルール能力を作ったのだった

天飼千世「でもそしたら今度は世界滅びちゃうし寂しいし、紆余くん勇者になって私と永遠に殺し合いしよ」
紆余くん「タイプじゃないんでお断りします」
天飼千世「ひどい」
紆余くん「勝手に死んでくれれば一番良かった」

とはいえ天飼千世は世界を滅ぼすほど強いし、いろいろ能力があるので殺せない
ここから一体どうやって天飼千世を殺す結末に持っていくのか、考えた結果がこちらです

337 :46◇おはなし(終) ◆YOtBuxuP4U :2016/01/10(日) 03:53:38.78 ID:1O0rDYPP
 





「そろそろ、まとめてもいいですか?」

 と、紆余曲折は言った。
 長く身の上を喋っていた天飼千世に対して、ずっと興味なさそうな顔で話を聞いていたが、
 ここでついに言葉を差し挟んだ。
 
「ん? ああ、いいよ? 長話してすまなかったね、しかも一方的に。そうだなあ、アナタの意見も聞きたいかな。
 今の話、まあすべて本当な訳だけどさ――どう思った?」
「そりゃあもうあれですよ」

 それが当たり前だという風に、紆余曲折は斬って捨てる。

「うだうだ言って周りに迷惑かけてないで勝手に死ねとしか言いようがありません」
「あー……あははは! 言うねえ!」
「だってなんか、色々語ってましたけど、それ結局あなたが死ねば早い話ですよね。
 千個の未来すべてで惨たらしく死んじゃうことが確定してるなんて、世界に嫌われてるとしか思えませんよ。
 実際に所業も最悪だし、救いようがないです。僕から言わせれば――あなたは欲張りすぎる」

 欲張りだと。
 業突く張りの、欲の塊であると断じた。
 天飼千代はふふ、と笑うと、楽しそうに言葉を返す。

「でも、これはアナタと同じですよ?
 いえもっと言うなら、一般的な人間となんら変わりはありません。生きたいから生きる術を探している。それだけなんですよ。
 死ぬのなんて嫌に決まってるじゃないですか? 殺されるなんてもっとまっぴら御免だ。
 ひとりで生きていくことならできるかもしれないけど、そんなのは楽しくない。それだったら死んだほうがまし。
 だったら答えは一つでしょう? それ以外に方法なんてない。生まれた時点で決まってたこと……」

 そらぞらしく言い振る舞う天飼千世に、冷たい目線を向ける。 
 ふと言葉を思い出す。紆余曲折にとってかけがえのない存在となった、ある恩人の、剣であり盾でもある彼女の言葉。
 生きているっていうのは――誇りを持っている間の事を言うんだ。
 生きたいって思ってない奴は――死んでいるのと同じだ。
 じゃあ、何を犠牲にしてでも楽しく生きたいと思うのは――。

「違う」

 紆余曲折は言う。

「生きるっていうのは」

 紆余曲折は、結論を言う。

「死から逃げるって、ことじゃない。辛いことから逃げて、楽しさだけを追い求めることでもない。
 いつか死ぬってことも、目の前に辛いことがあるってことも、全部全部飲みこんで、呑みこんで、体中にそれを浸透させて、
 何度でも嫌な気分になって、何度だって負けそうになって、何度だって諦めそうになって、何度だってそういうことを繰り返して、
 それでも、それでも……それでも前に進むのが。傷だらけで進むのが。生きるって、ことなんだ。
 ずっと楽しく生き続けようだなんて欲張りもいいところだ。
 良い未来だけ、おいしいところだけ食べて生きて、それで生きたつもりになってるなら――大間違いだ」
「たかが十数年しか生きてない君が、人生を説いてくれるの? 面白いね」
「一度も辛い選択肢を選ぼうとしなかったあなたよりは生きてるんじゃないですか?」
「ははは……アナタから見た天飼千世は、人を殺すのが辛くないんだね」

338 :46◇おはなし(終) ◆YOtBuxuP4U :2016/01/10(日) 03:55:22.57 ID:1O0rDYPP
 
 天飼千世が笑う。

「もう、そういう風に見られちゃうんだよね。まあ、仕方ない、かあ。麻痺、しちゃってるもんな」
「……」
「うん。そうだ。辛いことは起きる前に回避してきたからね。辛いことは経験していない。
 経験していないんだから、辛いと感じたことだってもちろんない。天飼千世は、そういう存在さ――。
 ふふ、やっぱりアナタは素晴らしいよ、紆余曲折。アナタみたいな勇者を、天飼千世は望んでた」

 酔ったような表情で紆余曲折を見る。

「アナタはアナタがアナタらしく生きるため……“それだけのために”こちらを殺しにきてくれる。
 復讐や夢を叶えるために動くようなのは、それが達成しちゃった瞬間に終わってしまうけれど、アナタは終わらない。
 いつまでも相手をしてくれる。いつまでだって遊んでくれる。
 ふふ、そろそろ、元の世界に“還す”けど……ホントならずっとここでこうやっておはなししていたいくらいだよ?」
「そうですか」
「そうです」
「じゃあ、よかったですね」

 ?
 天飼千世は頭の上にハテナマークを浮かべた。
 いま、紆余曲折は「よかった」と言った。
 どうしてこの流れで、自分のほうがよかったと言われなければならない?

「ん? どういうこと?」
「だから、よかったじゃないですか。死ぬまでおはなしできるんですから」
「……何を言ってるのかな」
「もうおはなしは充分聞いた、ということです」

 紆余曲折はふう、と短く息を吐いた。
 そして、着ている学生服のポケットに手を入れた。

 ポケットに、手を入れた。

 天飼千世は考える。なにかがそこにある? では、何がでてくる。
 《百発百中》の銃は、こちらが取ってしまっている。紆余曲折は見た限りでは他に武器を使っていない。
 首輪は回収させた。首輪の中に入っていた《紆余曲折》の紙か? だがそれでなにができる。

 何が出てくる?
 ――いや、何が出てこようと問題はないはずだ。
 天飼千世は手札を見せている。
 天飼千世という存在を守る文字の盾は三つある。

 一つ、《八方美人》を使う限り、天飼千世と喋ったことのあるものは天飼千世を殺せない。
 一つ、《高論卓説》を使う限り、天飼千世が喋っている間、紆余曲折は席から動けない。
 一つ、《生殺与奪》を使う限り、天飼千世は紆余曲折の所有物の所有権を握る。
 
 これらの文字がこの場の絶対のルールだ。
 これは覆せない。
 覆せない、はずだ。

「あなたは覆されることを望んでる。だからそう、これはあなたの……望み通りなんじゃないでしょうか」

339 :46◇おはなし(終) ◆YOtBuxuP4U :2016/01/10(日) 03:57:11.87 ID:1O0rDYPP
 
 紆余曲折はつまらなさそうに、見透かしたことを言ってくる。
 いや、それは当たりだった。
 なぜなら、万全を期すならば、紆余曲折が紙を取り出そうとした時点で《生殺与奪》によりその紙を奪うべきだからだ。
 しかし天飼千世はそれをしない。ぎりぎりのぎりぎりまでスリルを味わいに行く。
 どうあがいても覆せないはずの仕組み(ルール)だからこそ――それをどう覆してくるのかに、興味が行ってしまう。
 それは認めよう。

「望み、ですか」
「そうなんでしょう。そうとしか思えない。そうじゃなきゃ、僕はこんなに反抗的な態度を取らせてもらえない。
 さきの狂乱を思うに、“僕”は、あなたが見通す未来に居ないんでしょう?
 【どうしてきみが世界を変えうるかだけは、最後まで見えなかった。】
 僕があなたの邪魔になることまでは探し当てたのに、どう邪魔するかまでは見えなかったんでしょう」
「……ふふ、そうだね」

 そしてこれを語る時、紆余曲折という存在自体がイレギュラーな勇者候補だったことにも言及せざるを得ない。
 「天飼千世にとって障害となる沢山の因子、および因子へ影響を与えることができる周囲の人物」のリストに、紆余曲折は「いない」のだ。
 他の因子は、1000あるうちのいずれかの結末に登場する。あるいは結末を導く立場にいる。あるいは結末から逆算してその存在の重要性を確認できる。
 どうして天飼千世の敗北に彼または彼女が関わるのか、という問いに、理由をつけることができる。
 例えば傍若無人であれば軍人として相対してくる。例えば一刀両断であれば弁護士として相対してくる。例えば切磋琢磨であれば武人として相対してくる。
 優柔不断などは関わりを調査するのに少々時間が掛かったが、彼がとある日にとある女の子をナンパしようとして出来ずに逃げたことが巡り巡って面倒な事態を引き起こすことを導いた。

 しかし紆余曲折と言う少年は、どの結末にも登場しない。
 1000あるどの結末をどれだけ推察しても、紆余曲折はそれに関わっていないし、紆余曲折の周りの人物も関わっていない。
 世界の終焉――天飼千世以外が全て死んでしまう可能性線では、彼はいち一般人としてゴミのように死んでいる。
 そもそも彼の将来を見ても、どう転がしたとしてもせいぜいがゲームの世界大会で優勝する程度の存在でしかなく、
 世界を相手に阿呆な大立ち回りをしようとしている天飼千世からすれば、あまりにもちっぽけな存在であるはずだった。

 それでも彼は天飼千世の敵だと、四字熟語は導き出した。
 危険な敵を知らせてくれる四字熟語を使って洗い出した【天飼千世の敵】の中に、彼は名を連ねていた。
 不一致。
 1000の未来に登場しない、敵。
 完全な勝利を必須条件にしている天飼千世にとってそれは、看過できない不整合性だった。

「そうそう。だから天飼千世は、アナタのことを隅々まで調べ上げて、様々なことを確かめようとした。
 アナタは覚えていないだろうけど、天飼千世はこの世界に来る前のアナタに、ほんの少しだけ接触していて、気に入っていたんだ」
「そうなんですか。それは残念ですね。
 ちょっとだけ期待してたんですが――記憶を失う前の僕も、やっぱり貴女に気に入られてしまうような人間だったんだ」
「名誉だと思ってくださいよ。勇者に選ばれるに足る精神性を持っているんですから」
「僕みたいな人なんてどこにでもいると思いますよ」

 それこそ、どこにでも。と言ってから。
 紆余曲折がいよいよ、ポケットから手を取り出し始める。
 
「ところで。まだ、《見えて》いませんか?」

 そして、質問をしてきた。
 《天飼千世》は返す言葉の前に確認する。1000の未来を。
 正確には、ここまでの足掻きによって400パターン程度まで減じた、敗北の未来世界可能線を。
 ――変化は、ない。
 天飼千世が見る未来に変化はない。

340 :46◇おはなし(終) ◆YOtBuxuP4U :2016/01/10(日) 03:58:51.68 ID:1O0rDYPP
 
「見えないな。アナタはいったい、何をしてくれるのかな?
 こちらには《八方美人》があるのだけれど。天飼千世とおはなしをしてしまった状態から。どうやって、天飼千世を殺すのかな?」
「そうですか。見えていないんですね。
 可哀想なくらいです。あなたは、肝心なことが、見えなくなっている」
「……?」
「だから、なんで僕がこんなに怒っているのかにも、あなたは気付くことができない。
 そしてあなたは、あなたがもう詰んでいて、もう未来が訪れないことにだって――気づくことは無い」
「何を言っているのか、やっぱり分からないなあ。
 分からない――分からないよ、分からない……うふふ、未来が見える天飼千世が、アナタのことだけはこんなにも分からない……」
「では、ひとつだけヒントをあげましょう」

 紆余曲折はポケットから手を引き抜く。

「あなたの失点はただ一つ。僕がリョーコさんをなぜ殺せたのかを、見ていなかったことだ」

 引き抜いたそれを両手で持って、天飼千世の前に広げる。

「見ていないんだ。自分で開いた殺し合いの一部始終を。
 奇々怪々に任せて、経過を報告させるだけで、あなたは何も見ていない。
 今から僕を現世へ送り返した後に、ゆっくりと楽しむつもりだったのかもしれませんが、ふざけてる。
 人を殺し合わせておいて、その観測すらせずに、ただ優勝者が決まるのだけを待つ、そんな人に、そんな文字に、
 ごちゃごちゃごちゃごちゃ身の上の悲劇を言われたところで――何が心に響くんでしょうか!」
「あ……」
「僕はあなたを殺しに来た、そう最初に言いましたよね。“これ”が答えです」
「アナ……タ……」

 天飼千世は目を見開いた。
 
「僕があなたを殺す未来が見えない? 当たり前です。僕は、あなたの未来ごと殺しに来たんだ」

 紆余曲折が取り出したのは、四角い紙。
 娯楽施設からの脱出に使われた、《胡蝶之夢》が描かれた紙。
 その裏に。裏側に。
 ここに来る前に、彼はもう一つ、七色のペンで文字を書いていた。

「おはなしはもう充分聞きました。あなたを殺せない僕に、たくさんのご教授をありがとうございます。
 今度は――あなたを殺せる僕と、殺し合いをしましょうか」

 ――《原点回帰》。

 それは天飼千世が見ることのできない、千一個目の《結末》への切符。
 おはなしを、ふりだしにもどす、四字熟語。

 いくら《結末》が見えようと、《結末》にたどり着く前にその未来を過去に接続されてしまえば――その行為は、観測できない。

341 :47◇殺し合い ◆YOtBuxuP4U :2016/01/10(日) 04:01:37.44 ID:1O0rDYPP
 

 そして、殺し合いの時間。


◆◆◆◆


 まばたきを一つして、目を開くとそこは廊下だった。
 コンクリートの床は灰色で、中央に白のライン。
 壁は上下に黒のラインが入った白壁で、等間隔に四角窓が空いている。
 窓の外は雑木で遮られ、明かりは天井からの蛍光灯。それも等間隔。
 少年が抱いた第二印象は、やはりここからか、というものだった。
 蛍光灯によって照らされた廊下の奥には、洋風の大きな木扉がある。
 大きな部屋があの奥にある。ここは最初に集められた講義室のような場所に続く廊下だ。

「ええっと……これは、夢から醒めたって、ことなのかな?」
「いえ、まだ夢の中ですよ」

 とぼけた声を出すと、後方から声がした。
 振り向くと、長く続く廊下の少し離れた場所に、一人の男が立っていた。
 少年は水色のシャツを着たその男の姿を見て少しだけ安堵を覚えた。

「……え?」

 だが、まだ変えてはいけない。殺し合いを始めるには、扉を開けるまでは“なぞらなければ”ならない。
 少年はそこにいるはずがないと思い込んでいた男に対して、やはりとぼけた演技をした。
 銀の髪を横に撫でつけた男は、いつか聞いたものと同じ、キザな口調で話し始める。

 大丈夫、演技は得意だ。それで殺し合いを勝ち抜いたのだから。

「お久しぶりです、紆余曲折くん。
 優勝……おめでとう、というべきなんですかね……」
「……えっと……すいません、……まさかあなたが、“主催”ですか?」
「いいえ、違います」
「でも……じゃあ……まさか、爆発が……」
「ええ、フェイクだったんですよ」

 男が少年の解答を先回りするのを見越して、少年は話がスムーズに進むように、かつ違和感がないように話を進めた。

「あのときボクの首輪は確かに爆発したけれど、それはボクを殺すようなものではなかった。
 爆発音が大きく聞こえたのは、内蔵スピーカーによるもの、だそうです。
 そしてボクは、……「先手必勝」は、“文字だけ死亡扱いになって”、あの場から退場させられた」
「首輪がないのは、そういうことですか。……メガネもないですけど」
「そうですね……あのメガネが、ボクの遺品ということになるんでしょうね……」

 銀髪の男はほんの少し目を伏せる。
 流れは未だに変わっていない。問題はなし。少年は次の言葉を吐く。

「遺品って。あなたはまだ、生きてるじゃないですか」
「いいえ、死んだんですよ。「先手必勝」はあそこで。生きているのは紆余曲折くん、君だけです」
「リョーコさんみたいなことを言わないでください……大体、」
「一刀両断に会いたいですか?」
「……会いたいですね」

 二度目の少年は、素直に答えてしまった。

342 :47◇殺し合い ◆YOtBuxuP4U :2016/01/10(日) 04:02:53.24 ID:1O0rDYPP
 
「会いたいです。話し足りないし、見足りないし、触れ足りないし、足りないことだらけです。でも、会えない」 
「会えますよ。あの扉の向こうに、彼女は居ます」
「……つまり、そういうことですか」
「……さすがに回転が早いですね。……気付いて、いたんですか? 首輪の仕様に」
「いえ。まさか。どこかでおはなしを聞いたわけでもあるまいし。
 でも、殺すための爆発を抑え目にするということは――要するに、それくらい首輪が大事、ということでしょう?
 そしてなぜ首輪が大事なのかを考えれば、おのずと可能性は絞れてきます」
「……驚きました」

 かつて先手必勝だった男は、少年の物わかりのよさに驚いた。
 そりゃあもう、予習を散々したようなものなのだから、驚いてくれなければ困る。
 大丈夫だ。この程度の思考の短縮であれば、彼が思う紆余曲折というキャラクターの頭の良さの範囲を逸脱していないはずだ。

「とりあえず……ここに貴方がいるということは、外してくれるんでしょうか、これを」
 
 変えないように振る舞おうとしすぎるのは逆にボロを出す。
 演技くさい態度になってしまうからだ。相手をよく見て先回りができる彼ほどの人物の前では、それはボロが出てしまうやり方だ。
 だから少年は、前回は少年の先回りをしていた男に対し、さらに先回りをする。
 気づかれないように。

「……そうですね。それが今回の、ボクの役目です。ちょっと待ってください……すぐに、外しますから……」

 こちらに近寄ってくる男の手に握られた鍵を使って、首輪は半円二つが連なった鉄の輪になる。
 その裏側――首に触れていた部分に、さらに男は鍵のようなものを当てる。
 するとさらに筒がズレて、中身が露出した……いや、開かれて、落ちてきた……。

「そう。首輪こそが、大事だったんです。なぜなら、首輪それ自体が――実験の“参加者”の、本体だからです」

 男は紙を開く。
 四角い紙を、巻物を垂らすようにゆっくりと開く。
 首輪の筒の中に入っていたのは、「紆余曲折」の文字紙だ。

「これが、“君”です。大事に持っておいてください」
 
 男は少年に文字紙を押し付けると、扉へ向かってすたすたと歩き出した。
 少年は文字紙に目を軽く見開いた演技をしたあと、すたすたとそれに付いていく。
 扉の前に、たどり着く。

「ボクから伝えられるのはここまでです。
 ボクは結局、エスコート役。ボクから得られるものは、多くは望めません。
 どうせ扉の向こうには、全てを知る者がいるんです。そちらに聞いてみればどうでしょう。
 あるいは、扉をくぐる前に推理してみても面白いでしょうね。どちらを選ぶかは君に任せます」

 たたたたたたんと勢いよく歩いていた男の足は、
 そこまで言い切ると扉の直前で、ピタリ、と止まる。

「ボクは。この扉の向こうには行きたくないので、ここで、終わりです」
「分かりました」
「分かりましたか」
「はい。何が起きているのかは、大体」

 少年は扉の取っ手に手をかけた。

「さすが、いい察しの早さです。もしかしたら、君なら……」
「褒められるような話じゃないですよ。場合によっては、
 あなたが会いたくないその人にひどいこともするかもしれないですし。
 それに、まだ完璧じゃないかもしれない。何もできずに終わる可能性が、まだまだ高いです」
「いいんですよ」

343 :47◇殺し合い ◆YOtBuxuP4U :2016/01/10(日) 04:03:41.02 ID:1O0rDYPP
 
 銀髪の男は、卑屈にも聞こえる言葉を吐いた少年の肩を、やはりぽんと叩いてくれた。
 冷え切った場所で戦った彼からのエールは、やはり暖かい。
 こんな言葉を掛けてくれるのならば、あと何度だって殺し合って見せる。
 いや――今回で、終わらせる。

「ダメだったら、次の作戦を考えればいい。
 君は優勝した。“負けたボクと違って”、実験からの解放を約束された存在だ。
 今、全世界で君以上に、主催と対等な存在は居ない。驕らず、焦らず、無理せず戦って下さい」
「……」

 少年は扉を押し込みながら、男に前回掛け損ねた言葉を掛けるか迷った。
 だけどその動作よりも、男が少年を扉の奥へと押し込む動きの方が早かった。少年はその動きを止めなかった。
 だから少年は今回も、男の顔を見ずに行く。
 負けたがゆえに、実験からいつまでも解放されない、永久凍土の中の化石のような、
 永久の冷たい夢の中へ閉じ込められた男の姿は、もう心が熱くなるほどに焼き付けたから。

「だから――頼みましたよ」

 ええ。頼まれました。

 ・
 ・
 ・
 ・

 広がった視界の先。

 扉が閉じる音と共に、少年は光景を見る。

 ・
 ・
 ・
 ・

344 :47◇殺し合い ◆YOtBuxuP4U :2016/01/10(日) 04:06:41.18 ID:1O0rDYPP
 
「ねえ――どういうことかな?」

 そこは、大学の講義部屋のようなところだった。ただし机はなくて、イスがある。
 何もない白い空間の中、前方のステージに大きなイスがひとつあった。
 その上にちょこんと、椅子の大きさに不釣り合いな小ささで、天飼千世は座っている。

「はじめまして、は微妙にニアイコールって感じだけど……本当に、はじめましてなのかな?」

 天飼千世は愕然としていた。
 文字が人間の真似事をしているようなその表情は、やはり少年には人間には思えなかった。

「待ってたんだ。おはなしをしようと思って。楽しい、おはなしを、しようって、ねえ。
 ああ、君と話すのを、ずっと前から楽しみにしていたような気さえするのに……
 対等な会話は、久しぶりなんだ。他の実験仲間は慕ってしかくれないし、“ひとりあそび”は楽しくなくて――」

 実験で死んだはずの十四人が人形みたいに扱われ、人形みたいに置かれているその光景の中で。
 おもちゃ箱をひっくり返して遊んでいたら親に見つかった、王様気取りだった子供のように、天飼千世は呆然と呟いた。

「あたしの名前は、「天飼千世」。
 文字を愛して文字になった、最初の幻想言語学者。
 ねえ、紆余曲折(ゆうしょうしゃ)くん、どうして? どうして――」

 言葉は返さない。《八方美人》がある以上、天飼千世と会話をしてはいけないからだ。
 もし返せるとしたら、こう言っている。

「どうしてアナタが私を殺す未来しか《見えない》の」


 ――そうなるように、一つ一つ丁寧に、潰していったからに決まってる。


 一つ、《八方美人》を使う限り、天飼千世と喋ったことのあるものは天飼千世を殺せない。
 一つ、《高論卓説》を使う限り、天飼千世が喋っている間、紆余曲折は席から動けない。
 一つ、《生殺与奪》を使う限り、天飼千世は紆余曲折の所有物の所有権を握る。
 もうこれらの文字を使われるようなことは、させない。

 少年は《百発百中》の銃を取り出す。
 まず、おはなしが始まらない以上、天飼千世に《八方美人》を行使することは出来ない。
 だから天飼千世が取れる選択肢は、《高論卓説》か《生殺与奪》の二者択一だ。
 あるいは他の何かを持っているかもしれないが、少なくとも前回の《百発百中》への対処はこの三つの熟語だけで行われている。

 天飼千世は言っていた。《千世の読み》が見るのは《1000の結末》だと。
 口ぶりからその《結末》は、《致命傷を得た時点からの未来映像》であると推測できた。
 だから天飼千世は、《どうやって致命傷を受けるのかまでは、推測しか出来ない》。
 おそらく今回も、《百発百中》への対処をまずはこの三つの熟語で行おうとするだろう。おそらくは《生殺与奪》で。

 だが、少年は《紆余曲折》を持ってきている。前回はあえて一回も使わなかったが、
 これをこのタイミングで発動させれば、《4秒間だけ、あらゆる四字熟語の効果(攻撃)を、曲げる》ことが可能だ。
 四秒あれば、銃は撃てる。
 撃鉄は起きている。――ためらいなく、引く。

 もっとも怖かったのは、「なんらかの四字熟語か、あるいは彼女の一存で、この空間から追い出される」ことだったが、それはなかった。
 おそらく《1000の未来》がすべて少年に殺される未来に変わってしまった恐怖が、
 彼女に「ここで対処しなければならない」強迫観念を植え付けたのだろう。
 《1000の未来》が全て変わってしまったのは自分がべらべらとお喋りをしてしまったからなのに。自業自得だ。

345 :47◇殺し合い ◆YOtBuxuP4U :2016/01/10(日) 04:08:25.86 ID:1O0rDYPP
「――ッ!!」

 二次の策として天飼千世は何らかの《文字》を使おうとする。だけど、もう未来は決まっている。
 紆余曲折が一刀両断を殺す瞬間を見ていなかったのが天飼千世の敗北の導線だ。
 だって、それを見ていたのならば、
 前回で少年が「ただ単に《百発百中》の引き金を引いただけ」であったことに、おかしいと思わなければいけなかった。

 紆余曲折のルール能力は。
 《攻撃を4秒間迂回させることができる》というものだ。
 自分からの《攻撃》に、
 それはもちろん、適用できる。

 あのときまで。
 一刀両断と殺し合い、最後のボウガンを撃つあの瞬間まで――
 自分からのまともな《攻撃》なんて、したことがなかっただけだ。
 リョーコさんは、もしなにもしなければ、僕のボウガンの矢なんて、斬ってしまっていただろう。

「《××××》……!?」

 《天飼千世の発動したあらゆる四字熟語の効果を、迂回して。銃弾は天飼千世の心臓を貫く》。
 天飼千世は言っていた。こうなると知らなかった天飼千世が言っていた。
 例え天飼千世であろうとも、文字の始祖であろうとも。その心臓を貫かれれば……人間の身体と同じように、死んでしまうのだと。
 だから。これで、結末だ。

・   そして1秒。天飼千世は未だに信じられないと言ったような顔をしながら、七色の血をまき散らし床に倒れていく。
・   そして2秒。紆余曲折は終りを祈りながら目を閉じる。
・   そして3秒。天飼千世が床に倒れ、夢が揺らぎ、世界は終わる。
・   そして4秒。《紆余曲折》が迂回していた四字熟語の効果は――もちろん発動者が死んだところで止まらない。

 リョーコさん。
 どうでしょうか。

 少年は人形のように動かない、かつて殺したパートナーに語りかけた。

 僕は――逃げずに、やれましたよ。

 こうして、すべての因果は収束した。

346 :47◇殺し合い ◆YOtBuxuP4U :2016/01/10(日) 04:11:41.46 ID:1O0rDYPP
 

【紆余曲折、勝利】

.

347 : ◆YOtBuxuP4U :2016/01/10(日) 04:13:01.97 ID:1O0rDYPP
投下終了です。

エピローグである凛々ちゃんパートに続きます。

348 :創る名無しに見る名無し:2016/01/11(月) 17:20:33.67 ID:+bMOoscQ
投下乙です
終わりが無いのが終わり……終わりが見えるなら延々とループに巻き込めばいいとは……。
結末からの逆算による1000パターンなら、止めを百発百中で固定すれば最大でも1000回すれば相手の見た1000への未来の対処も見破れるものな。
無限ループならぬ有限ループだからこその攻略法か。
しかし紆余曲折、4秒限定とはいえどんな攻撃も逸らす盾とどんな盾も避けて当たる剣を両立するに至っていたとは。
解釈や進化という現象を理解していながらも、自身が戦場で戦っていたわけではなく真に分かってなかった学者らしい敗北でもあった。

349 : ◆ymCx/I3enU :2016/01/12(火) 00:02:26.77 ID:Tf6AlFiL
投下乙です
何だろう…初代SIRENのジェノサイドエンドを思い出した
(気の利いた感想が出てこなくてすみません)

自分も一話投下します

350 :転がる石になれ ◆ymCx/I3enU :2016/01/12(火) 00:03:18.95 ID:Tf6AlFiL
22話 転がる石になれ

B-7エリアに存在する灯台に、犬獣人の学生服姿の少年、久保永悠歩が近づいて行く。
殺し合いが始まってからと言うもの、彼は特に宛も無く、時折どこかから聞こえてくる銃声や爆発音に怯えながら歩いていた。

「変態な事ばかりやってたからバチでも当たったのかなぁ」

悠歩は「変態」であった。
学校の変態仲間である舩田勝隆らと共に教室で全裸になって自慰ショーを行ったり、
深夜の露出徘徊、舩田の他、友人の碑文谷直紀らも交えて乱交を行ったりとかなり爛れている。
そう言った行為を行ってきた事への天罰なのかとも悠歩は思っていた。

「灯台に来てみたは良いけど、来たってどうすんだよ僕……隠れられそうでも無いし」

灯台は必要最低限の作りの小規模な物で灯台守の為の簡易宿泊所のような物すら無い。
比較的市街地が近いせいであろうか。

「ん……?」

灯台の裏から一人の女性が出てくる。
黒髪に猫の耳と尻尾を持った、半獣の女性。胸元を覆うシャツと、ホットパンツと言う、露出の多い格好。
大きな乳房が揺れ動いていたが、悠歩はそれよりも彼女が両手に持つ物に目を引かれていた。
右手に金属バット、左手に拳銃。
金属バットは凹みが有り赤い液体が付着していた。

「あっ……」

女性が何をしたのか悠歩は察する。察するのとほぼ同時か直後位であろうか。女性が左手に持っていた拳銃を悠歩に向け発砲した。
悠歩の胸元から血が噴き出す。今まで感じた事の無い衝撃、激痛。悠歩が胸元を押さえ呻いた。
ああ、しまった。察した時にすぐに逃げて居れば、いや、灯台なんかに来なければ――――。

後悔している時、更にもう一発の発砲音が響き、頭部に衝撃を感じた悠歩は直後に意識がブラックアウトし、それで彼の人生は幕引きとなった。

◆◆◆

情報屋の少女、ハレナは、まず灯台裏にて一人の女性を金属バットで襲い殺害した。
女性は自分に支給されたらしいリボルバー拳銃を見て喜んでいた。

「銃を引くなんて運が良いわ私」
「良い武器持ってますね」
「ん?」
「ころしてでも うばいとる」
「な、なにをするきさまー!」

この会話の後女性はあっさり殴り殺される事となり、リボルバー拳銃、S&WM10とその予備弾薬はハレナの物となった。
その後、灯台に近付いて来ていた犬の少年を殺害し現在に至る。

「ハァ、ハァ、ああ心臓が凄いドキドキしてきた……落ち着いて落ち着いて私……」

深呼吸しつつ自分に言い聞かせるようにぶつぶつと呟くハレナ。
情報屋と言う職業柄、命の危機に晒される事も一度や二度では無く、その度上手く切り抜けてきたが、
怪我は負わせこそすれ、他人の命を奪う事は無かった。灯台の裏で女性を殺害するまでは。
人生で初めて他人の命を奪った事はハレナの精神に大きなショックを与えたのだ。
無論、彼女自身は覚悟はしていた、が、完全には覚悟し切れていなかったと言う事なのだろう。

本当なら他人を殺したくなんてなかったのだが、今回は今までとは違い殺さなければならない状況になっている。
殺し合わなければ結局命を落とすそう言うシステムになっているのだ。
どこかに隠れて最後の一人になるまで只管待っていようとも考えたが現実的では無いしそんな幸運はまず有り得ないとすぐに諦めた。

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