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非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ Part36 [転載禁止]©2ch.net

1 :創る名無しに見る名無し:2015/03/05(木) 01:14:17.94 ID:Wob/LOal
1999年刊行された小説「バトル・ロワイアル」

現在、様々な板で行われている通称「パロロワ」はリレー小説の形をとっておりますが
この企画では非リレーの形で進めていきます。

基本ルール
・書き手はトリップ必須です。
・作品投下前に登場キャラクター、登場人数、主催者、舞台などを発表するかは書き手におまかせです。
・作品投下前と投下後にはその意思表示をお願いします。
・非リレーなので全ての内容を決めるのは書き手。ロワに準ずるSSであればどのような形式、展開であろうと問いません。
・非リレーの良さを出すための、ルール改変は可能です。
・誰が、どんなロワでも書いてよし!を合言葉にしましょう。
・ロワ名を「〜ロワイアル」とつけるようになっています。
  〜氏のロワは面白いでは、少し話題が振りにくいのでAロワ、Bロワなんでもいいのでロワ名をつけてもらえると助かります。
・完結は3日後だろうが5年後だろうが私は一向に構わんッッッ!!

前スレ
非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ part35
http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1393846727/

非リレー型バトルロワイアルwiki
ttp://www26.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1.html

249 :魔法少女育成計画twilight ◆TOWNwDBZa. :2015/10/14(水) 02:14:21.63 ID:qMT4NXAP
魔法少女名       魔法  
                      
☆めるくりっぷ     剣から魔法の雷を出せるよ              
☆Pleiades       星のささやきを聴くことができるよ          
☆サクラ        相手の持っている能力がわかるよ          
☆クロックシルク    とても立派な家を作ることができるよ         
☆魔法名医シャルル   みんなとお医者さんごっこをして遊べるよ       
☆ひーたん       どこまでも自由に飛んでいく紙飛行機を折れるよ    
☆うるる        シャボン玉を思い通りに操ることができるよ      
☆ハニーシュガー    眠る度にどこまでも強くなれるよ           
☆リンカーペル     頭の中で会議をすることができるよ          
☆レオーネ       自分のことを絶対に無視させないよ          
☆スモーキン・ハリィ  魔法の葉巻で煙の魔法が使えるよ           
☆ウェンディゴ     格下の相手には負けないよ       
☆バースデイ・リック  持っているものを絶対に壊れなくするよ   
☆にゃんぴぃ      人や物を鈴の音で引き寄せるよ     
☆クールマリン     機械の中に入ることができるよ 
☆シアンハット     どんなものにでも取り付けられる魔法のドアが使えるよ

★コロ             

250 :魔法少女育成計画twilight ◆TOWNwDBZa. :2015/10/14(水) 02:15:10.83 ID:qMT4NXAP
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「私の剣は聖なる稲妻……さぁ、浴びたい奴から前に出なさい!」

 ある時代、日本は行き過ぎた科学の発展によって管理社会と化した。
 戸籍や家計、配偶者すらコンピューターに管理され、刃向かえば手痛い罰が待ち受ける人間の鳥カゴ。
 しかしそんな国にも一人、立ち込めた闇を晴らさんと邁進する正義の反逆者があった!
 纏う衣装は海の如く澄んでいて、一度微笑めばエサを抜かれた猛犬だって尻尾を振る。
 立てば芍薬、座れば牡丹、戦う姿はめるくりっぷ!
 これは一人の小さな想いで、日の丸を取り戻す物語!

 新番組!『めるく☆うぉーず』
 第一話「極めて物理的な手段によるメモリクラッシュ」
 どんな機械も、電気一発ぶっ飛ばす!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「命短し恋せよ乙女とはよく言いますが。
 ……私のような身分の娘は、果たして誰を真に愛するべきなのでしょうか」

 ここは華の街、宴と恋情の逆巻く街。
 そんな街が誇る高嶺の花は、まだうら若い少女だった。
 彼女は思う。抱かれ、愛され、身を委ね。
 惰性で続くこの緩慢な日々から、自分を連れ出してくれる者はいないものかと。
 けれどそれは叶わぬ夢。
 そして叶えてはならない夢だと知っているから、サクラは今日も涙を流した。
 だって、自分にはもっと大きな夢があるから。だから、この街を出るわけにはいかないのだ。

 新番組!『花は咲けども蜜は実らず』
 第一話「嘘も方便」
 華の香りは、時にせつない。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「はいはーい! 時計ですね。ちょっと待っててください〜!」

 時計屋『クロックシルク』では、不思議な時計を売っている。
 腕時計、柱時計、懐中時計におもちゃの時計。
 変哲もないそのどれもが、持ち主が本当に強く願った時だけ、
 一番戻りたい時間へと時を巻き戻してくれる力を持っているのだ。
 けれど店主、白鳥萌衣はそのことを知らない。萌衣はただ、その人に一番合った時計を真心こめて売っているだけ。
 今日も今日とて迷える子羊が、奇跡を求めてやってくる――

 新番組!『アンティーク・メモリアル』
 第一話「ハト時計と夏の日の記憶」
 巻き戻りたい日にち、覚えてますか? 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)


251 :魔法少女育成計画twilight ◆TOWNwDBZa. :2015/10/14(水) 02:15:56.29 ID:qMT4NXAP
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「なにっ、急患!? 
 すぐに受け入れろ! お茶とお菓子も忘れるな!!」
 
 シャルル診療所は客入りが少ない。
 医者の正しい信念はどこへやら、今やたまの急患搬入でぬか喜び。
 看護師には愛想を尽かされ窓ガラスは穴だらけ、
 床にはカップ麺の残骸が積み重なって足の踏み場もありゃしない。
 「命の価値に貴賎はない……それが分からない内は、どれだけ腕が良かろうが三流だよ」
 メスが錆びてても腕は確か、心意気も超一流! 今日も元気にオペ開始!
 
 新番組!『シャルル先生は苦悩する』
 第一話「恋の悩みは専門外」
 これで医師免許があれば完璧なんだけどなあ!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
「やだやだー! 私、絶対パイロットになるんだから〜っ!!」

 槇村比那は、子供の頃から飛行機のパイロットに憧れていた。
 だがしかし、比那の夢を阻んだのは過酷な現実。
 なんと彼女は乗り物酔いが生まれつき激しく、
 長距離移動ともなれば梅干しを一パック食べ尽くしてしまうほどだったのだ。
 親は鼻で笑い同級生も鼻で笑い、ペットのうさぎには耳で笑われた。
 そんな彼女はある日、乗り物に乗れなくても、飛行機を飛ばすことのできる方法を発見する。
 「紙飛行機……そっか、これなら!」

 新番組!『飛べ! ペーパーエアプレーン』
 第一話「はじめてのフライト」
 紙だって飛行機は飛行機だもん!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「雨の日が好きなんだ。だって、綺麗でしょ?」

 うるるは雨降りが好きだった。
 しとしと降り注ぐ水滴が奏でる音は、まるで自然のバラードだ。
 どこか切ない気分になるけれど、こうしていれば一人でも退屈になることがない。
 そうしてうるるは今日もまた、雨降りのバス停で雨の音色を聞く。
 そんな時。傘も差さずに立ち尽くしている彼女へ、不思議そうに誰かが話しかけた。
 「……おめー、何してんの?」
 これは、雨の日から始まるジュブナイル。

 新番組!『うるるの雨降り日記帳』
 第一話「出会いの音色はクレッシェンド」
 どうやら明日も雨みたい。 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)


252 :魔法少女育成計画twilight ◆TOWNwDBZa. :2015/10/14(水) 02:16:57.04 ID:qMT4NXAP
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「……ぐぅ」

 魔法の国の学校へ通う、ハニーシュガーは居眠り少女だ。
 国語も数学も理科も社会も、英語はおろか体育ですらぐっすり眠る。
 しかし、彼女の快適睡眠ライフは残酷にも終わりを告げた。
 あまりの授業態度の悪さにより、あと一度でも居眠りをすれば退学処分だというのだ!
 鬼! 悪魔! 少女の声は誰も聞いちゃくれない。
 皆がいい気味だとせせら笑う教室で、ハニーシュガーが打ち出した打開策とは!?

 新番組!『寝る子は育ちすぎた』
 第一話「決めた、世界を滅ぼそう」
 眠れる獅子だと思ったな? 残念私はドラゴンだ!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「どうすんのよこれ!
 あーもうっ、自分会議開始ー!!」

 リンカーペルには奇妙な特技があった。
 困った時、どうしようもない時、
 迷っている時、難しい問題を出された時。
 頭の中に住んでいるもうひとりの自分と、すごく濃密な相談をすることが出来るのだ。
 「うーん、いや、こりゃちょっとどうしようもないっしょ」
 「えぇっ!? そこをなんとか!」
 「君さ、僕をドラえもんかなんかと勘違いしてない?」
 ……役に立つかどうかは別として。

 新番組!『どっぺるどっぺる』
 第一話「会社の金をヤギに食われた時の対処法」
 この後こってり絞られました。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「は? いや、こんなレベルでこのクエ来んなよ」

 大人気MMORPG『マジカルクエスト』。
 江戸澤露子もまた、このゲームに心血を注ぐ廃人プレイヤーの一人だった。
 身の程を弁えない地雷と利益だけこそげ取っていく寄生プレイヤーに怒りを燃やしつつ、
 毎日いつドロップするかも分からぬレア武器を求めて同じクエストをひたすら巡回する日々。
 そんなある日彼女は、目を覚ますとゲームの中の世界に居た。
 冴えない大学生、江戸澤露子ではなく……狙撃手『レオーネ』としての過酷な日々が、今幕を開ける!

 新番組!『マジカルクエスト』
 第一話「周回作業をやってみた」
 体感してみて一層わかった! やっぱこいつらクソだ! 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)


253 :魔法少女育成計画twilight ◆TOWNwDBZa. :2015/10/14(水) 02:19:15.90 ID:qMT4NXAP


「なに? リューコが隣町の奴らにやられただと?
 こうしちゃいられねえ! 行くぞお前らァ!!」

 ごっつい葉巻を口端に、バイクをかっ飛ばして今日も喧嘩三昧。
 いついかなる時も煙の出るものを咥えている彼女は、伝説の女番長だ。
 葉巻咥えてヤクザを蹴散らし、警察相手にカーチェイスを繰り広げ、
 ついたアダ名が『スモーキン・ハリィ』。今や泣く子も黙るし先公も逃げる。
 そんな彼女は確かに悪魔。だが、悪魔は悪魔でも友情を知った悪魔だ。
 どんなに使えない奴だろうと仲間は仲間。
 それに手を出したってんなら遠慮はしねえ、全軍突撃で片付けるのがハリィの流儀!

 新番組!『ハリィ猛将伝』
 第一話「氷砂糖のヤナセ」
 アタシの葉巻はフィリピン産だよ。





「今日はお月様も見ていないようだ」

 霧の出る、月の出ない夜には悪者が影を潜める。
 何故ならそういう日は、悪を成敗し夜の静けさを守るダークヒーローが現れるからだ。
 ウェンディゴに出会った悪人はこう語る。
 もう悪事は懲り懲りだ。――大手企業の敏腕セールスマンだった彼は、次の日から炊き出しに並んでいた。
 ウェンディゴに出会った善人はこう語る。
 ヒーローなんて懲り懲りだ。――やっとこさ稼いだ一月分の給料が、全部見知らぬ口座に振り込まれていた。
 ダークヒーロー、ウェンディゴはこう語る。
 「ヒーローにも色々な形があるということです」

 新番組!『ミスト・ザ・ヒーロー』
 第一話「夜道でやたらに振り返れ」
 そんなウェンディゴにも秘密があるとかないとか。





「お母様、見ていてください!」

 リックは幼くして母親と生き別れた。
 どこにいるのかも分からない、そもそも顔も覚えていない。
 それでもただ一つ、彼女はバレエを見るのが好きだったことだけは覚えていた。
 だからリックはバレリーナを目指す。
 手始めに養成校へ通おうと思ったリックだったが……
 「ちょっ!? 養成校ってこんなにお金かかるんですか!?」

 新番組!『貧乏少女がバレリーナになるまで』
 第一話「自販機ミッション」
 舞踏王に私はなる!

254 :魔法少女育成計画twilight ◆TOWNwDBZa. :2015/10/14(水) 02:20:09.94 ID:qMT4NXAP



「にゃ、ん、ぴぃ。
 そうそう、にゃんぴぃ。えへへ、えらいね〜」

 猫の集会には謎が多い。
 しかしこの魔法少女だけはその真相を知っていた。
 彼女は魔法少女にゃんぴぃ。
 すべての猫の友達であり、人間社会よりも猫社会で生きている時間の方が長い異端児である。
 奇妙ながら平穏な日常を送っていたにゃんぴぃだったが、
 それはある三毛猫が運んできた情報を聞くなり一変することになる。
 なんとゴルフ場の建設で、おなじみの集会所がなくなってしまうというのだ……!

 新番組!『ねこデモ』
 第一話「初めてのデモ行進」
 行政の横暴を許すな!





「バグだって生きてるんだよ」

 精密機械に携わる者なら、誰もが知っている噂話がある。
 なんでもどんな欠陥を抱えた機械だろうと、
 彼女に預けてしまえば必ずとんでもない高性能になって帰ってくるというのだ。
 曰く伝説のメカニック。人々は彼女に憧れ、そして探し求めた。
 しかし彼女はそんなことどこ吹く風で、今日も気ままに、迷えるエンジニアの前へ現れる。
 「どしたの。何か困ってる?」
 「あ……実はこのソフト、どっかバグってるらしくて……」
 「ふーん、貸してみな。ちょっと注意してくるから」
 「へ?」

 新番組!『クールマリンの気ままなおさんぽ』
 第一話「時には力づくで」
 外的損傷は専門外だよ!





「はははっ! いっただきぃ!」

 巷を騒がす大怪盗が、今日も夜の街を暗躍する。
 シアンの帽子だから、シアンハット。
 怪盗シアンハットは現代のアルセーヌ・ルパンだ。
 ビルの間なんてひとっ飛び、警備なんて特製迷彩服でまるっと欺く。
 コンクリの壁も無駄無駄無駄無駄!
 ガチャリと正々堂々ドアを付けて、ドアを開けて、閉めればはい侵入完了ってね!
 さてさて肝心のお宝は〜……
 ――ええっ!? 小さい女の子!?

 新番組!「怪盗親子は夜更かしがお好き」
 第一話「閻魔の舌」
 どこでもドアじゃないっつーの。

255 :魔法少女育成計画twilight ◆TOWNwDBZa. :2015/10/14(水) 21:03:38.08 ID:qMT4NXAP



「ある魔法少女を探してる」

 日本中を渡り歩いた。
 星が導くままに、街の隅々を探し求めた。
 けれどあの子はいなかった。
 やがて、あの子がもうどこにもいないことを知った。
 でも、人探しが終わったわけじゃない。
 あの子の代わりになった、どこかの女の子を探している。聞きたいことがある。
 だから、私はその魔法少女に会わなきゃならない。
 そうしなきゃ――終われないんだ。

 新番組!『星に引かれてPleiades』
 最終話「流れ星」
 なあ、キミはあの時――





規制解除されたのでひとまずこちらに。
本編は今週中に……できたらいいなあ。

256 :魔法少女育成計画twilight ◆TOWNwDBZa. :2015/10/16(金) 01:56:02.50 ID:3eyR0qZU
プロローグ投下します。

257 :プロローグ ◆TOWNwDBZa. :2015/10/16(金) 01:56:51.74 ID:3eyR0qZU
☆???


 届かないからこそ美しいものがある。
 例えば、花畑を自由に舞う綺麗な蝶々を追い回した経験は誰にでもあるだろう。
 虫取り網を片手に、あの綺麗な羽を間近で観察し、あわよくば虫籠で飼ってやろうと欲を抱いて草原を駆け回る。
 けれど、いざ捕まえてみて――間近で眺める蝶々が、所詮はただの虫だということに気付かされる。
 逃れようともがく六本の足、昆虫特有のお世辞にも可愛らしいとは言い難い腹部や眼。
 美しい羽は触れる度に鱗粉を散らし、花畑を悠々と飛び回っていた姿とは大分見劣りする。
 それでもせっかく捕まえたのだからと飼育したところで、寿命なんてたかが知れている。

 ある日、何となしに籠の中を見て、地べたに横たわって息絶えている蝶を発見する。
 羽は心なしか萎れて見え、命をなくした複眼はただただ不気味にしか見えず、時には体液さえ出しているかもしれない。
 その時、思う。――なんでこんなのを、綺麗だなんて思ったんだろう、と。
 
「要はルービックキューブだと思うの」

 どこかの屋上。
 熟れた林檎のような赤い夕焼けを背に、煤けた座椅子へ腰掛けて、ルービックキューブをがしゃがしゃ回す。
 少女は綺麗だった。背負った赤色にほんのり染め上げられた髪の毛は、一本一本がまるで絹糸のように艷やかだ。肌には年頃の吹き出物一つなく、知的玩具を弄ぶ手元を見つめる瞳は硝子球のように透き通っている。
 しかしそう見えるのはきっと、我々が彼女と同じ土俵に未だ届いていないからに違いない。
 少女は綺麗ではない。見た目をどれだけ取り繕おうとも、その中身は熟れて地に墜ちた林檎の如く膿んでいる。

「遠目に見たら綺麗だった。けどいざ近付いてみたら色合いはバラバラで、お世辞にも出来がいいものじゃなかった。
 だったら簡単、『組み直す』。ねえコロ、私は思うよ」

 がしゃん。
 ルービックキューブが、完成した。
 あるべき場所にあるべき色を。
 微塵のズレもなく、あるべき美しさが完成した。
 それを思い切り、渾身の力で柵の向こうに放り投げて。

「私なら、『魔法少女』――組み直せるって」

 少女は笑った。
 華が咲くように笑った。
 贋作の魔法少女を眺めて、笑っていた。

258 :プロローグ ◆TOWNwDBZa. :2015/10/16(金) 01:57:49.85 ID:3eyR0qZU
☆ウェンディゴ

 帰ってきた答案用紙には、赤い丸が所狭しと犇めいていた。
 点数欄には他の生徒より一個桁の多い点数。
 遠慮がちに答案を覗き込んでは、クラスメイト達が感心の声を漏らして自分の席へと戻っていく。
 いつからだろうか、こういう結果に対して素直に喜びを示せなくなったのは。
 贅沢で中学二年生じみた悩みだと自分でも思うが、感動できないのだから仕方がない。

 木野七代はエリートだ。
 文武両道、才色兼備。
 厳格な両親の教育方針もあって、習い事の類は概ね修めさせられた。
 あれをやりなさいこれをやりなさい。言われるままに七代はやった。こなした。両親はすごく喜んだ。
 周りはここぞとばかりに七代を褒めた。家が金持ちだからという理由もあって、周囲から人が絶えたことはない。
 別に金を持っていても使い道はないので、七代はとにかく気前がよかった。
 級友の誕生日会に呼ばれれば流行りのゲームソフトを買っていく、皆で外食すれば進んで金を出す。
 そんなことをしているのに、彼を金づるとして利用しようとする輩がいないのは――ひとえに、やはり日頃の行いというやつだろうと七代は思う。

 七代は苛めには加担しなかった。
 かと言って、悪事を見つけたから密告するほど正義感に溢れてもいなかった。
 自分に実害が及ぶなら流石に行動するが、それ以外は基本好きにさせておけばいいと思っている。
 要は分け隔てがない。いつしか、不良と呼ばれる連中は七代を飯に誘うようになった。クラスの隅で小声で語り合っているサブカル愛好者達は、七代に一押しのアニメDVDを貸してくれた。頼んでもいないのに。
 女子にももてた。教師には贔屓された。親は七代を一度も叱ったことがない。七代に苦言を呈した新任教師は陰口と嫌がらせに堪えられなくなって着任から一ヶ月で出勤拒否になった。

 彼は高嶺の花だった。
 ただ、誰もが彼を人だと思っていなかった。
 何をやらせても完璧にこなす、非の打ち所がない「そういうもの」と認識していた。
 それに七代がある時気付いた。その日、彼は初めて友人との約束をすっぽかした。仮病を使った。
 
 七代は化け物じゃない。ましてや機械でもない。
 人並みの感性を、周りの評価と自身の才能で麻痺させて騙し騙し生きてきた、十五歳の少年だ。
 カルーアミルクのように甘ったるい酩酊した毎日は、皮肉にもアルコールの役割を果たす周囲の評価が終わらせた。
 確かめてみようと思った。
 生徒会選挙に出馬した。
 選挙活動なんてせず、ただ黙って結果を待っていた。演説でも何も喋らない。

 ――当選発表の日、でかでかと掲示板に張り出された名前の羅列。そこにあった自分の名前の下に、紙で出来た花飾りが付いているのを見て……木野七代は、「人間」になった。

 別に何かが変わったわけじゃない。
 ただ、少し彼は無遠慮になった。
 クラスメイトに、親に、教師に。
 危害を加えるわけではないし冷たく当たるわけでもなく、ただ、心の中で見下した。
 最初はただ、普段より少し高い目線を持っただけだった。
 そして、周囲のあまりの体たらくに愕然とした。
 どいつもこいつも、ただ縋り付くだけ。
 小難しい言葉は思いつかなかったけれど、なんだか胸の中がぐずぐずに荒れているような感覚を覚えた。
 しばらく考えて、多分嫌悪感ってやつなんだろうなと納得した。

259 :プロローグ ◆TOWNwDBZa. :2015/10/16(金) 01:58:45.62 ID:3eyR0qZU
「やあやあやあやあ! どうしたのさウェンちゃん! いつにもまして不機嫌そうだね!!」
「……そう分かっているなら騒がないでくれないかな、うるる」

 外は雨がしとしとと降り注いでいる。時刻が夕暮れ時なこともあって街は薄暗く、裏通りともなれば人通りは皆無だ。
 そんな場所だから、魔法少女が活動するにはまさにうってつけである。
 魔法少女には規則がある。なるだけ人目を憚って行動する、というのもその一つだ。
 魔法少女はみだりに人前へ姿を晒してはならない。ましてや、その正体が明らかになるなど以ての外だ。
 人間に正体を知られた魔法少女は魔法少女ではなくなり、記憶を奪われる――そう、あの妖精が口を酸っぱくして言っていたからよく覚えている。第一、そうでなくとも進んで人前へこの姿で出ようなどとは思わないが。

 魔法少女「ウェンディゴ」は、見た目に苦労させられている不運な魔法少女だった。
 怪しげな紫色のアンティークドレスを纏い、髪は現実離れした緑色をしている。
 肌の色合いもどちらかと言えば蒼白に近く、おまけにその身体からは常に薄い霧のようなヴェールが漂っているのだ。
 魔法少女には欠かせない職務である人助けを行おうにも、まずこの見た目の時点で敬遠される。
 というか、逃げられる。素直に感謝された試しなんて本当に数えるほどしかなく、ひどい時は助けようとした相手がウェンディゴを悪霊のたぐいと勘違いし、騒いで別な魔法少女がやって来てあわや戦闘になりかけたこともあった。
 その時はどうにか事情を説明して事なきを得たのだが、このままでは魔法少女の本業を続けるのは難しいという結論に辿り着くまでそう時間はかからなかった。
 
 そこでウェンディゴは、その時トラブルになった魔法少女の提案を受諾することにしたのだ。
 即ち、二人一組(ツーマンセル)。
 お互いにお互いを手助けし、より円滑に人助けを行えるようにと結成した「魔法少女同盟」。
 センセーショナルなネーミングセンスはウェンディゴのものではなかったが、彼女としてもこれは願ってもない申し出だった。断る理由も見当たらない。――判断を早まったかなと思い始めたのは、それからすぐのことだったが。

 魔法少女「うるる」。
 つややかな黒髪は特に前髪が長く、両目を隠してしまっている。
 全体的にこじんまりとした体格が否応なく見る者の庇護欲を掻き立て、薄手の白いワンピースはその印象をどこか儚げなものにまでしていた。 
 早い話が、ウェンディゴと正反対に、見た目で得をするタイプの魔法少女。
 しかもおまけにこのうるる、実際の性格は大人しさとは無縁であるから質が悪い。

「なに、学校うまく行ってないの? それとも魔法少女のことバレちゃったとか?」
「だったら僕は今ここにいないよ。それに学校だって今まで通りだ。
 ……大体、君にそこまで踏み込まれる理由はないだろう。あくまで魔法少女という、仕事上の関係なのに」
「つーれーなーいーなー。ボクとウェンちゃんの仲なのに?」

 傘をくるくる回して、水が跳ねるのを厭うこともなく水溜りにジャンプで飛び込みはしゃぐ姿はまるで小学生だ。
 うるるの実年齢がどの程度かウェンディゴは知らないが、話していて、少なくとも中学生未満ということはないだろうと感じた。同年代とするには、少し言動が幼いような気もしたが。
 ウェンディゴはうるるのことを何も知らない。
 なのにうるるは、ウェンディゴの秘密を知っていた。
 もちろん自分から話したわけではない。ないのに、いつの間にか知られていた。
 問い質すと、どうやら彼女の魔法を使われたようだと分かり……ウェンディゴ、もとい木野七代は、何年ぶりかの心からの溜息を吐き出すことになった。


「――あ! 子猫、いた! そこの角を曲がってすぐにある、青いゴミ箱の影!!」


 うるるの魔法は、「シャボン玉を思い通りに操る」というものだ。
 最初はどんな魔法だよと思ったが、しかしこれが意外なほどの応用性を持っている。

260 :プロローグ ◆TOWNwDBZa. :2015/10/16(金) 01:59:21.90 ID:3eyR0qZU
 まず、シャボン液はなんでもいい。彼女がいつもポケットに忍ばせている小瓶に、水だろうが油だろうが、なんでもいいので液体を入れれば、素材の性質はそのまま保持したシャボン玉が出来上がる。
 おまけに数も自由自在だ。この前は、逃げ回るひったくり犯にシャボン玉を止むことなく叩きつけ、強引に足止めしたこともあった。そして何より厄介なのが、ウェンディゴの秘密を暴いた――シャボン玉をいわゆる偵察機として扱う使い方だ。
 飛ばしたシャボン玉のそれぞれが見ている映像を、うるるは自由に自分の視界と共有することが出来る。
 ストーキングから今回のような探しものの場合まで、実に幅広く、傍迷惑に使うことの出来る彼女の技の一つである。

 指示通りに曲がり角を右折して、ゴミ箱を持ち上げた。
 するとすっかりずぶ濡れになった黒猫が、上目遣いでウェンディゴを見上げている。
 ウェンディゴはそれをゆっくり抱き上げて、今日の人助けもばっちり終了した。


 うるるが子猫を飼い主のもとまで届け、帰途に着く頃にはすっかり辺りは暗くなっていた。
 まだ時間的にはそう遅くもない筈だが、やはり雨降りの黄昏時というのは気分的にも風景的にも仄暗く陰鬱だ。
 うるるの住処がどこなのかは知らないし興味もない。ただ、途中までは同じ方向らしいことは知っていた。だからウェンディゴとうるるは、肩を並べて何を話すでもなく一緒に歩いていた。
 衣装の様子は違えども、絶世といっていい美少女二人が並んでいる姿は相当絵になる。
 誰かに見られた日には写真を取られるか、最悪怠い絡みを持ちかけられても不思議ではないだろう。
 そんな中、ぼうっと口を開いたのはウェンディゴの方だった。
 うるるに話しかけたというよりかは、本当にただ呟いたような感じで。

「しかし、今回も魔法を使わなかったな」

 ウェンディゴは、自身の魔法を使ったことが殆どない。
 魔法少女になりたての頃に数度実験的に使っただけで、しかもそれも一般人相手の実験だったから此処にはいない妖精から苦言を呈される結果に終わってしまった。
 
「ウェンちゃんのは使い所限られるもんね。魔法少女って、何かと万能すぎるとこあるし……
 例えば今日の猫ちゃんに走って逃げられても、そんなに運動の得意じゃないボクだって簡単に追いつけるんだから。格が上だとか下だとか、勝ち負けだとか。そういう話になることってまずないと思う」
「丁寧な分析ありがとう。まったく、こればかりはどうにも困りものだな」

 せめて空を飛べるだとか、そういう方がまだマシだ。
 ぼやくとウェンディゴは、自分の右手へ視線を落とした。
 ――彼女の魔法は、「格下の相手には絶対に負けない」というものだ。
 実験をした時にはジャンケンやギャンブルなど様々な勝負を試してみたが、一度も負けたことはなかった。ちなみに相手に使ったのは炊き出しに並んでいるホームレス達である。
 特に見下しているつもりなどなかったのだが、いざという時の実験体として真っ先に浮かんだ上に、ちゃんと魔法も発動していた辺り、やはり無意識に彼らを格下だと決め付けていたらしい。
 ……我ながら、格の基準が自分の認識にあるというのは恐ろしい魔法だと思うのだが――人助けを生業とする魔法少女にとってはどうも、使い所のない魔法だと言わざるを得ない。
 それこそ、勝負に発展すれば大半のことは魔法少女の地力でどうにかしてしまえるのだ。
 相手が同じ魔法少女でもない限りは、使う機会はそうないといっていいだろう。

「けど、こういうのも面白いよ」
「? どういうこと?」
「いや、こっちの話だ」

 格がどうこうというのは、いかにも自分らしい魔法だと思う。
 だが魔法少女としての仕事では使い所に欠け、こうして悩ましさを感じている。
 それが、ウェンディゴには新鮮だった。
 それと同時に、やはり魔法少女になったのは間違いじゃなかった――と、改めて実感する。
 ……無論、こんなことは誰にも言えない。未来永劫、自分から誰かへ話すことはないはずだ。

 ウェンディゴが魔法少女になったきっかけは、別に運命的な偶然じゃない。
 シアンハットという先輩魔法少女がある日突然七代の前に現れ、彼女の連れていた妖精が七代の素質を見出した。
 そもそも少女ではないし、大体何の話をしているのかさっぱり分からない。

261 :プロローグ ◆TOWNwDBZa. :2015/10/16(金) 01:59:56.70 ID:3eyR0qZU
 抗議は意にも介されず、半ば強引に七代は魔法少女「ウェンディゴ」にされた。後から聞いた話だが、男性が魔法少女に変身した例も数こそ多くはないものの存在するという。
 それどころか動物など、人間以外の生物が魔法少女をしている場合もあるというのだから、何でもありだなと思う。

 シアンハットは決して頼れる先輩ではなかった。
 いつもけらけら楽しげに笑っていて、一応物事は教えてくれるが放任主義のきらいが強すぎる。
 妖精のコロは質問すれば説明してくれたが、それでもやはり常に呼び出せるわけではなく、結果としてウェンディゴは魔法少女の身体について、魔法についてを自分で勉強する羽目になった。
 ただ、それは彼にとって楽しいことだった。
 ゲームをしたことは人並みにある。けれど、自分がゲームの登場人物のような力を手に入れたことはない。
 鬱屈とした「リアル」の問題にぶち当たっていた彼が、非現実的な魔法少女の仕事に没頭するようになるまで、そう時間はかからなかった。
 うまくいかないことの楽しさを、初めて知った。
 
 雨が強くなってきた。
 うるるの傘に入れてもらいながら、二人で歩いた。
 しばらく歩いて、ちょうど別れる地点に差し掛かった頃。
 彼女が不意に足を止め、前方を指差した。
 その方向へ視線を向ける。――そこには、奇妙な少女が居た。

 衣装の至る所に星の飾りを散りばめて、背中には棍棒ほどはあろうかという大きな天体望遠鏡を背負っている。
 傘など差していないから濡れ鼠になっているが、それが彼女の美しさをより助長していた。
 一度見れば忘れられない美貌。隔絶した雰囲気。……彼女が何者であるか、推察するのに時間はかからなかった。
 
「こんにちはっ!」

 うるるが元気に挨拶し、傘から外れてとてとてという足取りで駆け寄って行く。
 
「ねえ、あなたも――」

 魔法少女なのかな、という台詞を最後まで言い終わる前に。
 星の少女は、彼女の台詞を遮って言葉を挟んだ。
 
「……"料理人"」
「へ?」
「料理人の、魔法少女」

 ……料理人の、魔法少女?

 ウェンディゴもうるるも、そういった存在に覚えはない。
 この街にいる魔法少女を全て知っているわけではないが、少なくとも知っている中には居なかった筈だ。
 星の少女はまっすぐにうるるの目を見据えて、もう一度問う。
 どこか機械的なほどの冷たい雰囲気を孕んだ声で、しかしそれとは裏腹の必死さを滲ませて。

「料理人の魔法少女を、知らないか」

 雷鳴が鳴った。
 だから一瞬、気付かなかった。
 懐に入れた「魔法の端末」が、耳障りな着信音を鳴らしていた。
 電源を入れた端末には、無機質なメッセージが躍っていた。

262 :魔法少女育成計画twilight ◆TOWNwDBZa. :2015/10/16(金) 02:02:17.79 ID:3eyR0qZU
以上で投下終了です。
原作を最新刊まで追っている方は「?」と疑問符を浮かべる箇所があるかと思いますが、仕様です。(?)
ちなみにウェンディゴは応募した魔法少女のひとりでした。

263 : ◆ymCx/I3enU :2015/10/18(日) 21:53:00.07 ID:+Y3pevJe
投下乙です
これだけの「魔法少女」の設定を考えられるのは凄い

(最近筆が進まずネタが思いつか)ないです
思っていた以上に軽いノリに出来てないんすよねぇ
なのでリスタートも視野に入れてます

264 : ◆YOtBuxuP4U :2015/10/19(月) 20:18:23.24 ID:a6kj7Brz
投下乙ですちょっと見ぬまに非リレー勢が増えてる…!ym氏のも含めて読むぞ読むぞ
まほいく原作を最新刊まで最近追いきったのでtwilightに困惑と期待が隠せない
自企画も今月中にはなんとかしたいなあ…!

265 : ◆ymCx/I3enU :2015/10/22(木) 22:09:57.43 ID:MfQDEbHL
リスタートしようと思ったが結局続ける事にしてやっと一話書いた
ぬわああああん疲れたもおおおおおおおん
てなわけで投下ァ!!

266 :揺れながら… ◆ymCx/I3enU :2015/10/22(木) 22:10:47.14 ID:MfQDEbHL
13話 揺れながら…

伊藤椿は小中学校二階の理科室にて目を覚ました。
そして程無く、自分が殺し合いの場に居る事を思い出す。

「殺し合いなんて無理、出来る訳無い」

心情を吐露する椿。人を殺してまで生き残ろうと言う勇気は彼女には無い。
また、この殺し合いには幼馴染であり大切な友人である修明院美宇、愛称ミーウも居た。尚更殺し合う事など出来ない。
デイパックを開けて中身を確認すると、基本支給品一式の他にスタンガンが出てくる。
セロハンテープで貼り付けられていた説明書には、改造して威力が強くなっていると書かれていた。
どれ程強くなっているのかは分からないが護身用としてなら役立つだろうと椿はスタンガンを装備する。
そして一先ず、校内を歩いてみる事にした。

◆◆◆

白虎獣人の青年が、小中学校の教室内で椅子に座って考え事をしていた。
彼の名はトロフィム・マラートヴィチ・クルトィフ。
休暇で日本(と呼称される国)に旅行に来ていた矢先、今回の殺し合いに巻き込まれた。
全くついていない、と溜息を漏らすトロフィム。
しかし巻き込まれてしまったものは仕方が無い。このゲームの中での立ち振る舞いを考えなくては。
自分に支給されたヌンチャクを見ながら思案するトロフィム。

「!」

その時、廊下の方から足音が聞こえトロフィムの耳がぴくりと動いた。
自分以外にもこの学校には人が居たようだ。
トロフィムは隠れもせず、その足音の人物が姿を現すのを待つ。
やがて、可愛らしい顔の美少女が現れた。ブレザーを着ているので学生らしい。

「あっ」

少女もトロフィムに気付いたようで、廊下からトロフィムの方に顔を向けた。

◆◆◆

校内を探索中、椿は白虎獣人の青年と遭遇する。
目が合い、動きを止める椿。勿論、校内に他の人間が居る可能性は視野に入れていたがいざ出会うと対応に困ってしまう。

「あ、あの」

声を掛けた直後、椿の頭に不安が過る。この白虎の男は安全なのか、と。
もしこの男が殺し合いに乗っていたら――――。

「日本人の方デスカ」
「え?」

思考を必死に巡らせていた椿に白虎青年が声を掛けた。
日本語なのだが片言である。外国人のようだ。獣人種は見た目では国籍が判断しにくい。

「はいそうです、失礼ですが、外国の方ですか?」
「ハイ、ロシアから来ましタ。トロフィムと言います」
「私は伊藤椿、と言います」

自己紹介を受け自身も自己紹介する椿。

「自分は殺し合ウ気ハ有りマセン。と言ってモ、スグニハ信じテ貰えナイでしょうガ」
「本当に乗ってないの?」

267 :揺れながら… ◆ymCx/I3enU :2015/10/22(木) 22:11:14.37 ID:MfQDEbHL
殺し合いには乗っていないとトロフィムは言う。
無論はいそうですかと鵜呑みには出来ない。しかし証拠を出せと言った所でどうにもならないだろう。

「分かりました、信じます……」
「アりがとウございマス」

結局トロフィムの言を椿は信じる事にした。

「あの、トロフィムさん、私と同じ制服を着た狐の女の子を見ませんでしたか?」
「いえ……伊藤サンがこの殺シ合イで、初めて会った人デシテ。ご友人、ですか?」
「はい……」

ミーウの事を知らないか尋ねてみるが、トロフィムからは否定が返ってきた。
少し残念そうにする椿だったがそう簡単に手掛かりは得られまいと思いすぐに気持ちを切り替える。
それに、ミーウはかなりしぶとい一面が有るのできっと大丈夫だろう、とも椿は思っていた。
具体例をあげると軽トラックに撥ねられても自力で立ち上がり病院に向かった逸話が有る程である(軽い打撲と切り傷で済んだ)。

「伊藤さんハこれカラどうされるおつもりですか?」
「うーん、取り敢えずこの学校の中を見て回ろうと思って……ミーウも捜さないといけないし……ああ、具体的には何も決めてない」
「良ければご一緒シテモ、宜しイデショウカ」
「え? でも、どうして?」
「この殺し合イの中、女性一人ハ危険だと思っテ、デモ無理にとは言いませン。何シロ自分もまだ伊藤さんと出会ったバカリデスシ、信用シロと言う方が無理ですヨネ」
「……」

考える椿。トロフィムの言う通り、死と隣り合わせのこの状況で欲望に首をもたげ、女相手に凶行に及ぶ男が居ないとは考えにくい。
勿論それも有るのだが単純に心細いと言う理由も有ってこの先一人で行動するのは正直不安である。
ここまで会話して、このトロフィムと言う白虎の青年は少なくとも自分に危害を加えるつもりは無いようだし信じても良さそう――――椿はそう判断した。
何だよお前の安全意識ガバガバじゃねえかよ

「分かりました、一緒に行きましょう」
「宜しくお願イしまス」

何はともあれ、椿はトロフィムを同行させる事にした。

◆◆◆

トロフィムは伊藤椿の事を隙を見て性的に襲おうというつもりは一切無い。
だからと言って邪な気持ちが無いとは言っていない。彼は椿の身を案じている「振り」をしているだけ。

(〈この子は僕の事を信用してくれたみたいだ。うん、好都合だな〉)

彼が椿と共に行こうと決めたのはひとえに都合良く利用する為にほかならない。
一人で行動するよりも二人で行動した方が、いざと言う時盾にも出来るし、他の参加者と会った時女の子を信用させ連れていると言う事で油断もさせやすい、
色々と便利なのである。椿は警戒していたようだが結局は自分を信じてくれたようだ、とトロフィムは思う。
この殺し合いにおいてトロフィムは自分の生存を第一に考えると決めていた。
積極的に他人を殺害し数を減らすのも良いがそうなると当然自分もリスクを背負わなければならない。
参加者は50人以上居る。自分以上の実力者が居る可能性も有る。長期戦は必至であり、出来るだけリスクの少ない方法を選ぶ必要が有る。

268 :揺れながら… ◆ymCx/I3enU :2015/10/22(木) 22:11:51.44 ID:MfQDEbHL
(〈上手く利用させて貰うよ伊藤椿さん。場合によっては君には死んで貰う事にもなりそうだけどね〉)

トロフィムが心中でそんな事を考えているなど、椿は分かる筈も無かった。


【明朝/D-4小中学校】
【伊藤椿】
状態:健康
装備:改造スタンガン(バッテリー残り100%)
持物:基本支給品一式
現状:死にたくない。殺し合いはしたくない。ミーウ(修明院美宇)と合流したい。トロフィムさんと行動する
備考:取り敢えずトロフィムは安全と結論付けましたが心のどこかでは少し不安に思っている

【トロフィム・クルトィフ】
状態:健康
装備:ヌンチャク
持物:基本支給品一式
現状:自分の生存が第一。その為に利用出来る物は利用していく。伊藤椿と行動しいざと言う時は盾にする
備考:修明院美宇の事を伊藤椿から聞いている

----
《キャラ紹介》
【伊藤椿】
読み:いとう つばき
年齢:17
性別:女
種族:人間
特徴:幼い顔つきのグラマラスな美少女。学校制服のブレザー着用
職業:高校生
備考:美少女である事以外は特に目立った特徴は無い普通の少女。
同じロワ参加者である修明院美宇(通称ミーウ)は幼馴染の友人であり、過去に痴漢被害に遭った所を救われた事も有る。
過去に存在した「オリジナルキャラ・バトルロワイアル」の登場人物・周参見椿がモデルのキャラクター

【トロフィム・クルトィフ】
年齢:26
性別:男
種族:虎獣人
特徴:白虎の獣人。長身かつ引き締まった肉体。赤い瞳。グレーのジャケットとズボンを着用
職業:国家特務執行部隊隊員
備考:フルネームは「トロフィム・マラートヴィチ・クルトィフ」。
ロシア風異世界国家に於いて反体制派、危険人物の抹殺や監視を任務とする特務機関に所属する一人。
戦闘能力と身体能力は一級品。普段は温厚だが、他人の命を平気で奪える程には非情であり冷徹。
旅行が趣味で休暇の際は良く出掛けている。日本語他数カ国語を片言ながら喋れる

《支給品紹介》
【改造スタンガン】
支給者:伊藤椿
分類:補助
説明:無茶な改造を施し威力を上げたスタンガン。かなり強力な電流が流せるが反動で壊れてしまうかもしれない。

【ヌンチャク】
支給者:トロフィム・クルトィフ
分類:鈍器
説明:琉球古武術の武器の一つで、二本の堅い樫の棒を鎖で連結した物。
某アクションスターが「ほぁたー」などと声を発しながら振り回していたあれ。
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269 : ◆ymCx/I3enU :2015/10/22(木) 22:12:52.42 ID:MfQDEbHL
投下終了です
二人でいる事のメリット書いている部分ガバガバですが気にしないで下さい
やっとモチベが復活してきた

270 :魔法少女育成計画twilight ◆TOWNwDBZa. :2015/11/01(日) 18:35:18.93 ID:UUITB5og
投下乙です!

自分の企画ですが、遅くとも今週中には投下しようと思っていますので、今しばらくお待ち下さい。

271 : ◆ymCx/I3enU :2015/11/01(日) 20:38:28.46 ID:qJN6w9GE
投下します
タイトル:INTERFACE
登場人物:布川小春、藤堂リフィア、志水セナ

272 :INTERFACE ◆ymCx/I3enU :2015/11/01(日) 20:38:54.34 ID:qJN6w9GE
14話 INTERFACE

布川小春14歳はとある神社の巫女。と言っても別段特別な能力が有る訳でも無い。
強いて言うなら年の割に大人びた魅力的な身体付きと言うだけ。
神社兼自宅で訳有って一人暮らしをしていた。一応たまに親戚が様子を見に来てはいたが。
ある時神社に汚いオスの野良犬が住み着いた。妖犬か魔犬の類のようだったが毛皮はボサボサで何とも言えない異臭を放ち、
常に涎を垂らしていて目にも知性は無かった。知能も低いようで片言しか言葉を発せないようでもあった。
そんな野良犬に、小春は「惚れた」。何故かは不明であるが一目惚れした。
「タロー」と言う名前を付け、普段一人暮らしで少し寂しかった小春にとっての交流相手になったのだ。タローも小春には懐いたようで、よく甘えた。
そんな彼女だが更にタローに惚れる切欠になったのは、タローが軒下で自慰をしているのを目撃した時。
タローの陰部は何らかの性病によって幾つものイボが出来て真珠を幾つも埋め込んだようになっていた、それを見て小春はある種の感動を覚えてしまう。
自分はどうやら「汚いモノ」に興奮してしまう性癖らしい、と、小春は考えた。
そしてある日、小春はタローと「交わる」。汚れを知らぬ少女の身体は薄汚い野良犬によって存分に蹂躙され、小春はこの上無い至福を感じた。
以来小春とタローはより親密になり、毎日のように行為を楽しんでいた。

のだが。

気付けば二人一緒に殺し合いゲームの中。

「タローを探さないと」

巫女服を着た小春は、B-5の草原地帯の草むらにて、支給された大昔の小銃であるスペンサーM1860カービンを手にしながら今後の指針を口にしていた。
スペンサーカービンはフルサイズよりも軽いとは言え銃など扱った事も無い小春にとっては十分に重い。
かといって身を守る現在唯一の手段をデイパックの中にしまいっ放しにしておく訳にもいかない。

「かゆいなぁ」

巫女服の上から己の股間辺りを軽く?く小春。
タローと交わるようになって何ヶ月か経ち、恐らく病気を移されたのだろう、最近秘部に痒みを感じるようになった。
だが小春は後悔はしていない。むしろ「タローとの情事の証」として喜ばしく思う有様。

「あっ誰か居る」

少し歩いていると狼獣人の少女を発見する。自分より少し年上に見えた。

「あのー」
「!」

話し掛けると狼少女は少し驚いた様子で小春を見る。

「大丈夫です。私は殺し合いには乗っていません」
「本当……? それなら私も乗っていないんだけど」
「それは良かった。あの、何か、きったない大きな犬を見ませんでしたか? 知り合いなんですけど」
「犬? ごめんなさい、見てないわ」
「うーん、そうですか……あ、私は布川小春って言います。見ての通り、巫女です。コスプレじゃないです」
「私は藤堂リフィア、巫女さんなのねー」

友人のコスプレ好きが良く巫女の格好をしていたなと、ふとリフィアは思い出す。もしかしたらその友人とは二度と会えないかもしれぬとも。

「あ、そうだ。小春ちゃん、で良い? 小春ちゃんもし良ければ一緒に……」

一緒に行かないかと持ち掛けようとしたその時、リフィアは首に衝撃を感じた。
喉の奥から鉄錆の味のする温い液体が込み上げてくる。一気に意識が遠のいていく。
意識が消える寸前、リフィアの視界に呆然とした様子の小春の顔が映った。

「えっ」

目の前でリフィアの首に銀色の矢が刺さり、リフィアは崩れ落ちて血溜りを作り動かなくなった。
何が起きたのか分からず困惑する小春であったが、左上腕に衝撃を感じ、更に激痛が小春を襲い、彼女は我に返る。

273 :INTERFACE ◆ymCx/I3enU :2015/11/01(日) 20:39:35.24 ID:qJN6w9GE
「いった、あ、う、うわあああああああ!!?」

絶叫し取り乱す。
とにかく襲撃されてると言う事だけは辛うじて理解出来た為、脇目も振らず逃げ出した。

(痛い! 痛い! こ、殺される! 逃げなきゃ!)

リフィアはもう死んだと小春は思った。
首に矢が刺さって大量に血を流して生きているとは思えない。まだ生きていたとしてももう助かるまい。
それ以前に今は自分の事だけで精一杯だ。

痛みを耐えながら涙を流しながら小春は只管走った。

気がつくと小春は港の倉庫群のすぐ近くに立っていた。周囲を見回すが誰も居ない。先程の襲撃者は撒いたか、追ってきていないようであった。
だからと言って安堵も出来ないのだが。左上腕には矢が刺さったままで、ドクドクと流血し激痛を小春にもたらしていたのだから。

「うぐうう、痛いよぉ……」

呻く小春。痛みで定まらぬ思考の中、その足は港へと向かっていた。

◆◆◆

競技用のクロスボウを携えた、眼鏡を掛けた狐耳の少女が、つい今し方射殺した狼の少女の死体に近付く。
もう一人には逃げられたが特に問題は無かろう。

「こんな開けた場所で立ち話してるからよ……」

己の迂闊さを呪えと言わんばかりの台詞を発しながら少女、志水セナは狼少女のデイパックを漁ろうとした。

ガシッ。

そんなセナの左手が掴まれる。
誰に? 殺した筈の狼少女に。

「ナ、に、じてる、の」

喉の奥に何か詰まったようなくぐもった声で狼少女ことリフィアがセナに問い掛ける。
睨み付ける相貌は怒りに満ちていた。

「嘘、何で」

何故生きている、と言おうとしたセナの顔面に強烈な殴打が入った。
軽く1メートル程後ろに吹き飛ばされ、悶絶するセナ。その際眼鏡を落とすがそれに構っている余裕など無い。

「何しテるって、聞いてんダよォ!!」

牙を剥き出して怒鳴るリフィア。たった今セナを殴打するのに使った右手の拳を血が出る位固く握り締める。
首に刺さった矢を引き抜き、乱暴に放り投げた。
傷口から再び血が噴き出すが意に介さない。

「ひ、ひいい、ま、待って、いや、あの」

鼻血が噴き出る鼻の辺りを押さえ涙目になりながら、セナが弁解しようとした。
眼鏡を無くし狼少女の表情は良く見えなかったものの怒り心頭だと言う事はすぐに理解した。
何故相手が生きているのかよりもこの場を乗り切る方法を考えなければ、そう思うセナではあったが、
この場を何事も無かったかのように切り抜けられる言い訳は全く思い浮かばない。

274 :INTERFACE ◆ymCx/I3enU :2015/11/01(日) 20:40:01.78 ID:qJN6w9GE
「お前か? 私と、小春ちゃん、射ったの?」

射たれる前とはまるで別人のようなドスの利いた声と乱暴な口調でリフィアがセナに訊く。

「あ、う」
「おい」
「わ、訳が、これには訳がっ」
「射ったんだな!?」
「ひいぃ! ま、待っ……」

状況と当人の態度からして目の前の狐耳少女が自分と小春を射った張本人だと断定したリフィアは最早弁明には全く耳を貸さず、
狼狽するセナの顔面に渾身の力で蹴りを入れた。
倒れたセナの頭部を何度も何度も踏み付ける。不快害虫を踏み潰す時の如く。
断続的にセナの命乞いの声が響いたが、全て無視された。

ようやくリフィアの足が止まったのは、靴の裏も真っ赤に染まり、セナの頭部が直視出来ない程破壊されただの大きな肉の塊と化した頃だった。

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……あっ……あ……やっちゃった……うえ」

ようやく怒りが収まり我に返るリフィア。自分が生み出した惨状を見て吐き気を催す。
いくら自分を殺そうとした相手とは言えここまでする必要は無かったかもしれない。そう思える位狐耳少女の頭部は酷い事になっている。

リフィアは不死体質であった。
頭部を完全に破壊されたり首を切断されたり身体を木っ端微塵にされたり全焼させられたりしなければ、
頚動脈を切ろうが心臓を刺されようが首を吊ろうが絶対に死なず一時仮死状態になるだけ。
クロスボウの矢で首を射抜かれた程度では死なない。
そして仮死状態から復活すると一時的にかなり凶暴になる。専門家曰く「防衛本能」との事。
元々のリフィアは心優しい少女である。

「……小春ちゃん、逃げたみたい……大丈夫かな」

一人逃げたらしい小春の事を気に掛けるリフィア。
自分を置いて逃げた事を責めるつもりは全く無い。あの状況では自分は死んだと思われただろう。
意識を失う直前、矢を受けていたのを見ていた為、尚更心配であった。

「いたた……折角殺し合いに乗ってない人と、出会えたのに……また会えると良いけど」

首の痛みを気にしつつ、リフィアは自分の荷物と、セナの持っていたクロスボウとその予備矢を回収し、歩き出した。


【志水セナ  死亡】
【残り47人】

275 :INTERFACE ◆ymCx/I3enU :2015/11/01(日) 20:41:12.64 ID:qJN6w9GE
【明朝/B-6港周辺】
【布川小春】
状態:左上腕に矢が刺さっている(出血微量だが矢を抜くと増える恐れ有り)、秘部が少し痒い
装備:スペンサーM1860カービン(7/7)
持物:基本支給品一式、.56-56スペンサー弾(14)
現状:殺し合いには乗らない。タローを捜す。傷を何とかしたい
備考:藤堂リフィアは死んだと思っている。襲撃者(志水セナ)の容姿は把握していない

【藤堂リフィア】
状態:首に矢傷(貫通している)、出血多し(命に別状は無し)
装備:不明
持物:基本支給品一式、不明支給品、競技用クロスボウ(0/1)、クロスボウの矢(9)
現状:殺し合いには乗らない。但し襲われたらそれなりに対処はする
備考:布川小春の事は気に掛けているが今の所追う予定は無い

----
《キャラ紹介》
【布川小春】
読み:ふかわ こはる
年齢:14
性別:女
種族:人間
特徴:黒髪。年不相応に大人びた魅力的な身体。巫女服姿
職業:中学生兼巫女
備考:とある神社の巫女をしている。訳有って一人暮らし。
いつも家で一人で退屈していたところへオスの野良犬が神社に住み着き一目惚れし「タロー」と名付け親密になる。
その際自分が「汚い物」「汚される事」に興奮を覚える性癖の持ち主であると自覚。
タローと一線を超え、病みつきになっている。最近タローに性病を移されたようで秘部が痒くなってきているがさほど気にしていない。
巫女ではあるが特殊能力が有る訳では無い、と思う

【藤堂リフィア】
読み:とうどう-
年齢:18
性別:女
種族:狼獣人
特徴:銀と白の毛皮の狼獣人。巨乳で金色の瞳。学校制服のシャツとスカートにベストを着用
職業:高校生
備考:愛称「リフィー」。不死体質を持った少女。
首を切断される、頭部を粉々にされる、身体を全焼されたり木っ端微塵にされるなどしなければ致命傷を負っても仮死状態になるだけで死なない。
但し仮死状態から復活すると一時的に非常に凶暴になり普段の彼女から想像もつかない程攻撃的になる。
基本的には心優しい性格である

276 : ◆ymCx/I3enU :2015/11/01(日) 20:42:28.38 ID:qJN6w9GE
【志水セナ】
読み:しすい-
年齢:17
性別:女
種族:半狐獣人
特徴:金髪の狐耳、尻尾の少女。眼鏡を掛けている。体つきは普通。学校制服のセーラー服着用
職業:高校生
備考:愛想が悪く、打算的。そのせいで友達は少ない。
近所の食堂「川田屋」に良く食べに行っておりそこの主人であり本ロワの参加者の一人である川田喜雄とは知り合い


《支給品紹介》
【スペンサーM1860カービン】
支給者:布川小春
分類:銃火器
説明:1860年にアメリカのクリストファー・スペンサーが設計したレバーアクションライフル。
レバーを操作して排莢、次弾装填を行いハンマーは手動で起こすという方式。
南北戦争で北軍に使用され幕末の日本でも輸入され使用された。本ロワ登場のカービンは八重の桜の山本八重が使用していた奴である。

【競技用クロスボウ】
支給者:志水セナ
分類:その他
説明:競技用に設計されたクロスボウ(ボウガン)。本来は戦闘用では無いが十分殺傷能力は有る。
本ロワに登場する物はオーストリア製のコンテンダーと言う物。安価で購入しやすいらしい。
----
・・・・・・・・・・・・・・・

投下終了です

277 :魔法少女育成計画twilight ◆TOWNwDBZa. :2015/11/02(月) 01:37:29.14 ID:5VoQ3bQB
投下乙です
意外とノッてしまったので、まほいくtwilight、書けた分を投下します。

278 :フレイム・フレイミィの子供達(1) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/02(月) 01:39:38.50 ID:5VoQ3bQB
◆ ◆ ◆


 第一章 《 フレイム・フレイミィの子供達 》 


◆ ◆ ◆


☆魔法名医シャルル

「いやー、だるいっすねェセンセー」

 助手の魔法少女「バースデイ・リック」がだらしなく伸びをしながらそんな台詞を吐いた。
 普段は勤務態度がなっていないと窘めるところだが、今回ばかりはシャルルも同意見である。
 夕暮れに沈む雨の町並みをビジネスホテルの最上階から眺める度、どうせならもっと都会の街に行きたかったと思う。
 ずっと魔法の国に居を構えていたから、こっちへ戻ってくるのも随分久しぶりだ。
 休暇を取って戻ってきたとしても、大概が貯金を崩して海外旅行と洒落込んでいたものだから、尚更この言っては悪いが地味で、特に見所もない町に退屈なものを感じさせられてしまう。
 
 魔法少女は基本的に健康体だ。
 人間用の毒やウイルスでは害せないし、生半可なことじゃそもそも怪我すらしない。
 食事や睡眠も不要で排泄などは以ての外。そんな存在を相手に医師を営んでいるのが、このシャルルという魔法少女だった。 
 シャルルの経営する診療所は、人間社会でいう所の闇医者に近い。
 一つ違うところがあるとすれば、その活動が公的に認められ、それどころか評価されているところだろう。
 シャルルの患者は魔法少女同士の戦闘や諍い、謀殺紛いの事案に巻き込まれて負傷を被った魔法少女である。
 患者は昼夜時間を問わずに診療所の門扉を叩く。
 シャルルの仕事は、そんな彼女達へ事情を聞かず、何も言わず、ただ施せる最上の治療を提供すること。

 彼女の魔法は「みんなとお医者さんごっこをして遊べる」というものだ。
 響きだけを聞けば間抜けなことこの上ないと自分でも思うが、しかしこの間抜けな響きこそが、シャルルが「魔法名医」の二つ名を賜るに至った最大の理由であったといってもいい。
 要は、シャルルの施す医術は全てごっこ遊びなのだ。
 診療所を開設してからもう大分経つが、未だにシャルルは正しいメスの握り方さえ知らない。
 傷口の縫合のやり方も、昔家庭科の授業で習った布の縫い方をそのまま流用している。薬の調合は適当な雑草に水や紅茶をかけて混ぜているだけだし、PTSDを取り除くための話術なんて、ただ適当な絵本を読み聞かせてやるだけだ。
 信用問題になってくるからこのことは絶対に他言するなと助手や関係者に口を酸っぱくして念押しされる毎日だが、それでもシャルルの診療所を訪れた患者は九割以上が完治して社会へ復帰していく。
 助けられないケースもたまにはあるものの、それは大概既に死んだ状態で担ぎ込まれてきた場合だ。
 さすがのシャルルでも、失われた命までは治せない。それはごっこ遊びの範疇を過ぎている。
 とはいえ、それだけの人命救助率を誇る魔法少女なのだ。
 自ずと名前は知れ渡り、いつしかシャルルは魔法名医などという大層な名前で呼ばれるようになっていった。
 あまり目立つのが好きでないシャルルとしては、普通に「シャルル」のままでよかったが、彼女が無名だった頃から助手をやっていたリックは実に誇らしげだった。
 でも彼女も、今となってはシャルルの名が知れてしまったことを悔いているだろう。
 まさかよりにもよって、こんな面倒事に駆り出されるとは思ってもいなかった――と。

 その仕事が舞い込んだのは一昨日の晩のことだった。
 
 特に患者が来ることもなく、リックと暇潰しに二人でトランプなどして遊んでいた所にやって来た来客。
 見るからに上層部からの使いといった風体の魔法少女は、たかだか使い走りの分際でやけに偉そうだった。
 リックがいつ食ってかかるかとヒヤヒヤしながら見守っていたのだが、話の雲行きが怪しくなってきたのは――シャルルの旧知であった、とある魔法少女の名前が出たところからだった。
 
――フレイム・フレイミィ。

 懐かしい名前だった。
 そして、もう二度と関わることがないであろうと思っていた名前でもある。
 今思えばシャルルは友人だと思っていたが、あっちはきっと体のいい舎弟程度にしか思っていなかったのではないだろうか。そう思うと、割とドライな思考回路の持ち主と自負しているシャルルも流石に悲しくなる。
 魔法少女になりたての頃は、派手で分かりやすく強い彼女の魔法へ真剣に憧れたものだった。

279 :フレイム・フレイミィの子供達(1) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/02(月) 01:40:10.90 ID:5VoQ3bQB
 違えた道は、もう二度と同じになることはなかった。
 少し思う所があったが、医者という職業をしていると人の生死や運命を割り切れるようになる。
 たとえごっこ遊びの延長線であろうと、それは同じだ。
 フレイミィにはフレイミィの、自分には自分の生きる道がある。
 あいつは失敗して、私は成功した。それだけのことで、どこまでいってもそれ以上にはなりはしない。

 そのはずだった。
 なのにその態度の大きな来訪者は、事もあろうにこんなことを言ってのけたのだ。


  ――北の港町、H市。
  ――そこへ、かつてフレイム・フレイミィの『試験』を乗り越えた『子供達』が逃亡、潜伏している。
  ――人事部門の同僚三名を惨殺し逃亡していることから、魔法の国への離反意思があることはほぼ明白。
  ――恐らく目的は、『試験』の実施。形式は言うに及ばず、『森の音楽家』が用いたものである。


 勘弁してくれと思った。なまじ医師として精神分野に精通しているから、その先何を言いたいかが分かってしまったのだ。
 そして予想は的中した。どうやら上層部は、この魔法名医とその助手リックに、渦中のH市へ向かって欲しいらしい。
 リックが待ったをかけた。問い質してみるとその理由は――あまりにも馬鹿げたものであった。

 上層部は、未だに自分がフレイム・フレイミィの『試験』へ関与していたと思い込んでいるというのだ。
 
 その件に関しては、事が明るみに出た頃に散々事情聴取をされた。
 最終的には心理干渉系の魔法の使い手まで出てきて、それでやっと解放された苦い思い出だ。
 それでてっきり疑いは晴れたと思っていた。現に魔法のパティシエが作ったという菓子折りも送られてきた。しかしこんな無理難題が舞い込んでくるということは――

「お上にはまだ、センセーのこと疑ってる連中がいるってことかあ」
「面倒な話だが、そうらしい」

 バカな連中だねぇ、嫌になるねぇ。
 明らかに不貞腐れた調子で唇を尖らせるリックの姿に、シャルルは口元を緩める。
 バースデイ・リックとの付き合いは長い。彼女は小手と一体化した盾を両手に備えた、どこか騎士のような魔法少女だ。
 しかしこの通り言動は軽薄で、人懐っこいように見えて意外と人見知りが激しい。最初の頃はちょっとした意志疎通にも結構な手間を掛けさせられたものだったが、今ではこの通り、すっかり懐いてくれている。
 きっとリックは、シャルルがありもしない疑いをかけられているのが腹立たしいのだろう。

「でもちょっと今回のコトは無能すぎません? 
 いくらフレイミィとの繋がりが過去にあったからって、それでセンセーに試験止めてこいとか、無理言うなよハゲって感じなんですけど」
「そうだね。更に言うなら、おかしいことはもう一つある」

 シャルルは指を一本立てた。

280 :フレイム・フレイミィの子供達(1) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/02(月) 01:40:58.83 ID:5VoQ3bQB
「何より不可解なのは、疑うべき対象である私をみすみすフレイミィの『子供達』と引き合わせるところだよ」
「あー、確かに。それで二人揃ってトンズラでもし始めたらどうするつもりなんでしょーね」
「まあ、どちらにせよ今回の指示は疑問が残ると言わざるを得ないな。それを受けてしまう我々も我々だが」

 魔法名医シャルルと助手、バースデイ・リックの二人が今回命ぜられたのは、先ほどリックが述べた通り、「フレイム・フレイミィの『子供達』による非合法試験の破壊」である。
 ……まず間違いなく、何度聞いても、医師に任せる仕事ではない。
 当然断ろうと思ったが、あの伝令役は明らかにこちらの足下を見ていた。
 シャルル診療所が如何に名を馳せているとはいっても、時には犯罪者とすら癒着する運営方針を「魔法の国」が黙って看過するかと問われれば否である。
 医術を用いて「魔法の国」の運営へ貢献している働きを鑑み、これまでは活動を容認こそされねど、黙認はされていたのだったが――これを断れば、いよいよこれまで通りとはいかないぞ、と。
 闇に片足を突っ込んだ職業の宿命だ。
 お上に目を付けられてはのっぴきならなくなる。
 後はもうなし崩しだった。つい数時間前にシャルルとリックはH市へと到着を果たし、こうして雨降りの黄昏時を惰性で過ごしている。

「……とりあえず、もう少し休んだら町へ出て、先遣隊の魔法少女と合流することにしようか」
「そーっすねェ。あー、あたし仲良くできるかなあ」
「毎度仲を取り持つために奔走する私の身にもなってほしいところだよ」
「だってこういうワケの分かんねー仕事押し付けてくるクソ上層部と同じ穴の狢な連中ですよぅ?
 どうせとんでもねークソ女とかメンヘラとかが来るのが見えてますもん。あーやだやだ……」

 これは、今回も苦労させられそうだ。
 多難な前途を想いながら何度目かの嘆息をして、魔法名医シャルルは身をベッドへ横たえた。

281 :フレイム・フレイミィの子供達(1) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/02(月) 01:41:52.52 ID:5VoQ3bQB
投下終了です。
次回は魔法名医シャルル、バースデイ・リック、にゃんぴぃ、リンカーペル、クロックシルクを出す予定です。
今週中には投下します

282 :フレイム・フレイミィの子供達(2) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/12(木) 01:24:17.68 ID:Xiw5a8mJ
少し遅れましたが投下します。
多分連投規制を食らうと思うので、その時は
ttp://www26.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/4255.html
こちらへ直接続きを収録しますから、ぜひ続きはそちらで御覧ください。

283 :フレイム・フレイミィの子供達(2) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/12(木) 01:25:03.50 ID:Xiw5a8mJ
☆リンカーペル

 時刻が午後六時を回った頃だった。
 秋も深まったこの時期は、この時間ともなれば既に辺りは真っ暗闇だ。
 寒空の下、星の瞬く夜空を見上げながら帰途に着くのもまた乙なものだが、しかしそれだけに危険も多い季節である。
 変質者、足元を疎かにしての転倒、交通事故。考えられる危険は他にも数ほどある。
 そういうものから善良な市民を守る為に、魔法少女達は陰ながら奔走し、本当にささやかな正義の達成感に浸るのだ。
 このH市における魔法少女とは、特にこれと言って何かノルマの類を持っているわけではない。
 ペルを魔法少女にしてくれた「タウンズマスター」もそう言ってくれたし、実際、最初にちょっとした研修のような指導があった以外にペルは何も彼女やそのマスコットキャラクターから干渉を受けていない。
 勿論、魔法少女の力を悪用しようと目論めば彼女達はすっ飛んで来て、引っ叩いてでも止めただろうが、ペルはそんなことは一度も考えなかったし、そういう行動に走る輩がいるという話も聞いた覚えはなかった。
 この街と、この街を守る魔法少女の暮らしは、真実平和そのものだった。

 四葉蜜柑は、人生のあらゆる場面で「使えない」と謗られてきた。
 何かの行事に携わったり、役割を任されたり、果てには互いに顔の見えないネットゲームの世界ですら蜜柑が誰かの役に立てる場面はなかったように思う。
 正確には、役に立てないわけじゃない。単純作業のように何も考えないで行える作業なら淡々と正確に続けることができるし、学生時代には陸上部に所属して県内大会の上位にまで上り詰めたこともある。
 一人で何かをする分には、蜜柑は強い。自分のすべきことを的確に見つめ、それに向けて邁進できる。
 学問だってそうだ。高校の頃には日が変わるくらいまで知人の経営する学習塾に毎日のようにぶち込まれていて、そこで不満一つ漏らすことなく延々と勉強に明け暮れていた。その結果は蜜柑を確実に強くしてくれ、無事難関の第一志望校への合格という成果をもたらしてくれた。
 しかし複数人で何かをする場面になると、途端に蜜柑は弱くなる。使い物にならなくなる。
 一人なら出来ることが出来なくなって、やることなすことがとことん裏目に出て、最後には普段絶対しないような凡ミスから大ポカをやらかし、周りから怒りや失望を買って見放されるまでがワンセットだ。

 要するに、彼女は人と何かをする協調性が皆無に等しかった。
 あの子は何を考えているからこうしてほしい筈で、でもこの子もこう考えていると思うからきっとああしてほしい筈。
 そんな調子で両立できない事柄を両立させようとする余りに要領の悪さを発揮し、最後は無能と罵られる。
 大学までは行事などへの参加を極力避ける、そういう役割を請け負わないなどして自衛することでどうにか切り抜けていたが、社会人として働き始めてからは、毎日が苦労と疲弊の連続だった。
 仕事はワンマンプレーでは成り立たない。オフィス内の人間関係や連携を疎かにすれば必ず致命的な綻びが生まれる。
 そこは蜜柑の最も苦手とする環境で、彼女の不安はものの見事に的中した。
 出勤初日で部長に怒鳴られた。二日目に取り寄せる品物の数を一桁間違えた。三日目に散々テンパッて混乱、迷走を重ねた挙句共同プレゼンのデータを吹き飛ばし、同じグループの面々に大恥をかかせてしまった。
 
 もしも蜜柑に失敗して何が悪い、カバーできないお前らが悪いんだろうと開き直れる図太さがあったなら、彼女はきっと魔法少女に選ばれることすらありはしなかっただろう。
 蜜柑はずっとこんな自分が嫌いだった。
 皆に迷惑をかける度に消えてしまいたいくらいの申し訳なさに押し潰されそうになっていたし、陰口を叩かれているのを知るたびに当然だと納得して、だからこそ誰にも相談できないまま、一人心の傷ばかりを募らせていった。
 そして蜜柑の心は、大人になって社会の厳しさを思い知った頃、遂に破傷風を発症した。
 消えてしまいたい、ではなく、消えよう、と思うようになった。
 出来心で手首に刻んだ赤い線は、日に日にその数を増やしていった。

284 :フレイム・フレイミィの子供達(2) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/12(木) 01:25:41.81 ID:Xiw5a8mJ
 母からは精神科への通院を打診された。
 それからは週三回、意味があるのかどうかも定かじゃない問診を終えて、処方された精神安定剤の袋を握り締めながら、蜜柑は街の真ん中を貫いている大きな川を見つめていた。
 
 ――やあ。

 その時だった。
 蜜柑は気さくな声に振り返り、……思わず、息を呑んだ。
 そこに立っていたのは、一言「異様」な人物だった。
 顔を狐のお面で覆い隠し、白いドレスを乱れなく着こなした少女。
 お面のせいで人相は確認できないのに、醸すどこか浮世離れした雰囲気が、仮面の下の素顔の美しさを保障しているように思える。鬱屈とした感情など吹き飛ばしてしまうほど、その出会いは衝撃的だった。

 ――きみは、可愛いね。

 誰なの、そうか細い問いかけを漏らすのが精一杯だった。
 仮面の彼女はくすりと笑って、「タウンズマスター」と名乗った。
 明らかな偽名、コードネームのたぐいであったことに少しだけ不信感を抱いたが、それも彼女が次に口にした言葉の前に容易くかき消されてしまう。
 
 ――ねえ、きみは。

 夏がまた来年と去って行き、秋が久し振りだねとやって来る、そんな狭間の季節に現れた彼女は、四葉蜜柑の何もかもを変えてくれた。冗談抜きで人生のどん底にいた彼女を、薔薇色の日々へと引き上げてくれた。
 
 ――魔法少女に、興味はある?

 それに何と答えたのかはよく覚えていない。
 ただ、気付けば蜜柑は魔法少女「リンカーペル」に変身して、夜の町並みを自由自在に駆け回っていた。
 ビルの壁と壁の間、数メートルはくだらない距離をぴょんぴょんとスキップ気分で飛び越える。歩き慣れた散歩コースを全力で走ってみた時の感動と来たら、とても言葉には言い表せない。
 高校時代に出場した県大会で蜜柑がどうしても追い付けなかった他校のスプリンターなど最早目ではない。
 それどころかレーシングカーにだって引けを取らない速度で、蜜柑は――いや、リンカーペルは走ることが出来た。
 ペルはずいぶん久しぶりに心の底から笑った。それから夜が明けるまで、魔法少女の力をとことん試して試して、人生で初めての朝帰りをした。
 母にはこっぴどく叱られたが、蜜柑は嬉しくて嬉しくて堪らなかった。あの興奮は今も覚めやらぬままで、胸のどきどきと高揚感を抑えながら会社へ出勤して――その日から、蜜柑は一度も誰かに怒られていない。ミスもしていない。

 ペルの魔法は『頭の中で会議をすることができる』というものだ。
 決して派手なものじゃない。ペルが好きだったマジカルデイジーのように見栄えのいい魔法でもない。
 しかしこの魔法は、ペルを二十年以上も悩ませ続けてきた欠点を克服させてくれた。
 ペルは人と協力して作業したり、何かを任されると途端に駄目になる。けれどペル自身は決して人が嫌いなわけではなかったし、失敗の原因はいつも、ただ考えすぎて裏目に出てしまうだけであった。
 今、ペルの頭の中には五人の『リンカーペル』がいる。
 魔法少女になっていない時でも彼女達はいつも頭の中に住んでいて、ペルが助言を求めると脳内会議を始め、彼女一人では到底思いつかないような結論を弾き出してくれるのだ。
 「私」と「僕」と「俺」と「儂」と「ウチ」。そして、彼女達にいつも助けを求める「ペル」。
 三人寄れば文殊の知恵とはいうが、ペルの場合は六人だ。二倍の人数で臨むのだから、まず今までのようなポカをやらかすことはなくなる。そしてそれだけで、ペルの人生は光に満たされた。

285 :フレイム・フレイミィの子供達(2) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/12(木) 01:26:19.24 ID:Xiw5a8mJ
 それからペルは頑張った。
 仕事の合間や休み時間、帰り道から休日まで、とにかく頑張って人助けに精を出した。
 タウンズマスターは数ほどいる人間の中から、わざわざ自分を選んでくれたのだ。
 タウンズマスターがいなければ、「四葉蜜柑」は今頃押し潰されていただろう。彼女がリンカーペルというもう一つの顔をくれたから、蜜柑は蜜柑でいられる。ペルも、ペルでいられる。
 だからせめてもの恩返しに、彼女からもらったこの力を正しく使い、みんなに笑顔をあげようと思った。
 魔法少女は人目をなるだけ避けなければならない。その大原則を守りながら街を練り歩き、トラブルの解決に勤しむのはなかなかに骨の折れる作業だったが、それだけに楽しかった。
 人生でこれほど楽しいと思ったことはないかもしれない。誇張抜きにそう思わせてくれるほどの有意義な時間。これが永遠に続いてくれれば、それに優る幸せはないとペルは本気で思っていた。


「ひーたんからの連絡。
 七階の、左から四番目――あそこに、二人組の魔法少女が宿泊してるってさ。
 完全に油断しきってるっぽいから、一撃でぶっ潰すにはちょうどいい。幸先イイね」

 
 なのに、どうしてこんなことになってしまったんだろうか。
 ペルは、魔法の端末での通話を打ち切ると、冷淡に魔法少女のあるべき姿とかけ離れた言葉を口にした猫の少女を見て静かに唇を噛んだ。ふと視線をずらせば、懐中時計を首から提げた魔法少女も同じように浮かない顔をしているのが目に入った。
 その姿に「自分だけじゃないんだ」などと安堵を覚えてしまう自分の存在が恥ずかしい。
 
「あ、あの……本当にやるんですか、にゃんぴぃさん……?」
「殺るよ。ぶっ殺す。コロの話通りなら、それでとりあえず一週間は保つんでしょ。
 それに、もし二人ともぶっ殺せたらアイツに交渉できるかもしんないし。
 『死人が二人出たんだから、これで二週間分の死人ってことにしろ』とかサ――って、クロックシルク、お前」

 猫の魔法少女「にゃんぴぃ」の顔に、見る見る血が上っていくのが分かった。
 
『止めに入った方がいいのではないか?』
『僕も「儂」に同じく。にゃんぴぃはキレると見境なくなるタイプだからね』
『下手に指咥えて見てりゃ、クロックシルクが殺されちまうかもしんねえしな! かっはっは!!』
『口は悪いけど、「俺」の言う通りだとウチも思う。勇気を出して、「ペル」』

(みんな――うん、分かった。「ペル」、頑張る)

 時計の魔法少女「クロックシルク」は争いごと向きの性格をしていない。
 一方でにゃんぴぃは名前と可愛らしいコスチュームに反して、性格も魔法もバリバリの武闘派だ。
 そんな二人がぶつかればどうなるかなど、想像に難くない。
 そしてそうなることだけは絶対に避けなければならなかった。
 ここにいない「ひーたん」も、そう思うはずだ。

「待って。今は喧嘩してる場合じゃない。そうでしょ」
「あたしだってそう思ってるよ……けどこいつ、この期に及んでまだこんな腑抜けたこと言うもんだからさ」
「クロックシルクは優しい子だから。納得出来ないかもしれないけど、分かってあげて。
 にゃんぴぃだって、クロックシルクに死んでほしいなんて思ってないでしょ?」
「それは……そうだけど」

286 :フレイム・フレイミィの子供達(2) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/12(木) 01:27:15.49 ID:Xiw5a8mJ
 ばつが悪そうに目を逸らす辺り、にゃんぴぃが心根から腐りきった暴力主義者でないことがよく分かる。
 彼女も悪くない。勿論、クロックシルクだって悪くない。
 ひーたんも、そしてリンカーペルも、誰も悪くなんてない。
 きっと――あの部屋にいる、二人の魔法少女も。誰も悪くない。

「……はぁ。ごめん、クロックシルク。ちょっと頭に血ィ昇った」
「いえ……私の方こそごめんなさい。あれほどみんなで話し合って、決めたことなのに」

 クロックシルクもばつが悪そうにしている。
 それを見て、ペルの頭の中の声がまた会議を始めた。

『よくない兆候ねぇ。「ペル」、ひとつ諭してあげなさいな』
『クロックシルクは優しいが、それだけでは今後を生き抜くにはちと厳しいからのう』

 「私」と「儂」の助言を受け、その通りだと思う。
 ペルだって、本当はこんなことはしたくない。
 誰かを助ける魔法少女が、別の誰かを傷つけるなんて――ましてや、同じ魔法少女を殺そうとするなんて、断じてあってはならないことだと思う。
 それでも――それでも。やらなきゃいけないことなのだ。やらなきゃ、誰も助からない。誰も幸せになれない。

「大丈夫。あなたは私たちが守るし、あなたには誰も殺させない」
「ペル……」
「……友達、だし。守るよ。だから、安心して」

 そう言って、クロックシルクの白髪を撫でた。
 こんなことをした経験は生まれてこの方本当に一度もないものだから、合っているか不安だったが、やがて彼女は小さく微笑んでくれたから、成功なのだと思うことにしよう。
 四人で生き残ると決めたんだ――ひとりだって欠けてはならないと思うし、みんなもそう思ってると信じている。
 ドクンドクンと心臓の高鳴りを感じる。
 にゃんぴぃがハンドベルを構えていた。これを鳴らせば、後戻りはできなくなる。人助けを生業としてきた魔法少女を廃業して、生きるために他の誰かを殺す魔法少女として生まれ変わることになる。
 クロックシルクは震えていた。
 覚悟を決めた物言いをしていたにゃんぴぃさえ、唇をがりりと噛み締めている。
 ペルは――黙ってそれを見ていた。いざとなったら、この中で一番「判断力」に優れている自分が司令塔となって皆を統率しなければならない。だから、怖がっている暇はないのだ。

「やるよ」
「うん」


 しゃりん――ハンドベルをにゃんぴぃが縦に振るった。
 その刹那、ホテルの駐車場に停めてあった観光バスの一台が重力を無視してふわりと浮き上がり、ミサイル弾もかくやといった勢いで目標の部屋をぶち抜いた。

287 :フレイム・フレイミィの子供達(2) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/12(木) 01:29:05.75 ID:Xiw5a8mJ
 あまりにも呆気ない一瞬で行われた超人技。まず間違いなく、普通の人間ならこれで死ぬ。それどころか、リンカーペルが仮にこれを受ける側だったなら、同じく即死に終わるだろう。
 時速百キロ以上で鉄の塊が炸裂するのだから、言わずもがな室内全域が攻撃範囲となる。
 偵察係のひーたんによって、同フロアは貸切状態にあると調べが着いていたからこそ遠慮することなく取れる策だった。
 バスは窓から入って部屋を突き抜け、廊下の向こう側に飛び出て漸く静止したらしい。
 壁にぽっかりと大穴が空き、そこからコンクリートの粉塵が止め処なく漏れ出ている。
 獲ったか――そう思った矢先。

「だめ! ペル、にゃんぴぃさん、殺せてません!」

 大穴の向こうから、二人の人影が此方を覗くのが見えた。
 魔法少女の強化された視力であれば、その人相や姿、状態をこの間合からでも正確に確認することが出来る。
 
「嘘……」

 相手は、無傷だった。
 粉塵で少し煤けてこそいるものの、掠り傷一つとして負っていない。
 下手な爆弾の炸裂より威力のある一発を不意討ちでぶちかましてやったのにも関わらず、である。
 茫然とする二人を尻目に、ペルは叫んだ。
 脳内の五人がやかましく叫び合っている。
 走れ。
 とりあえずそこから離れろ。
 危険だ。
 ――そんなこと、言われなくても分かってる!


「走って、クロックシルク、にゃんぴぃ! 一旦体勢を立て直す!」




――――

意外と投下いけました。
次回は引き続き今回のメンバーとひーたんで書く予定です。

288 :フレイム・フレイミィの子供達(3) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/16(月) 20:51:51.68 ID:Ka3SalQC
投下します。
今回こそ連投規制を食らうと思うので、その時は
ttp://www26.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/4255.html
こちらへ直接続きを収録しますから、ぜひ続きはそちらで御覧ください。

289 :フレイム・フレイミィの子供達(3) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/16(月) 20:52:18.32 ID:Ka3SalQC
☆魔法名医シャルル

 シャルルは決して、強い魔法少女ではない。
 むしろ肉体スペックだけで見ればその真逆だ。
 力もスピードも、いわゆる武闘派の魔法少女からすれば論外と言っていいだろう。
 その分魔法の有用性で釣り合いが取れているとこれまでシャルルは思ってきたが、こういう局面に立たされるとそれが強がりのたぐいだったのだと痛感させられる。
 
 突如ビル壁をぶち抜いて現れた鉄塊に、シャルルだけでは反応することさえ叶わなかったに違いない。
 よしんば察知できていたとしても無理がある。あんな超重量が投擲物として襲ってくれば、魔法少女とてまず即死だ。それがシャルルのようなもやしっ子であれば尚更。
 シャルルの魔法では、そういう攻撃、現象にまず絶対に対処できない。
 何故なら、医療の介入する余地がないからだ。少なくとも、シャルルの考える医療とはそういうものではない。
 シャルルにできることはあくまで「お医者さんごっこ」であって、血湧き肉躍る能力者バトルではない。
 ままならないものだと、助手の少女の後ろに隠れながらシャルルは思う。

 下手人の魔法少女達が瞠目した、シャルルたちの生き延びた手段とはこうである。
 事態をいち早く察知したリックが立ち上がり、シャルルを庇うように立った。その次の瞬間にはリックが持つ大きな盾を中心として、投げ込まれた鉄塊――かつてバス車両だったものは真っ二つに裂けていった。
 彼女たちの失敗は、相手が必ずしも無抵抗で殺される獲物ではないという当然の道理を失念していたことにある。
 魔法少女の戦いにおける基礎だ。
 我も魔法少女ならば、彼もまた魔法少女。
 故に対等。こちらが殺し札を持つのと同じ理屈で、相手もそれを防ぐカードを持っていることを念頭に置いて動くべきだ。

 リックが盾を真横に動かすと、がごんがごんと歪な音を立ててスクラップとなった観光バスが道を開けた。
 後始末をさせられる者は大変だろうな、とシャルルは少しだけ同情する。
 まるで裂けるチーズのようになってしまった鉄の塊を見て、駆けつけた警察などは混乱を露わにするに違いない。
 全く派手にやらかしてくれたものだ。だが、おかげさまで探す手間も省けた。

「試験官か、それともこちらを蹴落とすべき敵と勘違いした被害者達か……どう見る?」
「分かんないけど、三人組ってとこを見ると後者じゃないかなーと」
「一番面倒なパターンだね」

 枠ごとぶち抜いてくれたおかげで見晴らしがよくなった窓から、脱兎の如く逃げ去る下手人たちを見据えて嘆息した。
 いっそのこと、「魔法の国」からの刺客が派遣されたことに焦った黒幕が直接赴いてくれれば話は早かった。
 しかし、流石に相手は「魔法の国」相手に大立ち回りを演じた魔法少女だ。
 これで本当に試験官が自らやって来たというなら、あからさま過ぎて逆に怪しむところである。

「追い掛けよう、リック。おんぶしてくれ」
「センセーって、毎回思うんですけどプライドとかないんです?」
「仕方がないだろう。いくら魔法少女の体だからって、この高さから翔ぶのはちょっと憚られる。
 それに第一、私じゃどう頑張っても走っている君に追い付けない。何なら抱っこでもいいが、どうする」
「ハイハイ、いいからとっととおぶさりやがれです」

 遠慮することなく、シャルルはリックにおんぶされながら、自由落下の浮遊感に背筋を粟立たせた。
 魔法少女になれば精神性は自ずと強化されるが、それでもやはりインドア派の彼女には慣れない感覚だ。
 なあやっぱりちょっと待ってくれないか。そう言おうとしたのを遮るように、リックが全速力で走り出す。
 言動は頭が悪そうに見えるし、実際脳筋のきらいがあるリックだが、それでも伊達に魔法名医の助手をしてはいない。
 根本がダメ人間であるシャルルの扱い方ならば、誰よりも彼女が心得ていた。

290 :フレイム・フレイミィの子供達(3) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/16(月) 20:53:09.33 ID:Ka3SalQC
 時速三桁に達して余りある速度で、右手に大盾、背中にシャルルを背負ってリックは走る。
 程なくして、追われる者達も普通にやっているだけでは振り切れないと判断したのか、迎撃を試み始めた。
 しゃりんしゃりんしゃりん。
 鈴の音が鳴り響く。それと同時に、前方から猛スピードで軽自動車が飛んできた。
 それをリックは右手の大盾で防ぐ。この盾自体は彼女のコスチュームであって、大した力やいわくのある代物ではなかったが、しかしリックが使えばどんな魔法だろうと防ぐ無敵の盾になる。
 バースデイ・リックが持ったものは、何があろうと壊れないし壊せない。

 しゃりんしゃりんしゃりん。
 鈴の音に連れられて、色んなものが飛んでくる。
 しかしリックの盾は破れない。
 途中からは飛ばすものの数を増やすことで防御を掻い潜ろうとする工夫が見られたが、生憎と「なりたて」の魔法少女が編み出したちっぽけな作戦で遅れを取るほど、バースデイ・リックは未熟者ではなかった。
 盾を曲芸のように器用に踊らせながら何もかも防いで猛追する。
 シャルルは、この世でリックの後ろほど安心できる場所はないと割合本気で考えている。
 こういう剣呑な場面に立たされれば、尚更だ。

 四度目の曲がり角を曲がった時、三度目の鈴の音が響いた。
 しゃりんしゃりんしゃりん――今度は何も飛んでくる様子はない。
 ハッタリかと思った矢先、それはどうかな、と言わんばかりに異変が起きた。

「うお」

 シャルルをおぶったまま、盾を構えるリックの体が、急激に加速して逃亡者たる少女達へと近付いていく。
 まるで強力な磁石でもそこにあるかのようだった。リックが力づくで踏み止まろうとしても、さっぱり止まる気配がない。
 結果からすれば早く追い縋ることが出来るのだから何も悪いことはないように思えるが、敵にそれをお膳立てされるというのは不気味以外の何物でもない。というか、十中八九罠だ。
 
「どう見ます、センセー」
「どうやら、「ものを飛ばす」のではなくて「引き寄せる」魔法みたいだね。
 さっきのバスや車は、きっと自分めがけて引き寄せてからそれを避けることで擬似的な砲弾としたんだろう。
 そして私達は今、まんまとその子に引き寄せられている。
 飛んでくるものを相手するなら余裕だけれど、君自身が引き寄せられているとなると厳しいかな」
「なーるほど。でも、多分合図は鈴の音ですよね? さっきから魔法が使われる度に鳴ってますし」
「それは間違いないだろうね」

 了解、わかりやすくて助かります。
 言ってニヤリと好戦的に笑むリックの顔を見て、シャルルはこの助手が何をしようとしているのかを理解した。
 要は、引き寄せられること自体は仕方ないと諦める。
 その代わり、結果として接近したところで勝負を決める算段でいるのだ。
 魔法の発動体となる鈴を全て壊してしまえば、とりあえず主戦力であろう「引き寄せる」魔法少女は鎮圧できる。
 敵だとて馬鹿ではあるまい。アタッカーを落とされれば勝ち目がないと悟り、降伏する筈だ。そう思いたい。 

 景色が目まぐるしく変わっていく。
 魔法少女の脚力と比較してなお速い。
 すさまじい吸引力に、シャルルは自分の人相が大丈夫か少し心配になった。
 色気はない方だと自負しているし、そういうものに気を配っているつもりもない。
 けれども、女として最低限守らなければならないラインというのは承知している。
 自分の顔を触って何事も起きていないことを確認しようとした矢先に、その余裕は、前方から突撃してくる猫耳の魔法少女を前に潰えて消え去った。

291 :フレイム・フレイミィの子供達(3) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/16(月) 20:54:09.03 ID:Ka3SalQC
「死ねっ!」

 物騒な掛け声と共に拳が振りかぶられる。
 なるほど、吸引によってこちらに突撃を余儀なくさせ、速度を増して迫る敵手を最大威力で殴り殺す魂胆らしい。
 なかなか的を射た作戦だとは思うが、しかし相手は無敵の盾、バースデイ・リックだ。
 たとえ核爆弾が落ちようと、リックの盾を破ることは誰にもできない。
 そう高を括っていた魔法名医は、次の瞬間、自らがやはり戦闘の素人なのだということを思い知らされる羽目になった。
 
 猫娘の拳がリックの盾に衝突する寸前、突如彼女はにやりと笑ってその身を翻した。
 晴れた視界に、リングのような飾りが特徴的な衣装に身を包んだ魔法少女が何かを投擲する動作が写る。
 ――しゃりんしゃりんしゃりん。鈴の音が鳴り響くや否や、投擲物は数倍の速度に加速して殺到した。
 植木鉢だ。どこかの民家の軒先からくすねたものだろう。
 魔法少女の力で投じられただけでも即席の凶器としては十分であるにも関わらず、そこに鈴の魔法が上乗せされている。
 間違いない。当たれば即死だ。あんなものを受ければ魔法少女だろうと肉体をごっそり持っていかれる。
 なまじ重量が車両や人に比べて軽いものだから、必然的に加速の度合いは最も高くなっているのが最悪だった。
 舐めんなよ――リックが咆える。彼女の盾はこれさえ防いだ。さりとて、ここまで来れば本当の狙いはシャルルにも解る。

 植木鉢をデコイに背後へと回っていた猫娘が、痛烈な回し蹴りでリックとシャルルを纏めて吹き飛ばした。
 幸い命までは持っていかれなかったが、地面をごろごろと転がって肺の空気が抜けていく。
 
「ペルぅッ!」
「わかった……!」

 飛び込んできたのは、植木鉢を投げたリングの少女だった。
 彼女は一瞬だけ躊躇したように見えたが、それでも仲間と共に生き残ることに比べればそれは軽いものだったらしい。
 未だ完全に体勢を立て直せていないリックへと、不格好ながらも威力の伴ったサッカーボールキックを繰り出す。

「あんまりバカにしてんじゃねーっての、チビども!」
「っ!?」

 リックがそれを片手で受け止めた。
 そのまま少女の矮躯を足を起点にして、近くのブロック塀へと投げ付ける。
 受け身も取れずにそこへ衝突した少女は、声を振り絞って「にゃんぴぃ!」と叫んだ。
 それを聞いた猫娘は「上出来!」と叫び返せば、しゃりんしゃりんしゃりんしゃりん、またあの鈴を鳴らした。
 今度吸引の憂き目に遭ったのはリックでもシャルルでもなく、リックが持つ盾だった。
 完全無敵の盾とはいえども、それはあくまで攻撃に対してのみだ。
 盾の面を介さずに奪い取りに掛かられては型なし。
 相性の問題があるとはいえ、この短時間で相手の少女達はリックの弱点を見抜いてみせたことになる。

 ――強いな。シャルルはそう思った。そう思ったが、同時に惜しいとも思う。

「な!?」
「……別に『盾』じゃなくてもいいんスよ。それこそ、手に持てるものならなぁんでも」

 勝ちを確信した猫娘の鉄拳がリックの頭目掛けて放たれたが、彼女はそれを苦もなく受け止めてみせる。
 その手に収まっているのは、先程あちらがデコイとして利用した植木鉢の破片だ。
 魔法少女の力を止められるはずもない陶器の欠片だが、リックの魔法にかかればこれもまた無敵の盾として機能する。
 彼女の魔法は「持ったものを壊れなくする」力だ。盾でなくとも、極論は障子紙だって、彼女が持てば絶対防御だ。

292 :フレイム・フレイミィの子供達(3) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/16(月) 20:56:02.84 ID:Ka3SalQC
「こっちとしちゃ、まず一旦穏便に話を聞いてほしいんですけどね。どうです?」
「……寝言は寝て言いなよ。生憎あたしは――あたしたちは、あんたが思うようなバカじゃない」

 上等。
 盾を拾いに行こうとはせずに、リックは代わりに拳を構えた。
 いけないな。スイッチが入ってしまったらしい。
 塀に身を凭れかけて、魔法名医は他人事のように嘆息する。
 正直こうなると、リックを止めるのはシャルルには無理だ。喧嘩の仲裁は医師の仕事ではない。

 早速殴り合い、蹴り合いを始めた助手と猫娘を横目に、シャルルはちら、とリックに投げられたリングの少女を見やる。
 少女は視線に気付くとびくりと震えた。本来、あまり度胸のある性格ではないのだろうか。
 少女の手は自身の脇腹をぎゅっと抑えている。あれは癖だとかそういうものではなく、痛みを堪えている動作だ。
 幸い、彼女との距離はそれほど離れていない。鈴の彼女も、まさかリックと戦っている最中によそ見は出来まい。

「……!」

 警戒を露わにしつつも、向かってこようとはしない。
 シャルルはその痛んでいるであろう腹へそっと手を当てると、とん、と軽く押した。
 今施したのは魔法の指圧だ。魔法少女の強い力で加えられる指圧は骨を砕くが、そこに生ずる微弱な魔法のエネルギーで砕いた骨を瞬時に癒着させ、元の形へと整形し直してくれる。
 勿論全部嘘っぱちだが、要するに理屈があると形だけでも唱えることが大事なのだ。
 現実を知ってしまったうえでごっこ遊びを続けるには、とにかく想像力が必要になってくる。
 フレイミィには電波女とバカにされたが、それで成り上がったのだからどんなものだと今では胸を張ってやれる。

「あれ……え? え?」
「初診だから、特別に診察料は取らないであげよう。
 その代わり、事が済んだらシャルル診療所を是非ご贔屓にしてくれ」

 体勢を元に戻して、困惑するリング少女からリックと猫娘へ視線を戻す。
 戦況は八割ほど予想通りで、二割ほど予想外だった。

 猫娘は所々に擦過傷や殴られた痕を刻まれており、一目でわかる劣勢にあった。
 対するリックは未だ余裕。だが、彼女も彼女で無傷というわけじゃない。
 天晴なことに、あの猫娘はリックとの戦いの中で自分の魔法の使い方を分析、実践しているのだ。
 例えば今などは無敵の盾を掻い潜ることの出来る、小さな石ころの弾丸でリックの腕を撃ち抜いた。
 このまま戦い続ければ当然リックが勝つだろうが、しかしもう少しは猫娘が粘るだろう。
 となると、そろそろドクターストップをかけるべき頃合いかもしれない。
 
 いや、やはりもう少しは殴り合わせておこうか?
 ある程度勝敗を決させておいた方が、戦意喪失に繋がってくれるのではないだろうか?
 でもそれで重傷など負われては困るし、どうしたものか。
 こういう時にこそ助手の判断が欲しいというのに、当の彼女は今戦闘民族の血を滾らせている。
 おいおい相手は新米だぞ。あまりムキになってやるな――と。

 やはりストップをかけさせて貰おうと口を開きかけたその時、猫娘が勢いよく飛び退いた。
 リックは追撃を試みるが、それは叶わない。
 彼女を取り込むようにして地面が盛り上がり、道路の真ん中に窓とドアのないコンクリートの塔が聳え立っていた。
 シャルルが眉を顰める。呆気に取られた思考を平常へ戻させるのは、鳩尾に打ち込まれた猫娘の拳だった。

293 :フレイム・フレイミィの子供達(3) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/16(月) 20:56:48.91 ID:Ka3SalQC
☆リンカーペル

 
 クロックシルクの魔法が発動した。
 彼女は肉体スペックで言うなら、ペルよりも更に下だ。
 多分、魔法少女全体で見ても下の下に部類されるくらいだと失礼ながらペルは思っている。
 しかし、彼女の魔法はペルの「脳内会議」に比べて遥かに凄い。見た目も、その効果も。
 聳え立つコンクリートの塔。道路の真ん中に突如生まれた異物、これこそがクロックシルクの魔法だ。
 「とても立派な家を作ることができる」。いわば彼女は、思い通りの建造物を自在かつ即座に建築できる魔法を使う。
 最小ではハムスターの小屋程度から、最大ではそれこそ高層ビルくらいのサイズまで。
 とは言ってもペルが彼女の建造物をそこまでしか見たことがないからで、本当はもっと大きなものも作れるのかもしれない。
 
 盾の魔法少女と医者の魔法少女を分断する作戦は、ペルが脳内会議で考え出し、発案したものだ。
 にゃんぴぃが敵を引き寄せ、それを迎撃すると見せかけて囮を使い盾の防御範囲外に回り、無防備な本体を叩く。
 ここまではリンカーペルとにゃんぴぃが、逃げながら即興で考えた作戦だ。
 ただしその先、「にゃんぴぃが盾の少女を引き受け、隙を見て隠れていたクロックシルクが分断する」というのは、ペルの脳内に居座る五人が考え出してくれた手である。
 ものの見事に嵌ってくれはしたが、しかしそれに満足している暇はない。
 建物の中ではクロックシルクが盾の少女を単身引き受けている。
 この高さだから中はそれなりに広いのだろうが、それでもクロックシルクほどの非力な魔法少女があんな武闘派にもし見つかってしまえば、どうなってしまうかは想像に難くない。
 早々にこちらの仕事を片付けて、三人で盾使いを袋叩きにする必要がある。
 ペルとにゃんぴぃの視線は今、やる気なさげに塀へ凭れた白衣の魔法少女に集中していた。

「……やられたな。君達、本当に新人かい?」
「そりゃ、ペルはあたしらのブレインなんでね。足元掬われたじゃん、先輩さん」

 肩を竦める医師少女へ不敵に微笑みながら、にゃんぴぃがぽきぽきと拳を鳴らす。
 ペルもにゃんぴぃも、彼女が非戦闘員だということは一連の流れで既に把握していた。
 にゃんぴぃはともかく、ペルは武闘派ではなかったが、それでも二人がかりなら簡単に殺せるはずだ。
 
『でも……本当にこれでいいのかしら、「ペル」。「ウチ」は、ちょっとこの流れには賛成しかねるかな』
『フム……殺すならば確かにここを逃す手はないがのう』
『「僕」も見てたけど、彼女はさっき「ペル」の傷を治したね』
『まどろっこしいなァオイ。単に試験反対派の日和見ヤローってことじゃねェのか?』

 頭の中に響く議論の声に、ペルは唇を噛んだ。
 彼女たちの意思は形はどうあれリンカーペルの意思の一部だ。
 その通り、自分は今、このまま彼女を嬲り殺していいかどうか迷っている。
 「俺」の言う通り、ただの日和見だという可能性もある。であれば、容赦はしないと事前に決めてあった。
 人情に絆されていては生き残れない。
 そういう覚悟を決めていなければ、まずこうやって殺し屋の真似事なんてしていない。

「……僕らは「魔法の国」の魔法少女だ。
 この町で行われている『試験』を中止させ、試験官の魔法少女を拘束することを目的にしている。
 どうか信じてくれ。僕もリックも、君らを助けに来たんだ」
「寝言は寝て言いなよ、先輩さん。言うに事欠いて、「魔法の国」の刺客だって?
 「魔法の国」ってのはあのタウンズマスターを送り込んだ連中なんだろ?
 そんな奴らがあたしたちを助ける? はっ、小学生でももちっとマシな嘘つくよ」

294 :フレイム・フレイミィの子供達(3) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/16(月) 20:58:50.72 ID:Ka3SalQC
「にゃ……にゃんぴぃ。ちょっと待って」
「はぁ? ペル、こんな奴の嘘を信じるつもり!?」
「そうじゃない! でも……その人、さっき……私の怪我、治してくれた」
「……こいつが?」

 こくり、とペルは首肯する。
 にゃんぴぃはペルと医者の魔法少女を交互に見て、怪訝な顔をした。
 魔法少女はそもそもが人助けを生業とする存在だ。
 だから助けてくれた、というだけならば、試験に反対する日和見という可能性だってある。
 しかし、ここで重要になってくるのは彼女が「魔法の国」から遣わされたと自称していることだ。
 非戦派の魔法少女が、わざわざそんな自分を不利にするような嘘を果たして吐くだろうか?
 命乞いの悪足掻きにしたって、もう少しマシな理屈を捏ねるだろうとペルは思う。

「だから、話だけでも聞いてみたらどうかな……」
「…………」

 にゃんぴぃは握った拳を開いた。
 分かってくれた。
 ペルはそう思って表情を綻ばせかけたが。

「ごめん、ペル。やっぱりあたしは――」

 ぎりりと歯を噛み締めて、再び拳を固く握るのが見えた。
 止める間もなく、それは後ろへ引かれる。
 医者の魔法少女は避けようとしない。いや、仮にそうしたとしても遅いだろう。
 にゃんぴぃに躊躇いはない。迷わず頭を狙って、彼女はこの魔法少女を殺してしまう。
 ペルは意見を出すことは出来る。六人分の頭で考えた意見で、状況を良い方に導くことは出来る。
 けれど、意見を無視されたらどうしようもない。口先以外で、リンカーペルは輝けない。
 医者の脳漿が飛び散る瞬間を幻視して、ペルはぎゅっと固く目を瞑った。

 ステージフォー
「第四段階」

 医者の呟きが耳に入った。
 肉を打つ音の代わりに、にゃんぴぃの呻き声と、彼女が倒れ臥す音が聞こえて目を開いた。
 医者は無傷だ。にゃんぴぃは倒れ、苦しそうな息遣いをしながら、親の仇でも見るように強く彼女を睨みつけている。
 堪らずにゃんぴぃへ駆け寄って、ペルも医者を睨んだ。
 すると彼女はばつが悪そうに目をそらして、言った。

「あのまま殴られたら、流石に死んでしまいそうだったからね……
 医者として褒められた行為じゃないが、少し腫瘍を作らせてもらった。
 でも……大丈夫。僕のは所詮ごっこ遊びだ。多分三十分もすれば元の健康体に戻れるよ」

 ペルは知らないことだが、魔法名医と呼ばれたこの少女の魔法は「お医者さんごっこ」である。
 決して医術を行い、癒やすことだけが彼女の魔法ではない。
 お医者さんごっこの一環として、簡易的に病巣を作り出し、植え付けることも可能なのだ。
 もっともこちらにはいくつか発病させるための条件がある上、永くとも一時間しか病巣は維持できないと欠陥だらけ。
 それ以前に、医者の端くれとしてもあまり使いたい手段ではなかった。
 
『むぅ……どうやらこれは、本当に「魔法の国」から遣わされた者なのかもしれんのう』
『だから言ったじゃん。第一、こんな方法を最初から取られてたら、本当に全員壊滅してたわよ?』
『殺す気があるならいつでも殺すことはできた――なのに彼女はそれをしなかった』
『「私」も信じていいと思うわぁ。予期せぬところで希望が見えたわね』

 うん。
 ペルは脳裏に響く声へ頷くと、ぺこりと医者の少女へ頭を下げた。

295 :フレイム・フレイミィの子供達(3) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/16(月) 21:00:22.00 ID:Ka3SalQC
「ごめんなさい。私たち、あなたたちにひどい失礼を……」
「あー……いや、いいよ。僕の方こそ、リックが手荒をして済まなかった。
 あれには後できつく言い聞かせておくから、できれば彼女をその建物から出してやってくれないかな」
「は……はいっ。クロッ――」

「おぉぉい、クロックシルク! もういい、やめろ!!」

 ペルの声を遮って、にゃんぴぃが叫んだ。
 ペルとシャルルの視線が注がれると、彼女もまたばつが悪そうに目を背ける。
 さんざっぱら暴力を働いたものだから、流石に申し訳なく感じているのだろう。
 かと言って、にゃんぴぃは素直に謝れる性格はしていない。
 リーダーシップを発揮していた彼女だが、その年齢はペルたちの中でも最年少だ。
 くすりとペルは笑った。シャルルは肩を竦めて笑った。
 
 コンクリートの塔が消えると、リックにつまみ上げられてじたばたとしているクロックシルクの姿が露わとなる。
 コミカルなその絵面に、ペルとシャルルはまた笑った。
 その後、全員まとめてリックに正座をさせられた。


☆魔法名医シャルル


 ひとしきり説教された後、ペルたちは事のあらましを知ることになった。
 タウンズマスターも以前、「フレイム・フレイミィ」という魔法少女の『試験』に参加させられていたこと。
 いわば今回、ペルたちが巻き込まれているのはその焼き直しであるということ。
 「魔法の国」が行う選抜試験は本来こんな形のものではなく、もっと穏便な形であること。
 そして魔法名医シャルルとバースデイ・リックは、本当にタウンズマスターを捕らえるためにやって来たのだということ。
 信じられないような内容の連続だったが、魔法少女なんてものが実在していて、自分たちはそれに変身しているのだ。
 信じる以外にはない。クロックシルクも、ペルも、そしてにゃんぴぃもそういう結論に落ち着いた。
 斯くして、新人魔法少女たちの殺人計画は頓挫し、絶望の『試験』の中には一縷の希望が射し込んだ。
 とはいえ、問題が解決したかといえばそんなことは全くない。

「……ってことは、そっちもタウンズマスターの魔法がどういうものかは知らないと」
「はい…… タウンズマスターはいつも私たちに助言してくれましたけど、それ以上は……」
「分別を弁えた魔法少女だったってことか……ちゃっかりしてますねぇ」

 シャルルとリックは、タウンズマスターの魔法について知らないのだという。
 そしてそれはペルたちも同じだった。
 それぞれまったく別の形でタウンズマスターに出会い、育てられてきたが、彼女の魔法を使っている姿を見たことがある者は誰もいない。その事実は不気味に、皆の心をじくじくと苛んだ。

「にしても不親切なんだね、「魔法の国」ってのも。
 フツー、ターゲットのデータってのはきっちり調べて渡すもんでしょ」
「私もそう思います……失礼ですけど、無責任……ですね」
「いいや、僕もそう思うよ。だが」

 それ以上に、ここまで来ると不自然だな。
 シャルルは自分の顎に手を当てて、表情は変えずにそう呟く。
 
「いくら何でも手際が悪すぎる。
 お上の話によれば、詳しい話は現地に着いてから連絡、もしくは先遣隊から聞けということだったが……」
「お役所仕事って次元じゃないッスよねェ、ちょっと」
「フレイミィと繋がりのあった魔法少女の厄介払いのつもりなのか、それとも……
 ……そもそもお役所の魔法少女ですらなかった――のか」

296 :フレイム・フレイミィの子供達(3) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/17(火) 00:58:09.65 ID:UEuSUq5b
 だとすると、いよいよ妙なことになってきた。
 もとい、暗雲が立ち込めてきたと言うべきだろうか。
 シャルルの脳裏には既に、この状況を説明できる答えがある。
 しかしそれを口にすることはしなかった。これを言えば、きっとこの三人の心を更なる不安と恐怖に追いやってしまう。
 
 ――フレイム・フレイミィの『子供達』タウンズマスターが、自分達を誘い出した。
 ――もしそうであれば、いよいよもって厄介なことになったと言わざるを得ない。
 
「……一応聞かせてもらいたいんだけど、君達は『Pleiades』という魔法少女を知っているかい?」
「ぷれ、あです?」
「知らないな……少なくともH市に、そういう名前の魔法少女はいないはずだ」
「…………」

 Pleiades。
 星の魔法少女。
 それが先遣隊として送り込まれた魔法少女の名前だった。
 兎にも角にも、まずは彼女を探してみる必要があるだろう。
 その存在が真実ならば情報の共有と、彼女もまた自分たちと同じなのかを問わねばならない。
 虚偽ならば自分たちが謀られたということでほぼ間違いないが、Pleiadesが実在していたとしても油断は禁物だ。
 彼女が『子供達』であり、タウンズマスターである可能性も十二分にある。
 疑ってかからなければ、最悪『試験』の犠牲者として名を連ねることにも繋がりかねない。

「あ……そうだ。ひーたんにもこのこと伝えないと」
「ひーたん?」
「あたしらの仲間の一人だよ。魔法的に前線には出られないから、遠くでサポートを頼んでたんだ」

 にゃんぴぃは魔法の端末を取り出すと、慣れた手つきでひーたんの端末へと発信する。
 通話はすぐに繋がったようだ。
 にゃんぴぃはシャルルたちに背を向けて、話し始める。

「もしもし? ひーたん?
 ……ごめん。心配かけたね。でも大丈夫だよ、今「魔法の国」の魔法少女と――え?
 ああ、うん。そうそう。タウンズマスターをひっ捕らえて試験を終わらせ……は? いや、ちょっと。落ち着けって」

 ……どうしたことだろうか。
 にゃんぴぃは彼女らしくもない困惑した様子で、電話の向こうの「ひーたん」を宥めようとしているようだ。


「いや、だからタウンズマスターを倒せば試験が終わるんだぞ?
 待てって、相手はほんとに「魔法の国」の――――」


 からん。
 にゃんぴぃの手から端末が地面に落下し、一回バウンドした。

297 :フレイム・フレイミィの子供達(3) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/17(火) 00:59:56.36 ID:UEuSUq5b
 彼女がそれを拾い上げる気配はない。
 ……今度こそ、本当にどうしたことだろう。
 にゃんぴぃくん、と呼びかけると、彼女はふらふらと体を揺らし、振り返ろうとした。

 違う。
 振り返ろうとしているのではない。
 これは。
 この動きは――

「にゃん、ぴぃ?」

 倒れようとしている動きだ。
 そう気付いた時、猫耳の魔法少女はばたんと仰向けに倒れた。
 目は開いたまま、口も半開きで、信じられないとばかりに困惑を顔へ浮かべたまま事切れている。
 その証拠が、彼女の喉元にあった。
 穴が開いている。これは手刀の傷跡だ。
 魔法少女同士の殺し合いで診療所へ運ばれてきた患者がよく作っている傷の一つでもあったから覚えていた。
 治療を施そうと屈み込んで、無理だとすぐに悟った。
 恐らく、この傷は見た目より遥かに深い。
 脈を寸断して首の骨を砕き、文字通り何もわからない内ににゃんぴぃは死んだのだろう。
 
「え? え? にゃんぴぃさん? え?」

 魔法名医シャルルに治せない病はない。
 ただし、なくした命を戻すことだけは出来ない。
 既に真っ暗になった町に、リンカーペルとクロックシルクの悲痛な泣き声が木霊していた。



――――

時間がかかりましたが一応投下終了です。
次回はひーたん、レオーネで。
多分そんなに間は空かないと思います

298 : ◆ymCx/I3enU :2015/11/22(日) 18:16:41.46 ID:gmGLMpng
投下乙です
すごい文章密度…自分のはスカスカなんすよねぇ

ようやく一話出来たので投下します
モチベ復活したと言うのは何だったのか

299 :危険な領域 ◆ymCx/I3enU :2015/11/22(日) 18:17:25.59 ID:gmGLMpng
15話 危険な領域

スィヴレバルは人食いの人虎(ワータイガー)であり、同性愛者(ゲイ)であった。
ある時「ハッテン場」なる物の存在を知りそこへ向かうも、人食い虎である事が知れ渡っていた為に全員に逃げられてしまう。

「自分のした事のせいとは言えこれじゃ愉しめんなぁ……」

何とかしなければと思ったスィヴレバルが閃いたのは自分の事が知られていないであろう異世界のハッテン場に行く事であった。
そして紆余曲折を経て辿り着いた「日本」のとあるハッテン場。
彼はそこでようやく自分の欲望を満たす事が出来た。
黛康裕や、沼倉勇喜など一部のハッテン場仲間には自分が異世界で人食い虎として恐れられている事を知られてしまったが、
それでも彼らはスィヴレバルを受け入れてくれた。

「何て優しい奴らだ。俺、人食いやめて『日本』に住もうかなぁ」

人食いをやめ「日本」に移住してしまおうかともスィヴレバルは考えるようになっていた。

現在。
スィヴレバルは前述の二人と共に殺し合いに巻き込まれていた。
E-4エリアの駐在所付近を歩くスィヴレバル。

「むぅ、ヤスとユウキはどこに居るんだ」

ハッテン場にてしゃぶり合い掘り合った仲である黛康裕と沼倉勇喜を捜す。
自分を受け入れてくれた彼らを殺してしまうなど忍びない。つまり殺し合いにも乗るつもりは無い。
但し彼が二人の事を捜すのは心配なのが半々と、性欲が半々である。
地図を見る限りでは殺し合いの舞台となっている島は中々に広く二人がどこに居るのか見当も付かない。

「死ぬつもりなんて無いけど、無ぇけどな。万一の時の為に一発ヤりてぇなー」

股間にぶら下がる巨大な、自慢の逸物をさすりながら舌なめずりして妄想するスィヴレバル。
危うく扱きそうになって自制する。
殺し合いの最中でこうもマイペースを保っていられるのは単に性欲が強いと言うのも有るだろうが、
人食い虎として生きて幾つもの死線を潜り抜け相応の実力を持っていると言う事も有った。

そんな彼に忍び寄る一人の人間の青年。

「ん? 誰だ」

スィヴレバルが気配に気付き振り向く。
青年は、外見だけならば特に目立った所は無いように見えた。ただ、問題は彼の双眸。
暗く淀み、感情が読み取れない。ただならぬ何かをスィヴレバルは感じる。

(何だこいつ、寒気が)

悪寒のような物を感じ始めたその時青年の姿が視界から消えた。

「っ」

胸元に違和感。
その違和感は熱となり、激痛と化す。
青年が胸元に潜り込み、何かをスィヴレバルの心臓付近に深く突き刺していた。

「ガアアアア!?」

苦痛に叫ぶスィヴレバル。
人虎故の生命力の強さか、心臓を刺されてもまだ彼は死ななかった。

300 :危険な領域 ◆ymCx/I3enU :2015/11/22(日) 18:17:48.25 ID:gmGLMpng
「すげぇ、まだ生きてんだ」
「ッグ!?」

刺していた物を引き抜き距離を取る青年。
右手には血塗れになったマイナスドライバーが握られている。

「う、グ、う」
「強そうだと思ったのにそうでもねぇなぁ」
「こ、の、野郎!」

牙を剥き出し獣の形相を浮かべスィヴレバルは青年に向かって鋭い爪のついた右手を振った。
まともに当たれば人間の柔らかい身体など簡単に切り裂いてしまっただろうが。

「甘ぇよ」

当たらなければ無意味。
難無く青年は人食い虎の爪による斬撃を身を屈めて回避した。そして再びスィヴレバルの懐に潜り込み、マイナスドライバーを真上に突き上げた。
マイナスドライバーはスィヴレバルの喉元から、彼の脳幹までを一気に刺し貫いて、壊す。
その瞬間、スィヴレバルは白目を剥き、口から赤の混じった泡を噴き出し、鼻と両目から赤い液体を垂れ流し、絶命した。
ドサ、と重たい音を立て虎はアスファルトの上に崩れ落ちる。
青年――伏島茂晴は屍と化した虎の所持品を物色し、手鉤を入手した。

この伏島茂晴なる青年、何をしている人物なのかと言えば「殺し屋」である。
依頼を受けて標的を殺害するのが彼の仕事であるがその際、標的の雇った用心棒や私兵、同業者との交戦に発展する時が有った。
「最初」こそただ何も考えずにその交戦相手達を撃退或いは始末するのみであったが次第に強者と戦う事に愉しみを覚えるようになる。
今回のゲームに巻き込まれ、茂晴が主な目的とするのは強そうな参加者との交戦。
そして最初に出会ったのがいかにも獰猛そうな大きな虎だったので期待していたのだがいとも簡単に倒せてしまい、茂晴としては肩透かしを食らった気分である。

「見た目で期待したんだけど、あっさりやられてくれちゃってまぁ」

落胆の色をその目に滲ませ虎の死体を一瞥し、その後はもう虎には何の興味も無くなったようで、茂晴はさっさとその場を去ってしまった。


【スィヴレバル  死亡】
【残り46人】


【明朝/E-4駐在所付近】
【伏島茂晴】
状態:健康
装備:マイナスドライバー
持物:基本支給品一式、手鉤
現状:強そうな奴と戦いたい。優勝については今の所保留
備考:特に無し

301 :危険な領域 ◆ymCx/I3enU :2015/11/22(日) 18:18:27.13 ID:gmGLMpng
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《キャラ紹介》
【スィヴレバル】
年齢:35
性別:♂
種族:ワータイガー
特徴:二足歩行の筋肉質な虎。獣足の獣人。巨根で全裸
職業:人食い虎
備考:異世界にて人食い虎として恐れられていた。同性愛者でもありハッテン場の存在を知ってそこへ向かうも、
人食い虎である事が知られていた為悉く怖がられ逃げられてしまい、わざわざ別世界の「日本」のハッテン場までやってきた変種。
本ロワ参加者である黛康裕と沼倉勇喜はハッテン場仲間であり、彼が人食い虎である事実を知っても受け入れてくれた数少ない友人でもある。
人食い虎として生きてきただけに戦闘能力は高め

【伏島茂晴】
読み:ふせじま しげはる
年齢:20代前半
性別:男
種族:人間
特徴:黒髪。澱んだ目付き。黒っぽいジャケットとジーパン姿で見た感じは普通の青年
職業:殺し屋
備考:殺し屋稼業をしている青年。依頼はそつなくこなす。
強者との戦いを好む好戦的な一面も有る。主にナイフなど小さな近接武器を使った戦い方が主。
不遜かつだるそうな話し方をする


《支給品紹介》
【マイナスドライバー】
支給者:伏島茂晴
分類:その他
説明:マイナス溝のネジを回すのに使われる工具。緊急用としてプラス溝にも使える。

【手鉤】
支給者:スィヴレバル
分類:その他
説明:荷物を手繰り寄せるのに使われる道具。金属製の穂先が有り一応武器にもなる。
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302 : ◆ymCx/I3enU :2015/11/22(日) 18:20:40.92 ID:gmGLMpng
投下終了です
年末で繁忙で体力がきついってそれ一番言われてるから
土曜日まで出勤ってふざけんな!(声だけ迫真)

303 : ◆ymCx/I3enU :2015/11/24(火) 22:47:22.54 ID:i7O76hMb
16話目投下しやす
キーレンと霧島弥生です

304 :神聖な場所で何て事を… ◆ymCx/I3enU :2015/11/24(火) 22:48:10.79 ID:i7O76hMb
16話 神聖な場所で何て事を…

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……」

協会へと辿り着いた白山羊少年のキーレン。
恐怖に駆られながら必死に走ってきたせいで汗まみれになり息切れを起こしていた。
呼吸を整えながら、後ろを振り向く。

「お、追ってきてないよね……うん、追ってきてない……」

先程自分を襲った少女が追ってきていない事を確認し一先ずキーレンは安心した。
目の前に視線を戻すと、教会の正面玄関がキーレンを出迎えている。
大きな木製の立派な両開きの扉であった。

「ここに隠れてよう」

扉のノブに手を掛けるキーレン。
鍵等は掛かっておらず、すんなりと扉は開き、キーレンは広い礼拝堂の中に足を踏み入れた。
気休め程度に支給された園芸用シャベルを右手に持ち、礼拝堂の奥へ警戒しつつ進んで行く。
自分の他にもこの教会には人が居るかもしれない。先程の少女のように殺し合いに乗っている者が潜んでいる可能性も有る。

「!」

キーレンはある物を見付け足を止めた。
牧師が説教を行う講壇、その裏から尻尾と思しきふさふさした物が少しだけはみ出ている。
つまり講壇の裏に、獣人種か獣種が隠れている。
どうも自分の尻尾が少しはみ出している事に気付いていないらしい。

(うーん)

声を掛けてみようか、とキーレンは迷う。
わざわざ隠れておまけに尻尾をはみ出させているような人物が殺し合いに乗っているとは彼には考え難かった。
勿論確証など何も無い為実際は乗っている可能性だって有るのだが。
迷った末キーレンは。

「あの」

結局声を掛けてみる事にした。はみ出た尻尾が声が掛かった瞬間ビクッと動く。

「尻尾、見えてますよ?」
「……え、まじ?」

返事は若い女性の声。

「まじです。あの、僕は殺し合う気は有りません。出てきて貰えませんか」
「乗ってないの? 本当?」
「本当です」
「……それなら私と同じね。待って、今出るから」

講壇の裏から出てきたのは、白髪を持った狐獣人の女性だった。

「うわ」

キーレンのほぼ全裸と言う出で立ちを見て驚く女性。
さっとキーレンは股間を隠すがはっきり言って余り意味は無い。

305 :神聖な場所で何て事を… ◆ymCx/I3enU :2015/11/24(火) 22:48:55.46 ID:i7O76hMb
「何故に裸」
「僕にも分からないんです……この殺し合いが始まった時からこんな格好で、仕事先ではいつもこんな感じなんですけど」
「仕事? ……まぁ、いいや。私は霧島弥生。貴方は?」
「僕は、キーレンって言います」
「取り敢えず奥行って話しない?」
「はい」

キーレンと霧島弥生と名乗った狐の女性は教会正面口に施錠し、礼拝堂奥の扉へと向かう。

◆◆◆

とあるカフェにてウェイトレスとして働く霧島弥生。
美貌と明るい性格で男性客からの人気は高かった。しかし彼女は計算高く、明るい性格は男の人気を得て取り入り貢いでもらう為の演技による所が大きい。
上手く口車に乗せ、ベッドを共にし、男から金品やブランド物を大量に貢がせていた。
そんな弥生のゲームスタートの場所は教会の礼拝堂。
自分には縁の無い場所だと思いつつ、弥生は自分のデイパックを開け支給品を確認した。
出てきた物は小型の拳銃、デリンジャーと呼ばれるタイプの物であった。
デリンジャーに分類される拳銃は幾つか有るが今回弥生に支給された物はレミントン・デリンジャーと言う物。
小型で装弾数も2発しか無く威力もそれ程無い。バックアップや護身用向けの拳銃である。

(ちっさ……まぁ私銃なんて扱った事無いしこれ位で丁度良いかしら)

小さいとは言え本物の銃である事に変わり無く、銃の経験がまるで無い自分にとってはこれでも丁度良いだろうと結論付け、
弥生はデリンジャーを上着のポケットに入れた。
その後教会内の探索でもしようかと思っていた時に玄関扉が突然開いた為慌てて講壇の裏に隠れる。
隠れた後で「逃げ場が無い」と後悔したが後の祭りで、近付いてくる足音に怯えながら思い付きもしない打開策を考えていた。
自分の尻尾が講壇からはみ出ていた事には足音の主に指摘されるまで気付いていなかった。
足音の主、キーレンは殺し合う気が無かったのが幸いだったと言える。

協会奥には寝室が有り弥生とキーレンはテーブルの椅子に腰掛けた。

「仕事先で全裸ってどういう仕事……?」
「娼夫なんです僕……少年娼夫です」
「あっ……そうなんだ」

見た目、中々に可愛らしい美少年である白山羊の少年キーレン。
成程確かにこの容姿であればそういった趣味の有る者から人気は高いであろう。
後ろから欲望に貫かれ喘いでいる姿を想像すると弥生は少し顔が赤くなった。
その後しばらくこの殺し合いでの知り合いの有無、支給品について、キーレンが先程とある少女に襲われた事など、
当たり障りの無い会話が続いた。しかしその内弥生の心中に不穏な考えが浮かぶ。

(この子食べちゃおうかなあ)

キーレンを「性的に」食べてしまいたいという欲求。
弥生自身は普段そこまで性に貪欲と言う訳でも無いのだが、殺し合いといういつ死ぬか分からない状況と言う事と、
キーレンの可愛らしく扇情的な容姿のせいで欲望が首をもたげつつあったとでも言うべきだろうか。

そして弥生は早々に実行に移す。

「キーレン君」
「はい?」
「ちょっと立って」
「……?」
「あ、股間隠さなくて良いよ」

いきなりの事に不思議に思いつつ、キーレンは弥生に言われた通り股間を隠さずに椅子から立ち上がる。
ただ不思議に思っていたのは最初だけですぐに弥生の真意に気付いてしまう。

306 :神聖な場所で何て事を… ◆ymCx/I3enU :2015/11/24(火) 22:49:22.56 ID:i7O76hMb
(この人僕を食べる気だ、性的に……でもまあ良いか……)

男性に弄ばれた経験は豊富なキーレンだが女性との「普通の」交わりは殆ど経験が無く、
弥生が今から自分にしようとしている事に対し拒否する気は無くむしろ期待している位である。
一方の弥生はキーレンの股間のそれを興味深そうに観察していた。
女性的なラインを持つ美しい身体に似合わぬ皮が中程まで剥けた生々しいそれはほんの少し起き上がっているように見えた。

「あらー、ちょっとおっきくなってるじゃないの」
「うっ、見られてますし……」
「私が何したいのか、多分察してると思うけど……」
「まあ何となく……」
「なら話は早い……布団に行こう、な?」

興奮抑えきれぬといった様子で、弥生は寝室のベッドを指差して言った。

それから数十分位、寝室の中からアッフンアッフンと少年と女性の喘ぎ声が響いた。

数十分後。
服を着直して椅子に座り休む弥生とベッドにうつぶせに横たわりぐったりしているキーレンの姿が。

「あー、えがったえがった。中々良いモノ持ってるわね……」

満足気な表情を浮かべつつどこかから見付けてきた煙草で一服し、
ぐったりとしているキーレンを弥生は見詰める。



【明朝/G-5教会寝室】
【キーレン】
状態:肉体的疲労(大)
装備:園芸用シャベル
持物:基本支給品一式
現状:死にたくない。気持ち良かったけど疲れた……。
備考:スカーレット・ガードナーを殺し合いに乗った危険人物と判断。霧島弥生にスカーレットについて話している。

307 :神聖な場所で何て事を… ◆ymCx/I3enU :2015/11/24(火) 22:50:27.67 ID:i7O76hMb
【霧島弥生】
状態:肉体的疲労(小)
装備:レミントン デリンジャー(2/2)
持物:基本支給品一式、.41リムファイア弾(10)
現状:殺し合いには今のところ乗る気は無い。キーレン君と行動する?
備考:スカーレット・ガードナーが危険人物である事をキーレンから聞いている。

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《キャラ紹介》
【霧島弥生】
読み:きりしま やよい
年齢:20
性別:女
種族:狐獣人
特徴:白髪を持った黄色の狐獣人。スタイルは良い。私服姿
職業:カフェのウェイトレス
備考:明るい性格と美貌で男性客に人気が高いが、本性は計算高く強か。
明るい性格も演技によるところが大きく、美貌と一緒に活かし男と肉体関係を持ち貢がせる事が多い。
一応ある程度面倒見の良い部分も有り一概に悪人でも無い

《支給品紹介》
【レミントン デリンジャー】
支給者:霧島弥生
分類:銃火器
説明:1864年にレミントン社で設計された中折れ上下二連式のデリンジャー(ポケットサイズの単発もしくは2連発の拳銃)。
携帯性や秘匿性に優れ女性の護身用やガンマンのバックアップピストルとして使われたと言う。.41リムファイア弾使用。
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308 : ◆ymCx/I3enU :2015/11/24(火) 22:51:13.82 ID:i7O76hMb
投下終了です。
ちょっとやらしいです今回

309 : ◆ymCx/I3enU :2015/12/03(木) 05:34:12.89 ID:heQsxNvr
投下します
登場人物は北原大和と沼倉勇喜

310 :否定のレクイエム ◆ymCx/I3enU :2015/12/03(木) 05:34:51.00 ID:heQsxNvr
17話 否定のレクイエム

周囲を林に囲まれた、草がぼうぼうとしている荒地に銃声が響く。

「待て! 待てって!」

陸軍の兵卒の制服に身を包んだ灰色の狼獣人青年、北原大和は自分を銃撃するシェパード種犬獣人青年を説得する。
大和も武器は持っていたが、古いサーベルであり銃相手には不利であった。
余程の実力者であれば銃相手に正面から挑んで勝利出来るらしいが大和は刀剣に関してそこまでの腕前は無い。

「当たらない……」

大和に対して手にした自動拳銃を発砲する犬青年は思ったように当たらない事に苛立ちの言葉を吐く。

「やめろって! こんなゲームに乗るなんて馬鹿げてる、落ち着けよ!」

訴える大和。彼はこの殺し合いゲームに反抗し、仲間を募りどうにかしてゲームからの脱出を試みようとしていた。
しかし犬青年は大和の言に耳を貸すつもりは無いようだ。

「うるせぇ! 最後の一人にならなきゃ生きて帰れないんだろ! だったら俺は死ぬのは嫌だ!」

ゲームに巻き込まれ精神的余裕を失っているのか声を荒げ、再び銃を乱射し始めた。
一発が大和の耳元を掠め彼の肝を冷やさせる。

(駄目だ、まともに会話出来る状態じゃない)

大和は説得を諦め全速力で逃走した。
無論犬青年が黙って見送る筈も無く背後から発砲を受けるも、幸いにも当たる事は無かった。

走り続けた大和は、息切れを感じゆっくりと立ち止まる。
息を整えながら辺りを見ると、風景は林に囲まれた荒地から市街地に変わっていた。
犬青年の姿は見えず、振り切る事に成功したと判断した大和は一先ず安堵する。

「振り切った……でもこれだと先が思いやられる」

自分の目的を考えると幸先の悪いスタートだと言わざるをえない。
だがまだへこたれるには早いと自分を奮い立たせ、自分と同じく殺し合いに乗っていない参加者を見付けるべく大和は歩き出す。

◆◆◆

「逃げられたか、まぁいいや……」

シェパード犬獣人の青年、沼倉勇喜は逃走した狼兵士の追撃を早々に諦める。別段狼兵士に拘る必要も無い。
ハッテン場通いが趣味のゲイと言う点を除き普通のフリーターである勇喜は、自分が生き延びる為に殺し合いに乗った。
この殺し合いにはハッテン場仲間である黛康裕とスィヴレバルも居たが、例え会ったとしても構わず襲うつもりで居た。
普段しゃぶり合い、突き合い、かけ合った仲間。しかし結局は自分の命には代え難い。
実際に二人と相対してもその決意が揺るがないかどうかは別として。

311 :否定のレクイエム ◆ymCx/I3enU :2015/12/03(木) 05:35:20.50 ID:heQsxNvr
【明朝/E-5市街地】
【北原大和】
状態:健康
装備:三十二年式軍刀
持物:基本支給品一式
現状:殺し合いはしない。仲間を集めて脱出を目指す。
備考:沼倉勇喜(名前未確認)を危険人物と判断。

【明朝/E-5荒地】
【沼倉勇喜】
状態:健康
装備:スタームルガーP85(7/15)
持物:基本支給品一式、スタームルガーP85の弾倉(3)
現状:殺し合いに乗り優勝を目指す。知り合いに会っても容赦しない。
備考:北原大和の容姿のみ記憶。

----
《キャラ紹介》
【北原大和】
読み:きたはら やまと
年齢:20
性別:男
種族:狼獣人
特徴:灰色の毛皮に赤い瞳。引き締まった長身の身体。緑色の戦闘服姿
職業:陸軍兵士
備考:暑苦しいと言う訳では無いが正義感の強い熱血漢。但し一歩引いて思考出来る程度の冷静さも有る。
兵士である為銃火器、刀剣類の扱いとある程度の格闘技に通じ、戦闘能力と身体能力は高い。
地味にエレキギターが演奏出来る、が最近は余りやっていない

【沼倉勇喜】
読み:ぬまくら ゆうき
年齢:19
性別:男
種族:犬獣人
特徴:ジャーマンシェパード種犬獣人。普通の身体だが逸物はそこそこ大きい
職業:フリーター(現在はカフェのバーテンダー)
備考:ハッテン場通いが趣味のゲイ。普段はフリーターとして色々なバイトをしている。
中学の時思い切って先輩の男子生徒に告白するも「俺猫好きなんだ」とフラれしばらく鬱状態になったほろ苦い思い出あり。
基本的に人当たりは良いが、緊急時となると感情的になる傾向である。
ロワ参加者の黛康裕、スィヴレバルはハッテン場仲間



《支給品紹介》
【三十二年式軍刀】
支給者:北原大和
分類:刃物
説明:明治32年に制定された旧日本陸軍の官給下士官刀。本ロワに登場するのは騎兵用の「甲」である。

【スタームルガーP85】
支給者:沼倉勇喜
分類:銃火器
説明:アメリカのスタームルガー社が1987年に発売した自動拳銃。
堅牢かつ安価で、本国では人気があり、幾つかの法執行機関に制式採用もされている。9mmパラべラム弾使用。
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312 : ◆ymCx/I3enU :2015/12/03(木) 05:36:20.04 ID:heQsxNvr
投下終了です。
マーダーが男に偏ってると知った今日この頃

313 : ◆ymCx/I3enU :2015/12/06(日) 23:12:30.22 ID:95xwDa6x
投下します。
登場は末盛眸美とザスキア・フェルカーです

314 :その行為は嘘をつかない ◆ymCx/I3enU :2015/12/06(日) 23:13:30.40 ID:95xwDa6x
18話 その行為は嘘をつかない

畑が広がり農家が点在するC-6エリア。農業用の小道をとぼとぼと歩く、裸Yシャツ姿の犬獣人の女性・末盛眸美。
無理矢理犯されるのが大好きな程にマゾヒストであり変態な彼女はこれからどうしようと思案していた。
死ぬ前に一度でも良いので行為がしたいとは思ってはいたのだが。

「その辺の家にでも落ち着こうか……」

適当な農家を見付け敷地内に入る。
平屋の母屋と農機具倉庫の有る恐らく一般的な農家。
母屋の玄関を開けた時だった。

「誰だ」
「ヒィー!」

玄関の戸を開けるなりライフルの銃口を向けられ硬直する眸美。耳を伏せて両手を挙げホールドアップの姿勢を取る。
彼女にライフルを向けているのは、鳥の翼と獣の手足、尻尾と耳を持った半獣の女性。
鋭い目で眸美を睨めつけていた。

「変態か?」
「ひ、否定はしないけどその物騒なモノ下ろしてよ……! 殺し合う気は無いから……!」
「ほう、証拠は有るのか?」
「証拠ォ!?」

殺し合いに乗っていないという事を証明出来る証拠など出しようが無いのだが、焦った眸美は彼女なりの答えを出す。

「これで勘弁して下さい!」

その場に座り込んだかと思うと脚を広げその部分をくぱぁと開き、奥まで見せ付けた。
「M字に開脚しくぱぁしてる」とでも書けば分かりやすいだろうか。
有翼の女性は思わぬ眸美の行動に引いてしまう。

「お前頭おかしいだろ……」
「自覚はしてる」
「まあいい、そんな事までするのだからお前は乗っていないんだろう、信じてやる」
「ホントォ?」

眸美の懸命()なアピールも有ってか有翼女性は信じた様子。
自分に向けられていたライフルが下ろされるのを見ると眸美は安堵し、立ち上がる。

「私はザスキア・フェルカー……お前は?」
「末盛眸美……」
「ヒトミか。取り敢えず上がれ。奥で話そう」
「ここ貴方の家じゃないでしょ」
「ん?」
「ヒィーゴメンナサイゴメンナサイ銃向けないで!」

眸美はザスキアと名乗った女性と共に家の奥へと向かう。

「何か服でも探したらどうだ?」
「いやいい」
「男に見付かったら乱暴されるかもしれないぞ」
「私そーいうの、大好き!」
「変態め……もういい」
「そんな事よりザスキアさんは……」
「呼び捨てで構わんよ」
「あー、ザスキアは乗ってないんだよね?」
「何にだ」
「いや、殺し合い」

315 :その行為は嘘をつかない ◆ymCx/I3enU :2015/12/06(日) 23:14:03.81 ID:95xwDa6x
こうは質問したものの眸美はザスキアは殺し合いには乗っていないだろうと踏んでいた。
乗っていない自分を割とあっさり受け入れてくれたと言うのがそう思う理由であったのだが。
しかし、ザスキアの返答は彼女の予想とは余りに反する物であった。

「乗っているが?」
「は?」
「聞こえなかったのか、乗っているぞ私は。このゲームにな」
「えっ、え?」

ザスキアは殺し合いに乗っていると言う。冗談の類では無いと言う事はすぐに察せた。
しかしそれならば何故自分をさっき殺さなかったのか? ガクガク震えながら眸美はザスキアに疑問を投げかける。

「え、いや、じゃあ何でさっき、私の事さっさと殺さなかったの? 乗ってるなら私、別に受け入れる必要、なくない……?」
「まぁ聞け。優勝を狙っているんだがな、一人より二人の方が何かと都合が良い。私の事を手伝ってくれる手駒が欲しいのだよ」
「まさか……」
「そうだ。お前には私の手駒として働いて貰う」
「えええええ!?」

殺し合いの片棒を担げと完全に命令してくるザスキアに抗議の色を含んだ叫びを上げる眸美。
眸美自身は殺し合いに加担する気など全く無かったのだから当然の反応であるのだが、ザスキアは当然、彼女の拒絶を許しはしない。
再びライフルの銃口を彼女に向け脅しを掛ける。

「嫌なら良いぞ? 他の候補を探すまで。お前にはここで死んで貰う事になるがな……」
「うあ、あ、あ」

ここで先程の衣類の件のように拒否すれば間違い無くライフルの銃弾が自分の脳天を貫くだろう。
眸美は殺し合いの片棒は担ぎたくなかったが死にたくも無い。
ここで断れば殺される、だが、命令を聞けば取り敢えずは生かして貰える。そうすればこの女から逃げるチャンスも来るだろう。
優先されるべきはやはり命。命に代えられる物は無い。

「……ワカリマシタ……」

涙目になりながら、眸美はザスキアに隷属する事を決意した。

「聞き分けの良いのは感心するな。お前は長生き出来るぞ」

笑みを浮かべながら言うザスキア。中々に可愛い部類の笑顔だったが今の眸美には悪魔の笑みにしか見えない。
とんでもない人物に出会ってしまったと心の中で眸美は思っていた。

◆◆◆

316 :その行為は嘘をつかない ◆ymCx/I3enU :2015/12/06(日) 23:14:38.93 ID:95xwDa6x
ザスキア・フェルカーはとある旅団ギルドに所属する冒険者である。
唯我独尊気質の強い彼女――ギルド内では一応仲間意識は持っていたようだが――が殺し合いゲームに放り込まれ、
自身の生存の為、即ち殺し合いに乗り優勝を目指すのはある意味当然の流れだったと言える。
彼女はそれなりに知恵も有り、単独より誰かと行動した方が、索敵や警戒、いざと言う時の盾等有利な事が多いと早めに察する。

そんな彼女の前に現れたのが、裸Yシャツに靴下と靴と言う変態犬獣人の女、末盛眸美。
殺し合いに乗っていないアピールを自身の性器をおっ広げると言う手段で行う、男に暴行される事が喜ばしいと言う等、
これだけでは奇行の多い痴女でしか無いが、それを除けば割合話の通じる良識的な人物とも言える。
脅せば素直に言う事を聞くので手駒としては丁度良いとザスキアは思う。
自分に支給された骨董品レベルの古い軍用ライフル、マルティニ・ヘンリー銃で圧力をかけつつ、眸美を隷属させる事に成功した。

(役立たずになればさっさと捨てるがな……こいつが反逆する事も有るかもしれんが……とにかく精々働いて貰うぞヒトミ)

自分と出会った事を後悔しているのだろう、俯き加減になっている眸美を横目で見ながらザスキアはほくそ笑んだ。

【明朝/C-6畑地帯野田家】
【末盛眸美】
状態:健康
装備:不明
持物:基本支給品一式、不明支給品
現状:殺し合いはしたくないが殺されたくないのでザスキアの手伝いをする。隙が有れば逃げたい。
備考:ザスキアを危険人物と判断。

【ザスキア・フェルカー】
状態:健康
装備:マルティニ・ヘンリー銃(1/1)
持物:基本支給品一式、.577/450マルティニ・ヘンリー弾(10)
現状:殺し合いに乗り優勝を目指す。ヒトミ(末盛眸美)には精々働いて貰う。反逆したり使えなくなったりすれば始末する。
備考:特に無し。

《キャラ紹介》
【末盛眸美】
読み:すえもり ひとみ
年齢:20代前半
性別:女
種族:犬獣人
特徴:茶色と白の毛皮。巨乳でスタイル抜群。裸Yシャツに靴下と靴のみの姿
職業:不明
備考:マゾヒストで淫乱な犬獣人女性。露出狂でもある。
本人曰く中学生の時に実父に強姦されたのが切欠で性癖に目覚めたとの事。
自分の痴態を「極マゾめすいぬ」なる直球過ぎるHNでネットに動画投稿したり、
わざと治安の悪い場所に行って進んで集団に犯されたりするなど奇行が著しい。
但し淫乱な事を除けば割と良識的。一応働いてはいるらしい。

【ザスキア・フェルカー】
年齢:18
性別:女
種族:鳥人と獅子獣人の混血児
特徴:黒っぽいメッシュの入った金髪、鳥の翼を持ち両手の肘から先、両足の膝から先が獣。巨乳
職業:冒険者
備考:RPGファンタジー風世界のとある旅団ギルド所属の冒険者。
剣術と格闘技に通じ戦闘能力と身体能力は高い。銃の腕前は普通。頭は悪くは無い。
唯我独尊の気が有り偉そうな口調で喋るが、仲間と認めた者に対してはそれなりに付き合いは良くなる。

《支給品紹介》
【マルティニ・ヘンリー銃】
支給者:ザスキア・フェルカー
分類:銃火器
説明:1871年頃にイギリス軍に採用された後装式の単発レバーアクションライフル。
日本でも明治時代に海軍の海兵隊において使用されている。威力は高い。.577/450マルティニ・ヘンリー弾使用。

317 : ◆ymCx/I3enU :2015/12/06(日) 23:15:25.14 ID:95xwDa6x
投下終了です。

318 : ◆ymCx/I3enU :2015/12/18(金) 22:14:22.59 ID:naPmwH1B
投下します
登場:長嶺和歌子、タロー、ウラジーミル・コスイギン

319 :異国の空から届けられたモノ ◆ymCx/I3enU :2015/12/18(金) 22:15:18.52 ID:naPmwH1B
19話 異国の空から届けられたモノ

長嶺和歌子は小学生でありながら、犬科の獣との姦淫や露出行為に耽る、少し困った子であった。
友人の籠彩愛も巻き込んで日々快楽を愉しんでいた彼女は、彩愛と共に殺し合いゲームに巻き込まれてしまう。

「ちょっと待ってよぉ!」

廃村、その中に有るとある廃屋の中。
壁際に和歌子は追い詰められていた。相手は、かなり薄汚いオス犬。妖犬か魔犬の類であろう。
首輪をしておりデイパックも所持していたので参加者の一人のようだが、目の焦点は合っていない上ダラダラ涎を垂らし息を荒げているその様からは、
まるで知性を感じさせずまともに会話が通じそうには見えない。
その上、和歌子を憂慮させている事象が有った。

「何で発情してんの……」

オス犬は和歌子に欲情していた。
いきり立つ股間のそれがチラチラと見えていた。

「ウーッ! ウーッ! ***とっオシッコのニオイィ、した! ハァハァヤりたいー!」
「あっ……」

オス犬の言葉に、和歌子は先程その辺りで用を足した事を思い出す。どうやらその時の臭いを嗅ぎ付けたらしい。

「いやえーと待って下さい、あの、ちょっと今、そういう気分じゃないんで」

慌ててオス犬に訴える和歌子。
もしオス犬が小奇麗でまともに会話出来そうであったのなら割とあっさり行為に及んでいただろうが、
今目の前に居るオス犬はとにかく汚く何とも言えぬ悪臭を放ち、無理矢理「する」気も満々のようで、それよりも何よりも。

(何あれ、何か病気持ってるって! あんなの無理! あんなの入れられたら病気移されちゃう!)

オス犬のそれは幾つものイボが出来、明らかに何かの性病を患っているのが見て取れた。
そんな物を受け入れる勇気など和歌子には無い。いつも犬を相手にする時は清潔にしてから臨んでいたのだから。

「ガマンれきなぃいー」
「うわああ!」

逃げ出す間も無くオス犬が和歌子に飛び掛かる。
もう駄目だと和歌子は諦観した。

「〈〜〜〜〜〜〜〜〜!!〉」

その時突如響く青年の怒声。

「ギャンッ!?」

和歌子の身体に覆い被さっていたオス犬が引き剥がされ、2メートル程離れた壁に叩き付けられた。
建物が老朽化していたせいか壁には大きなヒビが入り建物が揺れ埃が天井から舞い落ちる。
何が起きたのか分からず目を白黒させる和歌子の視界に映ったのは、獣足の有翼獅子獣人の青年。
服を着ない種族なのか、ほぼ全裸の格好だった。

320 :異国の空から届けられたモノ ◆ymCx/I3enU :2015/12/18(金) 22:15:42.32 ID:naPmwH1B
「いっだぁあ、ナンだよおまえっ!」
「ガアアアアアア!!」
「ヒッ……!」

牙を剥き出し獣の形相で威嚇する獅子青年。オス犬は耳を伏せ怯える。この時点で勝負はついたと言って良い。
負けを認めたオス犬は脱兎の如く逃げて行った。

「た、助かった……」
「〈〜〜〜?〉」
「え、あの、何語……?」

話しかけてくる獅子青年であったが和歌子には理解出来ない言語であった。
察したのか青年は一度咳払いをして、流暢な日本語で喋り始めた。

「ごめん、大丈夫? 怪我してない?」
「あ、日本語出来るんですね……はい、何とか」

一先ず危機が去った事で安心しながら、和歌子は自分を助けてくれたらしい獅子青年と対話する。

◆◆◆

裸族でもある有翼獅子獣人種の青年、ウラジーミル・イリイチ・コスイギン。
ロリコンである彼は良質なロリ系のアダルト雑誌や漫画、ゲームやAV等を求めて来日していた。
その矢先に今回の殺し合いゲームに拉致され参加させられた。

ロリコンである事以外は基本的に善人である彼はj殺し合いには乗らず、
スタート地点近くの廃村を探索しようとしていたのだが、その時少女の悲鳴を聞く。
駆け付けてみると、汚い巨躯のオス犬に犯されそうになっている彼好みの小学校高学年位の人間少女が居た。
助けなければ、そう思いウラジーミルは飛び込み、オス犬を撃退し彼女を救助した。

断っておくが少女を助けた行動自体は純粋な気持ちからであり邪な意図は一切無い。

(〈……可愛い〉)

ただ、助けた後、落ち着いた上で改めて少女の事を見ると、本当に自分好みの可愛らしい子だと言う事を認識してしまい、
ほんの少しだけ、ほんの少しだけ、欲望が湧き出てしまっていた。
自制しつつ、ウラジーミルは長嶺和歌子と名乗った少女と対話を始めた。

◆◆◆

薄汚いオスの妖犬、タローは逃走の末、廃村の隅にある防火倉庫跡に隠れる。
人間の可愛い少女を欲望のまま犯そうとした時、突如現れた有翼獅子獣人の青年に邪魔され壁に叩き付けられた。
その時の身体の痛みがまだ残っている。

「ウッ、ウーッ、いてぇ……あの、ライオンやろう、めっ……コハル、どこぉ? ウーッ……」

自分をいつも優しく受け入れてくれた、神社の巫女の少女、布川小春の名前を呼ぶタロー。
タローと言う名前も小春が名付けてくれた物だ。
汚く、臭く、性病も抱え、知能も低い自分の事を受け止め、毎日のように肉体を交えていた小春。
彼女も自分と同じくこの殺し合いに巻き込まれており何とか再会したいとタローは願う。

「コハルとヤりたいよぉ! ハァハァハァハァ!」

己の股間のイボだらけの逸物をまさぐり息を荒くするタロー。
小春と再会したいという気持ちには、純粋に彼女を慕っていると言うのも有るのだが、性欲の方が微かに勝ってしまっていた。

321 :異国の空から届けられたモノ ◆ymCx/I3enU :2015/12/18(金) 22:16:34.53 ID:naPmwH1B
【明朝/C-2廃村戸川家】
【長嶺和歌子】
状態:健康
装備:不明
持物:基本支給品一式、不明支給品
現状:死にたくない。あやちゃん(籠彩愛)と会いたい。助けてくれた人(ウラジーミル)と話をする。
備考:タロー(名前は未確認)を危険人物と判断。

【ウラジーミル・コスイギン】
状態:健康
装備:不明
持物:基本支給品一式、不明支給品
現状:殺し合いには乗らない。助けた少女(長嶺和歌子)と話をする。
備考:タロー(名前は未確認)を危険人物と判断。


【明朝/C-2廃村防火倉庫跡】
【タロー】
状態:身体に痛み
装備:不明
持物:基本支給品一式、不明支給品
現状:コハル(布川小春)と会いたい。交尾したい。
備考:長嶺和歌子、ウラジーミル・コスイギンの外見のみ記憶。


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《キャラ紹介》
【長嶺和歌子】
読み:ながみね わかこ
年齢:11
性別:女
種族:人間
特徴:黒髪セミロング。年相応ながら魅力的な身体
職業:小学生
備考:犬科獣とのいやらしい行為や露出が趣味。
それを除けば明るく優しい少女。あまり頭は良くないらしく家庭科以外は軒並み成績が悪い。
友人の籠彩愛を自分と同じ道に巻き込みしょっちゅう一緒に犬科獣との遊びを愉しんでいる。
彩愛の事は「あやちゃん」と呼んでいる。

【タロー】
年齢:不明(おっさんらしい)
性別:♂
種族:妖犬
特徴:茶色と白のボサボサで薄汚れた悪臭を放つ毛皮、痩せ気味。いつも涎を垂らし知性が感じられない瞳。性病に罹患し陰茎に多数のイボ有り
職業:無職
備考:とある神社に住み着く汚い野良犬のオス。
その神社の巫女である布川小春と親密になり毎日のように交わり餌を貰い暮らしていた。
知能は低く欲望に忠実。小春の事は性欲の発散相手にしか見ていない、ようにしか見えないが一応慕っている。

【ウラジーミル・コスイギン】
年齢:21
性別:男
種族:有翼獣足型獅子獣人種
特徴:茶色い毛皮。ライオンを二足歩行にして少し人間寄りの体型にした上で竜のような翼が背中に生えたような外見。裸族
職業:不明(相当の収入は有る様子)
備考:ロシア風国家より日本風国家への旅行途中に今回のロワに巻き込まれる。
重度のロリコンであり、日本にやってきたのも良質なロリ系エログッズを集める為。ロリコンである事を除けば善良。
裸族である為服は基本的に着ない。母国語の他に日本語や英語が出来る。
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322 : ◆ymCx/I3enU :2015/12/18(金) 22:17:23.56 ID:naPmwH1B
投下終了です。

323 : ◆ymCx/I3enU :2015/12/29(火) 23:28:14.11 ID:9ruV2jqp
投下します、もう年末じゃねえかよ……

324 : ◆ymCx/I3enU :2015/12/29(火) 23:29:03.20 ID:9ruV2jqp
20話 ホテルの中の憲兵さん

ホテルへと到着した竜人少年・本庄忠朝と、バニーガール・伊藤文子。
フロント係も誰も居ない静まり返ったロビーが二人を出迎えた。

「誰も居ない……? 静かだなぁ」
「結構広い建物っぽいし、他にも人居るんじゃないかな」
「見て回りますか? 流石に全部隅々まで回るのは無理でしょうけど」

ホテル内に他の参加者が居る可能性を考え、二人は探索する事にする。
二人の内、辛うじて武器となりそうな物であるモンキーレンチを支給された忠朝がそれを右手に持ち先頭になった。
一方の文子には薬品の瓶が支給されていた。
説明書を読む限り、強力な麻酔薬のようで、一瓶丸ごと飲むか投与すれば致死量という代物。
だが直接的な武器では無い為、今の所はやはり多少なりとも戦力足り得るのは忠朝の方と言えた。

◆◆◆

ホテル一階に有るレストランに一人の客が居た。
否、客などでは無く殺し合いの参加者の一人、女性憲兵隊長の松宮深澄。

「さてと、これからどうするか」

椅子に座り思考を巡らせる深澄。テーブルの上には彼女の支給品であるサバイバルナイフが置かれている。

(まずは首輪をどうにかしなければな)

最大の問題と言えるのは首にはめられた首輪。
爆弾内蔵の、参加者達を殺し合いに縛る枷。参加者一人一人のモニタも首輪を通して行っていると思われる。
首輪を無効化しなければ脱出は不可能だろう。

(まずは首輪の内部構造を調べる、その為の首輪のサンプルの入手……その為には……ん?)

色々と考えていた時、人の気配を感じ、深澄はナイフを持って物陰に隠れる。
レストラン入口の扉が開き、入ってきたのはブレザー姿の竜人少年と、バニーガール姿の女性。

「レストランか」
「誰か居る?」

二人はまだ深澄の存在には気付いていないが時間の問題だろう。
一人しか優勝出来ないこのゲームにおいて複数で行動しているのであれば殺し合いに乗っている可能性は低いと考えて良い。

「レストランね〜こんな状況でなければ食事していきたいけど」
「従業員も居ませんけど……この前行ったレストラン美味しかったですよね」
「ああ、あれねぇ」

呑気な会話が聞こえてくる。ますます殺し合いには乗っていなさそうだと深澄は思う。
二人と接触を試みた。

「おい」
「う!」
「わ!」
「騒ぐな。私はゲームには乗っていない」

驚きと恐怖の混じった表情を浮かべる竜人少年とバニーガールに深澄は戦意が無い事を伝えた。

325 : ◆ymCx/I3enU :2015/12/29(火) 23:29:28.36 ID:9ruV2jqp
「あ、貴方は?」
「私は松宮深澄。**基地憲兵部隊の隊長を務めている。名前は何と言う? 二人共」
「わ、私は伊藤文子」
「僕は本庄忠朝と言います」
「だいぶ呑気な会話が聞こえたがお前達は殺し合いには乗っていないのか?」

深澄の問いに二人は頷く。

「そうか。それは良かった。乗っているのならこの場で始末していた所だ」
「「えっ」」
「それはそうと、お前達二人だけか? 他に仲間は居ないか?」
「はい、僕と伊藤さんだけです。今からこのホテルの中を見て回ろうと思っていたんですけど……」
「このホテルの中は私が既に見回った。特に誰も居なかったぞ」
「本当ですか?」
「疑うか?」
「あ、いえ」

深澄はレストランにやってくる直前までホテル内部を見て回っていた。
結果的に誰も人の姿は見掛けず、文子と忠朝が彼女にとってこの殺し合いで初めて遭遇した参加者となる。
とは言え深澄も徹底的に探索した訳では無かったのだがそれでも文子と忠朝は納得したようだった。

「私は殺し合いからの脱出手段を探しているんだが、一緒に来るか?」

二人に自分と行動するかどうか尋ねる深澄。
正直言って文子も忠朝も余り役に立ちそうには見えなかったものの、ここで会ったのも何かの縁、と思い深澄は二人に訊いた。
二人は少し顔を見合わせ、その後深澄の提案を受け入れる。

「脱出出来る可能性が少しでも有るならそれに賭けたいと思います」
「貴方と一緒に行くわ! えーと松宮、さん?」
「分かった。生き残る為に力を合わせよう」

松宮、伊藤、本庄の三人による反主催グループが結成された。

「そう言えば松宮さんは、このゲームに知り合いは呼ばれていないの?」
「ん? ああ……」

文子の質問に深澄は少し間を置いてから答えた。

「部下が一人居る。山津有岐と言うんだが」
「そうなんですか……」

「早く見付けたいでしょう」と訊く忠朝に「いやそうでも無い」とあっさりと深澄は返した。
山津有岐と言う彼女の部下は、何かとドジをやらかし深澄や同じ隊の隊員を悩ませていた問題人物であり、
開催式の時に山津の姿を見付けた深澄は「よりによってこいつか」と嘆息を漏らした程である。
そんな人物を進んで探す気にはなれない。かと言って別に死ねば良いなどとも思わないが。

「まあ、会えたなら会えたでそれで良いがな」
「はぁ」

適当に締め括り深澄は山津について考えるのを一旦止めた。

326 : ◆ymCx/I3enU :2015/12/29(火) 23:30:48.65 ID:9ruV2jqp
◆◆◆

図らずも反主催の有力(そうに見える)人物に出会えた文子と忠朝。
生還への希望が少しながらも見えてきた事で二人の表情に明るさが少し増す。無論期待し過ぎも良くないとは分かっていたが。

「あっ」
「? どうしました? 伊藤さん」
「いや、何でも」
「?」

こっそり忠朝と行為に及びたいと思っていた文子は深澄と一緒に居たらそのチャンスが激減するとたった今悟ったが、後の祭りであった。


【明朝/E-2ホテル一階レストラン】
【本庄忠朝】
状態:健康
装備:モンキーレンチ
持物:基本支給品一式
現状:殺し合いはしない。伊藤さんと共に松宮さんに付いて行く。休みたいけど……。
備考:伊藤文子と共に松宮深澄と行動。

【伊藤文子】
状態:健康
装備:無し
持物:基本支給品一式、麻酔薬
現状:殺し合いはしない。忠朝君と一緒に松宮さんに付いて行く。休みたいけど……。
備考:本庄忠朝と共に松宮深澄と行動。

【松宮深澄】
状態:健康
装備:サバイバルナイフ
持物:基本支給品一式
現状:殺し合いからの脱出手段を探す。首輪のサンプルが欲しい。
備考:伊藤文子と本庄忠朝には山津有岐と言う部下がこの殺し合いに呼ばれている事しか話していない。

327 : ◆ymCx/I3enU :2015/12/29(火) 23:31:08.44 ID:9ruV2jqp
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《キャラ紹介》
【松宮深澄】
読み:まつみや みすみ
年齢:28
性別:女
種族:人間
特徴:紫がかった髪、目付きが鋭い美女。憲兵隊の制服姿
職業:憲兵
備考:とある軍基地において憲兵隊を率いる女性憲兵。
機械工学や電子工学に通じており、基地のコンピューターの管理も任されている。
戦闘能力も高く、銃や刀剣の扱いに長けている。
冷徹な性格で同僚や部下からは信頼されると同時に恐れられているが、実は可愛い物が好きだったりする。
本ロワの参加者の一人、山津有岐は部下の一人だが、色々問題を起こされ頭を悩ませている。

《支給品紹介》
【モンキーレンチ】
支給者:本庄忠朝
分類:その他
説明:ボルトを掴む部分を調節出来るレンチの一種。

【麻酔薬】
支給者:伊藤文子
分類:薬物
説明:瓶に入った麻酔薬。種類は「チオペンタール」。アメリカの薬殺死刑に用いられる三種類の薬の一つでもある。

【サバイバルナイフ】
支給者:松宮深澄
分類:刃物
説明:文字通りサバイバル目的に作られた大型のシースナイフ。
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328 : ◆ymCx/I3enU :2015/12/29(火) 23:32:50.68 ID:9ruV2jqp
投下終了です。寒い

329 : ◆ymCx/I3enU :2016/01/05(火) 00:22:05.77 ID:k0nxr2YO
明けましておめでとうございます
一話投下しやす

330 :置き忘れたアスファルト〜 ◆ymCx/I3enU :2016/01/05(火) 00:23:08.73 ID:k0nxr2YO
21話 置き忘れたアスファルト、染めていく陰鬱のニオイ

その展望台はとうの昔に閉鎖され、もう使われていないようだった。
駐車場はアスファルトがひび割れ雑草が伸び荒れ放題、建物も窓ガラスが割られ外壁の化粧板が剥がれ落ちていたりと廃墟の様相を呈している。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」

息を切らせながら、年に不釣り合いな巨乳を揺らし展望台の入口に辿り着く籠彩愛。

「はぁ、はぁ……ここは、展望台? ……廃墟みたい」

上を見上げると展望室が有るのが見える。やはりガラスが幾つも割られている。
目の前にはドアが破壊された展望台の正面玄関が彩愛を出迎えていた。
警戒しながら、彩愛は展望台の中へ足を踏み入れる。先程のナイフを持った男が追い掛けて来ているかもしれない。

――その男は全く彩愛に危害を加えるつもりは無く彼女の思い込みで危険人物と判断していただけなのだが彩愛はそれに気付く由は無い。

古びた螺旋階段を、彩愛は恐る恐る上り始めた。

◆◆◆

黒豹獣人の男、シャーガはとある闘技場で見世物の為に対戦を繰り広げる格闘家。剣こそ使わないが剣奴のようなものである。
雇い主の言われた通りに戦い、時には八百長にも加担し、生計を立てている。
「格闘家としての誇りは無いのか」などと非難される事も有るが彼は全く気にしていない。
必要が有れば、用心棒的な役割も果たす為、一概に見世物の為だけに戦っているとも言い切れない。

展望台最上部の展望室。備え付けられていた望遠鏡を、腰布姿の引き締まった肉体を持つ黒豹の男が覗き込む。
しかし、何も見えない。望遠鏡は有料だった為小銭を入れなければ作動しない。

(やっぱ駄目か。どうせ壊れてるだろうからお金有っても無駄だろうけどな)

望遠鏡から顔を離すシャーガ。
展望室は360度見渡せる円形で、望遠鏡無しでもある程度は殺し合いの会場となっている島を見渡す事が出来た。
時折銃声が聞こえ、その度に誰かが撃たれて死んだのかとシャーガは思う。
海の方に目をやると、遠方に客船らしき船が航行しているのが見えた。
客船の乗員乗客は自分達のすぐ傍に有る島で殺し合いが催されている等とは思いも寄らないであろう。

カツン、カツン……。

「ん」

階段を上ってくる足音を聞き、シャーガの耳が動いた。誰か来るようだ。
展望室には逃げる場所も隠れる場所も無い。それ以前にシャーガは別に逃げるつもりも隠れるつもりも無かったが。
死角になる位置で待ち構えていると、現れたのは金髪をツインテールに纏めた幼い人間の少女。
年は10歳かそこらであろうが年に不釣り合いなたわわに実った乳房が揺れ動いているのが分かった。

「可愛いな」
「ひっ!?」

シャーガの存在に気付き驚く少女。
かなりの美少女で身体付きも良い。シャーガはいやらしい考えを起こし嬉々とした様子で少女に近付く。

「な、何ですか?」
「取り敢えず悪戯させてくれよ」
「えっ!? い、嫌!」

当然少女は逃げようとするのだが気が動転していたのか階段では無くベランダの方に向かおうとした。
結果、床に落ちていた空き瓶を踏み盛大に転んでしまう。

331 :置き忘れたアスファルト〜 ◆ymCx/I3enU :2016/01/05(火) 00:23:40.73 ID:k0nxr2YO
「いったぁい……」
「捕まえた」
「あっ!」
「君、子供みたいだけど、おっぱいでかいなぁ、いやらしい身体」
「あっ、ひっ、やめて」

少女の乳房を服の上から揉みしだくシャーガ、その腰布の股間部分が大きく膨らんでいる。
必死に逃れようとする少女だったが「静かにしろ」と平手打ちを食らわされ、痛みと恐怖で大人しくなってしまった。
そしてあっと言う間に衣服を破かれて全裸にされ、シャーガは少女のその部分を押し広げ観察する。

「君、ヤってるんだ? 処女じゃないよな」
「……っ……と、友達と、一緒に、犬、と……」
「へぇ、そういう趣味か……なら俺の入れても大丈夫だよな?」
「あああああ」

腰布を外し、猛々しいそれを見せ付けるシャーガ。絶望した様子の少女。

「あ、あ、わかちゃん助けてぇ……わかちゃん」
「ん? 友達の名前? この殺し合いに呼ばれてるの? まあいいや、さっさと愉しませて貰うよ」
「あ、やああああーーー……」

少女に覆い被さるシャーガ。
展望室一杯に、男の荒い息遣いと少女の嗚咽と喘ぎが響く。

◆◆◆

逃げ去った少女を追い掛けて展望台にやって来た大崎年光。
走って行った方角からして、展望台に入った可能性が高かった。
遠目からでも寂れている雰囲気は分かったものの、近くまで来て見ると完全に廃墟化しているのが明確となる。
壊された出入口を潜って中に入る。

「あ……あ……いやあ……」
「!!」

建物上部、展望室から微かに聞こえた、少女らしき声。
助けを求めるような、喘いでいるような、どちらにしても尋常な様子では無さそうである。
そしてその声には年光は聞き覚えが有った。

(さっきの子……!?)

自分が追い掛けていた少女だと直感的に年光は思い、そう思った時には目の前の螺旋階段を駆け上っていた。
嫌な予感がした。もしや。

彼にとって、少女は全く縁も所縁も無い言ってしまえば「赤の他人」だったが、それでも彼は放っておけなかった。
突然殺し合いに巻き込まれ、恐怖で路頭に迷っているであろう名前も分からぬ少女の事を。
自分の不用意な行動のせいで誤解させ、怯えさせてしまったのなら尚更、と、一種の責任も感じていたのも有るだろう。

「……なっ」

そして展望室まで上った年光が見た物は。
全裸でぐったりしている、あの時の少女と、その顔に自分の種液を撒き散らしている黒豹獣人の男だった。
辺りには破かれ無残な有様の少女の衣類が散らばる。
ここで何が起きたかは明白。年光の心に沸々と怒りが込み上げる。

332 :置き忘れたアスファルト〜 ◆ymCx/I3enU :2016/01/05(火) 00:24:43.07 ID:k0nxr2YO
「あー気持ち良かったぁ」
「お前、何してんだ!!」
「あ?」

年光の怒声が響き、黒豹の男が年光の方に顔を向ける。

「見りゃ分かるだろ……アンタも混ざる?」
「この野郎、その子から離れろ!!」

黒豹の男に突進する年光。怒りの余り冷静さを欠いていた。
とにかく少女から男を離す事しか頭に無かった。

ガスッ

「――!!?」

左頬に凄まじい衝撃、そして視界が大きく揺らぎ、気付いた時には吹き飛ばされ数メートル後ろに倒れていた。
顔面や身体の痛み、そして脳震盪が年光を襲う。

「がっ……あ」
「邪魔するなよな、良い所だったのに。無粋な奴だ」
「や、ろう……!」
「寝てろ!」

起き上がる間も無く、年光は再び顔面に衝撃を受け、意識が途絶えてしまった。

◆◆◆

邪魔に入った人間の男に殴打一撃、足蹴り一撃を加えた所、気絶してしまった。

(結構手加減したつもりなんだけど、ま、鍛えてない一般人みたいだしこんなもんか……。
たく愉しんでいたのに……二回イけたし、良いか)

完全に伸びている男から、呆然としている全裸の少女に目を移し、満足気な表情を浮かべるシャーガ。
破いた少女の衣類で自分のモノの後始末を済ませ腰布を巻き直す。

「気持ち良かった〜ありがとうな、あやめちゃん」
「……?」
「何で名前知ってるかって? 服に名前、書いてあったからな。おっぱいも良い触り心地だった。それじゃ、俺は失礼するよ」
「うっ……うっ……」

嗚咽を漏らす少女を尻目にシャーガは自分の荷物を持って階段へと向かった。
気絶させた男の事は一瞥しただけでそれ以上はもう何もする気は無かった。

シャーガは殺し合いを進んで行うつもりは無かったものの、自分の好きなようにして行動する事にしていた。
いつ死ぬか分からぬのだから欲望のままにしてやろうと。
必要有らば戦うつもりでは居たし、優勝出来るのなら優勝したいと思っていたので自棄になっている訳では決して無かったのだが。

「次はどうするかなあ」

階段を下りながら次の指針を考えるシャーガ。
そして一階まで下りて、出入口から外に出た辺りで、上の方から少女の大声らしき物が聞こえ、数秒後に重い音が響いた。

「……」

何が起きたのか大凡察したものの、少し足を止めた程度で、そのままシャーガは展望台を後にした。

◆◆◆

333 :置き忘れたアスファルト〜 ◆ymCx/I3enU :2016/01/05(火) 00:25:25.61 ID:k0nxr2YO
「うう……汚されちゃったよぉ」

しくしくと泣く彩愛。裸体は黒豹獣人の体液によって酷く汚れ悪臭を放っていた。
その部分から容赦無く放出された黒豹の男の精が溢れ出る。

「もう嫌だ、もう……」

突然殺し合いに放り込まれた挙句見知らぬ獣人の男に強姦された。
衣服もズタボロにされ、身体は獣人男の体液塗れで身動きもままならぬ。
友達の和歌子もどこにいるのか今生きているのかも分からない。
急速に彩愛の心を絶望が支配してゆく。ゲーム開始から二時間も経たないと言うのに彼女の心はもう限界であった。

「……あの人……あの時の」

自分を助けてくれようとして、返り討ちに遭い気絶してしまった男性。
それは、殺し合いが始まった直後に遭遇し、襲われると誤解して逃げてしまった時の男性であった。
見ず知らずの自分の事を助けようとしてくれたこの男性の事を疑ってしまうとは。

「……ごめんなさい……ありがとうございました……」

気絶しているので聞こえないであろうが、謝罪と礼を言う彩愛。

「……身体も心も醜い……私……もういいや……あははは……」

乾いた笑いを浮かべて、彩愛はふらふらと展望室外周のベランダへと歩く。
ポタポタと、その部分から黒豹の男の精が垂れ落ちるが最早構う事も無い。
錆びたベランダの手摺から下を覗き込めば遥か下に荒れ果てた駐車場。

「わかちゃん……ごめんね、私はこのゲーム、もう無理だよ。生き残れないよ……。
また一緒に犬と遊びたかったね……わかちゃんは生き延びてぇええ!!」

一気に手摺から身を乗り出し、少女は己の身体を空中へと投げ出す。
最後に大きく叫んだのは友人へのエールかそれとも行き着く結末への恐怖を掻き消す為か。
真っ逆様に彩愛は数十メートル下へと落ちて行き、硬いアスファルトに叩き付けられ、脳漿を撒き散らして散華した。

◆◆◆

少女の大声で気絶から年光は覚醒する。
顔面と身体の痛みを我慢しつつ身体を起こし、状況を整理する。

(確か俺は……そうだ、あの子は)

黒豹の男に犯されていた少女の事を思い出すのとほぼ同時に、階下からどんっと言う重い音が響く。
何事かと辺りを見回す年光、そして少女の姿が消えている事に気付く。
まさか、と、嫌な予感がした年光はベランダに向かい、地上を見下ろした。
そして予感は的中してしまっていた。
遥か下の地上、アスファルトにピンク色の脳漿と血液を撒き散らした、あの少女が横たわっている。
ベランダから飛び降りたらしい、飛び降りた理由は十分過ぎる程察せた。

334 :置き忘れたアスファルト〜 ◆ymCx/I3enU :2016/01/05(火) 00:26:46.14 ID:k0nxr2YO
「そんな……マジかよ……」

少女が自殺してしまった事に年光はショックを受ける。
自分がもっと早く来ていれば、いや、最初出会った時に上手く誤解を解く事が出来ていればこのような結末にはならなかったかもしれないのに。

「くそっ……何てこった……」

ただただ、年光は自分の不甲斐なさ、無力さを呪った。


【籠彩愛  死亡】
【残り45人】


【明朝/B-4展望台付近】
【シャーガ】
状態:健康
装備:不明
持物:基本支給品一式、不明支給品
現状:欲望のままに好きにする。必要有らば戦う。
備考:大崎年光の外見のみ記憶。籠彩愛の名前及び「わかちゃん(長嶺和歌子)」の名前を把握。

【明朝/B-4展望台展望室ベランダ】
【大崎年光】
状態:顔面打撲、身体全体に痛み(行動に支障は無し)、悔恨
装備:コンバットナイフ
持物:基本支給品一式
現状:殺し合いには乗る気は無い。少女(籠彩愛)を助けられなかった……。
備考:シャーガの外見のみ記憶し彼を危険人物と認定。

----
《キャラ紹介》
【シャーガ】
年齢:30
性別:男
種族:豹獣人
特徴:黒豹獣人。長身かつ引き締まった筋肉質の身体。ほぼ全裸だが腰布を巻いている。巨根
職業:格闘家
備考:とある闘技場に雇われ見世物の試合に出場している。
格闘家としての実力はかなりの物。とぼけたような印象だが自分の欲求の為なら良心の呵責を平気で捨てる。
金の為なら八百長にも加担するので正統派気取りの格闘家からは蔑まれているが当人は気にしていない。
一応、格闘家としての矜持なのか己の肉体以外の武器はまず使う事は無い。
その肉体と逸物故に結構男女共にモテる様子。両刀である。
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335 : ◆ymCx/I3enU :2016/01/05(火) 00:28:41.75 ID:k0nxr2YO
投下終了

シャーガはFEDAというレトロゲームに出てくるアービーというキャラのような見た目

336 : ◆YOtBuxuP4U :2016/01/10(日) 03:48:07.47 ID:1O0rDYPP
あけましておめでとうございます今年もよろしくお願いしますYOtです!
四字熟語投下します……紆余くん編は終わりです!

《簡易あらすじ》

バトロワ終了!凛々ちゃんは現世へ行ったが、紆余くんは主催戦を選んだ

最初の場所に戻る途中に銀髪メガネ無しの男に出会って首輪の真実が明かされる
主催はすべての文字の始まり「天飼千世」!

彼女は自分の死の未来が見える能力と
ルール能力を作り出す(こっちは人間に協力させないといけない)能力を持っていたので
死なないために人間を殺し合わせていっぱいルール能力を作ったのだった

天飼千世「でもそしたら今度は世界滅びちゃうし寂しいし、紆余くん勇者になって私と永遠に殺し合いしよ」
紆余くん「タイプじゃないんでお断りします」
天飼千世「ひどい」
紆余くん「勝手に死んでくれれば一番良かった」

とはいえ天飼千世は世界を滅ぼすほど強いし、いろいろ能力があるので殺せない
ここから一体どうやって天飼千世を殺す結末に持っていくのか、考えた結果がこちらです

337 :46◇おはなし(終) ◆YOtBuxuP4U :2016/01/10(日) 03:53:38.78 ID:1O0rDYPP
 





「そろそろ、まとめてもいいですか?」

 と、紆余曲折は言った。
 長く身の上を喋っていた天飼千世に対して、ずっと興味なさそうな顔で話を聞いていたが、
 ここでついに言葉を差し挟んだ。
 
「ん? ああ、いいよ? 長話してすまなかったね、しかも一方的に。そうだなあ、アナタの意見も聞きたいかな。
 今の話、まあすべて本当な訳だけどさ――どう思った?」
「そりゃあもうあれですよ」

 それが当たり前だという風に、紆余曲折は斬って捨てる。

「うだうだ言って周りに迷惑かけてないで勝手に死ねとしか言いようがありません」
「あー……あははは! 言うねえ!」
「だってなんか、色々語ってましたけど、それ結局あなたが死ねば早い話ですよね。
 千個の未来すべてで惨たらしく死んじゃうことが確定してるなんて、世界に嫌われてるとしか思えませんよ。
 実際に所業も最悪だし、救いようがないです。僕から言わせれば――あなたは欲張りすぎる」

 欲張りだと。
 業突く張りの、欲の塊であると断じた。
 天飼千代はふふ、と笑うと、楽しそうに言葉を返す。

「でも、これはアナタと同じですよ?
 いえもっと言うなら、一般的な人間となんら変わりはありません。生きたいから生きる術を探している。それだけなんですよ。
 死ぬのなんて嫌に決まってるじゃないですか? 殺されるなんてもっとまっぴら御免だ。
 ひとりで生きていくことならできるかもしれないけど、そんなのは楽しくない。それだったら死んだほうがまし。
 だったら答えは一つでしょう? それ以外に方法なんてない。生まれた時点で決まってたこと……」

 そらぞらしく言い振る舞う天飼千世に、冷たい目線を向ける。 
 ふと言葉を思い出す。紆余曲折にとってかけがえのない存在となった、ある恩人の、剣であり盾でもある彼女の言葉。
 生きているっていうのは――誇りを持っている間の事を言うんだ。
 生きたいって思ってない奴は――死んでいるのと同じだ。
 じゃあ、何を犠牲にしてでも楽しく生きたいと思うのは――。

「違う」

 紆余曲折は言う。

「生きるっていうのは」

 紆余曲折は、結論を言う。

「死から逃げるって、ことじゃない。辛いことから逃げて、楽しさだけを追い求めることでもない。
 いつか死ぬってことも、目の前に辛いことがあるってことも、全部全部飲みこんで、呑みこんで、体中にそれを浸透させて、
 何度でも嫌な気分になって、何度だって負けそうになって、何度だって諦めそうになって、何度だってそういうことを繰り返して、
 それでも、それでも……それでも前に進むのが。傷だらけで進むのが。生きるって、ことなんだ。
 ずっと楽しく生き続けようだなんて欲張りもいいところだ。
 良い未来だけ、おいしいところだけ食べて生きて、それで生きたつもりになってるなら――大間違いだ」
「たかが十数年しか生きてない君が、人生を説いてくれるの? 面白いね」
「一度も辛い選択肢を選ぼうとしなかったあなたよりは生きてるんじゃないですか?」
「ははは……アナタから見た天飼千世は、人を殺すのが辛くないんだね」

338 :46◇おはなし(終) ◆YOtBuxuP4U :2016/01/10(日) 03:55:22.57 ID:1O0rDYPP
 
 天飼千世が笑う。

「もう、そういう風に見られちゃうんだよね。まあ、仕方ない、かあ。麻痺、しちゃってるもんな」
「……」
「うん。そうだ。辛いことは起きる前に回避してきたからね。辛いことは経験していない。
 経験していないんだから、辛いと感じたことだってもちろんない。天飼千世は、そういう存在さ――。
 ふふ、やっぱりアナタは素晴らしいよ、紆余曲折。アナタみたいな勇者を、天飼千世は望んでた」

 酔ったような表情で紆余曲折を見る。

「アナタはアナタがアナタらしく生きるため……“それだけのために”こちらを殺しにきてくれる。
 復讐や夢を叶えるために動くようなのは、それが達成しちゃった瞬間に終わってしまうけれど、アナタは終わらない。
 いつまでも相手をしてくれる。いつまでだって遊んでくれる。
 ふふ、そろそろ、元の世界に“還す”けど……ホントならずっとここでこうやっておはなししていたいくらいだよ?」
「そうですか」
「そうです」
「じゃあ、よかったですね」

 ?
 天飼千世は頭の上にハテナマークを浮かべた。
 いま、紆余曲折は「よかった」と言った。
 どうしてこの流れで、自分のほうがよかったと言われなければならない?

「ん? どういうこと?」
「だから、よかったじゃないですか。死ぬまでおはなしできるんですから」
「……何を言ってるのかな」
「もうおはなしは充分聞いた、ということです」

 紆余曲折はふう、と短く息を吐いた。
 そして、着ている学生服のポケットに手を入れた。

 ポケットに、手を入れた。

 天飼千世は考える。なにかがそこにある? では、何がでてくる。
 《百発百中》の銃は、こちらが取ってしまっている。紆余曲折は見た限りでは他に武器を使っていない。
 首輪は回収させた。首輪の中に入っていた《紆余曲折》の紙か? だがそれでなにができる。

 何が出てくる?
 ――いや、何が出てこようと問題はないはずだ。
 天飼千世は手札を見せている。
 天飼千世という存在を守る文字の盾は三つある。

 一つ、《八方美人》を使う限り、天飼千世と喋ったことのあるものは天飼千世を殺せない。
 一つ、《高論卓説》を使う限り、天飼千世が喋っている間、紆余曲折は席から動けない。
 一つ、《生殺与奪》を使う限り、天飼千世は紆余曲折の所有物の所有権を握る。
 
 これらの文字がこの場の絶対のルールだ。
 これは覆せない。
 覆せない、はずだ。

「あなたは覆されることを望んでる。だからそう、これはあなたの……望み通りなんじゃないでしょうか」

339 :46◇おはなし(終) ◆YOtBuxuP4U :2016/01/10(日) 03:57:11.87 ID:1O0rDYPP
 
 紆余曲折はつまらなさそうに、見透かしたことを言ってくる。
 いや、それは当たりだった。
 なぜなら、万全を期すならば、紆余曲折が紙を取り出そうとした時点で《生殺与奪》によりその紙を奪うべきだからだ。
 しかし天飼千世はそれをしない。ぎりぎりのぎりぎりまでスリルを味わいに行く。
 どうあがいても覆せないはずの仕組み(ルール)だからこそ――それをどう覆してくるのかに、興味が行ってしまう。
 それは認めよう。

「望み、ですか」
「そうなんでしょう。そうとしか思えない。そうじゃなきゃ、僕はこんなに反抗的な態度を取らせてもらえない。
 さきの狂乱を思うに、“僕”は、あなたが見通す未来に居ないんでしょう?
 【どうしてきみが世界を変えうるかだけは、最後まで見えなかった。】
 僕があなたの邪魔になることまでは探し当てたのに、どう邪魔するかまでは見えなかったんでしょう」
「……ふふ、そうだね」

 そしてこれを語る時、紆余曲折という存在自体がイレギュラーな勇者候補だったことにも言及せざるを得ない。
 「天飼千世にとって障害となる沢山の因子、および因子へ影響を与えることができる周囲の人物」のリストに、紆余曲折は「いない」のだ。
 他の因子は、1000あるうちのいずれかの結末に登場する。あるいは結末を導く立場にいる。あるいは結末から逆算してその存在の重要性を確認できる。
 どうして天飼千世の敗北に彼または彼女が関わるのか、という問いに、理由をつけることができる。
 例えば傍若無人であれば軍人として相対してくる。例えば一刀両断であれば弁護士として相対してくる。例えば切磋琢磨であれば武人として相対してくる。
 優柔不断などは関わりを調査するのに少々時間が掛かったが、彼がとある日にとある女の子をナンパしようとして出来ずに逃げたことが巡り巡って面倒な事態を引き起こすことを導いた。

 しかし紆余曲折と言う少年は、どの結末にも登場しない。
 1000あるどの結末をどれだけ推察しても、紆余曲折はそれに関わっていないし、紆余曲折の周りの人物も関わっていない。
 世界の終焉――天飼千世以外が全て死んでしまう可能性線では、彼はいち一般人としてゴミのように死んでいる。
 そもそも彼の将来を見ても、どう転がしたとしてもせいぜいがゲームの世界大会で優勝する程度の存在でしかなく、
 世界を相手に阿呆な大立ち回りをしようとしている天飼千世からすれば、あまりにもちっぽけな存在であるはずだった。

 それでも彼は天飼千世の敵だと、四字熟語は導き出した。
 危険な敵を知らせてくれる四字熟語を使って洗い出した【天飼千世の敵】の中に、彼は名を連ねていた。
 不一致。
 1000の未来に登場しない、敵。
 完全な勝利を必須条件にしている天飼千世にとってそれは、看過できない不整合性だった。

「そうそう。だから天飼千世は、アナタのことを隅々まで調べ上げて、様々なことを確かめようとした。
 アナタは覚えていないだろうけど、天飼千世はこの世界に来る前のアナタに、ほんの少しだけ接触していて、気に入っていたんだ」
「そうなんですか。それは残念ですね。
 ちょっとだけ期待してたんですが――記憶を失う前の僕も、やっぱり貴女に気に入られてしまうような人間だったんだ」
「名誉だと思ってくださいよ。勇者に選ばれるに足る精神性を持っているんですから」
「僕みたいな人なんてどこにでもいると思いますよ」

 それこそ、どこにでも。と言ってから。
 紆余曲折がいよいよ、ポケットから手を取り出し始める。
 
「ところで。まだ、《見えて》いませんか?」

 そして、質問をしてきた。
 《天飼千世》は返す言葉の前に確認する。1000の未来を。
 正確には、ここまでの足掻きによって400パターン程度まで減じた、敗北の未来世界可能線を。
 ――変化は、ない。
 天飼千世が見る未来に変化はない。

340 :46◇おはなし(終) ◆YOtBuxuP4U :2016/01/10(日) 03:58:51.68 ID:1O0rDYPP
 
「見えないな。アナタはいったい、何をしてくれるのかな?
 こちらには《八方美人》があるのだけれど。天飼千世とおはなしをしてしまった状態から。どうやって、天飼千世を殺すのかな?」
「そうですか。見えていないんですね。
 可哀想なくらいです。あなたは、肝心なことが、見えなくなっている」
「……?」
「だから、なんで僕がこんなに怒っているのかにも、あなたは気付くことができない。
 そしてあなたは、あなたがもう詰んでいて、もう未来が訪れないことにだって――気づくことは無い」
「何を言っているのか、やっぱり分からないなあ。
 分からない――分からないよ、分からない……うふふ、未来が見える天飼千世が、アナタのことだけはこんなにも分からない……」
「では、ひとつだけヒントをあげましょう」

 紆余曲折はポケットから手を引き抜く。

「あなたの失点はただ一つ。僕がリョーコさんをなぜ殺せたのかを、見ていなかったことだ」

 引き抜いたそれを両手で持って、天飼千世の前に広げる。

「見ていないんだ。自分で開いた殺し合いの一部始終を。
 奇々怪々に任せて、経過を報告させるだけで、あなたは何も見ていない。
 今から僕を現世へ送り返した後に、ゆっくりと楽しむつもりだったのかもしれませんが、ふざけてる。
 人を殺し合わせておいて、その観測すらせずに、ただ優勝者が決まるのだけを待つ、そんな人に、そんな文字に、
 ごちゃごちゃごちゃごちゃ身の上の悲劇を言われたところで――何が心に響くんでしょうか!」
「あ……」
「僕はあなたを殺しに来た、そう最初に言いましたよね。“これ”が答えです」
「アナ……タ……」

 天飼千世は目を見開いた。
 
「僕があなたを殺す未来が見えない? 当たり前です。僕は、あなたの未来ごと殺しに来たんだ」

 紆余曲折が取り出したのは、四角い紙。
 娯楽施設からの脱出に使われた、《胡蝶之夢》が描かれた紙。
 その裏に。裏側に。
 ここに来る前に、彼はもう一つ、七色のペンで文字を書いていた。

「おはなしはもう充分聞きました。あなたを殺せない僕に、たくさんのご教授をありがとうございます。
 今度は――あなたを殺せる僕と、殺し合いをしましょうか」

 ――《原点回帰》。

 それは天飼千世が見ることのできない、千一個目の《結末》への切符。
 おはなしを、ふりだしにもどす、四字熟語。

 いくら《結末》が見えようと、《結末》にたどり着く前にその未来を過去に接続されてしまえば――その行為は、観測できない。

341 :47◇殺し合い ◆YOtBuxuP4U :2016/01/10(日) 04:01:37.44 ID:1O0rDYPP
 

 そして、殺し合いの時間。


◆◆◆◆


 まばたきを一つして、目を開くとそこは廊下だった。
 コンクリートの床は灰色で、中央に白のライン。
 壁は上下に黒のラインが入った白壁で、等間隔に四角窓が空いている。
 窓の外は雑木で遮られ、明かりは天井からの蛍光灯。それも等間隔。
 少年が抱いた第二印象は、やはりここからか、というものだった。
 蛍光灯によって照らされた廊下の奥には、洋風の大きな木扉がある。
 大きな部屋があの奥にある。ここは最初に集められた講義室のような場所に続く廊下だ。

「ええっと……これは、夢から醒めたって、ことなのかな?」
「いえ、まだ夢の中ですよ」

 とぼけた声を出すと、後方から声がした。
 振り向くと、長く続く廊下の少し離れた場所に、一人の男が立っていた。
 少年は水色のシャツを着たその男の姿を見て少しだけ安堵を覚えた。

「……え?」

 だが、まだ変えてはいけない。殺し合いを始めるには、扉を開けるまでは“なぞらなければ”ならない。
 少年はそこにいるはずがないと思い込んでいた男に対して、やはりとぼけた演技をした。
 銀の髪を横に撫でつけた男は、いつか聞いたものと同じ、キザな口調で話し始める。

 大丈夫、演技は得意だ。それで殺し合いを勝ち抜いたのだから。

「お久しぶりです、紆余曲折くん。
 優勝……おめでとう、というべきなんですかね……」
「……えっと……すいません、……まさかあなたが、“主催”ですか?」
「いいえ、違います」
「でも……じゃあ……まさか、爆発が……」
「ええ、フェイクだったんですよ」

 男が少年の解答を先回りするのを見越して、少年は話がスムーズに進むように、かつ違和感がないように話を進めた。

「あのときボクの首輪は確かに爆発したけれど、それはボクを殺すようなものではなかった。
 爆発音が大きく聞こえたのは、内蔵スピーカーによるもの、だそうです。
 そしてボクは、……「先手必勝」は、“文字だけ死亡扱いになって”、あの場から退場させられた」
「首輪がないのは、そういうことですか。……メガネもないですけど」
「そうですね……あのメガネが、ボクの遺品ということになるんでしょうね……」

 銀髪の男はほんの少し目を伏せる。
 流れは未だに変わっていない。問題はなし。少年は次の言葉を吐く。

「遺品って。あなたはまだ、生きてるじゃないですか」
「いいえ、死んだんですよ。「先手必勝」はあそこで。生きているのは紆余曲折くん、君だけです」
「リョーコさんみたいなことを言わないでください……大体、」
「一刀両断に会いたいですか?」
「……会いたいですね」

 二度目の少年は、素直に答えてしまった。

342 :47◇殺し合い ◆YOtBuxuP4U :2016/01/10(日) 04:02:53.24 ID:1O0rDYPP
 
「会いたいです。話し足りないし、見足りないし、触れ足りないし、足りないことだらけです。でも、会えない」 
「会えますよ。あの扉の向こうに、彼女は居ます」
「……つまり、そういうことですか」
「……さすがに回転が早いですね。……気付いて、いたんですか? 首輪の仕様に」
「いえ。まさか。どこかでおはなしを聞いたわけでもあるまいし。
 でも、殺すための爆発を抑え目にするということは――要するに、それくらい首輪が大事、ということでしょう?
 そしてなぜ首輪が大事なのかを考えれば、おのずと可能性は絞れてきます」
「……驚きました」

 かつて先手必勝だった男は、少年の物わかりのよさに驚いた。
 そりゃあもう、予習を散々したようなものなのだから、驚いてくれなければ困る。
 大丈夫だ。この程度の思考の短縮であれば、彼が思う紆余曲折というキャラクターの頭の良さの範囲を逸脱していないはずだ。

「とりあえず……ここに貴方がいるということは、外してくれるんでしょうか、これを」
 
 変えないように振る舞おうとしすぎるのは逆にボロを出す。
 演技くさい態度になってしまうからだ。相手をよく見て先回りができる彼ほどの人物の前では、それはボロが出てしまうやり方だ。
 だから少年は、前回は少年の先回りをしていた男に対し、さらに先回りをする。
 気づかれないように。

「……そうですね。それが今回の、ボクの役目です。ちょっと待ってください……すぐに、外しますから……」

 こちらに近寄ってくる男の手に握られた鍵を使って、首輪は半円二つが連なった鉄の輪になる。
 その裏側――首に触れていた部分に、さらに男は鍵のようなものを当てる。
 するとさらに筒がズレて、中身が露出した……いや、開かれて、落ちてきた……。

「そう。首輪こそが、大事だったんです。なぜなら、首輪それ自体が――実験の“参加者”の、本体だからです」

 男は紙を開く。
 四角い紙を、巻物を垂らすようにゆっくりと開く。
 首輪の筒の中に入っていたのは、「紆余曲折」の文字紙だ。

「これが、“君”です。大事に持っておいてください」
 
 男は少年に文字紙を押し付けると、扉へ向かってすたすたと歩き出した。
 少年は文字紙に目を軽く見開いた演技をしたあと、すたすたとそれに付いていく。
 扉の前に、たどり着く。

「ボクから伝えられるのはここまでです。
 ボクは結局、エスコート役。ボクから得られるものは、多くは望めません。
 どうせ扉の向こうには、全てを知る者がいるんです。そちらに聞いてみればどうでしょう。
 あるいは、扉をくぐる前に推理してみても面白いでしょうね。どちらを選ぶかは君に任せます」

 たたたたたたんと勢いよく歩いていた男の足は、
 そこまで言い切ると扉の直前で、ピタリ、と止まる。

「ボクは。この扉の向こうには行きたくないので、ここで、終わりです」
「分かりました」
「分かりましたか」
「はい。何が起きているのかは、大体」

 少年は扉の取っ手に手をかけた。

「さすが、いい察しの早さです。もしかしたら、君なら……」
「褒められるような話じゃないですよ。場合によっては、
 あなたが会いたくないその人にひどいこともするかもしれないですし。
 それに、まだ完璧じゃないかもしれない。何もできずに終わる可能性が、まだまだ高いです」
「いいんですよ」

343 :47◇殺し合い ◆YOtBuxuP4U :2016/01/10(日) 04:03:41.02 ID:1O0rDYPP
 
 銀髪の男は、卑屈にも聞こえる言葉を吐いた少年の肩を、やはりぽんと叩いてくれた。
 冷え切った場所で戦った彼からのエールは、やはり暖かい。
 こんな言葉を掛けてくれるのならば、あと何度だって殺し合って見せる。
 いや――今回で、終わらせる。

「ダメだったら、次の作戦を考えればいい。
 君は優勝した。“負けたボクと違って”、実験からの解放を約束された存在だ。
 今、全世界で君以上に、主催と対等な存在は居ない。驕らず、焦らず、無理せず戦って下さい」
「……」

 少年は扉を押し込みながら、男に前回掛け損ねた言葉を掛けるか迷った。
 だけどその動作よりも、男が少年を扉の奥へと押し込む動きの方が早かった。少年はその動きを止めなかった。
 だから少年は今回も、男の顔を見ずに行く。
 負けたがゆえに、実験からいつまでも解放されない、永久凍土の中の化石のような、
 永久の冷たい夢の中へ閉じ込められた男の姿は、もう心が熱くなるほどに焼き付けたから。

「だから――頼みましたよ」

 ええ。頼まれました。

 ・
 ・
 ・
 ・

 広がった視界の先。

 扉が閉じる音と共に、少年は光景を見る。

 ・
 ・
 ・
 ・

344 :47◇殺し合い ◆YOtBuxuP4U :2016/01/10(日) 04:06:41.18 ID:1O0rDYPP
 
「ねえ――どういうことかな?」

 そこは、大学の講義部屋のようなところだった。ただし机はなくて、イスがある。
 何もない白い空間の中、前方のステージに大きなイスがひとつあった。
 その上にちょこんと、椅子の大きさに不釣り合いな小ささで、天飼千世は座っている。

「はじめまして、は微妙にニアイコールって感じだけど……本当に、はじめましてなのかな?」

 天飼千世は愕然としていた。
 文字が人間の真似事をしているようなその表情は、やはり少年には人間には思えなかった。

「待ってたんだ。おはなしをしようと思って。楽しい、おはなしを、しようって、ねえ。
 ああ、君と話すのを、ずっと前から楽しみにしていたような気さえするのに……
 対等な会話は、久しぶりなんだ。他の実験仲間は慕ってしかくれないし、“ひとりあそび”は楽しくなくて――」

 実験で死んだはずの十四人が人形みたいに扱われ、人形みたいに置かれているその光景の中で。
 おもちゃ箱をひっくり返して遊んでいたら親に見つかった、王様気取りだった子供のように、天飼千世は呆然と呟いた。

「あたしの名前は、「天飼千世」。
 文字を愛して文字になった、最初の幻想言語学者。
 ねえ、紆余曲折(ゆうしょうしゃ)くん、どうして? どうして――」

 言葉は返さない。《八方美人》がある以上、天飼千世と会話をしてはいけないからだ。
 もし返せるとしたら、こう言っている。

「どうしてアナタが私を殺す未来しか《見えない》の」


 ――そうなるように、一つ一つ丁寧に、潰していったからに決まってる。


 一つ、《八方美人》を使う限り、天飼千世と喋ったことのあるものは天飼千世を殺せない。
 一つ、《高論卓説》を使う限り、天飼千世が喋っている間、紆余曲折は席から動けない。
 一つ、《生殺与奪》を使う限り、天飼千世は紆余曲折の所有物の所有権を握る。
 もうこれらの文字を使われるようなことは、させない。

 少年は《百発百中》の銃を取り出す。
 まず、おはなしが始まらない以上、天飼千世に《八方美人》を行使することは出来ない。
 だから天飼千世が取れる選択肢は、《高論卓説》か《生殺与奪》の二者択一だ。
 あるいは他の何かを持っているかもしれないが、少なくとも前回の《百発百中》への対処はこの三つの熟語だけで行われている。

 天飼千世は言っていた。《千世の読み》が見るのは《1000の結末》だと。
 口ぶりからその《結末》は、《致命傷を得た時点からの未来映像》であると推測できた。
 だから天飼千世は、《どうやって致命傷を受けるのかまでは、推測しか出来ない》。
 おそらく今回も、《百発百中》への対処をまずはこの三つの熟語で行おうとするだろう。おそらくは《生殺与奪》で。

 だが、少年は《紆余曲折》を持ってきている。前回はあえて一回も使わなかったが、
 これをこのタイミングで発動させれば、《4秒間だけ、あらゆる四字熟語の効果(攻撃)を、曲げる》ことが可能だ。
 四秒あれば、銃は撃てる。
 撃鉄は起きている。――ためらいなく、引く。

 もっとも怖かったのは、「なんらかの四字熟語か、あるいは彼女の一存で、この空間から追い出される」ことだったが、それはなかった。
 おそらく《1000の未来》がすべて少年に殺される未来に変わってしまった恐怖が、
 彼女に「ここで対処しなければならない」強迫観念を植え付けたのだろう。
 《1000の未来》が全て変わってしまったのは自分がべらべらとお喋りをしてしまったからなのに。自業自得だ。

345 :47◇殺し合い ◆YOtBuxuP4U :2016/01/10(日) 04:08:25.86 ID:1O0rDYPP
「――ッ!!」

 二次の策として天飼千世は何らかの《文字》を使おうとする。だけど、もう未来は決まっている。
 紆余曲折が一刀両断を殺す瞬間を見ていなかったのが天飼千世の敗北の導線だ。
 だって、それを見ていたのならば、
 前回で少年が「ただ単に《百発百中》の引き金を引いただけ」であったことに、おかしいと思わなければいけなかった。

 紆余曲折のルール能力は。
 《攻撃を4秒間迂回させることができる》というものだ。
 自分からの《攻撃》に、
 それはもちろん、適用できる。

 あのときまで。
 一刀両断と殺し合い、最後のボウガンを撃つあの瞬間まで――
 自分からのまともな《攻撃》なんて、したことがなかっただけだ。
 リョーコさんは、もしなにもしなければ、僕のボウガンの矢なんて、斬ってしまっていただろう。

「《××××》……!?」

 《天飼千世の発動したあらゆる四字熟語の効果を、迂回して。銃弾は天飼千世の心臓を貫く》。
 天飼千世は言っていた。こうなると知らなかった天飼千世が言っていた。
 例え天飼千世であろうとも、文字の始祖であろうとも。その心臓を貫かれれば……人間の身体と同じように、死んでしまうのだと。
 だから。これで、結末だ。

・   そして1秒。天飼千世は未だに信じられないと言ったような顔をしながら、七色の血をまき散らし床に倒れていく。
・   そして2秒。紆余曲折は終りを祈りながら目を閉じる。
・   そして3秒。天飼千世が床に倒れ、夢が揺らぎ、世界は終わる。
・   そして4秒。《紆余曲折》が迂回していた四字熟語の効果は――もちろん発動者が死んだところで止まらない。

 リョーコさん。
 どうでしょうか。

 少年は人形のように動かない、かつて殺したパートナーに語りかけた。

 僕は――逃げずに、やれましたよ。

 こうして、すべての因果は収束した。

346 :47◇殺し合い ◆YOtBuxuP4U :2016/01/10(日) 04:11:41.46 ID:1O0rDYPP
 

【紆余曲折、勝利】

.

347 : ◆YOtBuxuP4U :2016/01/10(日) 04:13:01.97 ID:1O0rDYPP
投下終了です。

エピローグである凛々ちゃんパートに続きます。

348 :創る名無しに見る名無し:2016/01/11(月) 17:20:33.67 ID:+bMOoscQ
投下乙です
終わりが無いのが終わり……終わりが見えるなら延々とループに巻き込めばいいとは……。
結末からの逆算による1000パターンなら、止めを百発百中で固定すれば最大でも1000回すれば相手の見た1000への未来の対処も見破れるものな。
無限ループならぬ有限ループだからこその攻略法か。
しかし紆余曲折、4秒限定とはいえどんな攻撃も逸らす盾とどんな盾も避けて当たる剣を両立するに至っていたとは。
解釈や進化という現象を理解していながらも、自身が戦場で戦っていたわけではなく真に分かってなかった学者らしい敗北でもあった。

349 : ◆ymCx/I3enU :2016/01/12(火) 00:02:26.77 ID:Tf6AlFiL
投下乙です
何だろう…初代SIRENのジェノサイドエンドを思い出した
(気の利いた感想が出てこなくてすみません)

自分も一話投下します

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