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非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ Part36 [転載禁止]©2ch.net

1 :創る名無しに見る名無し:2015/03/05(木) 01:14:17.94 ID:Wob/LOal
1999年刊行された小説「バトル・ロワイアル」

現在、様々な板で行われている通称「パロロワ」はリレー小説の形をとっておりますが
この企画では非リレーの形で進めていきます。

基本ルール
・書き手はトリップ必須です。
・作品投下前に登場キャラクター、登場人数、主催者、舞台などを発表するかは書き手におまかせです。
・作品投下前と投下後にはその意思表示をお願いします。
・非リレーなので全ての内容を決めるのは書き手。ロワに準ずるSSであればどのような形式、展開であろうと問いません。
・非リレーの良さを出すための、ルール改変は可能です。
・誰が、どんなロワでも書いてよし!を合言葉にしましょう。
・ロワ名を「〜ロワイアル」とつけるようになっています。
  〜氏のロワは面白いでは、少し話題が振りにくいのでAロワ、Bロワなんでもいいのでロワ名をつけてもらえると助かります。
・完結は3日後だろうが5年後だろうが私は一向に構わんッッッ!!

前スレ
非リレー型バトルロワイアルを発表するスレ part35
http://hayabusa6.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1393846727/

非リレー型バトルロワイアルwiki
ttp://www26.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/1.html

200 :創る名無しに見る名無し:2015/08/01(土) 20:21:10.25 ID:ZXbVORLp
そろそろ続きいいんじゃね

201 : ◆ymCx/I3enU :2015/08/01(土) 21:16:12.40 ID:dlg6OkVL
無視して投下しても良いそうなので投下します

202 :最悪過ぎる景色なら何も見えないでOK ◆ymCx/I3enU :2015/08/01(土) 21:17:57.53 ID:dlg6OkVL
7話 最悪過ぎる景色なら何も見えないでOK

ジェットコースター、メリーゴーラウンド、コーヒーカップ、ゴーカート等、様々な遊具が存在する遊園地。
もっとも、いずれも錆びて荒廃してしまっていて、遊ぶ事は出来なかった。
とうの昔に閉鎖された、廃墟の遊園地だ。
雑草が伸び放題になっている園内を一人の狐獣人の美少女が歩いていた。

「廃墟の遊園地ねー、寂しいものね」

狐の少女――修明院美宇、愛称「ミーウ」は、自分の支給品、自動拳銃グロック19を片手に誰も見当たらない遊園地内を散策する。
幼馴染であり、恋愛感情に似た物も抱いている伊藤椿と共に殺し合いに巻き込まれてしまったミーウの目指す所は、
まず椿を捜し出し合流する事、それと、この殺し合いからの脱出である。
殺し合うつもりこそ無かったが、やる気になっている者に襲われた時は容赦しないつもりだった。

「ん?」

メリーゴーラウンドの方に目をやったミーウは違和感を覚える。
馬型の座席の一つが動いているように見えた。

「誰か居るのか?」
「本物!?」

否、それは本物の馬、もといユニコーンの牡だった。
ユニコーンはメリーゴーラウンドから下りてくる。

「何……? まさか、やるつもり?」

警戒するミーウだったがユニコーンは否定する。

「待て待て、俺は殺し合う気は無い」
「本当? ……分かった」

ミーウは一先ず構えていた銃を下ろす。しかし引き続き用心はしていた。

「お前は女か?」
「見れば分かるでしょそんなの……」
「女装した男の可能性も微粒子レベルで存在するだろ?」
「いやいやいや」
「まぁ良いさ……男じゃないのなら悪いが用は無い。これで失礼するよ」
「え、どういう事?」

ユニコーンの発した意味深な台詞に思わず反応するミーウ。

「俺はな、男が、オスが好きなんだ。ゲイって奴だよ。
いつ死んでしまうか分からないから、死ぬ前に思い切り愉しんでおきたいんだよ」

同性愛者――ゲイであると言うユニコーン。
ユニコーンは処女にしか心を開かない、と言った話をミーウも聞いた事は有ったが、
そう言った御伽噺を根底から覆す目の前のユニコーンに少し唖然としていた。
とにかく、このユニコーンは殺し合いには乗っていないものの、生還は諦めていると言う事は良く分かった。

203 :最悪過ぎる景色なら何も見えないでOK ◆ymCx/I3enU :2015/08/01(土) 21:18:36.84 ID:dlg6OkVL
「だから女と一緒には行くつもりは無いんだ。分かってくれ」
「ああ、そう……そう言う事なら仕方無いわね……名前位は聞かせてくれる?」
「ユージーン」
「私は修明院美宇。ミーウって呼ばれてる」
「そうか……ミーウ、縁が有ったらまた会おうぜ」

そう言うとユージーンと名乗ったユニコーンはミーウの元を去って行った。

「ゲイのユニコーンなんて初めて見たわ……まあ、お好きにどうぞ」

ミーウもまたユージーンを特に追い掛けたりはしない。
追い掛けた所でどうにもならないだろうし、正直な所、生きる事を諦めている者を仲間にしてもメリットが薄い。

「私は私の目的を果たさないと」

椿を見付ける為、殺し合いから脱出する方法を見付ける為、ミーウは歩き出す。

◆◆◆

処女にしか心を開かないと言われているユニコーン種だが、やはり「例外」は生まれてくる。
ユージーンは正にそれで、彼は生まれながらにして同性にしか性的な興味を抱けない生粋のゲイであった。
周囲には気味悪がられ、虐めを受け、両親は何とか息子の性癖を矯正しようとしたが、無駄に終わる。
差別と無理解に耐えられなくなったユージーンは早い内に故郷を捨て独立。
それ以来、大好きな、大好きな、オスの世界を思う存分に堪能する生活を送ってきたのである。

「死ぬ前に男と、オスとヤらなきゃ、死んでも死に切れない……」

この殺し合い、自分はもう生きて帰る事は叶わないだろう。なら命有る限り自分の欲望のままに生きよう。
ユージーンは決心した。

「男は、オスはどこだ!」

鼻息を荒くしながらユージーンは同性の参加者を捜す。

204 :最悪過ぎる景色なら何も見えないでOK ◆ymCx/I3enU :2015/08/01(土) 21:19:29.21 ID:dlg6OkVL
【明朝/F-3廃遊園地】
【修明院美宇】
状態:健康
装備:グロック19(15/15)
持物:基本支給品一式、グロック19の弾倉(3)
現状:殺し合いには乗らない。椿及び殺し合いに乗っておらず役に立ちそうな参加者の捜索。殺し合いからの脱出方法を探す
備考:特に無し

【明朝/F-3廃遊園地】
【ユージーン】
状態:健康
装備:不明
持物:基本支給品一式、不明支給品
現状:命果てるその時まで自分の欲望の為に行動する。男や♂を捜す。女は無視
備考:特に無し


----
《キャラ紹介》
【修明院美宇】
読み:しゅうみょういん みう
年齢:17
性別:女
種族:狐獣人
特徴:黄色い狐の獣人。スタイルは抜群。学校制服のブレザー着用
職業:高校生
備考:愛称「ミーウ」。「頭がバグっている」と言われる程羞恥心の無い変態。但し成績そのものは優秀な部類。
幼馴染の伊藤椿に恋愛感情にも似た物を抱いているが当の本人からは鬱陶しがられている。でも諦めない。
男性経験は有るが本人は女性の方が良いらしい。つまりレズ。早脱ぎが得意。
基本的に変態である事を除けば善人だが、時折妙にドライであったり、好戦的な一面を見せる。
過去に存在した「オリジナルキャラ・バトルロワイアル」の登場人物・ミーウがモデルのキャラクター

【ユージーン】
年齢:31
性別:♂
種族:ユニコーン
特徴:白い身体に赤いタテガミのユニコーン
職業:無職
備考:同性愛者のユニコーン。ユニコーンは処女にしか懐かないと言う定説を完全に覆している。女に全く興味が無い。
同種のみならず人間の男もイケる口。掘るのも掘られるのも好き。
女に対しては素っ気無い態度を取りがち


《支給品紹介》
【グロック19】
支給者:修明院美宇
分類:銃火器
説明:オーストリアのグロック社の自動拳銃、グロック17のコンパクトモデル。
手頃なサイズで扱いやすい。9mmパラべラム弾使用。
「オリジナルキャラ・バトルロワイアル」にて修明院美宇の元ネタのキャラであるミーウが使っていた拳銃でもある。
----

205 : ◆ymCx/I3enU :2015/08/01(土) 21:21:28.22 ID:dlg6OkVL
投下終了です

先に投下された◆84AHk0CknU氏の二話の内最初の話の簡単な感想を
二話目感想は避難所に書いてあります

>その 名 は ひで
BARエアガン持ってた事あるけどクソデカな上クソ重たかったんだよなぁ…
でもひでなら容易に扱えそう(小並)
おじさんは虐待した後からの参戦で、ひでは虐待される前からの参戦なのか

206 : ◆84AHk0CknU :2015/08/01(土) 21:27:56.34 ID:XyzVKjpx
>>199からの続き投下します)

「どうしよう…このままじゃゼロさんが…!」

今外へ飛び出しても間に合いそうに無い。大声で危険を知らせようにもこの戦闘音では聞こえるかどうか怪しい。
焦りが募る中ふと支給品の存在を思い出した。
バッグから蝶ネクタイを取り出すと、音量のダイヤルを最大まで上げる。
そして息をすぅと吸い込み叫んだ。

『ゼロさん上です!逃げて!!』





ゼロとAKYSが見上げる先に居る謎の赤い怪物。

「ウェイ!」

そいつはこちら目掛けて、奇妙な声を発しながら光弾を撃ってきた。
ゼロはすかさず、羽ばたく鳥のような紋章を右手に光らせ、それを光弾へと向ける。
すると光が当たった瞬間光弾は消失した。
傍に居たAKYSも攻撃を免れる形となったが、別に意図してやった訳ではない。偶然だ。
怪物が一瞬驚いたような仕草を見せるが、直ぐにまた連続して光弾を発射する。
しかしまたしても、ゼロの掌から発せられる光に当たると全て消え失せる。
埒が明かないと判断したのか、怪物は標的をガソリンスタンドの方へと変える。
ゼロもそれを察し己の能力を発動する。

「っ!?え、え?」
「話は後だ。行くぞ」

外に居た筈のゼロが突然目の前に現れたため、雪華綺晶目を白黒させる。

「エ゛エ゛ーイ!」

だが移動する暇は無い。掛け声と共に無数の光弾がこちらへ発射された。

ドッゴォォォン!!

発射された光弾は給油機やハードボイルダーに着弾、大爆発を起こす。

「きゃっ」
「チィッ!」

雪華綺晶とゼロの姿は爆風に包まれ、あっという間に見えなくなった。


…………


燃え盛るガソリンスタンドを暫し見つめていた怪物だったが、やがて視線をAKYSの方へ移す。
しかし、既にAKYSの姿はどこにも無い。
ドサクサに紛れて逃げたか。短時間でそこまで遠くに行けるとは思えないが、何か支給品を使ったのだろうか。
まぁいい、次に会ったら確実に息の根を止めてやる。
浮遊していた異形は道路へ静かに降り立つと変身を解く。

207 : ◆84AHk0CknU :2015/08/01(土) 21:31:13.04 ID:XyzVKjpx
「結構使えるな、これ」

その言葉と共に現れたのは青い服を着た茶髪の美少年。
彼の名は星君。
チャージマン研こと泉研の学校に転校してきたスポーツ万能の少年…というのは表向きの話で、その正体は地球侵略を目的とした宇宙人、ジュラル星人の一派である。
人気の無い場所に研を呼び出し抹殺しようと正体を明かした直後、この殺し合いに拉致された。
とりあえず現状把握に努めようと名簿を確認したところ、知っている名は宿敵の泉研ただ一人。
ジュラルの同胞が呼ばれていないのならば、優勝を目指すのに抵抗は無い。
それにあのロン毛はどんな願いも叶えてくれるらしい。正直半信半疑だがもし本当ならばその力で地球の完全征服も夢ではないかもしれない。

「早速二人殺せたし、幸先良いスタートだな」

星君に配られたタブーメモリという名の支給品。
これを使い変身したタブードーパントという異形の力は、ジュラル本来の姿の時よりも強力な力を持っていた
星君は知らない事だがタブーメモリはゴールドメモリと呼ばれる特別な代物であり、通常のメモリとは一線を画する力を秘めている。
想像以上のアタリ武器を手に入れられた事に星君はほくそ笑む。
とはいえいつまでもここでのんびりしているわけにもいかない。

「さぁ出発DA☆」

爆発に気付いた参加者が集まってくる可能性は十分にある。
やや駆け足気味で星君はその場から離れていった。


【星君@チャージマン研!】
[状態]:健康
[装備]:ガイアドライバー+タブーメモリ@仮面ライダーW
[道具]:共通支給品一式
[思考]
基本:優勝する
1:この場から離れる
2:参加者を全て殺す
3:チャージマン研は優先的に殺す
4:胴着の男は次に会ったら確実に仕留める
[備考]
※参戦時期は研に正体を知られた後





「……そろそろいいか」

星君が去り、バチバチという燃え盛る音のみに支配されたガソリンスタンド付近。
蚊の鳴くような声がしたと同時にAKYSが姿を現す。
AKYSは逃げてはおらず、ずっと燃えるスタンドの付近にずっと居た。
手甲の他にもう一つバッグに入っていたもの。
とある世界の魔法少女が自分の体の大きさを変化させる際に用いたステッキ。
AKYSはあの怪物からは逃げ切れないと判断し、ステッキで体を小さくし、息を潜め星君が去るのを待っていたのだ。

「あいつらは死んだのか?」

自分を追い詰めた仮面の魔人と一緒に居た白い少女。
爆発に巻き込まれ死んだのだろうか。とてもじゃないがあの爆発で生き残れるとは思えない。

208 : ◆84AHk0CknU :2015/08/01(土) 21:36:49.38 ID:XyzVKjpx
「…」

負けるつもりは無かったがかなり苦戦を強いられた。
気味の悪い怪物に横槍を入れられ、無様に隠れる羽目になった。
自分自身を守るだけでも命がけなこの状況で、本当にあいつらを生き残らせることができるのだろうか。

「…チッ」

つい情けないことを考えてしまった自分に舌打ちをする。
そんな姿勢では教え子たちを守るなど無理に決まっている。
相手が誰だろうと関係ない。たとえどんな化け物がいようと全てを叩き潰す。
今一度決意を固めるように拳を握り締めると、激しく燃える建物を背にAKYSもその場を離れていった。


【AKYS@真夏の夜の淫夢】
[状態]:疲労(大)、全身にダメージ(中)、両腕に若干の痺れ(徐々に回復)
[装備]:徳川家康の手甲@戦国BASARA
[道具]:共通支給品一式、スモーラージ・Mのステッキ@魔法少女オブ・ジ・エンド(体を小さくする魔法2時間使用不能)
[思考]
基本:野獣、MUR、KMRの三人を生き残らせる
1:ガソリンスタンドから離れる
2:誰が相手だろうと容赦せずに殺す
3:野獣たちには会いたくない
[備考]
※迫真空手部の師範代をしている設定です。遠野とも面識があります

※ガソリンスタンドで火災が発生中です
※ハードボイルダー@仮面ライダーWは大破しました





会場北部にある園咲邸。だがそれとはまた違う豪邸が、この会場には存在する。
日焼けをするには持って来いの屋上や、後輩を昏睡レイプするのに最適な地下室を兼ね備えた快適な空間。
「はえ^〜」と思わず感嘆の声を出してしまいそうなその豪邸、名を野獣邸という。
本来ならばクッソ汚い野獣一家の住まいである場所だが、この地では会場にある一施設でしかない。
ひっそりと静まり返っている野獣邸だが、静寂を破るように玄関の扉が乱暴に開けられ、黒尽くめの男が押し入る。
男は邸内に人が居ないのを確認すると、抱きかかえていた少女をリビングのソファーに寝かせ、自分も近くの椅子に腰を落ち着ける。

「…散々だな」

男――ゼロはため息を吐くと、視線を天井へ浮かべつつ先程のガソリンスタンドでの一件を思い出す。
赤い怪物が攻撃の対象をガソリンスタンドへ変えた時、すぐさま瞬間移動で雪華綺晶の元へと移動。
給油機の爆発に巻き込まれる直前再び瞬間移動を使い、隣のエリアへと跳んだ。
本当はもう少し遠くへ移動しようとしたのだが、何故か隣のエリアで強制的に瞬間移動が解除されてしまった。
身体能力の不調といいつくづく面倒なことに巻き込まれたな思い、同時にあのロン毛が一筋縄ではいかない相手だと再認識する。

(ゲームに乗った者を二人、取り逃がしてしまったか)

優れた戦闘力を持つ胴着の男と赤い怪物。
元々の能力か支給品の効果かは不明だが、奴らを仕留めることはできなかった。
とはいえ、雪華綺晶を守りながら二人を同時に相手にしては流石にこちらが不利なので、撤退せざるを得なかったが。
だがバイクという貴重な移動手段を失ってしまったのは痛い。

209 : ◆84AHk0CknU :2015/08/01(土) 21:42:13.48 ID:XyzVKjpx
「ん…」

と、雪華綺晶が小さく寝息を立てたのを聞き、ゼロは顔をそちらに向ける。
エリアを移動した時には彼女は気を失っていた。
一般人が現実離れした戦闘を間近で目の当たりにし、そのうえ爆発で死に掛けては無理も無い。
一先ず彼女を寝かせられる場所を探すことにしたゼロは周囲を探索し、野獣邸に辿り着いた。
眠り続ける雪華綺晶を見ながらゼロは今後の事考える。

このまま雪華綺晶を守り続ける義理など自分には無い――が、同時に見捨てる理由も無い。
会場に居る間は彼女に同行し、知人を探すのにある程度協力してやってもいい。
こんな選択をするのは魔王となった今でも良心を捨て切れていないからだろうか。

「ふん…」

浮かび上がった疑問を打ち消すように鼻を鳴らすと、雪華綺晶が目を覚ますまで一階の探索でもしようかと思い立ち上がった。


【雪華綺晶@やる夫スレ】
[状態]:精神疲労(中)、気絶
[装備]:無し
[道具]:共通支給品一式、蝶ネクタイ型変声機@名探偵コナン、FN ブローニング・ハイパワー(13/13)@現実、予備マガジン×4
[思考]
思考:姉さんとやる夫さんに会いたい
0:気絶中
1:姉さんたちを探す
2:胴着の男(AKYS)と赤い怪物(星君)に恐怖
[備考]
※以下本ロワでの設定
・人間の女子高生で一般人
・水銀燈→雪華綺晶たち7人姉妹の長女
・やる夫→二つ上の学年で幼い時から姉妹とは親交がある
・伊藤誠→二つ上の学年。面識は無いが悪い噂は時々耳にする

【ゼロ@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:疲労(大)、両手に鈍い痛み、回復中
[装備]:無し
[道具]:共通支給品一式、篠崎咲世子のクナイ×10@コードギアス 反逆のルルーシュ
[思考]
基本:主催者の殲滅、元の世界で魔王の役割を果たす
1:野獣邸一階を探索する
2:雪華綺晶と行動し、互いの知り合いを探す
3:他の参加者を探し情報を集める
4:胴着男(AKYS)、赤い異形(星君)は殺す
5:首輪と能力の不調をどうにかしたい
[備考]
※参戦時期はLAST CODE『ゼロの魔王』終了時
※瞬間移動は最大で隣のエリアまで。また連続使用や移動距離が遠いほど疲労増加

210 : ◆84AHk0CknU :2015/08/01(土) 21:55:26.81 ID:XyzVKjpx
投下終了です。遅れてしまい申し訳ありませんでした。

◆ymCx/l3enU氏投下乙です
ミーウちゃんが普通の女の子だと思ってたらキャラ紹介見て草。やっぱり変態じゃないか(憤怒)
ホモのユニコーンとか斬新すぎるんだよなぁ…

あっそうだ(唐突)名簿に一部変更を

【真夏の夜の淫夢】
○KBTIT
【やる夫スレ】
○備府出やらない夫/○翠星石

を追加します

211 : ◆ymCx/I3enU :2015/08/07(金) 22:19:40.47 ID:cl08BYuO
投下乙です
基本自分のオリロワは変態が多数を占めるのでお兄さん許して!

自分も投下します

212 :林檎花火とソーダの海 ◆ymCx/I3enU :2015/08/07(金) 22:20:11.30 ID:cl08BYuO
8話 林檎花火とソーダの海

D-2エリア草原地帯、大きな岩の陰で、鉤丸聖人は自分のデイパックを確認する。
出てきた物は古めかしい中折れ式のリボルバー拳銃。
二十六年式拳銃と言う旧式リボルバーで、骨董品と呼べる代物であった。
予備の弾薬もセットで入っていたがこちらは当時物では無く新造された物のようだった。

「当たりだな……良かった」

当たりの支給品を引き喜ぶ聖人。そしてこれからの行動を考え始める。
特に知り合いも居ないようなので、殺し合いに乗ってしまっても別に構わない。
ただ、積極的に攻撃を仕掛けるとなるとそれだけ危険に晒される事も多くなるだろう。
多少は運動神経に自信は有った聖人だがそれでもどんな攻撃も回避出来ると思う程自信過剰では無かったし、
武器である二十六年式拳銃の残弾にも限りが有る。
それに、最後の一人になれば優勝なのだから、無理して他者を殺す必要も無い筈。
殺し合いに乗っている者は一人や二人では無いであろうから。

「まずは他の、乗ってなさそうな奴見付けて……仲間にして貰うか……」

この殺し合いに乗っていない者を捜す事に決める聖人。無論、共に殺し合いを打破しようなどと言う考えでは無い。
一人よりも誰かと一緒に居た方が都合が良い。
的が増えればそれだけ生存率も上がる。いざとなれば武器を奪ったり、盾にする事も出来る。
とにかく生き残り、なるべく直接の戦闘は避けて優勝を狙う気で居た。

「反則は無しだもんな? こういうプレイ方法だってアリだろ」

ここには居ない殺し合いの進行役、柴田行隆に弁解するかのような台詞を言うと、
聖人は右手に二十六年式拳銃を装備して利用出来そうな参加者を捜し始めた。

◆◆◆

「絶対死んでたまるか! 生き残ってやる!」

草原で何やら宣言しているのは若い人間の女性、六浦春部。
フリーターをしながら漫画家デビューを目指し日々原稿執筆に勤しむ21歳。
「普通に働け」と言う両親を「将来ビッグになるんだ!!」と黙らせる位に彼女の意思は強い。

「こんな殺し合いなんかでね、私のこの情熱を叩き潰せると思ったらそりゃ大間違いで……」

何としてでも生きて帰り、現在執筆中の原稿を完成させなければならない。
春部は意気込んでいた。

ドゴオオオオン!!!

その意気込みは無駄になった。
彼女の死角から投げ込まれた手榴弾は、そのすぐ近くで炸裂し、六浦春部の肉体は四散し、彼女は呆気無く死んだ。
ぐちゃぐちゃの肉塊と化した身体の中、奇跡的に頭部は綺麗に残った。それが一層悲惨さを際立たせる。
目を開いたままの彼女の表情は自分に何が起きたのか理解する間も無く逝った事を示していた。

もし彼女がこの殺し合いに巻き込まれていなければ、完成させる予定だった原稿が元で見事にデビューを果たしていたのだが。
今となっては平行世界の与太話に過ぎなくなった。

◆◆◆

「これは凄いわね……」

自分の支給品である旧式の手榴弾、九八式柄付手榴弾の威力を目の当たりに感嘆の声を漏らす、
スーツを着た黒豹獣人の美女、北宇智恭世。
警戒しつつ爆心地に向かう。火薬と肉の焼ける臭いが漂っていた。

213 :林檎花火とソーダの海 ◆ymCx/I3enU :2015/08/07(金) 22:20:40.82 ID:cl08BYuO
「うわ、グロい」

当然爆心地にはたった今爆殺した人間女性の四散した死体が転がっている。
肉塊同然となり飛び散っていたが顔だけは綺麗なのが不気味だった。
顔を余り見ないようにしつつ、恭世は女性のデイパックに近付く。
デイパックも焼けてはいたが、中身がばらけていないので中身は恐らく無事のようである。
中身を漁ると、基本支給品に混じって、子供用の彫刻刀セットが出てきた。

「武器としてはあれだけど、無いよりマシか」

心許無いと思いつつ、彫刻刀を手に入れる恭世。
支給された手榴弾が有るだろ、いい加減にしろ! と思われるだろうが、
五個しか支給されていない上今一個使って残り四個だから多少はね?
恭世は彫刻刀を自分のデイパックに突っ込み、その場から去る。
彼女の目的はただ一つ、この殺し合いに優勝し生きて帰る事であった。

◆◆◆

遠目から、聖人は草原の真ん中で爆発が起きるのを目撃した。
爆発音が聞こえた直後に音の方を向き爆発が起きたのを確認したので、
最初の時点では誰かが巻き込まれたのかどうかは分からなかった。
身を伏せて暫く様子を見ると、爆発地点に一人の参加者が近付き何か物色したかと思うと去って行ってしまった。
その参加者は、遠目からではあったがどうも獣人の女性のようだった。
女性が去ってから聖人が爆発現場に近付くと、肉の焼け焦げる臭いが硝煙の臭いに混ざり鼻腔を刺激する。

「ひでぇなこりゃ……」

草原に小さなクレーターが出来、バラバラになった人間女性の死体が転がっていた。
いつかネット上で見た砲撃で死亡した兵士の画像を彷彿とさせるその有様にさしもの聖人も少し気分が悪くなる。
女性の物と思われる焦げたデイパックは漁られた形跡が有る。
漁ったのも、この女性を殺したのも、先程の獣人の女性であろう。聖人は思った。

「爆弾支給されてる奴も居るんだな、気を付けよ」

爆発物を支給された参加者と相対はしたくないと思いながら、聖人は先程の女性とは別方向に歩き去る。


【六浦春部  死亡】
【残り49人】


【明朝/D-2草原】
【鉤丸聖人】
状態:健康
装備:二十六年式拳銃(6/6)
持物:基本支給品一式、二十六年式拳銃実包(12)
現状:他者を利用し生き残って優勝を狙う。積極的に戦う事はしないつもりだが必要あらばその限りでは無い
備考:獣人女性(北宇智恭世)の特徴を朧げながら記憶、彼女とは違う方向へ歩いている

【明朝/D-2草原】
【北宇智恭世】
状態:健康
装備:九八式柄付手榴弾(4)
持物:基本支給品一式、小学生用彫刻刀セット
現状:殺し合いに乗り優勝を目指す。もっと武器が欲しい
備考:特に無し

214 :林檎花火とソーダの海 ◆ymCx/I3enU :2015/08/07(金) 22:21:20.25 ID:cl08BYuO
----
《キャラ紹介》
【鉤丸聖人】
読み:かぎまる せいと
年齢:16
性別:男
種族:人間
特徴:黒髪の顔立ちの整った少年、学校制服の学ラン着用
職業:高校生
備考:成績優秀、容姿端麗、しかし性格はかなり腹黒く利己的。
気に入らない先輩、同級生、後輩、教師を陰湿な嫌がらせで追い詰めたりしていた。
但し気に入った者に対してはそれなりに優しく対応しているようで仲間や子分は多い

【六浦春部】
読み:むつうら はるべ
年齢:21
性別:女
種族:人間
特徴:淡い水色っぽい髪、目つき悪し、身体付きはそこそこ。私服姿
職業:フリーター兼漫画家志望
備考:バイトしつつ漫画家を目指している夢見る21歳女子。
友人や両親から「普通に働け」と言われても突っ撥ねている。そのガッツだけは認められている。
基本的に唯我独尊的で、他者とのコミュニケーションは得意では無い

【北宇智恭世】
読み:きたうち やすよ
年齢:37
性別:女
種族:豹獣人
特徴:黒豹の獣人。長身でスタイルは良い。会社のスーツに通勤ブーツ姿
職業:ビジネスマン
備考:有能な女性ビジネスマン。性格は無愛想だが仕事面では右に出る者が居ない故信頼されている。
しかし実はゲーマーであり、自宅はネット、テレビ、パソコン各種のゲームが溢れオフの時は殆どゲームばかりしている。


《支給品紹介》
【二十六年式拳銃】
支給者:鉤丸聖人
分類:銃火器
説明:1890年代初期に開発・採用された大日本帝国陸軍のリボルバー拳銃。
ダブルアクション専用として設計されている。しばしば威力不足であると指摘される。
9mmx22R「二十六年式実包」使用。

【小学生用彫刻刀セット】
支給者:六浦春部
分類:その他
説明:小学生の子供向けに作られた彫刻刀一式セット。本ロワの物は右手用で男の子向け。
滑り難いカラフルなラバーグリップ、スタンドとして使えるケース等使い易いよう様々な工夫がされている。

【九八式柄付手榴弾】
支給者:北宇智恭世
分類:爆発物
説明:1939年(昭和14年)に日本陸軍で開発された手榴弾。
日中戦争時に中国軍から鹵獲したドイツ製柄付手榴弾を元に開発されたと言われる。
柄付の為投げやすいが、大きく嵩張る。本ロワの物はオリジナルなのか復元品なのか不明。
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215 : ◆ymCx/I3enU :2015/08/07(金) 22:22:09.19 ID:cl08BYuO
投下終了です

216 :創る名無しに見る名無し:2015/08/14(金) 16:47:01.38 ID:aH22+9NR
乙です。

高校バトルロイアルに来てください。

217 : ◆84AHk0CknU :2015/08/16(日) 22:05:33.24 ID:HX4JUt5p
投下乙です

聖人みたいなキャラは惨い死に方をしそうな気がする
自分も投下します

218 : ◆84AHk0CknU :2015/08/16(日) 22:10:28.99 ID:HX4JUt5p
月の光だけが照らす森の中。そこが小太りの少年、入速出やる夫のスタート地点だった。
普段はお調子者で、底抜けの明るい性格であるやる夫。だが今はその明るさなど皆無に近く、自分の身に降りかかった惨劇にただ怯え続けていた。

(わけが分からねーお。何でやる夫がこんなことに巻き込まれなきゃならないんだお…)

もしも二次元の世界に行けたら、と他愛ない妄想は何度もしてきた。
大好きなアニメやライトノベルの主人公のようになれたらと思うこともあった。
自分を主人公にした、スリル溢れる冒険活劇を、ありえないとは思いつつも夢見てきた。
だが、こんな血に塗れた悪趣味なゲームに参加したいと思ったことは一度も無い。

(やる夫は一体どうすればいいんだお……)

あの薄気味悪い男の言いなりになって、殺し合いに乗るか?
そんなのできる訳が無い。ここにはやらない夫、翠星石、雪華綺晶、水銀燈、伊藤誠も連れて来られている。
大切な人たちを手に掛け、自分だけ生き残るなど真っ平御免だ。
伊藤誠とは険悪な関係であり正直全く会いたくは無いが、だからといって殺そうなどとは考えていない。
ならば殺し合いには断固として反対する道を選ぶのか?

(でももし逆らったらあの男の人みたいに…)

最初の場所で、首輪の爆発により死んだ青年。
下手に逆らったりすれば自分もあの青年と同じ末路を辿ることになる。
何とかして首輪を外したいが、やる夫にそんな技術は無い。
だがもし仮にそんな技術を持っていたとしても、そう簡単に外せるような構造ではないだろう。

死にたくない。けれど殺し合いもしたくない。
う〜と小さく唸りながら頭を悩ますやる夫だが、全く解決策が思いつかないので思考を放棄した。

「ええいこうなりゃ難しい事は後回しだお!まずはやらない夫達を探すお」

やる夫一人じゃどうにもできないなら、考え続けても時間の無駄ではいか。
だったらここは、知り合いの捜索を優先しようとやる夫は決断した。
それに連れて来られた4人は皆やる夫よりも頭が良いのだ。やる夫一人では無理でも、皆となら何か良い案が出るかもしれない。
きっとどうにかなると、恐怖を打ち消すように自分に言い聞かせる。
方針を決めると、やる夫はまずは森から出るために移動を開始した。

「危ない奴は出てこないでくれお〜」

おっかなびっくり歩くやる夫の手には懐中電灯と拳銃が握られている。
ズッシリとした重さと金属の冷たさが銃が本物である事を、手から伝わってくる。
危険人物と出会わないことを祈りながら歩を進めるやる夫。

だがその歩みは背後から聞こえてくる足音によって止められた。
足音は徐々にこちらに近付き、背後の人物がこちらに走って来ていることが理解できた。
全身を恐怖と緊張で震わせながら、やる夫は銃の引き金に指を掛けたまま後ろを振り返った。

「ヒィッ!だっ、誰だお!?そこで止まる「やる夫ー!無事だったですか〜!」っえ?」

駆け寄って来る者が自分の友人だと認識するのと、極度の緊張状態で振り返った反動により誤って引き金を引いたのはほぼ同時だった。

森に銃声が木霊した。

219 : ◆84AHk0CknU :2015/08/16(日) 22:15:03.81 ID:HX4JUt5p



オッドアイでアンティーク人形のようなドレスを着た少女――翠星石は理不尽なゲームに対し、ただ泣き続けていた。

意味不明の殺し合い、初めてその目で見る人が殺される瞬間、気が付けば真っ暗な森に一人ぼっち。
僅か数分の間に起こったこれらの出来事は、翠星石に計り知れない恐怖を与えていた。

「うぅ……」

あのチャラけたロン毛男の笑み。思い出すだけで怖気が走る不気味さだ。
首から上が吹き飛んだ青年。むせ返る血の臭いと飛び散った肉片のグロテスクさに吐き気がする。
誰も居ない森に一人で立っている。怖くて震えが止まらない。一人にしないで。

涙を流しその場に蹲った時、小さな物音が聞こえた。
ヒッと小さく悲鳴を漏らし、大木の裏に隠れながら音のした方を覗き込む。
ハッキリとは見えないが、人影のようなものが動いてるのが確認できた。
じっとしながら聞き耳を立てると、翠星石のよく知る人物の声が聞こえた。

(この声……ひょっとしてやる夫ですか!?)

泣き顔から一変、パァっと明るい笑顔になる翠星石。
一人ぼっちで、不安と恐怖に押し潰されそうになっていた所に知った声が聞こえたのだ、喜ぶのは当然だろう。
お調子者で情けないやつだが、とても優しい大好きな幼馴染。
そんな彼が直ぐ傍に居ると知り、居ても立ってもいられなくなり駆け出した。

木々の間を駆け抜けていくと、見慣れた後ろ姿が目に入った。
まだこちらには気付いていない様子のやる夫に声を掛ける。

「やる夫ー!無事だったですか〜!」

そのまま笑顔で駆け寄ろうとした翠星石が見たのは、呆気に取られた顔でこちらを見るやる夫。
そして次の瞬間、鈍い銃声が彼女の耳に響いた。

「…………え?」

何が起こったのか分からず、その場で硬まる。
おそるおそる横を見ると、隣の木の幹に穴が開いていた。
どうやら銃弾は運良く翠星石を外れ、隣にあった木へ命中したようだ。
だがそれも今の翠星石にとっては幸運でも何でもない。
青ざめたやる夫の顔と、その手に握られている黒いモノを見比べ、段々と何が起きたのか理解が追い付いてきた。

「やる、夫……?やる夫は、す、すいせい、せきを……」
「ち、ちが…」

口に出すたびに顔がどんどん青ざめていく。
あんなに会えて嬉しかった筈のやる夫が、今はとても恐ろしく見える。

「い、イヤァァァァァァァァ!!」

悲鳴を上げ、顔をクシャクシャに歪ませながら翠星石は森の奥へと逃げ去った。

「あっ、ま、待つお!翠星石!」

呆然としていたやる夫も我に返り、慌てて翠星石の後を追う。

悪を打ち砕くヒーローでもなく、ニードレスやギアスユーザーのような異能の持ち主でもない。
特別な運命や血筋も存在しない、どこにでもいる平凡な高校生の少年。
そんなやる夫はこのバトルロワイヤルにおいて、大切な人を殺しかけてしまうという最悪のスタートを切ってしまった。

220 : ◆84AHk0CknU :2015/08/16(日) 22:18:22.40 ID:HX4JUt5p
【翠星石@やる夫スレ】
[状態]:精神疲労(大)、錯乱中
[装備]:なし
[道具]:共通支給品一式、不明支給品1〜3
[思考]
基本:死にたくない
1:やる夫から逃げる。
[備考]
※本ロワでの設定
・人間の女子高生
・水銀燈&雪華綺晶→姉と妹。大切な家族
・やる夫→幼馴染。密かに想っている
・やらない夫→やる夫を通じて中学生時代に友達となった
・伊藤誠→一度乱暴されかけたため、嫌悪と恐怖を抱いている

【入速出やる夫@やる夫スレ】
[状態]:精神疲労(中)
[装備]:TNOKの拳銃(5/6)@真夏の夜の淫夢
[道具]:共通支給品一式、不明支給品0〜2
[思考]
基本:殺し合いはしない
1:翠星石を追いかける
2:やらない夫たちを探す
3:伊藤誠には会いたくない
[備考]
※本ロワでの設定
・人間の男子高校生。外見は太った少年。
・水銀燈、翠星石、雪華綺晶→幼少時から親交のある姉妹。翠星石とは同じクラス
・やらない夫→中学時代にできた親友。不良に絡まれていた所を助けてくれた
・伊藤誠→翠星石に手を出そうとしたのをやる夫とやらない夫、他の姉妹達に阻止される。以来険悪な関係

221 : ◆84AHk0CknU :2015/08/16(日) 22:21:31.83 ID:HX4JUt5p
投下終了です
タイトルは『やる夫がバトルロワイアルで最悪のスタートを切ってしまったようです』で

222 : ◆ymCx/I3enU :2015/08/17(月) 10:32:36.25 ID:x3GlgyAq
投下乙です。
暴発からの誤解、ロワでは普通だな!
そして備考欄から読み取れる伊藤誠のクズ具合

自分も投下します

223 :完全感覚Dreamer ◆ymCx/I3enU :2015/08/17(月) 10:33:15.71 ID:x3GlgyAq
9話 完全感覚Dreamer

殺し合いに巻き込まれうんざりとしていたが、スタート地点のすぐ近くに酒場が有ったのは不幸中の幸いだったと、
中年の食堂店主、川田喜雄は思った。酒好きの彼にとってはこの不安な状況では尚更酒は有難い物だったからだ。

(店の奴には悪ぃけど幾つか貰ってくか)

棚に並べられている酒瓶の中で好きな酒を幾つか自分のデイパックに放り込む喜雄。
飲めば少しは気も紛れるだろう。無論飲み過ぎて動けなくなっては元も子も無いのでそれは注意しなければならないが。
無断で持っていく事に少しは抵抗も有ったがこの酒場の店主は今はどこにも居らず咎める者など居まい。

「こんなもんで良いか……これからどうすっかな……」

喜雄はこれからの事を考える。人を殺すだけの度胸など無い故に殺し合いには乗りたくは無かった。
知り合いは一応、店の常連客である女子高生志水セナが居るが特に仲が良い訳では無く進んで捜索するつもりは無い。
まずは己の身の安全を最優先し、生き残る事を考えなければならない。

「奥は家になってんのか……ならここで隠れっか?」

酒場には平屋の住居が併設されており、そこでしばらく隠れていようか喜雄が考えていた時、酒場出入口の扉が開いた。

「! 誰だ!」

驚き、自分に支給されていた封筒を開封するのに使う金属製のペーパーナイフを構える喜雄。
事務用品だが突き刺す位には使える代物である。

「待て、殺し合いには乗っていない」

酒場に入ってきた男は戦意を否定した。
灰色か銀色の髪、紫色の余り趣味の良いとは言えないシャツと茶色いズボン姿の、恐らく30代位と思われる人間の男。

「本当か?」
「本当だ……信じてくれって言っても、無理かもしれないが」
「……」

一先ず信じる事にして構えていたペーパーナイフを下ろす喜雄。
男は倉持忠敏と名乗った。

「俺は馬を捜してるんだ。もっと正確に言えば、開催式の時に見た、白いユニコーンのオスを……見てないか?」
「いや、あんたが初めて会った奴だ……知り合いか何かなのか?」
「違う」
「あ? 知り合いでも無いのに捜すのか?」
「うーんと、なぁ」

喜雄の疑問に答えづらそうな素振りを見せる忠敏だったが、結局答えた。

「尻をな、掘って貰いたいんだ」
「は?」
「だから牡馬にケツを掘って貰いたいんだよ」
「え、何それは……(ドン引き)」

忠敏が話す所によれば彼はオス馬とのア*ルセックスを趣味としているとの事。
趣味と言うよりライフワーク、生き甲斐となっているとも話した。
オス馬の激しい腰使いで根元まで突き込まれれば感じ過ぎていてもたってもい居られないと、喜雄が完全に引いているにも関わらず熱っぽく語った。
喜雄自身はそう言う趣味は全く無かったが、忠敏のような趣味を持つ者が居ると言う事自体は関知はしていた。
関知はしていたがだからと言ってそういう趣味はとても彼には理解出来る物では無かったし、
いざその趣味の者を前にすると最早対応に困る事この上無い。

224 :完全感覚Dreamer ◆ymCx/I3enU :2015/08/17(月) 10:34:03.29 ID:x3GlgyAq
「俺は死ぬ前に馬にケツを犯して貰わないと死んでも死に切れない!」
「そう……(無関心)」
「ただ、俺、武器になるような物が何も支給されなかったんだ。
丸腰のままじゃいざって時危ない、ここで武器になるような物を探させてくれないか?」
「ああ、好きにしろよ」

呆れた様子で喜雄が許可を出す。
まだ自分が探索していないので待ったをかけたい所だったがさっさと用事を済ませて出て行って欲しいと言う気持ちの方が勝った。
結局忠敏は台所で文化包丁を一振り手に入れる。

「ありがとう、それじゃ俺は行くよ……あっ、そうだ、あんたの名前は」
「川田喜雄。食堂やってる」
「そうか……お互い、死なないよう頑張ろう」
「ああ、いいからさっさと行けよ」

一応気遣いを見せる忠敏に対し鬱陶しげに突き放す喜雄。
忠敏は苦笑いしつつ、酒場を後にした。

「アイツ、馬がその趣味無かったらどうする気なんだ? ……俺が気にする事じゃねぇやな」

忠敏が居なくなった後、少しだけ彼の行く末が気になった喜雄が独りごちる。

◆◆◆

倉持忠敏と言う男が馬に掘られる快感に目覚めたのは高校生の時。
たまたま見付けたその手の外国アダルト動画に衝撃を受け、訓練と拡張を進め、
当時住んでいた場所から自転車で行ける距離に有った牧場に深夜忍び込み、初体験を果たした。
それ以来今日に至るまで馬に掘られる快楽を貪り続けてきた忠敏。
何度か内出血等危険な目にも遭い、理解してくれる数少ない友人から「もうやめた方が」と忠告された事も有った。
実際腸を破られ死亡する事故の実例も多数存在する。
が、それを遥かに上回る数の愛好家、馬に掘られる事に対する熱意・覚悟が存在し、忠敏もまたその一人。
最早ライフワークと化したその行為を辞めるつもりは更々無く、むしろそれで死ぬのなら本望とまで本気で思っていた。
腕程も有る頂戴かつ太い牡馬の肉の槍に、馬の猛烈な腰使いで一気に根元まで貫かれ腸内を掻き回される、
激痛と紙一重の快楽は何物にも代え難い物。辞めてなる物か。
その思いは殺し合いに巻き込まれてからも変わらなかった。

酒場から出て後、忠敏は次にどこに行くか考える。
南に行けば教会、北に行けば廃墟の遊園地が有る。

ダァァン……。

「!」

遠くから銃声が聞こえ身構える忠敏。
殺し合いは確実に始まっているようだ。
急がなければあのオスのユニコーンが死んでしまうかもしれない。
ただもし見付けたとして、ユニコーンが自分の趣味に応じてくれるかどうかそれが問題であった。少なくとも忠敏の中では。
一般的にユニコーンは処女にしか心を開かないと言われている。

(その時はこいつを使って無理矢理にでも)

自分のデイパックから、ピンク色の液体が入った香水の瓶のような物を取り出す忠敏。
それは彼の支給品――――催淫剤である。
説明書には「イライアス・ウィズダム特製催淫剤 効き目抜群」などと書かれていた。
名簿に同姓同名の名前が有り恐らく同一人物であろうが、そんな事はどうでも良い。
この薬の効き目が本物かどうかはさておき、薬物やそれに準ずる物で無理に興奮させ行為に及ぶと言う事は今までも忠敏は何度か行ってきた。
時には完全に理性を失わせてしまい殺されるかもしれないと言う位に腰を振られるのだがそれによる快感もまた凄まじかった。
催淫剤は霧吹きのように吹き付けるタイプの為こっそり仕込むような手間も要らない。

225 :完全感覚Dreamer ◆ymCx/I3enU :2015/08/17(月) 10:34:29.24 ID:x3GlgyAq
自分はもうこの殺し合いから生きて帰れる事はあるまい。
兎にも角にも、命果てる前に何としてでもユニコーンを見付け、何としてでも尻を掘って貰わなければ死んでも死にきれぬ。
死ぬならば馬に掘られ腸を破って貰って死のう。
壮絶な決意(少なくとも本人の中では)を胸に、倉持忠敏はユニコーン捜しを始めた。


【明朝/F-4酒場】
【川田喜雄】
状態:健康
装備:ペーパーナイフ
持物:基本支給品一式、調達した酒複数本
現状:死にたくない。自分が生き残る事を優先する。志水セナは取り敢えず放っておく
備考:倉持忠敏を追う気は無し

【明朝/F-4酒場周辺】
【倉持忠敏】
状態:健康
装備:調達した文化包丁
持物:基本支給品一式、ウィズダム商店謹製催淫剤
現状:死ぬ前にユニコーン(ユージーン)を捜し出し、掘って貰う。殺し合う気は無いが行く手を阻む者が居ればそれなりの対応はする
備考:催淫剤の効能については未確認

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《キャラ紹介》
【川田喜雄】
読み:かわだ よしお
年齢:55
性別:男
種族:人間
特徴:色黒の短髪の中年男。黒いシャツにジーパン、エプロンにバンダナ姿(厨房での服装)
職業:食堂経営者
備考:「川田屋」と言う食堂を経営している通称「川田屋のオヤジ」。
がさつな性格だが料理の腕は良く、店の常連客は多い。
煙草、パチンコ、酒を愛する。本ロワの参加者の一人、志水セナは店の常連客の一人。

【倉持忠敏】
読み:くらもち ただとし
年齢:31
性別:男
種族:人間
特徴:暗い銀色或いは灰色の髪の毛、中肉中背だがお尻がお*んこみたいになってる、紫色のシャツに茶色のズボン姿
職業:牧場作業員
備考:牡馬に尻を犯される事を趣味と言うか生き甲斐にしてしまっている男。
普段はそれなりに大人しいが牡馬の事となるとかなり熱っぽくなる。ドン引きされる。
腸を破られて死ぬ事になっても本望だと本気で言っている。だが彼の腸は非常に頑丈の様子。

《支給品紹介》
【ペーパーナイフ】
支給者:川田喜雄
分類:刃物
説明:便箋や書類袋等を開封する時に使うナイフの一種。
一応刃は付いているが鋭利では無い。但し尖端は普通に突き刺す位は出来る。

【ウィズダム商店謹製催淫剤】
支給者:倉持忠敏
分類:薬物
説明:本ロワの参加者でもあるイライアス・ウィズダム特製の催淫剤。
外見はピンク色の香水のような感じ。霧吹きのように相手の顔に吹き掛ければ良い。
どんな清楚な者でもたちまち淫乱になる。
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226 : ◆ymCx/I3enU :2015/08/17(月) 10:36:57.31 ID:x3GlgyAq
投下終了です
読み返してみると汚いSSだなぁ……
ちなみに2005年に「イーナムクロー馬姦事件」と言うのが起きてるから
興味有る人はWikipediaをどうぞ

227 : ◆ymCx/I3enU :2015/08/24(月) 00:17:13.69 ID:Zv6Pty69
投下します

228 :おおかみのおまわりさんとおんなのこ ◆ymCx/I3enU :2015/08/24(月) 00:17:49.68 ID:Zv6Pty69
10話 おおかみのおまわりさんとおんなのこ

とある地方都市で警官の職に就いている狼獣人の男、須牙襲禅。
しかし彼は警官とは大凡思えぬ程、粗野で好戦的な性格をしていた。
勤務態度も凄まじい物で、容疑者に対する度を超えた発砲や暴力行為、押収物の私物化、パトカーの無断改造等。
ならず者が警官の制服を着ているだけと言っても過言では無いような人物である。
ここまで来ると普通は懲戒免職されてもおかしく無いのだが、性格や言動はともかく警官としての能力は高く、
また、彼の所属する警察署が、彼のような癖の強い警官を大量に受け入れている場所と言う事も有り、
襲禅は警官で居続ける事が出来ていた。もっとも、襲禅自身、警官になった理由が「一般より自由に銃を使えるから」と言う理由で、
警官と言う職業にそこまで情熱も執着心も有る訳では無かったが。

そんな彼が、今回、殺し合いゲーム――バトルロワイアルに参加させられた。

「チッ、ったくよぉ……何だってんだ、こりゃ」

A-6エリアの港。運営側が撤去したのか船が一艘も見当たらない船着場。
倉庫の壁に背をもたれて水平線を見詰めながら、襲禅は不機嫌そうな表情を浮かべる。
突然殺人ゲームに巻き込まれた事、どこの誰かも知れない男に命を握られていると言う事実に憤りを隠せなかった。

「柴田とか言ったか? あの野郎、絶対ェ後悔させてやる。クソ生意気なツラに風穴空けてやっからな」
「襲禅」
「!」

不意に聞こえた女性の声に、襲禅は右手に持っていた自分の支給品、コルトガバメントを声のした方向に向ける。

「うわっ、ちょっと待ってよ」
「んだよ、真紀じゃねぇか」

そこに居たのは、襲禅の知人である少女、新藤真紀。
仲が良い訳では無いが、しばしば行動を共にする、所謂「腐れ縁」の間柄であった。

「何か声聞こえて聞き覚え有るなーと思ったら案の定だったわ」
「おっ、何だよ俺が近くに居て嬉しいのかぁ?」
「別に……」

からかう襲禅に対し素っ気無く返す真紀。この二人の日常風景だ。

「ここで立ち話も何だ、倉庫ん中にでも入ろうぜ」
「変な事しないでよ?」
「しねぇよ!」

外で立ち止まって話をするのは危険な為、二人は倉庫の中に入る。
荷物の乗せられた木製のパレットが高く積まれ、フォークリフトが無造作に停められていた。
二階部分に有る事務所内に入って、椅子に座る二人。

「ねぇ襲禅、アンタはこのゲームどうするの?」
「乗る気は無ぇよ」
「へぇ。意外。アンタこういうの好きそうな気がしてたんだけど」
「あんな誰とも分からねぇ奴の言いなりは御免だって話だ……って言うかお前、俺が乗ってないと思って話し掛けたんじゃねぇのかよ」
「いや、居たから何となく声掛けちゃったって言うか」
「お前なぁ……」

229 :おおかみのおまわりさんとおんなのこ ◆ymCx/I3enU :2015/08/24(月) 00:18:16.63 ID:Zv6Pty69
警戒心が薄いと言わざるをえない真紀に呆れる襲禅。
今度は襲禅が真紀に聞き返す。

「まぁ良いや。んで、そう言うお前はどうなんだよ、真紀」

真紀は殺し合いに乗るつもりが有るのか否か。もし肯定する言葉を述べたらその時は――――そこまで襲禅が考えた時、真紀が返答した。

「乗ってないよ。アンタと大体同じ理由」
「……そうか」

真紀が出した答えは否定。
襲禅の漏らす声に僅かに安堵の色が滲む。

その後、二人はお互いの支給品を見せ合った。
自身のコルトガバメントを自慢気に見せ付ける襲禅にジト目を向けながら、真紀が自分のデイパックから取り出した物は。

「おっ、ワルサーP38じゃねぇか」
「……に見えるでしょ? でもこれ……」

そう言って真紀は銃口を天井に向けて引き金を引いた。
銃口からは弾丸では無く、小さな火が噴き出した。

「……ああ、拳銃型のライターか、それ」
「そうなの……最初本物だと思ったんだけどねぇ……」

真紀に支給されたのは拳銃の形を模したライターであった。
非常に精巧に作られており外見だけなら実銃と見紛う程である。だがライターである。
殺し合いと言う状況の中で銃が支給されたと喜んだのも束の間、ただのライターであると判明した時の真紀の落胆は大きかったし、
襲禅にもそれは容易に想像する事が出来た。

「脅し位には使えんだろ。多分」
「そうかな?」
「……取り敢えずは、もうちっとしたらこの辺に人居ねぇか見てみっか」

真紀に対し一応フォローを入れた後、襲禅は当面の行動指針を定めた。

230 :おおかみのおまわりさんとおんなのこ ◆ymCx/I3enU :2015/08/24(月) 00:19:00.47 ID:Zv6Pty69
【明朝/A-6港倉庫】
【須牙襲禅】
状態:健康
装備:コルト ガバメント(7/7)
持物:基本支給品一式、コルト ガバメントの弾倉(3)
現状:殺し合う気は無いが必要有らば戦う。真紀と行動。港一帯を探索してみる
備考:特に無し

【新藤真紀】
状態:健康
装備:拳銃型ライター
持物:基本支給品一式
現状:殺し合う気は無い。武器が欲しい。襲禅と行動する
備考:特に無し


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《キャラ紹介》
【須牙襲禅】
読み:すが しゅうぜん
年齢:28
性別:男
種族:狼獣人
特徴:茶色と白の体格の良い狼獣人。目の下に赤い紋様が有る。警官の制服を少し着崩している
職業:警察官
備考:銃好きな不良警官。銃の腕前はピカイチで、格闘技にも通じている。
警官とは思えないようなDQNな性格だが、所属している署の性質や警官としての能力そのものは高い事から職に留まる事が出来ている。
女子大生、新藤真紀とは腐れ縁でしばしば行動を共にしている。たまに肉体関係も持っている

【新藤真紀】
読み:しんどう まき
年齢:18
性別:女
種族:人間
特徴:セミロングの美少女。身体付きは中の上位。白いシャツにスカートの私服姿
職業:大学生
備考:どことなく陰を感じさせる印象の女子大生。
大人しいが歯に衣着せぬ物言いや皮肉が多い。余り性格は良いとは言えない。でも優しい所も有る。
町の警官、須牙襲禅と腐れ縁の仲。しばしば行動を共にし、たまに肉体関係も持っている


《支給品紹介》
【コルト ガバメント】
支給者:須牙襲禅
分類:銃火器
説明:1911年にアメリカ陸軍に採用され70年近く使われた大型自動拳銃。「M1911」とも。
現代の自動拳銃の祖と言える名銃で誕生から100年以上経った現在でも愛好家は多く、
様々な会社がクローンモデルを発売している。.45ACP弾使用。

【拳銃型ライター】
支給者:新藤真紀
分類:その他
説明:ワルサーP38の外見を模したライター。引き金を引けば着火する。
外見は非常に精巧に作られており、脅し程度には使えるかもしれない。
----

231 : ◆ymCx/I3enU :2015/08/24(月) 00:19:41.86 ID:Zv6Pty69
投下終了です

232 : ◆ymCx/I3enU :2015/08/31(月) 21:41:24.23 ID:bL+/99Sy
投下します

233 :いとも簡単に切り刻んでは素知らぬ顔 ◆ymCx/I3enU :2015/08/31(月) 21:42:52.43 ID:bL+/99Sy
11話 いとも簡単に切り刻んでは素知らぬ顔

淡い緑の獣竜種の青年、鳴海竜也。
普段は真面目で優しい会社員。しかし、一旦スイッチが入ると涎を垂らしながら目星い女を強引に犯す非道強姦魔ドラゴンに大変身!

毛皮の色を変えられる魔法を習得しており、獲物を捜す時は毛皮を黒く変色させていた。人間で言う変装である。
それに加え、普段の彼が好青年を実に巧く装っていた事も有り誰もが竜也が強姦魔だとは思いもしなかった。

そんな彼が殺し合いに巻き込まれ、考えるのは。

「結構良い女の子が一杯居たな……見付けたら片っ端から、襲ってやる。ついでに、優勝も狙ってやる」

欲望に忠実になりながらも、優勝し生きて帰る事であった。

「どうせ、一人しか生き残れないのなら、毛皮の色を変える必要も無いな……。
警察だって居ない。いつも以上にやりたい放題出来るって事だね……ふぅ、いやらしい事を考えると、
すぐに勃ってしまう。待っていな息子、獲物を見付けるまで我慢だ」

股間のスリットから顔を出している己自身に語り掛けた後、竜也は近くに有った武器屋へと入った。
様々な銃火器や、近接武器、爆薬等、兵器類が棚に並んでいた。
「おお」と思わず声を漏らす竜也。自分の支給品は、武器になるような物では無かったので、
スタート地点から程近い場所にこうした施設が有ったのは幸運だと思った。
金など持ってはいないが、店主の姿も無いので遠慮無く貰っていこう、と、竜也は武器を吟味する。

「どれにしよう……あんまり欲張っても仕方無いし……」

迷っていた竜也だったが、結局、ZB26軽機関銃と予備の弾倉5個、及び、青龍刀を手に入れた。

「武器は手に入れた……これからどこへ行こうか」

行き先を考える竜也。どうするかでは無く行き先を考えると言う事が彼の基本的行動指針が既に定まっている事を示している。

「やっぱり街の方かな」

注目したのは会場中央部の湖(大きさ的に池か沼だが地図には「湖」と書かれている)を中心に広がる市街地エリア。
建物や物資が多い市街地は人も集まり易いだろうと竜也は想像した。

「よし行くか」

荷物を纏め、竜也は武器屋を後にし、会場中央部に広がる市街地目指し歩き出した。

当面の彼の目的は、好みの女性を捜し出し、見付け次第自分の欲望の「贄」になって貰う事と、
好みに合わないまたは用済みになった女性、及び男を殺害し、自分が優勝する事への架橋とする事である。
正しく人間、いや、ドラゴンの屑である。

234 :いとも簡単に切り刻んでは素知らぬ顔 ◆ymCx/I3enU :2015/08/31(月) 21:43:05.45 ID:bL+/99Sy
【明朝/C-3武器屋】
【鳴海竜也】
状態:健康
装備:調達したZB26(30/30)
持物:基本支給品一式、調達したZB26の弾倉(5)、調達した青龍刀、不明支給品
現状:優勝狙い。好みの女性は性的に食べたい。好みじゃない女性、用済みの女性、男は始末する。市街地へ向かう。
備考:特に無し。


----
《キャラ紹介》
【鳴海竜也】
読み:なるみ たつや
年齢:25
性別:♂
種族:獣竜
特徴:緑と白の毛皮を持つ獣竜(ファードラゴン)。大柄な人間サイズで二足歩行。服を着なくて良い種族。美形
職業:サラリーマン/強姦魔
備考:普段は真面目で優しいサラリーマンの好青年に見えるが、本性は自分の性欲を連続強姦と言う手口で満たす屑。
毛皮の色を変えられる都合の良い魔法を習得しており獲物を捜す時は夜中に毛皮を黒くしている。
守備範囲は10代後半〜20代前半。人間の方が好みだとか。
また行為の時の様子を写真や動画に収めてコレクションしている。
基本的に優しい風に装うが、その実利己的で他人を傷付ける事に躊躇は無い
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235 : ◆ymCx/I3enU :2015/08/31(月) 21:43:55.95 ID:bL+/99Sy
投下終了です

236 : ◆ymCx/I3enU :2015/09/09(水) 13:39:57.45 ID:eBPNdKDp
投下します

237 :ケダモノゴコロ ◆ymCx/I3enU :2015/09/09(水) 13:44:26.84 ID:eBPNdKDp
12話 ケダモノゴコロ

「アッ、ア゛ァーッ! ア゛ーッ、イク! イク、イク……あぁ……はああ……」

森の中に存在する軍事施設の遺構、その中の発電施設跡。
獣の如き男の嬌声が響く。
全裸の狼獣人の男が、同じく全裸の半獣人の女性の顔目掛け、己の種液を撒き散らす。
女性は長時間暴行を受けた形跡が有り、猿轡をされ、目からは涙を流していた。

狼獣人の名はウォラゴ。とある犯罪組織の構成員。
この殺し合いゲームに、同僚のレカと共に巻き込まれた。
しかし元々死と隣り合わせの日々を送っていたウォラゴは特に動じる事も無く、あっさり殺し合いに乗る事に決める。
スタート地点の軍事施設跡にて見付けた、白い髪の半獣人女性、ゼンルを引っ捕え、性的暴行を加えた。

「ああ、気持ち良かったぜぇ」
「うっ……うっ……汚い、臭い」

嗚咽を漏らすゼンル。全身、ウォラゴの体液と唾液に塗れ、嫌悪感と悪臭を彼女にもたらしていた。
そんなゼンルの泣き言には構わず、ウォラゴはその辺の床に放ってあった自分のベルトを手に取ると、ゼンルの首に巻き付けて絞め上げる。

「あぐぁ!?」
「気持ち良くしてくれてありがとうな……じゃあな」
「い、嫌! やめて、死にたくな……げほっ、あっ、ア」

ゼンルは必死にもがいたが、どうする事も出来ず、やがて口から泡を吹き、目から光が消え、ビクビクと痙攣した後、動かなくなった。
動かなくなった後も、ウォラゴは念を入れて三分程思い切りゼンルの首を絞め、股間からアンモニア臭のする液体が染み出した辺りでようやく絞めるのを止める。
ゼンルとの行為で汚れた自分の身体を彼女の衣服で拭くと、ウォラゴは自分の衣服を着た。

「えがったえがった。これで精気、じゃねぇ、鋭気を養う事が出来たな。女とはヤれる時にヤっておかねぇとなぁ」

身勝手な理屈を口に出しながらゼンルの持っていたハンティングナイフを回収するウォラゴ。
彼自身の支給品は消毒用エタノールであった為、ゼンルを捕まえたのは暴行目的の他に武器の入手と言う目的もあった。
性欲も満たし、武器も入手したウォラゴは荷物を纏めて発電施設跡から外に出る。

蔦や草木に侵食され朽ちたコンクリートの遺構が建ち並ぶ。
監視塔と思しき倒壊した鉄骨の残骸も見受けられた。
地図とコンパスを取り出し、どの方向へ進めば内陸方面に抜けられるかを確認し、ウォラゴは歩き出した。

(レカの奴は、放っておくか)

同僚であるレカに関しては、特に仲が良い訳でも無い為放置する事に決め、
当面は他参加者の排除、及び、好みの女性を漁る事を基本行動指針と定めてウォラゴは行動を開始する。


【ゼンル  死亡】
【残り48人】

238 :ケダモノゴコロ ◆ymCx/I3enU :2015/09/09(水) 13:44:56.77 ID:eBPNdKDp
【明朝/B-2軍事施設跡】
【ウォラゴ】
状態:やや疲労
装備:ハンティングナイフ
持物:基本支給品一式、消毒用エタノール(500ml)
現状:優勝狙い。好みの女は犯す。好みじゃない女、用済みの女、男はさっさと始末する。レカは放置。
備考:特に無し。


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《キャラ紹介》
【ウォラゴ】
年齢:20
性別:男
種族:狼獣人
特徴:濃淡の青色の毛皮を持つ狼獣人。引き締まった身体付き。黒い半袖シャツに灰色のズボン、軍用ブーツ着用。手甲やスリングベルト装備
職業:犯罪組織構成員
備考:とある犯罪組織に属し略奪、暴行、殺人等悪事を働いている。享楽的かつ残忍な性格。
高い身体能力を誇り、戦闘スキルもかなりの物。
ロワ参加者の一人、レカは同僚。しかし仲が良い訳では無い

【ゼンル】
年齢:22
性別:女
種族:半犬獣人
特徴:犬耳と尻尾を持つ銀髪の女性。スタイルは良い。露出の多い軽装
職業:トレジャーハンター
備考:明るい性格。トレジャーハンターとして遺跡や洞窟を回っている。
戦闘になる事も多いのである程度格闘技や武器の扱いに通じているがはっきり言って弱い

《支給品紹介》
【ハンティングナイフ】
支給者:ゼンル
分類:刃物
説明:狩猟用の頑丈で切れ味の鋭い大型ナイフ。

【消毒用エタノール】
支給者:ウォラゴ
分類:その他
説明:消毒用の医療用アルコール。揮発性、引火性が強い。
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239 : ◆ymCx/I3enU :2015/09/09(水) 13:45:30.97 ID:eBPNdKDp
投下終了です。

240 : ◆84AHk0CknU :2015/09/22(火) 00:16:58.07 ID:o+OqkZ6f
投下乙です
最近投下できなくてセンセンシャル!
某ロワで自分の書いた文章が丸パクリされてて困惑したゾ…

241 : ◆84AHk0CknU :2015/09/24(木) 07:30:25.87 ID:kBQLu32e
投下します

242 : ◆84AHk0CknU :2015/09/24(木) 07:33:11.33 ID:kBQLu32e
「殺し合い…か。ふざけた真似をする男だ」

暗黒のような海が広がる真夜中の海岸。
赤いジャケットの青年が憤りを帯びた言葉を吐き捨てる。
端正な顔は殺し合いを命じた男への怒りで、不愉快気に歪んでいる

(これだけの人数を一度に拉致し、こんな首輪まで……やはりミュージアムが絡んでいるのか?)

先程確認した名簿には50人以上の名前が載っていた。
これだけの人間を一度に拉致するなど、とても一人の犯行とは思えない。
ならばこれまで幾度も戦ってきたあの組織が、バックに付いている可能性が高いと彼は考える。

(もし奴らが背後に居るのだとしたら、殺し合いというのは建前で実際は、メモリを使った実験という可能性もあるな…)

彼の腰にはバイクのハンドルのようなものが付いた奇妙なベルトが巻かれている。
一見玩具のように見えるこれは、彼にとって非常に重要な物である。
上着の内ポケットに入れてある『メモリ』を挿入することで、彼のもう一つの姿に変身するアイテム。
そして件の組織はこの『メモリ』が関わる事件を、何度も裏で操ってきた。
そう、今回もまた“あの男”のように人を人とも思わぬ実験を―――

「……井坂」

ポツリと呟いた名前。
それは自分の家族を皆殺しにした宿敵であり、激闘の末に全てを振り切りこの手で倒した筈の男の名。
何故目の前で死んだ男の名が名簿に載っていたのだろうか。
最初に現れたロン毛の言うとおり、殺し合いの運営者は本当に死者を蘇らせる力を持っているとでもいうのか。
或いはついこの間戦ったNEVERのように、ネクロ・オーバー技術が施されたという可能性もある。

「…もし仮にそうだとしても、俺のやる事は変わらん」

本当に井坂が生き返ったのだとしても、また己の手で倒すだけだ。
家族を殺した男を許せないというのは当然あるが、倒す理由はそれだけではない。
少し前の自分ならそれで十分だったろうが、今は違う。
自身の住まう『風都』の人間を、そしてこの場に連れて来られた戦う術を持たない人々を守る為に倒すのだ。
だが井坂は紛れもない強敵。一度倒したとはいえ、苦戦は免れないだろう。

(左達とも何とか連絡を取れるといいのだが…)

243 : ◆84AHk0CknU :2015/09/24(木) 07:39:19.36 ID:kBQLu32e
この場には居ない仲間たち。
自分に街の流儀を教え、衝突を繰り返しながらも今では戦友となった“二人で一人の探偵”
この異常な事件を解決する為にも彼らに情報を伝える必要がある。
尤も外部との接触は当然できないよう運営側が目を光らせているだろうが。

「…そろそろ行くか」

罪無き人々を守り、宿敵をもう一度倒す決意を固めると男は移動を開始した。
彼の名は照井竜。
風都署超常犯罪捜査課に所属する若きエリート刑事。
またの名を『仮面ライダーアクセル』

復讐心を振り切り、“切り札”、“疾風”と肩を並べる“加速”の戦士が新たな戦いに挑もうとしていた。


【照井竜@仮面ライダーW】
[状態]:健康
[装備]:アクセルドライバー+アクセルメモリ@仮面ライダーW
[道具]:共通支給品一式、エンジンブレード@仮面ライダーW、トライアルメモリ@仮面ライダーW
[思考]
基本:打倒主催者
1:一般人の保護及び殺し合いに反対する者の捜索
2:井坂は自分の手で再び倒す
3:外部との連絡手段を探す
[備考]
※劇場版『AtoZ 運命のガイアメモリ』終了後からの参戦
※殺し合いにミュージアムが関わっていると考えています

244 : ◆84AHk0CknU :2015/09/24(木) 07:41:47.83 ID:kBQLu32e
投下終了。タイトルはwiki収録の時に

245 : ◆ymCx/I3enU :2015/10/05(月) 00:29:08.04 ID:wrNuCBsX
投下乙です
こちらこそ最近全く投下出来てなくてすみません許して下さい! 一話書き上げますから!
……と思って書いていたらうっかり保存するの忘れて全部消えたゾ
あーあもう一からやり直しだよ

あああああああああああああああああああああああ!!!!(発狂)

246 : ◆84AHk0CknU :2015/10/05(月) 03:06:43.36 ID:8Hwo4XeB
お、大丈夫か大丈夫か(迫真)
焦らず自分のペースで進めてくれていいから(良心)

247 :魔法少女育成計画twilight ◆TOWNwDBZa. :2015/10/14(水) 02:12:12.43 ID:qMT4NXAP
某所の某企画に触発されたので、こちらでひっそりと。
バトロワもののライトノベル作品「魔法少女育成計画」を元ネタとした非公式非リレー企画です。

何事もやるという意識が大切だと思うで、とりあえず予告編がてらにあらすじとお馴染みのキャラ紹介を投下します

248 :魔法少女育成計画twilight ◆TOWNwDBZa. :2015/10/14(水) 02:13:18.38 ID:qMT4NXAP
◆あらすじ

 「『子供達』が、非合法な『試験』を主催しようとしている」

  北の港町、H市の魔法少女達のもとにある日届けられたそんな伝令。
  過去に撃破された犯罪者、フレイム・フレイミィの『子供達』が、魔法の国より離反し逃亡しているのだという。
  魔法少女の階段を登り始めた少女達。そして、試験を止めるべく乗り込んだ『魔法の国』のエージェント達。

 「どういうことだ――此処は、本当に人間の街なのか……!?」

  炎と、嘘と、星と、記憶――あらゆる輝きに彩られたこの街で、起こる筈のない『試験』が幕を開ける。

249 :魔法少女育成計画twilight ◆TOWNwDBZa. :2015/10/14(水) 02:14:21.63 ID:qMT4NXAP
魔法少女名       魔法  
                      
☆めるくりっぷ     剣から魔法の雷を出せるよ              
☆Pleiades       星のささやきを聴くことができるよ          
☆サクラ        相手の持っている能力がわかるよ          
☆クロックシルク    とても立派な家を作ることができるよ         
☆魔法名医シャルル   みんなとお医者さんごっこをして遊べるよ       
☆ひーたん       どこまでも自由に飛んでいく紙飛行機を折れるよ    
☆うるる        シャボン玉を思い通りに操ることができるよ      
☆ハニーシュガー    眠る度にどこまでも強くなれるよ           
☆リンカーペル     頭の中で会議をすることができるよ          
☆レオーネ       自分のことを絶対に無視させないよ          
☆スモーキン・ハリィ  魔法の葉巻で煙の魔法が使えるよ           
☆ウェンディゴ     格下の相手には負けないよ       
☆バースデイ・リック  持っているものを絶対に壊れなくするよ   
☆にゃんぴぃ      人や物を鈴の音で引き寄せるよ     
☆クールマリン     機械の中に入ることができるよ 
☆シアンハット     どんなものにでも取り付けられる魔法のドアが使えるよ

★コロ             

250 :魔法少女育成計画twilight ◆TOWNwDBZa. :2015/10/14(水) 02:15:10.83 ID:qMT4NXAP
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「私の剣は聖なる稲妻……さぁ、浴びたい奴から前に出なさい!」

 ある時代、日本は行き過ぎた科学の発展によって管理社会と化した。
 戸籍や家計、配偶者すらコンピューターに管理され、刃向かえば手痛い罰が待ち受ける人間の鳥カゴ。
 しかしそんな国にも一人、立ち込めた闇を晴らさんと邁進する正義の反逆者があった!
 纏う衣装は海の如く澄んでいて、一度微笑めばエサを抜かれた猛犬だって尻尾を振る。
 立てば芍薬、座れば牡丹、戦う姿はめるくりっぷ!
 これは一人の小さな想いで、日の丸を取り戻す物語!

 新番組!『めるく☆うぉーず』
 第一話「極めて物理的な手段によるメモリクラッシュ」
 どんな機械も、電気一発ぶっ飛ばす!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「命短し恋せよ乙女とはよく言いますが。
 ……私のような身分の娘は、果たして誰を真に愛するべきなのでしょうか」

 ここは華の街、宴と恋情の逆巻く街。
 そんな街が誇る高嶺の花は、まだうら若い少女だった。
 彼女は思う。抱かれ、愛され、身を委ね。
 惰性で続くこの緩慢な日々から、自分を連れ出してくれる者はいないものかと。
 けれどそれは叶わぬ夢。
 そして叶えてはならない夢だと知っているから、サクラは今日も涙を流した。
 だって、自分にはもっと大きな夢があるから。だから、この街を出るわけにはいかないのだ。

 新番組!『花は咲けども蜜は実らず』
 第一話「嘘も方便」
 華の香りは、時にせつない。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「はいはーい! 時計ですね。ちょっと待っててください〜!」

 時計屋『クロックシルク』では、不思議な時計を売っている。
 腕時計、柱時計、懐中時計におもちゃの時計。
 変哲もないそのどれもが、持ち主が本当に強く願った時だけ、
 一番戻りたい時間へと時を巻き戻してくれる力を持っているのだ。
 けれど店主、白鳥萌衣はそのことを知らない。萌衣はただ、その人に一番合った時計を真心こめて売っているだけ。
 今日も今日とて迷える子羊が、奇跡を求めてやってくる――

 新番組!『アンティーク・メモリアル』
 第一話「ハト時計と夏の日の記憶」
 巻き戻りたい日にち、覚えてますか? 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)


251 :魔法少女育成計画twilight ◆TOWNwDBZa. :2015/10/14(水) 02:15:56.29 ID:qMT4NXAP
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「なにっ、急患!? 
 すぐに受け入れろ! お茶とお菓子も忘れるな!!」
 
 シャルル診療所は客入りが少ない。
 医者の正しい信念はどこへやら、今やたまの急患搬入でぬか喜び。
 看護師には愛想を尽かされ窓ガラスは穴だらけ、
 床にはカップ麺の残骸が積み重なって足の踏み場もありゃしない。
 「命の価値に貴賎はない……それが分からない内は、どれだけ腕が良かろうが三流だよ」
 メスが錆びてても腕は確か、心意気も超一流! 今日も元気にオペ開始!
 
 新番組!『シャルル先生は苦悩する』
 第一話「恋の悩みは専門外」
 これで医師免許があれば完璧なんだけどなあ!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 
「やだやだー! 私、絶対パイロットになるんだから〜っ!!」

 槇村比那は、子供の頃から飛行機のパイロットに憧れていた。
 だがしかし、比那の夢を阻んだのは過酷な現実。
 なんと彼女は乗り物酔いが生まれつき激しく、
 長距離移動ともなれば梅干しを一パック食べ尽くしてしまうほどだったのだ。
 親は鼻で笑い同級生も鼻で笑い、ペットのうさぎには耳で笑われた。
 そんな彼女はある日、乗り物に乗れなくても、飛行機を飛ばすことのできる方法を発見する。
 「紙飛行機……そっか、これなら!」

 新番組!『飛べ! ペーパーエアプレーン』
 第一話「はじめてのフライト」
 紙だって飛行機は飛行機だもん!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「雨の日が好きなんだ。だって、綺麗でしょ?」

 うるるは雨降りが好きだった。
 しとしと降り注ぐ水滴が奏でる音は、まるで自然のバラードだ。
 どこか切ない気分になるけれど、こうしていれば一人でも退屈になることがない。
 そうしてうるるは今日もまた、雨降りのバス停で雨の音色を聞く。
 そんな時。傘も差さずに立ち尽くしている彼女へ、不思議そうに誰かが話しかけた。
 「……おめー、何してんの?」
 これは、雨の日から始まるジュブナイル。

 新番組!『うるるの雨降り日記帳』
 第一話「出会いの音色はクレッシェンド」
 どうやら明日も雨みたい。 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)


252 :魔法少女育成計画twilight ◆TOWNwDBZa. :2015/10/14(水) 02:16:57.04 ID:qMT4NXAP
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「……ぐぅ」

 魔法の国の学校へ通う、ハニーシュガーは居眠り少女だ。
 国語も数学も理科も社会も、英語はおろか体育ですらぐっすり眠る。
 しかし、彼女の快適睡眠ライフは残酷にも終わりを告げた。
 あまりの授業態度の悪さにより、あと一度でも居眠りをすれば退学処分だというのだ!
 鬼! 悪魔! 少女の声は誰も聞いちゃくれない。
 皆がいい気味だとせせら笑う教室で、ハニーシュガーが打ち出した打開策とは!?

 新番組!『寝る子は育ちすぎた』
 第一話「決めた、世界を滅ぼそう」
 眠れる獅子だと思ったな? 残念私はドラゴンだ!


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「どうすんのよこれ!
 あーもうっ、自分会議開始ー!!」

 リンカーペルには奇妙な特技があった。
 困った時、どうしようもない時、
 迷っている時、難しい問題を出された時。
 頭の中に住んでいるもうひとりの自分と、すごく濃密な相談をすることが出来るのだ。
 「うーん、いや、こりゃちょっとどうしようもないっしょ」
 「えぇっ!? そこをなんとか!」
 「君さ、僕をドラえもんかなんかと勘違いしてない?」
 ……役に立つかどうかは別として。

 新番組!『どっぺるどっぺる』
 第一話「会社の金をヤギに食われた時の対処法」
 この後こってり絞られました。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「は? いや、こんなレベルでこのクエ来んなよ」

 大人気MMORPG『マジカルクエスト』。
 江戸澤露子もまた、このゲームに心血を注ぐ廃人プレイヤーの一人だった。
 身の程を弁えない地雷と利益だけこそげ取っていく寄生プレイヤーに怒りを燃やしつつ、
 毎日いつドロップするかも分からぬレア武器を求めて同じクエストをひたすら巡回する日々。
 そんなある日彼女は、目を覚ますとゲームの中の世界に居た。
 冴えない大学生、江戸澤露子ではなく……狙撃手『レオーネ』としての過酷な日々が、今幕を開ける!

 新番組!『マジカルクエスト』
 第一話「周回作業をやってみた」
 体感してみて一層わかった! やっぱこいつらクソだ! 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)


253 :魔法少女育成計画twilight ◆TOWNwDBZa. :2015/10/14(水) 02:19:15.90 ID:qMT4NXAP


「なに? リューコが隣町の奴らにやられただと?
 こうしちゃいられねえ! 行くぞお前らァ!!」

 ごっつい葉巻を口端に、バイクをかっ飛ばして今日も喧嘩三昧。
 いついかなる時も煙の出るものを咥えている彼女は、伝説の女番長だ。
 葉巻咥えてヤクザを蹴散らし、警察相手にカーチェイスを繰り広げ、
 ついたアダ名が『スモーキン・ハリィ』。今や泣く子も黙るし先公も逃げる。
 そんな彼女は確かに悪魔。だが、悪魔は悪魔でも友情を知った悪魔だ。
 どんなに使えない奴だろうと仲間は仲間。
 それに手を出したってんなら遠慮はしねえ、全軍突撃で片付けるのがハリィの流儀!

 新番組!『ハリィ猛将伝』
 第一話「氷砂糖のヤナセ」
 アタシの葉巻はフィリピン産だよ。





「今日はお月様も見ていないようだ」

 霧の出る、月の出ない夜には悪者が影を潜める。
 何故ならそういう日は、悪を成敗し夜の静けさを守るダークヒーローが現れるからだ。
 ウェンディゴに出会った悪人はこう語る。
 もう悪事は懲り懲りだ。――大手企業の敏腕セールスマンだった彼は、次の日から炊き出しに並んでいた。
 ウェンディゴに出会った善人はこう語る。
 ヒーローなんて懲り懲りだ。――やっとこさ稼いだ一月分の給料が、全部見知らぬ口座に振り込まれていた。
 ダークヒーロー、ウェンディゴはこう語る。
 「ヒーローにも色々な形があるということです」

 新番組!『ミスト・ザ・ヒーロー』
 第一話「夜道でやたらに振り返れ」
 そんなウェンディゴにも秘密があるとかないとか。





「お母様、見ていてください!」

 リックは幼くして母親と生き別れた。
 どこにいるのかも分からない、そもそも顔も覚えていない。
 それでもただ一つ、彼女はバレエを見るのが好きだったことだけは覚えていた。
 だからリックはバレリーナを目指す。
 手始めに養成校へ通おうと思ったリックだったが……
 「ちょっ!? 養成校ってこんなにお金かかるんですか!?」

 新番組!『貧乏少女がバレリーナになるまで』
 第一話「自販機ミッション」
 舞踏王に私はなる!

254 :魔法少女育成計画twilight ◆TOWNwDBZa. :2015/10/14(水) 02:20:09.94 ID:qMT4NXAP



「にゃ、ん、ぴぃ。
 そうそう、にゃんぴぃ。えへへ、えらいね〜」

 猫の集会には謎が多い。
 しかしこの魔法少女だけはその真相を知っていた。
 彼女は魔法少女にゃんぴぃ。
 すべての猫の友達であり、人間社会よりも猫社会で生きている時間の方が長い異端児である。
 奇妙ながら平穏な日常を送っていたにゃんぴぃだったが、
 それはある三毛猫が運んできた情報を聞くなり一変することになる。
 なんとゴルフ場の建設で、おなじみの集会所がなくなってしまうというのだ……!

 新番組!『ねこデモ』
 第一話「初めてのデモ行進」
 行政の横暴を許すな!





「バグだって生きてるんだよ」

 精密機械に携わる者なら、誰もが知っている噂話がある。
 なんでもどんな欠陥を抱えた機械だろうと、
 彼女に預けてしまえば必ずとんでもない高性能になって帰ってくるというのだ。
 曰く伝説のメカニック。人々は彼女に憧れ、そして探し求めた。
 しかし彼女はそんなことどこ吹く風で、今日も気ままに、迷えるエンジニアの前へ現れる。
 「どしたの。何か困ってる?」
 「あ……実はこのソフト、どっかバグってるらしくて……」
 「ふーん、貸してみな。ちょっと注意してくるから」
 「へ?」

 新番組!『クールマリンの気ままなおさんぽ』
 第一話「時には力づくで」
 外的損傷は専門外だよ!





「はははっ! いっただきぃ!」

 巷を騒がす大怪盗が、今日も夜の街を暗躍する。
 シアンの帽子だから、シアンハット。
 怪盗シアンハットは現代のアルセーヌ・ルパンだ。
 ビルの間なんてひとっ飛び、警備なんて特製迷彩服でまるっと欺く。
 コンクリの壁も無駄無駄無駄無駄!
 ガチャリと正々堂々ドアを付けて、ドアを開けて、閉めればはい侵入完了ってね!
 さてさて肝心のお宝は〜……
 ――ええっ!? 小さい女の子!?

 新番組!「怪盗親子は夜更かしがお好き」
 第一話「閻魔の舌」
 どこでもドアじゃないっつーの。

255 :魔法少女育成計画twilight ◆TOWNwDBZa. :2015/10/14(水) 21:03:38.08 ID:qMT4NXAP



「ある魔法少女を探してる」

 日本中を渡り歩いた。
 星が導くままに、街の隅々を探し求めた。
 けれどあの子はいなかった。
 やがて、あの子がもうどこにもいないことを知った。
 でも、人探しが終わったわけじゃない。
 あの子の代わりになった、どこかの女の子を探している。聞きたいことがある。
 だから、私はその魔法少女に会わなきゃならない。
 そうしなきゃ――終われないんだ。

 新番組!『星に引かれてPleiades』
 最終話「流れ星」
 なあ、キミはあの時――





規制解除されたのでひとまずこちらに。
本編は今週中に……できたらいいなあ。

256 :魔法少女育成計画twilight ◆TOWNwDBZa. :2015/10/16(金) 01:56:02.50 ID:3eyR0qZU
プロローグ投下します。

257 :プロローグ ◆TOWNwDBZa. :2015/10/16(金) 01:56:51.74 ID:3eyR0qZU
☆???


 届かないからこそ美しいものがある。
 例えば、花畑を自由に舞う綺麗な蝶々を追い回した経験は誰にでもあるだろう。
 虫取り網を片手に、あの綺麗な羽を間近で観察し、あわよくば虫籠で飼ってやろうと欲を抱いて草原を駆け回る。
 けれど、いざ捕まえてみて――間近で眺める蝶々が、所詮はただの虫だということに気付かされる。
 逃れようともがく六本の足、昆虫特有のお世辞にも可愛らしいとは言い難い腹部や眼。
 美しい羽は触れる度に鱗粉を散らし、花畑を悠々と飛び回っていた姿とは大分見劣りする。
 それでもせっかく捕まえたのだからと飼育したところで、寿命なんてたかが知れている。

 ある日、何となしに籠の中を見て、地べたに横たわって息絶えている蝶を発見する。
 羽は心なしか萎れて見え、命をなくした複眼はただただ不気味にしか見えず、時には体液さえ出しているかもしれない。
 その時、思う。――なんでこんなのを、綺麗だなんて思ったんだろう、と。
 
「要はルービックキューブだと思うの」

 どこかの屋上。
 熟れた林檎のような赤い夕焼けを背に、煤けた座椅子へ腰掛けて、ルービックキューブをがしゃがしゃ回す。
 少女は綺麗だった。背負った赤色にほんのり染め上げられた髪の毛は、一本一本がまるで絹糸のように艷やかだ。肌には年頃の吹き出物一つなく、知的玩具を弄ぶ手元を見つめる瞳は硝子球のように透き通っている。
 しかしそう見えるのはきっと、我々が彼女と同じ土俵に未だ届いていないからに違いない。
 少女は綺麗ではない。見た目をどれだけ取り繕おうとも、その中身は熟れて地に墜ちた林檎の如く膿んでいる。

「遠目に見たら綺麗だった。けどいざ近付いてみたら色合いはバラバラで、お世辞にも出来がいいものじゃなかった。
 だったら簡単、『組み直す』。ねえコロ、私は思うよ」

 がしゃん。
 ルービックキューブが、完成した。
 あるべき場所にあるべき色を。
 微塵のズレもなく、あるべき美しさが完成した。
 それを思い切り、渾身の力で柵の向こうに放り投げて。

「私なら、『魔法少女』――組み直せるって」

 少女は笑った。
 華が咲くように笑った。
 贋作の魔法少女を眺めて、笑っていた。

258 :プロローグ ◆TOWNwDBZa. :2015/10/16(金) 01:57:49.85 ID:3eyR0qZU
☆ウェンディゴ

 帰ってきた答案用紙には、赤い丸が所狭しと犇めいていた。
 点数欄には他の生徒より一個桁の多い点数。
 遠慮がちに答案を覗き込んでは、クラスメイト達が感心の声を漏らして自分の席へと戻っていく。
 いつからだろうか、こういう結果に対して素直に喜びを示せなくなったのは。
 贅沢で中学二年生じみた悩みだと自分でも思うが、感動できないのだから仕方がない。

 木野七代はエリートだ。
 文武両道、才色兼備。
 厳格な両親の教育方針もあって、習い事の類は概ね修めさせられた。
 あれをやりなさいこれをやりなさい。言われるままに七代はやった。こなした。両親はすごく喜んだ。
 周りはここぞとばかりに七代を褒めた。家が金持ちだからという理由もあって、周囲から人が絶えたことはない。
 別に金を持っていても使い道はないので、七代はとにかく気前がよかった。
 級友の誕生日会に呼ばれれば流行りのゲームソフトを買っていく、皆で外食すれば進んで金を出す。
 そんなことをしているのに、彼を金づるとして利用しようとする輩がいないのは――ひとえに、やはり日頃の行いというやつだろうと七代は思う。

 七代は苛めには加担しなかった。
 かと言って、悪事を見つけたから密告するほど正義感に溢れてもいなかった。
 自分に実害が及ぶなら流石に行動するが、それ以外は基本好きにさせておけばいいと思っている。
 要は分け隔てがない。いつしか、不良と呼ばれる連中は七代を飯に誘うようになった。クラスの隅で小声で語り合っているサブカル愛好者達は、七代に一押しのアニメDVDを貸してくれた。頼んでもいないのに。
 女子にももてた。教師には贔屓された。親は七代を一度も叱ったことがない。七代に苦言を呈した新任教師は陰口と嫌がらせに堪えられなくなって着任から一ヶ月で出勤拒否になった。

 彼は高嶺の花だった。
 ただ、誰もが彼を人だと思っていなかった。
 何をやらせても完璧にこなす、非の打ち所がない「そういうもの」と認識していた。
 それに七代がある時気付いた。その日、彼は初めて友人との約束をすっぽかした。仮病を使った。
 
 七代は化け物じゃない。ましてや機械でもない。
 人並みの感性を、周りの評価と自身の才能で麻痺させて騙し騙し生きてきた、十五歳の少年だ。
 カルーアミルクのように甘ったるい酩酊した毎日は、皮肉にもアルコールの役割を果たす周囲の評価が終わらせた。
 確かめてみようと思った。
 生徒会選挙に出馬した。
 選挙活動なんてせず、ただ黙って結果を待っていた。演説でも何も喋らない。

 ――当選発表の日、でかでかと掲示板に張り出された名前の羅列。そこにあった自分の名前の下に、紙で出来た花飾りが付いているのを見て……木野七代は、「人間」になった。

 別に何かが変わったわけじゃない。
 ただ、少し彼は無遠慮になった。
 クラスメイトに、親に、教師に。
 危害を加えるわけではないし冷たく当たるわけでもなく、ただ、心の中で見下した。
 最初はただ、普段より少し高い目線を持っただけだった。
 そして、周囲のあまりの体たらくに愕然とした。
 どいつもこいつも、ただ縋り付くだけ。
 小難しい言葉は思いつかなかったけれど、なんだか胸の中がぐずぐずに荒れているような感覚を覚えた。
 しばらく考えて、多分嫌悪感ってやつなんだろうなと納得した。

259 :プロローグ ◆TOWNwDBZa. :2015/10/16(金) 01:58:45.62 ID:3eyR0qZU
「やあやあやあやあ! どうしたのさウェンちゃん! いつにもまして不機嫌そうだね!!」
「……そう分かっているなら騒がないでくれないかな、うるる」

 外は雨がしとしとと降り注いでいる。時刻が夕暮れ時なこともあって街は薄暗く、裏通りともなれば人通りは皆無だ。
 そんな場所だから、魔法少女が活動するにはまさにうってつけである。
 魔法少女には規則がある。なるだけ人目を憚って行動する、というのもその一つだ。
 魔法少女はみだりに人前へ姿を晒してはならない。ましてや、その正体が明らかになるなど以ての外だ。
 人間に正体を知られた魔法少女は魔法少女ではなくなり、記憶を奪われる――そう、あの妖精が口を酸っぱくして言っていたからよく覚えている。第一、そうでなくとも進んで人前へこの姿で出ようなどとは思わないが。

 魔法少女「ウェンディゴ」は、見た目に苦労させられている不運な魔法少女だった。
 怪しげな紫色のアンティークドレスを纏い、髪は現実離れした緑色をしている。
 肌の色合いもどちらかと言えば蒼白に近く、おまけにその身体からは常に薄い霧のようなヴェールが漂っているのだ。
 魔法少女には欠かせない職務である人助けを行おうにも、まずこの見た目の時点で敬遠される。
 というか、逃げられる。素直に感謝された試しなんて本当に数えるほどしかなく、ひどい時は助けようとした相手がウェンディゴを悪霊のたぐいと勘違いし、騒いで別な魔法少女がやって来てあわや戦闘になりかけたこともあった。
 その時はどうにか事情を説明して事なきを得たのだが、このままでは魔法少女の本業を続けるのは難しいという結論に辿り着くまでそう時間はかからなかった。
 
 そこでウェンディゴは、その時トラブルになった魔法少女の提案を受諾することにしたのだ。
 即ち、二人一組(ツーマンセル)。
 お互いにお互いを手助けし、より円滑に人助けを行えるようにと結成した「魔法少女同盟」。
 センセーショナルなネーミングセンスはウェンディゴのものではなかったが、彼女としてもこれは願ってもない申し出だった。断る理由も見当たらない。――判断を早まったかなと思い始めたのは、それからすぐのことだったが。

 魔法少女「うるる」。
 つややかな黒髪は特に前髪が長く、両目を隠してしまっている。
 全体的にこじんまりとした体格が否応なく見る者の庇護欲を掻き立て、薄手の白いワンピースはその印象をどこか儚げなものにまでしていた。 
 早い話が、ウェンディゴと正反対に、見た目で得をするタイプの魔法少女。
 しかもおまけにこのうるる、実際の性格は大人しさとは無縁であるから質が悪い。

「なに、学校うまく行ってないの? それとも魔法少女のことバレちゃったとか?」
「だったら僕は今ここにいないよ。それに学校だって今まで通りだ。
 ……大体、君にそこまで踏み込まれる理由はないだろう。あくまで魔法少女という、仕事上の関係なのに」
「つーれーなーいーなー。ボクとウェンちゃんの仲なのに?」

 傘をくるくる回して、水が跳ねるのを厭うこともなく水溜りにジャンプで飛び込みはしゃぐ姿はまるで小学生だ。
 うるるの実年齢がどの程度かウェンディゴは知らないが、話していて、少なくとも中学生未満ということはないだろうと感じた。同年代とするには、少し言動が幼いような気もしたが。
 ウェンディゴはうるるのことを何も知らない。
 なのにうるるは、ウェンディゴの秘密を知っていた。
 もちろん自分から話したわけではない。ないのに、いつの間にか知られていた。
 問い質すと、どうやら彼女の魔法を使われたようだと分かり……ウェンディゴ、もとい木野七代は、何年ぶりかの心からの溜息を吐き出すことになった。


「――あ! 子猫、いた! そこの角を曲がってすぐにある、青いゴミ箱の影!!」


 うるるの魔法は、「シャボン玉を思い通りに操る」というものだ。
 最初はどんな魔法だよと思ったが、しかしこれが意外なほどの応用性を持っている。

260 :プロローグ ◆TOWNwDBZa. :2015/10/16(金) 01:59:21.90 ID:3eyR0qZU
 まず、シャボン液はなんでもいい。彼女がいつもポケットに忍ばせている小瓶に、水だろうが油だろうが、なんでもいいので液体を入れれば、素材の性質はそのまま保持したシャボン玉が出来上がる。
 おまけに数も自由自在だ。この前は、逃げ回るひったくり犯にシャボン玉を止むことなく叩きつけ、強引に足止めしたこともあった。そして何より厄介なのが、ウェンディゴの秘密を暴いた――シャボン玉をいわゆる偵察機として扱う使い方だ。
 飛ばしたシャボン玉のそれぞれが見ている映像を、うるるは自由に自分の視界と共有することが出来る。
 ストーキングから今回のような探しものの場合まで、実に幅広く、傍迷惑に使うことの出来る彼女の技の一つである。

 指示通りに曲がり角を右折して、ゴミ箱を持ち上げた。
 するとすっかりずぶ濡れになった黒猫が、上目遣いでウェンディゴを見上げている。
 ウェンディゴはそれをゆっくり抱き上げて、今日の人助けもばっちり終了した。


 うるるが子猫を飼い主のもとまで届け、帰途に着く頃にはすっかり辺りは暗くなっていた。
 まだ時間的にはそう遅くもない筈だが、やはり雨降りの黄昏時というのは気分的にも風景的にも仄暗く陰鬱だ。
 うるるの住処がどこなのかは知らないし興味もない。ただ、途中までは同じ方向らしいことは知っていた。だからウェンディゴとうるるは、肩を並べて何を話すでもなく一緒に歩いていた。
 衣装の様子は違えども、絶世といっていい美少女二人が並んでいる姿は相当絵になる。
 誰かに見られた日には写真を取られるか、最悪怠い絡みを持ちかけられても不思議ではないだろう。
 そんな中、ぼうっと口を開いたのはウェンディゴの方だった。
 うるるに話しかけたというよりかは、本当にただ呟いたような感じで。

「しかし、今回も魔法を使わなかったな」

 ウェンディゴは、自身の魔法を使ったことが殆どない。
 魔法少女になりたての頃に数度実験的に使っただけで、しかもそれも一般人相手の実験だったから此処にはいない妖精から苦言を呈される結果に終わってしまった。
 
「ウェンちゃんのは使い所限られるもんね。魔法少女って、何かと万能すぎるとこあるし……
 例えば今日の猫ちゃんに走って逃げられても、そんなに運動の得意じゃないボクだって簡単に追いつけるんだから。格が上だとか下だとか、勝ち負けだとか。そういう話になることってまずないと思う」
「丁寧な分析ありがとう。まったく、こればかりはどうにも困りものだな」

 せめて空を飛べるだとか、そういう方がまだマシだ。
 ぼやくとウェンディゴは、自分の右手へ視線を落とした。
 ――彼女の魔法は、「格下の相手には絶対に負けない」というものだ。
 実験をした時にはジャンケンやギャンブルなど様々な勝負を試してみたが、一度も負けたことはなかった。ちなみに相手に使ったのは炊き出しに並んでいるホームレス達である。
 特に見下しているつもりなどなかったのだが、いざという時の実験体として真っ先に浮かんだ上に、ちゃんと魔法も発動していた辺り、やはり無意識に彼らを格下だと決め付けていたらしい。
 ……我ながら、格の基準が自分の認識にあるというのは恐ろしい魔法だと思うのだが――人助けを生業とする魔法少女にとってはどうも、使い所のない魔法だと言わざるを得ない。
 それこそ、勝負に発展すれば大半のことは魔法少女の地力でどうにかしてしまえるのだ。
 相手が同じ魔法少女でもない限りは、使う機会はそうないといっていいだろう。

「けど、こういうのも面白いよ」
「? どういうこと?」
「いや、こっちの話だ」

 格がどうこうというのは、いかにも自分らしい魔法だと思う。
 だが魔法少女としての仕事では使い所に欠け、こうして悩ましさを感じている。
 それが、ウェンディゴには新鮮だった。
 それと同時に、やはり魔法少女になったのは間違いじゃなかった――と、改めて実感する。
 ……無論、こんなことは誰にも言えない。未来永劫、自分から誰かへ話すことはないはずだ。

 ウェンディゴが魔法少女になったきっかけは、別に運命的な偶然じゃない。
 シアンハットという先輩魔法少女がある日突然七代の前に現れ、彼女の連れていた妖精が七代の素質を見出した。
 そもそも少女ではないし、大体何の話をしているのかさっぱり分からない。

261 :プロローグ ◆TOWNwDBZa. :2015/10/16(金) 01:59:56.70 ID:3eyR0qZU
 抗議は意にも介されず、半ば強引に七代は魔法少女「ウェンディゴ」にされた。後から聞いた話だが、男性が魔法少女に変身した例も数こそ多くはないものの存在するという。
 それどころか動物など、人間以外の生物が魔法少女をしている場合もあるというのだから、何でもありだなと思う。

 シアンハットは決して頼れる先輩ではなかった。
 いつもけらけら楽しげに笑っていて、一応物事は教えてくれるが放任主義のきらいが強すぎる。
 妖精のコロは質問すれば説明してくれたが、それでもやはり常に呼び出せるわけではなく、結果としてウェンディゴは魔法少女の身体について、魔法についてを自分で勉強する羽目になった。
 ただ、それは彼にとって楽しいことだった。
 ゲームをしたことは人並みにある。けれど、自分がゲームの登場人物のような力を手に入れたことはない。
 鬱屈とした「リアル」の問題にぶち当たっていた彼が、非現実的な魔法少女の仕事に没頭するようになるまで、そう時間はかからなかった。
 うまくいかないことの楽しさを、初めて知った。
 
 雨が強くなってきた。
 うるるの傘に入れてもらいながら、二人で歩いた。
 しばらく歩いて、ちょうど別れる地点に差し掛かった頃。
 彼女が不意に足を止め、前方を指差した。
 その方向へ視線を向ける。――そこには、奇妙な少女が居た。

 衣装の至る所に星の飾りを散りばめて、背中には棍棒ほどはあろうかという大きな天体望遠鏡を背負っている。
 傘など差していないから濡れ鼠になっているが、それが彼女の美しさをより助長していた。
 一度見れば忘れられない美貌。隔絶した雰囲気。……彼女が何者であるか、推察するのに時間はかからなかった。
 
「こんにちはっ!」

 うるるが元気に挨拶し、傘から外れてとてとてという足取りで駆け寄って行く。
 
「ねえ、あなたも――」

 魔法少女なのかな、という台詞を最後まで言い終わる前に。
 星の少女は、彼女の台詞を遮って言葉を挟んだ。
 
「……"料理人"」
「へ?」
「料理人の、魔法少女」

 ……料理人の、魔法少女?

 ウェンディゴもうるるも、そういった存在に覚えはない。
 この街にいる魔法少女を全て知っているわけではないが、少なくとも知っている中には居なかった筈だ。
 星の少女はまっすぐにうるるの目を見据えて、もう一度問う。
 どこか機械的なほどの冷たい雰囲気を孕んだ声で、しかしそれとは裏腹の必死さを滲ませて。

「料理人の魔法少女を、知らないか」

 雷鳴が鳴った。
 だから一瞬、気付かなかった。
 懐に入れた「魔法の端末」が、耳障りな着信音を鳴らしていた。
 電源を入れた端末には、無機質なメッセージが躍っていた。

262 :魔法少女育成計画twilight ◆TOWNwDBZa. :2015/10/16(金) 02:02:17.79 ID:3eyR0qZU
以上で投下終了です。
原作を最新刊まで追っている方は「?」と疑問符を浮かべる箇所があるかと思いますが、仕様です。(?)
ちなみにウェンディゴは応募した魔法少女のひとりでした。

263 : ◆ymCx/I3enU :2015/10/18(日) 21:53:00.07 ID:+Y3pevJe
投下乙です
これだけの「魔法少女」の設定を考えられるのは凄い

(最近筆が進まずネタが思いつか)ないです
思っていた以上に軽いノリに出来てないんすよねぇ
なのでリスタートも視野に入れてます

264 : ◆YOtBuxuP4U :2015/10/19(月) 20:18:23.24 ID:a6kj7Brz
投下乙ですちょっと見ぬまに非リレー勢が増えてる…!ym氏のも含めて読むぞ読むぞ
まほいく原作を最新刊まで最近追いきったのでtwilightに困惑と期待が隠せない
自企画も今月中にはなんとかしたいなあ…!

265 : ◆ymCx/I3enU :2015/10/22(木) 22:09:57.43 ID:MfQDEbHL
リスタートしようと思ったが結局続ける事にしてやっと一話書いた
ぬわああああん疲れたもおおおおおおおん
てなわけで投下ァ!!

266 :揺れながら… ◆ymCx/I3enU :2015/10/22(木) 22:10:47.14 ID:MfQDEbHL
13話 揺れながら…

伊藤椿は小中学校二階の理科室にて目を覚ました。
そして程無く、自分が殺し合いの場に居る事を思い出す。

「殺し合いなんて無理、出来る訳無い」

心情を吐露する椿。人を殺してまで生き残ろうと言う勇気は彼女には無い。
また、この殺し合いには幼馴染であり大切な友人である修明院美宇、愛称ミーウも居た。尚更殺し合う事など出来ない。
デイパックを開けて中身を確認すると、基本支給品一式の他にスタンガンが出てくる。
セロハンテープで貼り付けられていた説明書には、改造して威力が強くなっていると書かれていた。
どれ程強くなっているのかは分からないが護身用としてなら役立つだろうと椿はスタンガンを装備する。
そして一先ず、校内を歩いてみる事にした。

◆◆◆

白虎獣人の青年が、小中学校の教室内で椅子に座って考え事をしていた。
彼の名はトロフィム・マラートヴィチ・クルトィフ。
休暇で日本(と呼称される国)に旅行に来ていた矢先、今回の殺し合いに巻き込まれた。
全くついていない、と溜息を漏らすトロフィム。
しかし巻き込まれてしまったものは仕方が無い。このゲームの中での立ち振る舞いを考えなくては。
自分に支給されたヌンチャクを見ながら思案するトロフィム。

「!」

その時、廊下の方から足音が聞こえトロフィムの耳がぴくりと動いた。
自分以外にもこの学校には人が居たようだ。
トロフィムは隠れもせず、その足音の人物が姿を現すのを待つ。
やがて、可愛らしい顔の美少女が現れた。ブレザーを着ているので学生らしい。

「あっ」

少女もトロフィムに気付いたようで、廊下からトロフィムの方に顔を向けた。

◆◆◆

校内を探索中、椿は白虎獣人の青年と遭遇する。
目が合い、動きを止める椿。勿論、校内に他の人間が居る可能性は視野に入れていたがいざ出会うと対応に困ってしまう。

「あ、あの」

声を掛けた直後、椿の頭に不安が過る。この白虎の男は安全なのか、と。
もしこの男が殺し合いに乗っていたら――――。

「日本人の方デスカ」
「え?」

思考を必死に巡らせていた椿に白虎青年が声を掛けた。
日本語なのだが片言である。外国人のようだ。獣人種は見た目では国籍が判断しにくい。

「はいそうです、失礼ですが、外国の方ですか?」
「ハイ、ロシアから来ましタ。トロフィムと言います」
「私は伊藤椿、と言います」

自己紹介を受け自身も自己紹介する椿。

「自分は殺し合ウ気ハ有りマセン。と言ってモ、スグニハ信じテ貰えナイでしょうガ」
「本当に乗ってないの?」

267 :揺れながら… ◆ymCx/I3enU :2015/10/22(木) 22:11:14.37 ID:MfQDEbHL
殺し合いには乗っていないとトロフィムは言う。
無論はいそうですかと鵜呑みには出来ない。しかし証拠を出せと言った所でどうにもならないだろう。

「分かりました、信じます……」
「アりがとウございマス」

結局トロフィムの言を椿は信じる事にした。

「あの、トロフィムさん、私と同じ制服を着た狐の女の子を見ませんでしたか?」
「いえ……伊藤サンがこの殺シ合イで、初めて会った人デシテ。ご友人、ですか?」
「はい……」

ミーウの事を知らないか尋ねてみるが、トロフィムからは否定が返ってきた。
少し残念そうにする椿だったがそう簡単に手掛かりは得られまいと思いすぐに気持ちを切り替える。
それに、ミーウはかなりしぶとい一面が有るのできっと大丈夫だろう、とも椿は思っていた。
具体例をあげると軽トラックに撥ねられても自力で立ち上がり病院に向かった逸話が有る程である(軽い打撲と切り傷で済んだ)。

「伊藤さんハこれカラどうされるおつもりですか?」
「うーん、取り敢えずこの学校の中を見て回ろうと思って……ミーウも捜さないといけないし……ああ、具体的には何も決めてない」
「良ければご一緒シテモ、宜しイデショウカ」
「え? でも、どうして?」
「この殺し合イの中、女性一人ハ危険だと思っテ、デモ無理にとは言いませン。何シロ自分もまだ伊藤さんと出会ったバカリデスシ、信用シロと言う方が無理ですヨネ」
「……」

考える椿。トロフィムの言う通り、死と隣り合わせのこの状況で欲望に首をもたげ、女相手に凶行に及ぶ男が居ないとは考えにくい。
勿論それも有るのだが単純に心細いと言う理由も有ってこの先一人で行動するのは正直不安である。
ここまで会話して、このトロフィムと言う白虎の青年は少なくとも自分に危害を加えるつもりは無いようだし信じても良さそう――――椿はそう判断した。
何だよお前の安全意識ガバガバじゃねえかよ

「分かりました、一緒に行きましょう」
「宜しくお願イしまス」

何はともあれ、椿はトロフィムを同行させる事にした。

◆◆◆

トロフィムは伊藤椿の事を隙を見て性的に襲おうというつもりは一切無い。
だからと言って邪な気持ちが無いとは言っていない。彼は椿の身を案じている「振り」をしているだけ。

(〈この子は僕の事を信用してくれたみたいだ。うん、好都合だな〉)

彼が椿と共に行こうと決めたのはひとえに都合良く利用する為にほかならない。
一人で行動するよりも二人で行動した方が、いざと言う時盾にも出来るし、他の参加者と会った時女の子を信用させ連れていると言う事で油断もさせやすい、
色々と便利なのである。椿は警戒していたようだが結局は自分を信じてくれたようだ、とトロフィムは思う。
この殺し合いにおいてトロフィムは自分の生存を第一に考えると決めていた。
積極的に他人を殺害し数を減らすのも良いがそうなると当然自分もリスクを背負わなければならない。
参加者は50人以上居る。自分以上の実力者が居る可能性も有る。長期戦は必至であり、出来るだけリスクの少ない方法を選ぶ必要が有る。

268 :揺れながら… ◆ymCx/I3enU :2015/10/22(木) 22:11:51.44 ID:MfQDEbHL
(〈上手く利用させて貰うよ伊藤椿さん。場合によっては君には死んで貰う事にもなりそうだけどね〉)

トロフィムが心中でそんな事を考えているなど、椿は分かる筈も無かった。


【明朝/D-4小中学校】
【伊藤椿】
状態:健康
装備:改造スタンガン(バッテリー残り100%)
持物:基本支給品一式
現状:死にたくない。殺し合いはしたくない。ミーウ(修明院美宇)と合流したい。トロフィムさんと行動する
備考:取り敢えずトロフィムは安全と結論付けましたが心のどこかでは少し不安に思っている

【トロフィム・クルトィフ】
状態:健康
装備:ヌンチャク
持物:基本支給品一式
現状:自分の生存が第一。その為に利用出来る物は利用していく。伊藤椿と行動しいざと言う時は盾にする
備考:修明院美宇の事を伊藤椿から聞いている

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《キャラ紹介》
【伊藤椿】
読み:いとう つばき
年齢:17
性別:女
種族:人間
特徴:幼い顔つきのグラマラスな美少女。学校制服のブレザー着用
職業:高校生
備考:美少女である事以外は特に目立った特徴は無い普通の少女。
同じロワ参加者である修明院美宇(通称ミーウ)は幼馴染の友人であり、過去に痴漢被害に遭った所を救われた事も有る。
過去に存在した「オリジナルキャラ・バトルロワイアル」の登場人物・周参見椿がモデルのキャラクター

【トロフィム・クルトィフ】
年齢:26
性別:男
種族:虎獣人
特徴:白虎の獣人。長身かつ引き締まった肉体。赤い瞳。グレーのジャケットとズボンを着用
職業:国家特務執行部隊隊員
備考:フルネームは「トロフィム・マラートヴィチ・クルトィフ」。
ロシア風異世界国家に於いて反体制派、危険人物の抹殺や監視を任務とする特務機関に所属する一人。
戦闘能力と身体能力は一級品。普段は温厚だが、他人の命を平気で奪える程には非情であり冷徹。
旅行が趣味で休暇の際は良く出掛けている。日本語他数カ国語を片言ながら喋れる

《支給品紹介》
【改造スタンガン】
支給者:伊藤椿
分類:補助
説明:無茶な改造を施し威力を上げたスタンガン。かなり強力な電流が流せるが反動で壊れてしまうかもしれない。

【ヌンチャク】
支給者:トロフィム・クルトィフ
分類:鈍器
説明:琉球古武術の武器の一つで、二本の堅い樫の棒を鎖で連結した物。
某アクションスターが「ほぁたー」などと声を発しながら振り回していたあれ。
----

269 : ◆ymCx/I3enU :2015/10/22(木) 22:12:52.42 ID:MfQDEbHL
投下終了です
二人でいる事のメリット書いている部分ガバガバですが気にしないで下さい
やっとモチベが復活してきた

270 :魔法少女育成計画twilight ◆TOWNwDBZa. :2015/11/01(日) 18:35:18.93 ID:UUITB5og
投下乙です!

自分の企画ですが、遅くとも今週中には投下しようと思っていますので、今しばらくお待ち下さい。

271 : ◆ymCx/I3enU :2015/11/01(日) 20:38:28.46 ID:qJN6w9GE
投下します
タイトル:INTERFACE
登場人物:布川小春、藤堂リフィア、志水セナ

272 :INTERFACE ◆ymCx/I3enU :2015/11/01(日) 20:38:54.34 ID:qJN6w9GE
14話 INTERFACE

布川小春14歳はとある神社の巫女。と言っても別段特別な能力が有る訳でも無い。
強いて言うなら年の割に大人びた魅力的な身体付きと言うだけ。
神社兼自宅で訳有って一人暮らしをしていた。一応たまに親戚が様子を見に来てはいたが。
ある時神社に汚いオスの野良犬が住み着いた。妖犬か魔犬の類のようだったが毛皮はボサボサで何とも言えない異臭を放ち、
常に涎を垂らしていて目にも知性は無かった。知能も低いようで片言しか言葉を発せないようでもあった。
そんな野良犬に、小春は「惚れた」。何故かは不明であるが一目惚れした。
「タロー」と言う名前を付け、普段一人暮らしで少し寂しかった小春にとっての交流相手になったのだ。タローも小春には懐いたようで、よく甘えた。
そんな彼女だが更にタローに惚れる切欠になったのは、タローが軒下で自慰をしているのを目撃した時。
タローの陰部は何らかの性病によって幾つものイボが出来て真珠を幾つも埋め込んだようになっていた、それを見て小春はある種の感動を覚えてしまう。
自分はどうやら「汚いモノ」に興奮してしまう性癖らしい、と、小春は考えた。
そしてある日、小春はタローと「交わる」。汚れを知らぬ少女の身体は薄汚い野良犬によって存分に蹂躙され、小春はこの上無い至福を感じた。
以来小春とタローはより親密になり、毎日のように行為を楽しんでいた。

のだが。

気付けば二人一緒に殺し合いゲームの中。

「タローを探さないと」

巫女服を着た小春は、B-5の草原地帯の草むらにて、支給された大昔の小銃であるスペンサーM1860カービンを手にしながら今後の指針を口にしていた。
スペンサーカービンはフルサイズよりも軽いとは言え銃など扱った事も無い小春にとっては十分に重い。
かといって身を守る現在唯一の手段をデイパックの中にしまいっ放しにしておく訳にもいかない。

「かゆいなぁ」

巫女服の上から己の股間辺りを軽く?く小春。
タローと交わるようになって何ヶ月か経ち、恐らく病気を移されたのだろう、最近秘部に痒みを感じるようになった。
だが小春は後悔はしていない。むしろ「タローとの情事の証」として喜ばしく思う有様。

「あっ誰か居る」

少し歩いていると狼獣人の少女を発見する。自分より少し年上に見えた。

「あのー」
「!」

話し掛けると狼少女は少し驚いた様子で小春を見る。

「大丈夫です。私は殺し合いには乗っていません」
「本当……? それなら私も乗っていないんだけど」
「それは良かった。あの、何か、きったない大きな犬を見ませんでしたか? 知り合いなんですけど」
「犬? ごめんなさい、見てないわ」
「うーん、そうですか……あ、私は布川小春って言います。見ての通り、巫女です。コスプレじゃないです」
「私は藤堂リフィア、巫女さんなのねー」

友人のコスプレ好きが良く巫女の格好をしていたなと、ふとリフィアは思い出す。もしかしたらその友人とは二度と会えないかもしれぬとも。

「あ、そうだ。小春ちゃん、で良い? 小春ちゃんもし良ければ一緒に……」

一緒に行かないかと持ち掛けようとしたその時、リフィアは首に衝撃を感じた。
喉の奥から鉄錆の味のする温い液体が込み上げてくる。一気に意識が遠のいていく。
意識が消える寸前、リフィアの視界に呆然とした様子の小春の顔が映った。

「えっ」

目の前でリフィアの首に銀色の矢が刺さり、リフィアは崩れ落ちて血溜りを作り動かなくなった。
何が起きたのか分からず困惑する小春であったが、左上腕に衝撃を感じ、更に激痛が小春を襲い、彼女は我に返る。

273 :INTERFACE ◆ymCx/I3enU :2015/11/01(日) 20:39:35.24 ID:qJN6w9GE
「いった、あ、う、うわあああああああ!!?」

絶叫し取り乱す。
とにかく襲撃されてると言う事だけは辛うじて理解出来た為、脇目も振らず逃げ出した。

(痛い! 痛い! こ、殺される! 逃げなきゃ!)

リフィアはもう死んだと小春は思った。
首に矢が刺さって大量に血を流して生きているとは思えない。まだ生きていたとしてももう助かるまい。
それ以前に今は自分の事だけで精一杯だ。

痛みを耐えながら涙を流しながら小春は只管走った。

気がつくと小春は港の倉庫群のすぐ近くに立っていた。周囲を見回すが誰も居ない。先程の襲撃者は撒いたか、追ってきていないようであった。
だからと言って安堵も出来ないのだが。左上腕には矢が刺さったままで、ドクドクと流血し激痛を小春にもたらしていたのだから。

「うぐうう、痛いよぉ……」

呻く小春。痛みで定まらぬ思考の中、その足は港へと向かっていた。

◆◆◆

競技用のクロスボウを携えた、眼鏡を掛けた狐耳の少女が、つい今し方射殺した狼の少女の死体に近付く。
もう一人には逃げられたが特に問題は無かろう。

「こんな開けた場所で立ち話してるからよ……」

己の迂闊さを呪えと言わんばかりの台詞を発しながら少女、志水セナは狼少女のデイパックを漁ろうとした。

ガシッ。

そんなセナの左手が掴まれる。
誰に? 殺した筈の狼少女に。

「ナ、に、じてる、の」

喉の奥に何か詰まったようなくぐもった声で狼少女ことリフィアがセナに問い掛ける。
睨み付ける相貌は怒りに満ちていた。

「嘘、何で」

何故生きている、と言おうとしたセナの顔面に強烈な殴打が入った。
軽く1メートル程後ろに吹き飛ばされ、悶絶するセナ。その際眼鏡を落とすがそれに構っている余裕など無い。

「何しテるって、聞いてんダよォ!!」

牙を剥き出して怒鳴るリフィア。たった今セナを殴打するのに使った右手の拳を血が出る位固く握り締める。
首に刺さった矢を引き抜き、乱暴に放り投げた。
傷口から再び血が噴き出すが意に介さない。

「ひ、ひいい、ま、待って、いや、あの」

鼻血が噴き出る鼻の辺りを押さえ涙目になりながら、セナが弁解しようとした。
眼鏡を無くし狼少女の表情は良く見えなかったものの怒り心頭だと言う事はすぐに理解した。
何故相手が生きているのかよりもこの場を乗り切る方法を考えなければ、そう思うセナではあったが、
この場を何事も無かったかのように切り抜けられる言い訳は全く思い浮かばない。

274 :INTERFACE ◆ymCx/I3enU :2015/11/01(日) 20:40:01.78 ID:qJN6w9GE
「お前か? 私と、小春ちゃん、射ったの?」

射たれる前とはまるで別人のようなドスの利いた声と乱暴な口調でリフィアがセナに訊く。

「あ、う」
「おい」
「わ、訳が、これには訳がっ」
「射ったんだな!?」
「ひいぃ! ま、待っ……」

状況と当人の態度からして目の前の狐耳少女が自分と小春を射った張本人だと断定したリフィアは最早弁明には全く耳を貸さず、
狼狽するセナの顔面に渾身の力で蹴りを入れた。
倒れたセナの頭部を何度も何度も踏み付ける。不快害虫を踏み潰す時の如く。
断続的にセナの命乞いの声が響いたが、全て無視された。

ようやくリフィアの足が止まったのは、靴の裏も真っ赤に染まり、セナの頭部が直視出来ない程破壊されただの大きな肉の塊と化した頃だった。

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……あっ……あ……やっちゃった……うえ」

ようやく怒りが収まり我に返るリフィア。自分が生み出した惨状を見て吐き気を催す。
いくら自分を殺そうとした相手とは言えここまでする必要は無かったかもしれない。そう思える位狐耳少女の頭部は酷い事になっている。

リフィアは不死体質であった。
頭部を完全に破壊されたり首を切断されたり身体を木っ端微塵にされたり全焼させられたりしなければ、
頚動脈を切ろうが心臓を刺されようが首を吊ろうが絶対に死なず一時仮死状態になるだけ。
クロスボウの矢で首を射抜かれた程度では死なない。
そして仮死状態から復活すると一時的にかなり凶暴になる。専門家曰く「防衛本能」との事。
元々のリフィアは心優しい少女である。

「……小春ちゃん、逃げたみたい……大丈夫かな」

一人逃げたらしい小春の事を気に掛けるリフィア。
自分を置いて逃げた事を責めるつもりは全く無い。あの状況では自分は死んだと思われただろう。
意識を失う直前、矢を受けていたのを見ていた為、尚更心配であった。

「いたた……折角殺し合いに乗ってない人と、出会えたのに……また会えると良いけど」

首の痛みを気にしつつ、リフィアは自分の荷物と、セナの持っていたクロスボウとその予備矢を回収し、歩き出した。


【志水セナ  死亡】
【残り47人】

275 :INTERFACE ◆ymCx/I3enU :2015/11/01(日) 20:41:12.64 ID:qJN6w9GE
【明朝/B-6港周辺】
【布川小春】
状態:左上腕に矢が刺さっている(出血微量だが矢を抜くと増える恐れ有り)、秘部が少し痒い
装備:スペンサーM1860カービン(7/7)
持物:基本支給品一式、.56-56スペンサー弾(14)
現状:殺し合いには乗らない。タローを捜す。傷を何とかしたい
備考:藤堂リフィアは死んだと思っている。襲撃者(志水セナ)の容姿は把握していない

【藤堂リフィア】
状態:首に矢傷(貫通している)、出血多し(命に別状は無し)
装備:不明
持物:基本支給品一式、不明支給品、競技用クロスボウ(0/1)、クロスボウの矢(9)
現状:殺し合いには乗らない。但し襲われたらそれなりに対処はする
備考:布川小春の事は気に掛けているが今の所追う予定は無い

----
《キャラ紹介》
【布川小春】
読み:ふかわ こはる
年齢:14
性別:女
種族:人間
特徴:黒髪。年不相応に大人びた魅力的な身体。巫女服姿
職業:中学生兼巫女
備考:とある神社の巫女をしている。訳有って一人暮らし。
いつも家で一人で退屈していたところへオスの野良犬が神社に住み着き一目惚れし「タロー」と名付け親密になる。
その際自分が「汚い物」「汚される事」に興奮を覚える性癖の持ち主であると自覚。
タローと一線を超え、病みつきになっている。最近タローに性病を移されたようで秘部が痒くなってきているがさほど気にしていない。
巫女ではあるが特殊能力が有る訳では無い、と思う

【藤堂リフィア】
読み:とうどう-
年齢:18
性別:女
種族:狼獣人
特徴:銀と白の毛皮の狼獣人。巨乳で金色の瞳。学校制服のシャツとスカートにベストを着用
職業:高校生
備考:愛称「リフィー」。不死体質を持った少女。
首を切断される、頭部を粉々にされる、身体を全焼されたり木っ端微塵にされるなどしなければ致命傷を負っても仮死状態になるだけで死なない。
但し仮死状態から復活すると一時的に非常に凶暴になり普段の彼女から想像もつかない程攻撃的になる。
基本的には心優しい性格である

276 : ◆ymCx/I3enU :2015/11/01(日) 20:42:28.38 ID:qJN6w9GE
【志水セナ】
読み:しすい-
年齢:17
性別:女
種族:半狐獣人
特徴:金髪の狐耳、尻尾の少女。眼鏡を掛けている。体つきは普通。学校制服のセーラー服着用
職業:高校生
備考:愛想が悪く、打算的。そのせいで友達は少ない。
近所の食堂「川田屋」に良く食べに行っておりそこの主人であり本ロワの参加者の一人である川田喜雄とは知り合い


《支給品紹介》
【スペンサーM1860カービン】
支給者:布川小春
分類:銃火器
説明:1860年にアメリカのクリストファー・スペンサーが設計したレバーアクションライフル。
レバーを操作して排莢、次弾装填を行いハンマーは手動で起こすという方式。
南北戦争で北軍に使用され幕末の日本でも輸入され使用された。本ロワ登場のカービンは八重の桜の山本八重が使用していた奴である。

【競技用クロスボウ】
支給者:志水セナ
分類:その他
説明:競技用に設計されたクロスボウ(ボウガン)。本来は戦闘用では無いが十分殺傷能力は有る。
本ロワに登場する物はオーストリア製のコンテンダーと言う物。安価で購入しやすいらしい。
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・・・・・・・・・・・・・・・

投下終了です

277 :魔法少女育成計画twilight ◆TOWNwDBZa. :2015/11/02(月) 01:37:29.14 ID:5VoQ3bQB
投下乙です
意外とノッてしまったので、まほいくtwilight、書けた分を投下します。

278 :フレイム・フレイミィの子供達(1) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/02(月) 01:39:38.50 ID:5VoQ3bQB
◆ ◆ ◆


 第一章 《 フレイム・フレイミィの子供達 》 


◆ ◆ ◆


☆魔法名医シャルル

「いやー、だるいっすねェセンセー」

 助手の魔法少女「バースデイ・リック」がだらしなく伸びをしながらそんな台詞を吐いた。
 普段は勤務態度がなっていないと窘めるところだが、今回ばかりはシャルルも同意見である。
 夕暮れに沈む雨の町並みをビジネスホテルの最上階から眺める度、どうせならもっと都会の街に行きたかったと思う。
 ずっと魔法の国に居を構えていたから、こっちへ戻ってくるのも随分久しぶりだ。
 休暇を取って戻ってきたとしても、大概が貯金を崩して海外旅行と洒落込んでいたものだから、尚更この言っては悪いが地味で、特に見所もない町に退屈なものを感じさせられてしまう。
 
 魔法少女は基本的に健康体だ。
 人間用の毒やウイルスでは害せないし、生半可なことじゃそもそも怪我すらしない。
 食事や睡眠も不要で排泄などは以ての外。そんな存在を相手に医師を営んでいるのが、このシャルルという魔法少女だった。 
 シャルルの経営する診療所は、人間社会でいう所の闇医者に近い。
 一つ違うところがあるとすれば、その活動が公的に認められ、それどころか評価されているところだろう。
 シャルルの患者は魔法少女同士の戦闘や諍い、謀殺紛いの事案に巻き込まれて負傷を被った魔法少女である。
 患者は昼夜時間を問わずに診療所の門扉を叩く。
 シャルルの仕事は、そんな彼女達へ事情を聞かず、何も言わず、ただ施せる最上の治療を提供すること。

 彼女の魔法は「みんなとお医者さんごっこをして遊べる」というものだ。
 響きだけを聞けば間抜けなことこの上ないと自分でも思うが、しかしこの間抜けな響きこそが、シャルルが「魔法名医」の二つ名を賜るに至った最大の理由であったといってもいい。
 要は、シャルルの施す医術は全てごっこ遊びなのだ。
 診療所を開設してからもう大分経つが、未だにシャルルは正しいメスの握り方さえ知らない。
 傷口の縫合のやり方も、昔家庭科の授業で習った布の縫い方をそのまま流用している。薬の調合は適当な雑草に水や紅茶をかけて混ぜているだけだし、PTSDを取り除くための話術なんて、ただ適当な絵本を読み聞かせてやるだけだ。
 信用問題になってくるからこのことは絶対に他言するなと助手や関係者に口を酸っぱくして念押しされる毎日だが、それでもシャルルの診療所を訪れた患者は九割以上が完治して社会へ復帰していく。
 助けられないケースもたまにはあるものの、それは大概既に死んだ状態で担ぎ込まれてきた場合だ。
 さすがのシャルルでも、失われた命までは治せない。それはごっこ遊びの範疇を過ぎている。
 とはいえ、それだけの人命救助率を誇る魔法少女なのだ。
 自ずと名前は知れ渡り、いつしかシャルルは魔法名医などという大層な名前で呼ばれるようになっていった。
 あまり目立つのが好きでないシャルルとしては、普通に「シャルル」のままでよかったが、彼女が無名だった頃から助手をやっていたリックは実に誇らしげだった。
 でも彼女も、今となってはシャルルの名が知れてしまったことを悔いているだろう。
 まさかよりにもよって、こんな面倒事に駆り出されるとは思ってもいなかった――と。

 その仕事が舞い込んだのは一昨日の晩のことだった。
 
 特に患者が来ることもなく、リックと暇潰しに二人でトランプなどして遊んでいた所にやって来た来客。
 見るからに上層部からの使いといった風体の魔法少女は、たかだか使い走りの分際でやけに偉そうだった。
 リックがいつ食ってかかるかとヒヤヒヤしながら見守っていたのだが、話の雲行きが怪しくなってきたのは――シャルルの旧知であった、とある魔法少女の名前が出たところからだった。
 
――フレイム・フレイミィ。

 懐かしい名前だった。
 そして、もう二度と関わることがないであろうと思っていた名前でもある。
 今思えばシャルルは友人だと思っていたが、あっちはきっと体のいい舎弟程度にしか思っていなかったのではないだろうか。そう思うと、割とドライな思考回路の持ち主と自負しているシャルルも流石に悲しくなる。
 魔法少女になりたての頃は、派手で分かりやすく強い彼女の魔法へ真剣に憧れたものだった。

279 :フレイム・フレイミィの子供達(1) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/02(月) 01:40:10.90 ID:5VoQ3bQB
 違えた道は、もう二度と同じになることはなかった。
 少し思う所があったが、医者という職業をしていると人の生死や運命を割り切れるようになる。
 たとえごっこ遊びの延長線であろうと、それは同じだ。
 フレイミィにはフレイミィの、自分には自分の生きる道がある。
 あいつは失敗して、私は成功した。それだけのことで、どこまでいってもそれ以上にはなりはしない。

 そのはずだった。
 なのにその態度の大きな来訪者は、事もあろうにこんなことを言ってのけたのだ。


  ――北の港町、H市。
  ――そこへ、かつてフレイム・フレイミィの『試験』を乗り越えた『子供達』が逃亡、潜伏している。
  ――人事部門の同僚三名を惨殺し逃亡していることから、魔法の国への離反意思があることはほぼ明白。
  ――恐らく目的は、『試験』の実施。形式は言うに及ばず、『森の音楽家』が用いたものである。


 勘弁してくれと思った。なまじ医師として精神分野に精通しているから、その先何を言いたいかが分かってしまったのだ。
 そして予想は的中した。どうやら上層部は、この魔法名医とその助手リックに、渦中のH市へ向かって欲しいらしい。
 リックが待ったをかけた。問い質してみるとその理由は――あまりにも馬鹿げたものであった。

 上層部は、未だに自分がフレイム・フレイミィの『試験』へ関与していたと思い込んでいるというのだ。
 
 その件に関しては、事が明るみに出た頃に散々事情聴取をされた。
 最終的には心理干渉系の魔法の使い手まで出てきて、それでやっと解放された苦い思い出だ。
 それでてっきり疑いは晴れたと思っていた。現に魔法のパティシエが作ったという菓子折りも送られてきた。しかしこんな無理難題が舞い込んでくるということは――

「お上にはまだ、センセーのこと疑ってる連中がいるってことかあ」
「面倒な話だが、そうらしい」

 バカな連中だねぇ、嫌になるねぇ。
 明らかに不貞腐れた調子で唇を尖らせるリックの姿に、シャルルは口元を緩める。
 バースデイ・リックとの付き合いは長い。彼女は小手と一体化した盾を両手に備えた、どこか騎士のような魔法少女だ。
 しかしこの通り言動は軽薄で、人懐っこいように見えて意外と人見知りが激しい。最初の頃はちょっとした意志疎通にも結構な手間を掛けさせられたものだったが、今ではこの通り、すっかり懐いてくれている。
 きっとリックは、シャルルがありもしない疑いをかけられているのが腹立たしいのだろう。

「でもちょっと今回のコトは無能すぎません? 
 いくらフレイミィとの繋がりが過去にあったからって、それでセンセーに試験止めてこいとか、無理言うなよハゲって感じなんですけど」
「そうだね。更に言うなら、おかしいことはもう一つある」

 シャルルは指を一本立てた。

280 :フレイム・フレイミィの子供達(1) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/02(月) 01:40:58.83 ID:5VoQ3bQB
「何より不可解なのは、疑うべき対象である私をみすみすフレイミィの『子供達』と引き合わせるところだよ」
「あー、確かに。それで二人揃ってトンズラでもし始めたらどうするつもりなんでしょーね」
「まあ、どちらにせよ今回の指示は疑問が残ると言わざるを得ないな。それを受けてしまう我々も我々だが」

 魔法名医シャルルと助手、バースデイ・リックの二人が今回命ぜられたのは、先ほどリックが述べた通り、「フレイム・フレイミィの『子供達』による非合法試験の破壊」である。
 ……まず間違いなく、何度聞いても、医師に任せる仕事ではない。
 当然断ろうと思ったが、あの伝令役は明らかにこちらの足下を見ていた。
 シャルル診療所が如何に名を馳せているとはいっても、時には犯罪者とすら癒着する運営方針を「魔法の国」が黙って看過するかと問われれば否である。
 医術を用いて「魔法の国」の運営へ貢献している働きを鑑み、これまでは活動を容認こそされねど、黙認はされていたのだったが――これを断れば、いよいよこれまで通りとはいかないぞ、と。
 闇に片足を突っ込んだ職業の宿命だ。
 お上に目を付けられてはのっぴきならなくなる。
 後はもうなし崩しだった。つい数時間前にシャルルとリックはH市へと到着を果たし、こうして雨降りの黄昏時を惰性で過ごしている。

「……とりあえず、もう少し休んだら町へ出て、先遣隊の魔法少女と合流することにしようか」
「そーっすねェ。あー、あたし仲良くできるかなあ」
「毎度仲を取り持つために奔走する私の身にもなってほしいところだよ」
「だってこういうワケの分かんねー仕事押し付けてくるクソ上層部と同じ穴の狢な連中ですよぅ?
 どうせとんでもねークソ女とかメンヘラとかが来るのが見えてますもん。あーやだやだ……」

 これは、今回も苦労させられそうだ。
 多難な前途を想いながら何度目かの嘆息をして、魔法名医シャルルは身をベッドへ横たえた。

281 :フレイム・フレイミィの子供達(1) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/02(月) 01:41:52.52 ID:5VoQ3bQB
投下終了です。
次回は魔法名医シャルル、バースデイ・リック、にゃんぴぃ、リンカーペル、クロックシルクを出す予定です。
今週中には投下します

282 :フレイム・フレイミィの子供達(2) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/12(木) 01:24:17.68 ID:Xiw5a8mJ
少し遅れましたが投下します。
多分連投規制を食らうと思うので、その時は
ttp://www26.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/4255.html
こちらへ直接続きを収録しますから、ぜひ続きはそちらで御覧ください。

283 :フレイム・フレイミィの子供達(2) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/12(木) 01:25:03.50 ID:Xiw5a8mJ
☆リンカーペル

 時刻が午後六時を回った頃だった。
 秋も深まったこの時期は、この時間ともなれば既に辺りは真っ暗闇だ。
 寒空の下、星の瞬く夜空を見上げながら帰途に着くのもまた乙なものだが、しかしそれだけに危険も多い季節である。
 変質者、足元を疎かにしての転倒、交通事故。考えられる危険は他にも数ほどある。
 そういうものから善良な市民を守る為に、魔法少女達は陰ながら奔走し、本当にささやかな正義の達成感に浸るのだ。
 このH市における魔法少女とは、特にこれと言って何かノルマの類を持っているわけではない。
 ペルを魔法少女にしてくれた「タウンズマスター」もそう言ってくれたし、実際、最初にちょっとした研修のような指導があった以外にペルは何も彼女やそのマスコットキャラクターから干渉を受けていない。
 勿論、魔法少女の力を悪用しようと目論めば彼女達はすっ飛んで来て、引っ叩いてでも止めただろうが、ペルはそんなことは一度も考えなかったし、そういう行動に走る輩がいるという話も聞いた覚えはなかった。
 この街と、この街を守る魔法少女の暮らしは、真実平和そのものだった。

 四葉蜜柑は、人生のあらゆる場面で「使えない」と謗られてきた。
 何かの行事に携わったり、役割を任されたり、果てには互いに顔の見えないネットゲームの世界ですら蜜柑が誰かの役に立てる場面はなかったように思う。
 正確には、役に立てないわけじゃない。単純作業のように何も考えないで行える作業なら淡々と正確に続けることができるし、学生時代には陸上部に所属して県内大会の上位にまで上り詰めたこともある。
 一人で何かをする分には、蜜柑は強い。自分のすべきことを的確に見つめ、それに向けて邁進できる。
 学問だってそうだ。高校の頃には日が変わるくらいまで知人の経営する学習塾に毎日のようにぶち込まれていて、そこで不満一つ漏らすことなく延々と勉強に明け暮れていた。その結果は蜜柑を確実に強くしてくれ、無事難関の第一志望校への合格という成果をもたらしてくれた。
 しかし複数人で何かをする場面になると、途端に蜜柑は弱くなる。使い物にならなくなる。
 一人なら出来ることが出来なくなって、やることなすことがとことん裏目に出て、最後には普段絶対しないような凡ミスから大ポカをやらかし、周りから怒りや失望を買って見放されるまでがワンセットだ。

 要するに、彼女は人と何かをする協調性が皆無に等しかった。
 あの子は何を考えているからこうしてほしい筈で、でもこの子もこう考えていると思うからきっとああしてほしい筈。
 そんな調子で両立できない事柄を両立させようとする余りに要領の悪さを発揮し、最後は無能と罵られる。
 大学までは行事などへの参加を極力避ける、そういう役割を請け負わないなどして自衛することでどうにか切り抜けていたが、社会人として働き始めてからは、毎日が苦労と疲弊の連続だった。
 仕事はワンマンプレーでは成り立たない。オフィス内の人間関係や連携を疎かにすれば必ず致命的な綻びが生まれる。
 そこは蜜柑の最も苦手とする環境で、彼女の不安はものの見事に的中した。
 出勤初日で部長に怒鳴られた。二日目に取り寄せる品物の数を一桁間違えた。三日目に散々テンパッて混乱、迷走を重ねた挙句共同プレゼンのデータを吹き飛ばし、同じグループの面々に大恥をかかせてしまった。
 
 もしも蜜柑に失敗して何が悪い、カバーできないお前らが悪いんだろうと開き直れる図太さがあったなら、彼女はきっと魔法少女に選ばれることすらありはしなかっただろう。
 蜜柑はずっとこんな自分が嫌いだった。
 皆に迷惑をかける度に消えてしまいたいくらいの申し訳なさに押し潰されそうになっていたし、陰口を叩かれているのを知るたびに当然だと納得して、だからこそ誰にも相談できないまま、一人心の傷ばかりを募らせていった。
 そして蜜柑の心は、大人になって社会の厳しさを思い知った頃、遂に破傷風を発症した。
 消えてしまいたい、ではなく、消えよう、と思うようになった。
 出来心で手首に刻んだ赤い線は、日に日にその数を増やしていった。

284 :フレイム・フレイミィの子供達(2) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/12(木) 01:25:41.81 ID:Xiw5a8mJ
 母からは精神科への通院を打診された。
 それからは週三回、意味があるのかどうかも定かじゃない問診を終えて、処方された精神安定剤の袋を握り締めながら、蜜柑は街の真ん中を貫いている大きな川を見つめていた。
 
 ――やあ。

 その時だった。
 蜜柑は気さくな声に振り返り、……思わず、息を呑んだ。
 そこに立っていたのは、一言「異様」な人物だった。
 顔を狐のお面で覆い隠し、白いドレスを乱れなく着こなした少女。
 お面のせいで人相は確認できないのに、醸すどこか浮世離れした雰囲気が、仮面の下の素顔の美しさを保障しているように思える。鬱屈とした感情など吹き飛ばしてしまうほど、その出会いは衝撃的だった。

 ――きみは、可愛いね。

 誰なの、そうか細い問いかけを漏らすのが精一杯だった。
 仮面の彼女はくすりと笑って、「タウンズマスター」と名乗った。
 明らかな偽名、コードネームのたぐいであったことに少しだけ不信感を抱いたが、それも彼女が次に口にした言葉の前に容易くかき消されてしまう。
 
 ――ねえ、きみは。

 夏がまた来年と去って行き、秋が久し振りだねとやって来る、そんな狭間の季節に現れた彼女は、四葉蜜柑の何もかもを変えてくれた。冗談抜きで人生のどん底にいた彼女を、薔薇色の日々へと引き上げてくれた。
 
 ――魔法少女に、興味はある?

 それに何と答えたのかはよく覚えていない。
 ただ、気付けば蜜柑は魔法少女「リンカーペル」に変身して、夜の町並みを自由自在に駆け回っていた。
 ビルの壁と壁の間、数メートルはくだらない距離をぴょんぴょんとスキップ気分で飛び越える。歩き慣れた散歩コースを全力で走ってみた時の感動と来たら、とても言葉には言い表せない。
 高校時代に出場した県大会で蜜柑がどうしても追い付けなかった他校のスプリンターなど最早目ではない。
 それどころかレーシングカーにだって引けを取らない速度で、蜜柑は――いや、リンカーペルは走ることが出来た。
 ペルはずいぶん久しぶりに心の底から笑った。それから夜が明けるまで、魔法少女の力をとことん試して試して、人生で初めての朝帰りをした。
 母にはこっぴどく叱られたが、蜜柑は嬉しくて嬉しくて堪らなかった。あの興奮は今も覚めやらぬままで、胸のどきどきと高揚感を抑えながら会社へ出勤して――その日から、蜜柑は一度も誰かに怒られていない。ミスもしていない。

 ペルの魔法は『頭の中で会議をすることができる』というものだ。
 決して派手なものじゃない。ペルが好きだったマジカルデイジーのように見栄えのいい魔法でもない。
 しかしこの魔法は、ペルを二十年以上も悩ませ続けてきた欠点を克服させてくれた。
 ペルは人と協力して作業したり、何かを任されると途端に駄目になる。けれどペル自身は決して人が嫌いなわけではなかったし、失敗の原因はいつも、ただ考えすぎて裏目に出てしまうだけであった。
 今、ペルの頭の中には五人の『リンカーペル』がいる。
 魔法少女になっていない時でも彼女達はいつも頭の中に住んでいて、ペルが助言を求めると脳内会議を始め、彼女一人では到底思いつかないような結論を弾き出してくれるのだ。
 「私」と「僕」と「俺」と「儂」と「ウチ」。そして、彼女達にいつも助けを求める「ペル」。
 三人寄れば文殊の知恵とはいうが、ペルの場合は六人だ。二倍の人数で臨むのだから、まず今までのようなポカをやらかすことはなくなる。そしてそれだけで、ペルの人生は光に満たされた。

285 :フレイム・フレイミィの子供達(2) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/12(木) 01:26:19.24 ID:Xiw5a8mJ
 それからペルは頑張った。
 仕事の合間や休み時間、帰り道から休日まで、とにかく頑張って人助けに精を出した。
 タウンズマスターは数ほどいる人間の中から、わざわざ自分を選んでくれたのだ。
 タウンズマスターがいなければ、「四葉蜜柑」は今頃押し潰されていただろう。彼女がリンカーペルというもう一つの顔をくれたから、蜜柑は蜜柑でいられる。ペルも、ペルでいられる。
 だからせめてもの恩返しに、彼女からもらったこの力を正しく使い、みんなに笑顔をあげようと思った。
 魔法少女は人目をなるだけ避けなければならない。その大原則を守りながら街を練り歩き、トラブルの解決に勤しむのはなかなかに骨の折れる作業だったが、それだけに楽しかった。
 人生でこれほど楽しいと思ったことはないかもしれない。誇張抜きにそう思わせてくれるほどの有意義な時間。これが永遠に続いてくれれば、それに優る幸せはないとペルは本気で思っていた。


「ひーたんからの連絡。
 七階の、左から四番目――あそこに、二人組の魔法少女が宿泊してるってさ。
 完全に油断しきってるっぽいから、一撃でぶっ潰すにはちょうどいい。幸先イイね」

 
 なのに、どうしてこんなことになってしまったんだろうか。
 ペルは、魔法の端末での通話を打ち切ると、冷淡に魔法少女のあるべき姿とかけ離れた言葉を口にした猫の少女を見て静かに唇を噛んだ。ふと視線をずらせば、懐中時計を首から提げた魔法少女も同じように浮かない顔をしているのが目に入った。
 その姿に「自分だけじゃないんだ」などと安堵を覚えてしまう自分の存在が恥ずかしい。
 
「あ、あの……本当にやるんですか、にゃんぴぃさん……?」
「殺るよ。ぶっ殺す。コロの話通りなら、それでとりあえず一週間は保つんでしょ。
 それに、もし二人ともぶっ殺せたらアイツに交渉できるかもしんないし。
 『死人が二人出たんだから、これで二週間分の死人ってことにしろ』とかサ――って、クロックシルク、お前」

 猫の魔法少女「にゃんぴぃ」の顔に、見る見る血が上っていくのが分かった。
 
『止めに入った方がいいのではないか?』
『僕も「儂」に同じく。にゃんぴぃはキレると見境なくなるタイプだからね』
『下手に指咥えて見てりゃ、クロックシルクが殺されちまうかもしんねえしな! かっはっは!!』
『口は悪いけど、「俺」の言う通りだとウチも思う。勇気を出して、「ペル」』

(みんな――うん、分かった。「ペル」、頑張る)

 時計の魔法少女「クロックシルク」は争いごと向きの性格をしていない。
 一方でにゃんぴぃは名前と可愛らしいコスチュームに反して、性格も魔法もバリバリの武闘派だ。
 そんな二人がぶつかればどうなるかなど、想像に難くない。
 そしてそうなることだけは絶対に避けなければならなかった。
 ここにいない「ひーたん」も、そう思うはずだ。

「待って。今は喧嘩してる場合じゃない。そうでしょ」
「あたしだってそう思ってるよ……けどこいつ、この期に及んでまだこんな腑抜けたこと言うもんだからさ」
「クロックシルクは優しい子だから。納得出来ないかもしれないけど、分かってあげて。
 にゃんぴぃだって、クロックシルクに死んでほしいなんて思ってないでしょ?」
「それは……そうだけど」

286 :フレイム・フレイミィの子供達(2) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/12(木) 01:27:15.49 ID:Xiw5a8mJ
 ばつが悪そうに目を逸らす辺り、にゃんぴぃが心根から腐りきった暴力主義者でないことがよく分かる。
 彼女も悪くない。勿論、クロックシルクだって悪くない。
 ひーたんも、そしてリンカーペルも、誰も悪くなんてない。
 きっと――あの部屋にいる、二人の魔法少女も。誰も悪くない。

「……はぁ。ごめん、クロックシルク。ちょっと頭に血ィ昇った」
「いえ……私の方こそごめんなさい。あれほどみんなで話し合って、決めたことなのに」

 クロックシルクもばつが悪そうにしている。
 それを見て、ペルの頭の中の声がまた会議を始めた。

『よくない兆候ねぇ。「ペル」、ひとつ諭してあげなさいな』
『クロックシルクは優しいが、それだけでは今後を生き抜くにはちと厳しいからのう』

 「私」と「儂」の助言を受け、その通りだと思う。
 ペルだって、本当はこんなことはしたくない。
 誰かを助ける魔法少女が、別の誰かを傷つけるなんて――ましてや、同じ魔法少女を殺そうとするなんて、断じてあってはならないことだと思う。
 それでも――それでも。やらなきゃいけないことなのだ。やらなきゃ、誰も助からない。誰も幸せになれない。

「大丈夫。あなたは私たちが守るし、あなたには誰も殺させない」
「ペル……」
「……友達、だし。守るよ。だから、安心して」

 そう言って、クロックシルクの白髪を撫でた。
 こんなことをした経験は生まれてこの方本当に一度もないものだから、合っているか不安だったが、やがて彼女は小さく微笑んでくれたから、成功なのだと思うことにしよう。
 四人で生き残ると決めたんだ――ひとりだって欠けてはならないと思うし、みんなもそう思ってると信じている。
 ドクンドクンと心臓の高鳴りを感じる。
 にゃんぴぃがハンドベルを構えていた。これを鳴らせば、後戻りはできなくなる。人助けを生業としてきた魔法少女を廃業して、生きるために他の誰かを殺す魔法少女として生まれ変わることになる。
 クロックシルクは震えていた。
 覚悟を決めた物言いをしていたにゃんぴぃさえ、唇をがりりと噛み締めている。
 ペルは――黙ってそれを見ていた。いざとなったら、この中で一番「判断力」に優れている自分が司令塔となって皆を統率しなければならない。だから、怖がっている暇はないのだ。

「やるよ」
「うん」


 しゃりん――ハンドベルをにゃんぴぃが縦に振るった。
 その刹那、ホテルの駐車場に停めてあった観光バスの一台が重力を無視してふわりと浮き上がり、ミサイル弾もかくやといった勢いで目標の部屋をぶち抜いた。

287 :フレイム・フレイミィの子供達(2) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/12(木) 01:29:05.75 ID:Xiw5a8mJ
 あまりにも呆気ない一瞬で行われた超人技。まず間違いなく、普通の人間ならこれで死ぬ。それどころか、リンカーペルが仮にこれを受ける側だったなら、同じく即死に終わるだろう。
 時速百キロ以上で鉄の塊が炸裂するのだから、言わずもがな室内全域が攻撃範囲となる。
 偵察係のひーたんによって、同フロアは貸切状態にあると調べが着いていたからこそ遠慮することなく取れる策だった。
 バスは窓から入って部屋を突き抜け、廊下の向こう側に飛び出て漸く静止したらしい。
 壁にぽっかりと大穴が空き、そこからコンクリートの粉塵が止め処なく漏れ出ている。
 獲ったか――そう思った矢先。

「だめ! ペル、にゃんぴぃさん、殺せてません!」

 大穴の向こうから、二人の人影が此方を覗くのが見えた。
 魔法少女の強化された視力であれば、その人相や姿、状態をこの間合からでも正確に確認することが出来る。
 
「嘘……」

 相手は、無傷だった。
 粉塵で少し煤けてこそいるものの、掠り傷一つとして負っていない。
 下手な爆弾の炸裂より威力のある一発を不意討ちでぶちかましてやったのにも関わらず、である。
 茫然とする二人を尻目に、ペルは叫んだ。
 脳内の五人がやかましく叫び合っている。
 走れ。
 とりあえずそこから離れろ。
 危険だ。
 ――そんなこと、言われなくても分かってる!


「走って、クロックシルク、にゃんぴぃ! 一旦体勢を立て直す!」




――――

意外と投下いけました。
次回は引き続き今回のメンバーとひーたんで書く予定です。

288 :フレイム・フレイミィの子供達(3) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/16(月) 20:51:51.68 ID:Ka3SalQC
投下します。
今回こそ連投規制を食らうと思うので、その時は
ttp://www26.atwiki.jp/anirowakojinn/pages/4255.html
こちらへ直接続きを収録しますから、ぜひ続きはそちらで御覧ください。

289 :フレイム・フレイミィの子供達(3) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/16(月) 20:52:18.32 ID:Ka3SalQC
☆魔法名医シャルル

 シャルルは決して、強い魔法少女ではない。
 むしろ肉体スペックだけで見ればその真逆だ。
 力もスピードも、いわゆる武闘派の魔法少女からすれば論外と言っていいだろう。
 その分魔法の有用性で釣り合いが取れているとこれまでシャルルは思ってきたが、こういう局面に立たされるとそれが強がりのたぐいだったのだと痛感させられる。
 
 突如ビル壁をぶち抜いて現れた鉄塊に、シャルルだけでは反応することさえ叶わなかったに違いない。
 よしんば察知できていたとしても無理がある。あんな超重量が投擲物として襲ってくれば、魔法少女とてまず即死だ。それがシャルルのようなもやしっ子であれば尚更。
 シャルルの魔法では、そういう攻撃、現象にまず絶対に対処できない。
 何故なら、医療の介入する余地がないからだ。少なくとも、シャルルの考える医療とはそういうものではない。
 シャルルにできることはあくまで「お医者さんごっこ」であって、血湧き肉躍る能力者バトルではない。
 ままならないものだと、助手の少女の後ろに隠れながらシャルルは思う。

 下手人の魔法少女達が瞠目した、シャルルたちの生き延びた手段とはこうである。
 事態をいち早く察知したリックが立ち上がり、シャルルを庇うように立った。その次の瞬間にはリックが持つ大きな盾を中心として、投げ込まれた鉄塊――かつてバス車両だったものは真っ二つに裂けていった。
 彼女たちの失敗は、相手が必ずしも無抵抗で殺される獲物ではないという当然の道理を失念していたことにある。
 魔法少女の戦いにおける基礎だ。
 我も魔法少女ならば、彼もまた魔法少女。
 故に対等。こちらが殺し札を持つのと同じ理屈で、相手もそれを防ぐカードを持っていることを念頭に置いて動くべきだ。

 リックが盾を真横に動かすと、がごんがごんと歪な音を立ててスクラップとなった観光バスが道を開けた。
 後始末をさせられる者は大変だろうな、とシャルルは少しだけ同情する。
 まるで裂けるチーズのようになってしまった鉄の塊を見て、駆けつけた警察などは混乱を露わにするに違いない。
 全く派手にやらかしてくれたものだ。だが、おかげさまで探す手間も省けた。

「試験官か、それともこちらを蹴落とすべき敵と勘違いした被害者達か……どう見る?」
「分かんないけど、三人組ってとこを見ると後者じゃないかなーと」
「一番面倒なパターンだね」

 枠ごとぶち抜いてくれたおかげで見晴らしがよくなった窓から、脱兎の如く逃げ去る下手人たちを見据えて嘆息した。
 いっそのこと、「魔法の国」からの刺客が派遣されたことに焦った黒幕が直接赴いてくれれば話は早かった。
 しかし、流石に相手は「魔法の国」相手に大立ち回りを演じた魔法少女だ。
 これで本当に試験官が自らやって来たというなら、あからさま過ぎて逆に怪しむところである。

「追い掛けよう、リック。おんぶしてくれ」
「センセーって、毎回思うんですけどプライドとかないんです?」
「仕方がないだろう。いくら魔法少女の体だからって、この高さから翔ぶのはちょっと憚られる。
 それに第一、私じゃどう頑張っても走っている君に追い付けない。何なら抱っこでもいいが、どうする」
「ハイハイ、いいからとっととおぶさりやがれです」

 遠慮することなく、シャルルはリックにおんぶされながら、自由落下の浮遊感に背筋を粟立たせた。
 魔法少女になれば精神性は自ずと強化されるが、それでもやはりインドア派の彼女には慣れない感覚だ。
 なあやっぱりちょっと待ってくれないか。そう言おうとしたのを遮るように、リックが全速力で走り出す。
 言動は頭が悪そうに見えるし、実際脳筋のきらいがあるリックだが、それでも伊達に魔法名医の助手をしてはいない。
 根本がダメ人間であるシャルルの扱い方ならば、誰よりも彼女が心得ていた。

290 :フレイム・フレイミィの子供達(3) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/16(月) 20:53:09.33 ID:Ka3SalQC
 時速三桁に達して余りある速度で、右手に大盾、背中にシャルルを背負ってリックは走る。
 程なくして、追われる者達も普通にやっているだけでは振り切れないと判断したのか、迎撃を試み始めた。
 しゃりんしゃりんしゃりん。
 鈴の音が鳴り響く。それと同時に、前方から猛スピードで軽自動車が飛んできた。
 それをリックは右手の大盾で防ぐ。この盾自体は彼女のコスチュームであって、大した力やいわくのある代物ではなかったが、しかしリックが使えばどんな魔法だろうと防ぐ無敵の盾になる。
 バースデイ・リックが持ったものは、何があろうと壊れないし壊せない。

 しゃりんしゃりんしゃりん。
 鈴の音に連れられて、色んなものが飛んでくる。
 しかしリックの盾は破れない。
 途中からは飛ばすものの数を増やすことで防御を掻い潜ろうとする工夫が見られたが、生憎と「なりたて」の魔法少女が編み出したちっぽけな作戦で遅れを取るほど、バースデイ・リックは未熟者ではなかった。
 盾を曲芸のように器用に踊らせながら何もかも防いで猛追する。
 シャルルは、この世でリックの後ろほど安心できる場所はないと割合本気で考えている。
 こういう剣呑な場面に立たされれば、尚更だ。

 四度目の曲がり角を曲がった時、三度目の鈴の音が響いた。
 しゃりんしゃりんしゃりん――今度は何も飛んでくる様子はない。
 ハッタリかと思った矢先、それはどうかな、と言わんばかりに異変が起きた。

「うお」

 シャルルをおぶったまま、盾を構えるリックの体が、急激に加速して逃亡者たる少女達へと近付いていく。
 まるで強力な磁石でもそこにあるかのようだった。リックが力づくで踏み止まろうとしても、さっぱり止まる気配がない。
 結果からすれば早く追い縋ることが出来るのだから何も悪いことはないように思えるが、敵にそれをお膳立てされるというのは不気味以外の何物でもない。というか、十中八九罠だ。
 
「どう見ます、センセー」
「どうやら、「ものを飛ばす」のではなくて「引き寄せる」魔法みたいだね。
 さっきのバスや車は、きっと自分めがけて引き寄せてからそれを避けることで擬似的な砲弾としたんだろう。
 そして私達は今、まんまとその子に引き寄せられている。
 飛んでくるものを相手するなら余裕だけれど、君自身が引き寄せられているとなると厳しいかな」
「なーるほど。でも、多分合図は鈴の音ですよね? さっきから魔法が使われる度に鳴ってますし」
「それは間違いないだろうね」

 了解、わかりやすくて助かります。
 言ってニヤリと好戦的に笑むリックの顔を見て、シャルルはこの助手が何をしようとしているのかを理解した。
 要は、引き寄せられること自体は仕方ないと諦める。
 その代わり、結果として接近したところで勝負を決める算段でいるのだ。
 魔法の発動体となる鈴を全て壊してしまえば、とりあえず主戦力であろう「引き寄せる」魔法少女は鎮圧できる。
 敵だとて馬鹿ではあるまい。アタッカーを落とされれば勝ち目がないと悟り、降伏する筈だ。そう思いたい。 

 景色が目まぐるしく変わっていく。
 魔法少女の脚力と比較してなお速い。
 すさまじい吸引力に、シャルルは自分の人相が大丈夫か少し心配になった。
 色気はない方だと自負しているし、そういうものに気を配っているつもりもない。
 けれども、女として最低限守らなければならないラインというのは承知している。
 自分の顔を触って何事も起きていないことを確認しようとした矢先に、その余裕は、前方から突撃してくる猫耳の魔法少女を前に潰えて消え去った。

291 :フレイム・フレイミィの子供達(3) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/16(月) 20:54:09.03 ID:Ka3SalQC
「死ねっ!」

 物騒な掛け声と共に拳が振りかぶられる。
 なるほど、吸引によってこちらに突撃を余儀なくさせ、速度を増して迫る敵手を最大威力で殴り殺す魂胆らしい。
 なかなか的を射た作戦だとは思うが、しかし相手は無敵の盾、バースデイ・リックだ。
 たとえ核爆弾が落ちようと、リックの盾を破ることは誰にもできない。
 そう高を括っていた魔法名医は、次の瞬間、自らがやはり戦闘の素人なのだということを思い知らされる羽目になった。
 
 猫娘の拳がリックの盾に衝突する寸前、突如彼女はにやりと笑ってその身を翻した。
 晴れた視界に、リングのような飾りが特徴的な衣装に身を包んだ魔法少女が何かを投擲する動作が写る。
 ――しゃりんしゃりんしゃりん。鈴の音が鳴り響くや否や、投擲物は数倍の速度に加速して殺到した。
 植木鉢だ。どこかの民家の軒先からくすねたものだろう。
 魔法少女の力で投じられただけでも即席の凶器としては十分であるにも関わらず、そこに鈴の魔法が上乗せされている。
 間違いない。当たれば即死だ。あんなものを受ければ魔法少女だろうと肉体をごっそり持っていかれる。
 なまじ重量が車両や人に比べて軽いものだから、必然的に加速の度合いは最も高くなっているのが最悪だった。
 舐めんなよ――リックが咆える。彼女の盾はこれさえ防いだ。さりとて、ここまで来れば本当の狙いはシャルルにも解る。

 植木鉢をデコイに背後へと回っていた猫娘が、痛烈な回し蹴りでリックとシャルルを纏めて吹き飛ばした。
 幸い命までは持っていかれなかったが、地面をごろごろと転がって肺の空気が抜けていく。
 
「ペルぅッ!」
「わかった……!」

 飛び込んできたのは、植木鉢を投げたリングの少女だった。
 彼女は一瞬だけ躊躇したように見えたが、それでも仲間と共に生き残ることに比べればそれは軽いものだったらしい。
 未だ完全に体勢を立て直せていないリックへと、不格好ながらも威力の伴ったサッカーボールキックを繰り出す。

「あんまりバカにしてんじゃねーっての、チビども!」
「っ!?」

 リックがそれを片手で受け止めた。
 そのまま少女の矮躯を足を起点にして、近くのブロック塀へと投げ付ける。
 受け身も取れずにそこへ衝突した少女は、声を振り絞って「にゃんぴぃ!」と叫んだ。
 それを聞いた猫娘は「上出来!」と叫び返せば、しゃりんしゃりんしゃりんしゃりん、またあの鈴を鳴らした。
 今度吸引の憂き目に遭ったのはリックでもシャルルでもなく、リックが持つ盾だった。
 完全無敵の盾とはいえども、それはあくまで攻撃に対してのみだ。
 盾の面を介さずに奪い取りに掛かられては型なし。
 相性の問題があるとはいえ、この短時間で相手の少女達はリックの弱点を見抜いてみせたことになる。

 ――強いな。シャルルはそう思った。そう思ったが、同時に惜しいとも思う。

「な!?」
「……別に『盾』じゃなくてもいいんスよ。それこそ、手に持てるものならなぁんでも」

 勝ちを確信した猫娘の鉄拳がリックの頭目掛けて放たれたが、彼女はそれを苦もなく受け止めてみせる。
 その手に収まっているのは、先程あちらがデコイとして利用した植木鉢の破片だ。
 魔法少女の力を止められるはずもない陶器の欠片だが、リックの魔法にかかればこれもまた無敵の盾として機能する。
 彼女の魔法は「持ったものを壊れなくする」力だ。盾でなくとも、極論は障子紙だって、彼女が持てば絶対防御だ。

292 :フレイム・フレイミィの子供達(3) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/16(月) 20:56:02.84 ID:Ka3SalQC
「こっちとしちゃ、まず一旦穏便に話を聞いてほしいんですけどね。どうです?」
「……寝言は寝て言いなよ。生憎あたしは――あたしたちは、あんたが思うようなバカじゃない」

 上等。
 盾を拾いに行こうとはせずに、リックは代わりに拳を構えた。
 いけないな。スイッチが入ってしまったらしい。
 塀に身を凭れかけて、魔法名医は他人事のように嘆息する。
 正直こうなると、リックを止めるのはシャルルには無理だ。喧嘩の仲裁は医師の仕事ではない。

 早速殴り合い、蹴り合いを始めた助手と猫娘を横目に、シャルルはちら、とリックに投げられたリングの少女を見やる。
 少女は視線に気付くとびくりと震えた。本来、あまり度胸のある性格ではないのだろうか。
 少女の手は自身の脇腹をぎゅっと抑えている。あれは癖だとかそういうものではなく、痛みを堪えている動作だ。
 幸い、彼女との距離はそれほど離れていない。鈴の彼女も、まさかリックと戦っている最中によそ見は出来まい。

「……!」

 警戒を露わにしつつも、向かってこようとはしない。
 シャルルはその痛んでいるであろう腹へそっと手を当てると、とん、と軽く押した。
 今施したのは魔法の指圧だ。魔法少女の強い力で加えられる指圧は骨を砕くが、そこに生ずる微弱な魔法のエネルギーで砕いた骨を瞬時に癒着させ、元の形へと整形し直してくれる。
 勿論全部嘘っぱちだが、要するに理屈があると形だけでも唱えることが大事なのだ。
 現実を知ってしまったうえでごっこ遊びを続けるには、とにかく想像力が必要になってくる。
 フレイミィには電波女とバカにされたが、それで成り上がったのだからどんなものだと今では胸を張ってやれる。

「あれ……え? え?」
「初診だから、特別に診察料は取らないであげよう。
 その代わり、事が済んだらシャルル診療所を是非ご贔屓にしてくれ」

 体勢を元に戻して、困惑するリング少女からリックと猫娘へ視線を戻す。
 戦況は八割ほど予想通りで、二割ほど予想外だった。

 猫娘は所々に擦過傷や殴られた痕を刻まれており、一目でわかる劣勢にあった。
 対するリックは未だ余裕。だが、彼女も彼女で無傷というわけじゃない。
 天晴なことに、あの猫娘はリックとの戦いの中で自分の魔法の使い方を分析、実践しているのだ。
 例えば今などは無敵の盾を掻い潜ることの出来る、小さな石ころの弾丸でリックの腕を撃ち抜いた。
 このまま戦い続ければ当然リックが勝つだろうが、しかしもう少しは猫娘が粘るだろう。
 となると、そろそろドクターストップをかけるべき頃合いかもしれない。
 
 いや、やはりもう少しは殴り合わせておこうか?
 ある程度勝敗を決させておいた方が、戦意喪失に繋がってくれるのではないだろうか?
 でもそれで重傷など負われては困るし、どうしたものか。
 こういう時にこそ助手の判断が欲しいというのに、当の彼女は今戦闘民族の血を滾らせている。
 おいおい相手は新米だぞ。あまりムキになってやるな――と。

 やはりストップをかけさせて貰おうと口を開きかけたその時、猫娘が勢いよく飛び退いた。
 リックは追撃を試みるが、それは叶わない。
 彼女を取り込むようにして地面が盛り上がり、道路の真ん中に窓とドアのないコンクリートの塔が聳え立っていた。
 シャルルが眉を顰める。呆気に取られた思考を平常へ戻させるのは、鳩尾に打ち込まれた猫娘の拳だった。

293 :フレイム・フレイミィの子供達(3) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/16(月) 20:56:48.91 ID:Ka3SalQC
☆リンカーペル

 
 クロックシルクの魔法が発動した。
 彼女は肉体スペックで言うなら、ペルよりも更に下だ。
 多分、魔法少女全体で見ても下の下に部類されるくらいだと失礼ながらペルは思っている。
 しかし、彼女の魔法はペルの「脳内会議」に比べて遥かに凄い。見た目も、その効果も。
 聳え立つコンクリートの塔。道路の真ん中に突如生まれた異物、これこそがクロックシルクの魔法だ。
 「とても立派な家を作ることができる」。いわば彼女は、思い通りの建造物を自在かつ即座に建築できる魔法を使う。
 最小ではハムスターの小屋程度から、最大ではそれこそ高層ビルくらいのサイズまで。
 とは言ってもペルが彼女の建造物をそこまでしか見たことがないからで、本当はもっと大きなものも作れるのかもしれない。
 
 盾の魔法少女と医者の魔法少女を分断する作戦は、ペルが脳内会議で考え出し、発案したものだ。
 にゃんぴぃが敵を引き寄せ、それを迎撃すると見せかけて囮を使い盾の防御範囲外に回り、無防備な本体を叩く。
 ここまではリンカーペルとにゃんぴぃが、逃げながら即興で考えた作戦だ。
 ただしその先、「にゃんぴぃが盾の少女を引き受け、隙を見て隠れていたクロックシルクが分断する」というのは、ペルの脳内に居座る五人が考え出してくれた手である。
 ものの見事に嵌ってくれはしたが、しかしそれに満足している暇はない。
 建物の中ではクロックシルクが盾の少女を単身引き受けている。
 この高さだから中はそれなりに広いのだろうが、それでもクロックシルクほどの非力な魔法少女があんな武闘派にもし見つかってしまえば、どうなってしまうかは想像に難くない。
 早々にこちらの仕事を片付けて、三人で盾使いを袋叩きにする必要がある。
 ペルとにゃんぴぃの視線は今、やる気なさげに塀へ凭れた白衣の魔法少女に集中していた。

「……やられたな。君達、本当に新人かい?」
「そりゃ、ペルはあたしらのブレインなんでね。足元掬われたじゃん、先輩さん」

 肩を竦める医師少女へ不敵に微笑みながら、にゃんぴぃがぽきぽきと拳を鳴らす。
 ペルもにゃんぴぃも、彼女が非戦闘員だということは一連の流れで既に把握していた。
 にゃんぴぃはともかく、ペルは武闘派ではなかったが、それでも二人がかりなら簡単に殺せるはずだ。
 
『でも……本当にこれでいいのかしら、「ペル」。「ウチ」は、ちょっとこの流れには賛成しかねるかな』
『フム……殺すならば確かにここを逃す手はないがのう』
『「僕」も見てたけど、彼女はさっき「ペル」の傷を治したね』
『まどろっこしいなァオイ。単に試験反対派の日和見ヤローってことじゃねェのか?』

 頭の中に響く議論の声に、ペルは唇を噛んだ。
 彼女たちの意思は形はどうあれリンカーペルの意思の一部だ。
 その通り、自分は今、このまま彼女を嬲り殺していいかどうか迷っている。
 「俺」の言う通り、ただの日和見だという可能性もある。であれば、容赦はしないと事前に決めてあった。
 人情に絆されていては生き残れない。
 そういう覚悟を決めていなければ、まずこうやって殺し屋の真似事なんてしていない。

「……僕らは「魔法の国」の魔法少女だ。
 この町で行われている『試験』を中止させ、試験官の魔法少女を拘束することを目的にしている。
 どうか信じてくれ。僕もリックも、君らを助けに来たんだ」
「寝言は寝て言いなよ、先輩さん。言うに事欠いて、「魔法の国」の刺客だって?
 「魔法の国」ってのはあのタウンズマスターを送り込んだ連中なんだろ?
 そんな奴らがあたしたちを助ける? はっ、小学生でももちっとマシな嘘つくよ」

294 :フレイム・フレイミィの子供達(3) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/16(月) 20:58:50.72 ID:Ka3SalQC
「にゃ……にゃんぴぃ。ちょっと待って」
「はぁ? ペル、こんな奴の嘘を信じるつもり!?」
「そうじゃない! でも……その人、さっき……私の怪我、治してくれた」
「……こいつが?」

 こくり、とペルは首肯する。
 にゃんぴぃはペルと医者の魔法少女を交互に見て、怪訝な顔をした。
 魔法少女はそもそもが人助けを生業とする存在だ。
 だから助けてくれた、というだけならば、試験に反対する日和見という可能性だってある。
 しかし、ここで重要になってくるのは彼女が「魔法の国」から遣わされたと自称していることだ。
 非戦派の魔法少女が、わざわざそんな自分を不利にするような嘘を果たして吐くだろうか?
 命乞いの悪足掻きにしたって、もう少しマシな理屈を捏ねるだろうとペルは思う。

「だから、話だけでも聞いてみたらどうかな……」
「…………」

 にゃんぴぃは握った拳を開いた。
 分かってくれた。
 ペルはそう思って表情を綻ばせかけたが。

「ごめん、ペル。やっぱりあたしは――」

 ぎりりと歯を噛み締めて、再び拳を固く握るのが見えた。
 止める間もなく、それは後ろへ引かれる。
 医者の魔法少女は避けようとしない。いや、仮にそうしたとしても遅いだろう。
 にゃんぴぃに躊躇いはない。迷わず頭を狙って、彼女はこの魔法少女を殺してしまう。
 ペルは意見を出すことは出来る。六人分の頭で考えた意見で、状況を良い方に導くことは出来る。
 けれど、意見を無視されたらどうしようもない。口先以外で、リンカーペルは輝けない。
 医者の脳漿が飛び散る瞬間を幻視して、ペルはぎゅっと固く目を瞑った。

 ステージフォー
「第四段階」

 医者の呟きが耳に入った。
 肉を打つ音の代わりに、にゃんぴぃの呻き声と、彼女が倒れ臥す音が聞こえて目を開いた。
 医者は無傷だ。にゃんぴぃは倒れ、苦しそうな息遣いをしながら、親の仇でも見るように強く彼女を睨みつけている。
 堪らずにゃんぴぃへ駆け寄って、ペルも医者を睨んだ。
 すると彼女はばつが悪そうに目をそらして、言った。

「あのまま殴られたら、流石に死んでしまいそうだったからね……
 医者として褒められた行為じゃないが、少し腫瘍を作らせてもらった。
 でも……大丈夫。僕のは所詮ごっこ遊びだ。多分三十分もすれば元の健康体に戻れるよ」

 ペルは知らないことだが、魔法名医と呼ばれたこの少女の魔法は「お医者さんごっこ」である。
 決して医術を行い、癒やすことだけが彼女の魔法ではない。
 お医者さんごっこの一環として、簡易的に病巣を作り出し、植え付けることも可能なのだ。
 もっともこちらにはいくつか発病させるための条件がある上、永くとも一時間しか病巣は維持できないと欠陥だらけ。
 それ以前に、医者の端くれとしてもあまり使いたい手段ではなかった。
 
『むぅ……どうやらこれは、本当に「魔法の国」から遣わされた者なのかもしれんのう』
『だから言ったじゃん。第一、こんな方法を最初から取られてたら、本当に全員壊滅してたわよ?』
『殺す気があるならいつでも殺すことはできた――なのに彼女はそれをしなかった』
『「私」も信じていいと思うわぁ。予期せぬところで希望が見えたわね』

 うん。
 ペルは脳裏に響く声へ頷くと、ぺこりと医者の少女へ頭を下げた。

295 :フレイム・フレイミィの子供達(3) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/16(月) 21:00:22.00 ID:Ka3SalQC
「ごめんなさい。私たち、あなたたちにひどい失礼を……」
「あー……いや、いいよ。僕の方こそ、リックが手荒をして済まなかった。
 あれには後できつく言い聞かせておくから、できれば彼女をその建物から出してやってくれないかな」
「は……はいっ。クロッ――」

「おぉぉい、クロックシルク! もういい、やめろ!!」

 ペルの声を遮って、にゃんぴぃが叫んだ。
 ペルとシャルルの視線が注がれると、彼女もまたばつが悪そうに目を背ける。
 さんざっぱら暴力を働いたものだから、流石に申し訳なく感じているのだろう。
 かと言って、にゃんぴぃは素直に謝れる性格はしていない。
 リーダーシップを発揮していた彼女だが、その年齢はペルたちの中でも最年少だ。
 くすりとペルは笑った。シャルルは肩を竦めて笑った。
 
 コンクリートの塔が消えると、リックにつまみ上げられてじたばたとしているクロックシルクの姿が露わとなる。
 コミカルなその絵面に、ペルとシャルルはまた笑った。
 その後、全員まとめてリックに正座をさせられた。


☆魔法名医シャルル


 ひとしきり説教された後、ペルたちは事のあらましを知ることになった。
 タウンズマスターも以前、「フレイム・フレイミィ」という魔法少女の『試験』に参加させられていたこと。
 いわば今回、ペルたちが巻き込まれているのはその焼き直しであるということ。
 「魔法の国」が行う選抜試験は本来こんな形のものではなく、もっと穏便な形であること。
 そして魔法名医シャルルとバースデイ・リックは、本当にタウンズマスターを捕らえるためにやって来たのだということ。
 信じられないような内容の連続だったが、魔法少女なんてものが実在していて、自分たちはそれに変身しているのだ。
 信じる以外にはない。クロックシルクも、ペルも、そしてにゃんぴぃもそういう結論に落ち着いた。
 斯くして、新人魔法少女たちの殺人計画は頓挫し、絶望の『試験』の中には一縷の希望が射し込んだ。
 とはいえ、問題が解決したかといえばそんなことは全くない。

「……ってことは、そっちもタウンズマスターの魔法がどういうものかは知らないと」
「はい…… タウンズマスターはいつも私たちに助言してくれましたけど、それ以上は……」
「分別を弁えた魔法少女だったってことか……ちゃっかりしてますねぇ」

 シャルルとリックは、タウンズマスターの魔法について知らないのだという。
 そしてそれはペルたちも同じだった。
 それぞれまったく別の形でタウンズマスターに出会い、育てられてきたが、彼女の魔法を使っている姿を見たことがある者は誰もいない。その事実は不気味に、皆の心をじくじくと苛んだ。

「にしても不親切なんだね、「魔法の国」ってのも。
 フツー、ターゲットのデータってのはきっちり調べて渡すもんでしょ」
「私もそう思います……失礼ですけど、無責任……ですね」
「いいや、僕もそう思うよ。だが」

 それ以上に、ここまで来ると不自然だな。
 シャルルは自分の顎に手を当てて、表情は変えずにそう呟く。
 
「いくら何でも手際が悪すぎる。
 お上の話によれば、詳しい話は現地に着いてから連絡、もしくは先遣隊から聞けということだったが……」
「お役所仕事って次元じゃないッスよねェ、ちょっと」
「フレイミィと繋がりのあった魔法少女の厄介払いのつもりなのか、それとも……
 ……そもそもお役所の魔法少女ですらなかった――のか」

296 :フレイム・フレイミィの子供達(3) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/17(火) 00:58:09.65 ID:UEuSUq5b
 だとすると、いよいよ妙なことになってきた。
 もとい、暗雲が立ち込めてきたと言うべきだろうか。
 シャルルの脳裏には既に、この状況を説明できる答えがある。
 しかしそれを口にすることはしなかった。これを言えば、きっとこの三人の心を更なる不安と恐怖に追いやってしまう。
 
 ――フレイム・フレイミィの『子供達』タウンズマスターが、自分達を誘い出した。
 ――もしそうであれば、いよいよもって厄介なことになったと言わざるを得ない。
 
「……一応聞かせてもらいたいんだけど、君達は『Pleiades』という魔法少女を知っているかい?」
「ぷれ、あです?」
「知らないな……少なくともH市に、そういう名前の魔法少女はいないはずだ」
「…………」

 Pleiades。
 星の魔法少女。
 それが先遣隊として送り込まれた魔法少女の名前だった。
 兎にも角にも、まずは彼女を探してみる必要があるだろう。
 その存在が真実ならば情報の共有と、彼女もまた自分たちと同じなのかを問わねばならない。
 虚偽ならば自分たちが謀られたということでほぼ間違いないが、Pleiadesが実在していたとしても油断は禁物だ。
 彼女が『子供達』であり、タウンズマスターである可能性も十二分にある。
 疑ってかからなければ、最悪『試験』の犠牲者として名を連ねることにも繋がりかねない。

「あ……そうだ。ひーたんにもこのこと伝えないと」
「ひーたん?」
「あたしらの仲間の一人だよ。魔法的に前線には出られないから、遠くでサポートを頼んでたんだ」

 にゃんぴぃは魔法の端末を取り出すと、慣れた手つきでひーたんの端末へと発信する。
 通話はすぐに繋がったようだ。
 にゃんぴぃはシャルルたちに背を向けて、話し始める。

「もしもし? ひーたん?
 ……ごめん。心配かけたね。でも大丈夫だよ、今「魔法の国」の魔法少女と――え?
 ああ、うん。そうそう。タウンズマスターをひっ捕らえて試験を終わらせ……は? いや、ちょっと。落ち着けって」

 ……どうしたことだろうか。
 にゃんぴぃは彼女らしくもない困惑した様子で、電話の向こうの「ひーたん」を宥めようとしているようだ。


「いや、だからタウンズマスターを倒せば試験が終わるんだぞ?
 待てって、相手はほんとに「魔法の国」の――――」


 からん。
 にゃんぴぃの手から端末が地面に落下し、一回バウンドした。

297 :フレイム・フレイミィの子供達(3) ◆TOWNwDBZa. :2015/11/17(火) 00:59:56.36 ID:UEuSUq5b
 彼女がそれを拾い上げる気配はない。
 ……今度こそ、本当にどうしたことだろう。
 にゃんぴぃくん、と呼びかけると、彼女はふらふらと体を揺らし、振り返ろうとした。

 違う。
 振り返ろうとしているのではない。
 これは。
 この動きは――

「にゃん、ぴぃ?」

 倒れようとしている動きだ。
 そう気付いた時、猫耳の魔法少女はばたんと仰向けに倒れた。
 目は開いたまま、口も半開きで、信じられないとばかりに困惑を顔へ浮かべたまま事切れている。
 その証拠が、彼女の喉元にあった。
 穴が開いている。これは手刀の傷跡だ。
 魔法少女同士の殺し合いで診療所へ運ばれてきた患者がよく作っている傷の一つでもあったから覚えていた。
 治療を施そうと屈み込んで、無理だとすぐに悟った。
 恐らく、この傷は見た目より遥かに深い。
 脈を寸断して首の骨を砕き、文字通り何もわからない内ににゃんぴぃは死んだのだろう。
 
「え? え? にゃんぴぃさん? え?」

 魔法名医シャルルに治せない病はない。
 ただし、なくした命を戻すことだけは出来ない。
 既に真っ暗になった町に、リンカーペルとクロックシルクの悲痛な泣き声が木霊していた。



――――

時間がかかりましたが一応投下終了です。
次回はひーたん、レオーネで。
多分そんなに間は空かないと思います

298 : ◆ymCx/I3enU :2015/11/22(日) 18:16:41.46 ID:gmGLMpng
投下乙です
すごい文章密度…自分のはスカスカなんすよねぇ

ようやく一話出来たので投下します
モチベ復活したと言うのは何だったのか

299 :危険な領域 ◆ymCx/I3enU :2015/11/22(日) 18:17:25.59 ID:gmGLMpng
15話 危険な領域

スィヴレバルは人食いの人虎(ワータイガー)であり、同性愛者(ゲイ)であった。
ある時「ハッテン場」なる物の存在を知りそこへ向かうも、人食い虎である事が知れ渡っていた為に全員に逃げられてしまう。

「自分のした事のせいとは言えこれじゃ愉しめんなぁ……」

何とかしなければと思ったスィヴレバルが閃いたのは自分の事が知られていないであろう異世界のハッテン場に行く事であった。
そして紆余曲折を経て辿り着いた「日本」のとあるハッテン場。
彼はそこでようやく自分の欲望を満たす事が出来た。
黛康裕や、沼倉勇喜など一部のハッテン場仲間には自分が異世界で人食い虎として恐れられている事を知られてしまったが、
それでも彼らはスィヴレバルを受け入れてくれた。

「何て優しい奴らだ。俺、人食いやめて『日本』に住もうかなぁ」

人食いをやめ「日本」に移住してしまおうかともスィヴレバルは考えるようになっていた。

現在。
スィヴレバルは前述の二人と共に殺し合いに巻き込まれていた。
E-4エリアの駐在所付近を歩くスィヴレバル。

「むぅ、ヤスとユウキはどこに居るんだ」

ハッテン場にてしゃぶり合い掘り合った仲である黛康裕と沼倉勇喜を捜す。
自分を受け入れてくれた彼らを殺してしまうなど忍びない。つまり殺し合いにも乗るつもりは無い。
但し彼が二人の事を捜すのは心配なのが半々と、性欲が半々である。
地図を見る限りでは殺し合いの舞台となっている島は中々に広く二人がどこに居るのか見当も付かない。

「死ぬつもりなんて無いけど、無ぇけどな。万一の時の為に一発ヤりてぇなー」

股間にぶら下がる巨大な、自慢の逸物をさすりながら舌なめずりして妄想するスィヴレバル。
危うく扱きそうになって自制する。
殺し合いの最中でこうもマイペースを保っていられるのは単に性欲が強いと言うのも有るだろうが、
人食い虎として生きて幾つもの死線を潜り抜け相応の実力を持っていると言う事も有った。

そんな彼に忍び寄る一人の人間の青年。

「ん? 誰だ」

スィヴレバルが気配に気付き振り向く。
青年は、外見だけならば特に目立った所は無いように見えた。ただ、問題は彼の双眸。
暗く淀み、感情が読み取れない。ただならぬ何かをスィヴレバルは感じる。

(何だこいつ、寒気が)

悪寒のような物を感じ始めたその時青年の姿が視界から消えた。

「っ」

胸元に違和感。
その違和感は熱となり、激痛と化す。
青年が胸元に潜り込み、何かをスィヴレバルの心臓付近に深く突き刺していた。

「ガアアアア!?」

苦痛に叫ぶスィヴレバル。
人虎故の生命力の強さか、心臓を刺されてもまだ彼は死ななかった。

300 :危険な領域 ◆ymCx/I3enU :2015/11/22(日) 18:17:48.25 ID:gmGLMpng
「すげぇ、まだ生きてんだ」
「ッグ!?」

刺していた物を引き抜き距離を取る青年。
右手には血塗れになったマイナスドライバーが握られている。

「う、グ、う」
「強そうだと思ったのにそうでもねぇなぁ」
「こ、の、野郎!」

牙を剥き出し獣の形相を浮かべスィヴレバルは青年に向かって鋭い爪のついた右手を振った。
まともに当たれば人間の柔らかい身体など簡単に切り裂いてしまっただろうが。

「甘ぇよ」

当たらなければ無意味。
難無く青年は人食い虎の爪による斬撃を身を屈めて回避した。そして再びスィヴレバルの懐に潜り込み、マイナスドライバーを真上に突き上げた。
マイナスドライバーはスィヴレバルの喉元から、彼の脳幹までを一気に刺し貫いて、壊す。
その瞬間、スィヴレバルは白目を剥き、口から赤の混じった泡を噴き出し、鼻と両目から赤い液体を垂れ流し、絶命した。
ドサ、と重たい音を立て虎はアスファルトの上に崩れ落ちる。
青年――伏島茂晴は屍と化した虎の所持品を物色し、手鉤を入手した。

この伏島茂晴なる青年、何をしている人物なのかと言えば「殺し屋」である。
依頼を受けて標的を殺害するのが彼の仕事であるがその際、標的の雇った用心棒や私兵、同業者との交戦に発展する時が有った。
「最初」こそただ何も考えずにその交戦相手達を撃退或いは始末するのみであったが次第に強者と戦う事に愉しみを覚えるようになる。
今回のゲームに巻き込まれ、茂晴が主な目的とするのは強そうな参加者との交戦。
そして最初に出会ったのがいかにも獰猛そうな大きな虎だったので期待していたのだがいとも簡単に倒せてしまい、茂晴としては肩透かしを食らった気分である。

「見た目で期待したんだけど、あっさりやられてくれちゃってまぁ」

落胆の色をその目に滲ませ虎の死体を一瞥し、その後はもう虎には何の興味も無くなったようで、茂晴はさっさとその場を去ってしまった。


【スィヴレバル  死亡】
【残り46人】


【明朝/E-4駐在所付近】
【伏島茂晴】
状態:健康
装備:マイナスドライバー
持物:基本支給品一式、手鉤
現状:強そうな奴と戦いたい。優勝については今の所保留
備考:特に無し

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